fate+DM+オリ主=大惨事   作:ヤマアラシ齋藤

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取り敢えずVS悪童はこれにて終了。次からはちょっとした日常ベースに戻ると思いますん


転生者ゲット君の日記 ブリテンぐらし! 恐怖vs悪童 4

「まさかこんな事になるとはね…いやぁ予想外だよ」

 

「喧しいわこの花野郎。相変わらず怪しい笑みを浮かべおってからに」

 

「相変わらず手厳しいね」

 

グラディアンレッドドラゴンに叩き落とされた所は次代の王だけが抜けるとされる聖剣がある場所。立ち上がろうとするとそこには胡散臭さナンバーワン、水文明そっくりな花の魔術師が笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 

「…で?何のようだ?今忙しいんだけど?」

 

「武器を壊されてどうするつもりだい?」

 

「あー…どうしようか」

 

そう言いながら俺の近くを指差す。俺の近くには機神装甲の残骸が辺りに散らばっておりまた使える状態には決して見えない。俺達ヒューマノイドは基本的に武器を使って戦う。他の種族より身体を強化して戦うのが苦手な俺達は武器を使うのが基本的なスタイルだ。

だが俺の手元にあるのは今何も無い。強いて言うならばバジュラの宝玉だけ…

 

バジュラの宝玉…?

 

「そう言えばこれがあったな」

 

宝玉に力をマナをこめる。すると宝玉は光を放ち1本の鎖となった。

取り敢えずの武器は出来た、だがこれだけで戦うのは正直不安がある。仙界王達との戦いではインビジブルパワーの加護あったからこそ戦えた

俺はこれだけで戦えるだろうか。

 

「それだけで戦うつもりかい?」

 

「…結局何が言いたいんだ?」

 

するとマーリンはこちらに近付き

 

「君が良ければその剣を抜くと良い。君が王に相応しいならばその剣は答えてくれるよ」

 

と言い放った。

 

──

 

始めて彼を見た時は不思議な存在だと思った。身体に不釣り合いなくらいの莫大なマナの量。本来肉体の外にある筈のマナ、それを肉体に取り込み…いやマナそのものに形成されていると言っても過言ではない存在

初めて見る存在に僕は興味を抱いた。

それから千里眼を使い彼を見続けた。

アルトリアに王としての教養を教えながら彼の姿を見ていた。

 

そして彼に忠告を与えた。もしも彼がその力を振るえば間違いなく抑止力に目を付けられる。それはつまらない、そうなれば彼は抑止力によっていつか滅ぼされるだろう。

故に忠告を促した。その力を振るわないようにと

 

そして彼は見事にその言葉を無視しそれを恐れた抑止力は彼を排除する為に新たな存在を呼び出した。

そしてこのザマである。抑止力は彼の力を侮り星すら凌駕する力を持った存在だと今更知りこの世界から排斥出来ず苦渋の決断として同等以上の怪物を呼び出した。その怪物に抑止力のバックアップという名の枷を付けて

 

結果は見事に大惨事、呼び出した化け物は抑止力のバックアップを放棄し自らの力を星を滅ぼす為にフルに使い、ゲットはそんな化け物を止める為に戦う。

 

「さて、抑止力はこの光景を予測していたのかな?」

 

今、地球の人類史の敵は抑止力が呼び出した化け物。そして彼はそれを止める為に戦う勇者、しかし勇者は戦うための武器と空を翔ける為の翼を失い地に落ちた。

ならば、ここからはキングメーカーである僕の出番だ。

彼に剣を与えよう。彼に空を飛ぶ翼を与えよう。彼が再び立ち上がるのならば僕は新たな英雄の誕生を祝い力を貸そう。

 

「──ここに新たな英雄、新たなるブリテンの王の誕生を祝おう」

 

さぁその剣を抜け、君ならば抜ける

 

 

「…この剣に選ばれているのはアルトリアの筈では?」

 

「…この剣はブリテンの王に最も相応しい存在を選定する装置だ。今この状態で最も王に相応しいのは君しかいない」

 

そう言うとゲットはチラリと剣を見て台座へと歩き出す。そして剣柄を握りしめるとそのまま上へと

 

「…」

 

上へと…

 

「……フンッ!」

 

地面ごと剣を引き抜いた。まさに火文明、力づくの極みである。どうやらゲットは剣に選ばれなかったが無理矢理引っこ抜いて剣を従えたみたいだ。

そして剣にマナを込める。黄金に輝く剣に赤く輝くマナと緑色に輝くマナが合わさり幻想的な色を作り出す。

 

「いやーきれいだねぇ。地面がそのままついた状態じゃなければ」

 

「ほっとけ。なぁマーリン、少し頼みがあるんだが」

 

「何なりと、マイロード」

 

傅くマーリンに不思議そうに頭を傾げるもまぁ良いかと思い直し頼みを話す。

 

「…まぁいいや。もう皆多分だけどこの場所から逃げていると思うんだ。マーリンの力でそいつらを守ってやってくれないか?」

 

「それで良いのかい?」

 

「それで良い。後は」

 

「早くしろ!早くしないとこの星を滅ぼすぞ!」

 

マーリンの言葉を遮るようにグラディアンレッドドラゴンの怒声が辺り一面に響き渡る。流石悪童待つ事が出来ない。

 

「…あの戦闘狂をなんとかするだけだからな」

 

そう言いながら剣に引っ付いた地面を剣を振り吹き飛ばす。そして身体中にマナを掛け巡らせ身体を活性化させるゲットの姿を見てマーリンは魔術を施す。

 

「…何したんだ?」

 

「君が失った空を翔ける為の翼を渡しただけだよ」

 

「…ありがとさん」

 

その言葉を最後にゲットは悪童との決着を付ける為に大空へと飛び立つ。そしてそんな姿を見届けて

 

「…では、新たな王からの初めての命令だ。しっかりとこなさくてはね。失敗して彼に殴られでもしたら死んでしまうよ」

 

そう言い残し魔術による転移を行い、その場から消えていった。

 

 

───

 

「嘘だ…。ゲットが、ゲットが…」

 

「…あの馬鹿ッ!肝心な所で」

 

アルトリア達が絶望に打ちひしがれているとその場に合わない快活とした声が辺り一面に響いた。騎士達と街の住民達はその声の持ち主が分からず首を傾げるもアルトリアとケイにはそれが誰なのか理解していた。

 

「やぁアルトリアにケイ。どうしたんだい、そんな悲しそうな顔をして?」

 

「…マーリン」

 

「…貴様ッ!この場ですら道化をするつもりか!アイツが…アイツが…ッ!」

 

打ちひしがれ涙すら出ないなったアルトリアとマーリンの顔を見て激昂するケイ。そんな2人を見てマーリンはその場にさらに爆弾を落とした。

 

「そうだね。彼は王となった。新たなるブリテンの王、烈火の如き外敵を討ち滅ぼしこの国を守る王」

 

「烈火王。彼、自分の事を火文明のヒューマノイドだとかいってたしお似合いな名前じゃないかな?」

 

皆がマーリンの言葉についていけずそんな彼等を睥睨するとゲットがいる場所を指を指して伝える。

 

「そしてほら、あそこを見てご覧」

 

そう言いながらマーリンの指差す方向、決闘場跡地を見ると猛り狂うグラディアンレッドドラゴンがそこにはいた。

溢れんばかりのマナを抑えられないと言わんばかりに辺り一面に放出しながら

 

「新たな王の凱旋だ。とくと見ると良い」

 

そして地面から莫大な量の鎖がグラディアンレッドドラゴン向けて放たれる。

まるで鎖が意識を持っているようにグラディアンレッドドラゴンの身体に絡みつく。

 

「はっ…こんなもん直ぐにでも……って硬てぇ!これはまさかバジュラの野郎の!」

 

鎖がグラディアンレッドドラゴンの肢体に絡み付く。そして、空を黄金の輝きが天を突き追随するように赤色の光と緑色の輝きも強さを増す。

 

「これで終わりにするぞ先輩!」

 

光は収縮し、1本の巨大な剣へと姿を変える。アルトリアやケイには見えなかった、だが分かっていた。あの剣を持っているのは間違いなくゲットだと言う事に

 

「馬鹿野郎!生きてんのならさっさと立ち上がれよ!死んだかと思っただろうが!」

 

「あぁ…良かった!兄さん!ゲットが!ゲットが生きています!」

 

「あぁ!心配させやがって、後で説教だな!」

 

「はい!帰ってきたら沢山説教します!」

 

そんな2人の声に皆が苦笑いをしながら最後の光景を見届ける。

鎖に縛られたグラディアンレッドドラゴンはどれだけ足掻いてもその鎖から抜け出す事が出来ない。それはゲットがバジュラから授かった宝玉、力を込めれば超竜バジュラが使っていたマナ破壊の鎖

グラディアンレッドドラゴンは己の身体にあるマナが壊されていくのを感じる。恐らくこのままだと自分は負けるだろう

 

「(確かに俺の後輩は強ぇ。だが!)」

 

その瞬間、今まで放出していたマナがそよ風程度に感じるマナの奔流が王都を包み込む。タダでは死んでやらん。窮鼠猫を噛む、イタチの最後っ屁でも与えてやらんとグラディアンレッドドラゴンは息巻いていた。

 

「(俺が挑戦する側になるとはなぁ…良いさやってやるよ。昔、仙界王の奴等に挑戦しなかったんだ。ゲットを倒せば俺がアイツらより強いって事になるだろ!)」

 

 

グラディアンレッドドラゴンがその口を大きく開ける。体内にあるマナを全て口に収縮し最後の一撃を放たんとする。

そしてゲットの元にある巨大なマナの剣も光を集め更に巨大な剣となる

 

その大きさ、グラディアンレッドドラゴンを凌駕するほどに

 

「力比べと行こうか!」

 

「やってみやがれぇ!」

 

その瞬間、両者最強の一撃がぶつかり合った。全てが光に包まれ、その光に耐えられず人々は目を閉じた。

そして、耳を塞いでも身体に響く爆音が辺り一面に鳴り響き、光が消えた後には

「勝ったぞー!」

 

現代火文明最強、別名世界一の馬鹿。小さな勇者ゲットが剣を振りながら勝利を噛み締めていた。

 

「さてと…うわぁこれは酷い。ブリテンが大惨事じゃないか」

 

マーリンはそう呟くと転移でゲットの元へと向かう。残された者達が王都の方を見ると

家々は戦いの衝撃で良くて半壊酷くて塵一つ残っておらず

王や誉ある騎士達が住まう王都は美しかった外装は殆ど消し飛び、旧時代の遺物を思わせる程の破損状態だった。

 

「ハハッ…こりゃ酷い…ハハッハーッハッハッハッ!」

 

「こりゃひでぇ!俺達の家どころか王宮すらボロッボロじゃねえか!これからは暫く大工の仕事に困らねぇな!」

 

「チゲぇねぇ!久し振りに俺が大工仕事をする時が来たか!」

 

「ジジイは腰痛めてんだから大人しくしときな!これは若モンの仕事だよ!」

 

その光景を見ていっそ清々しいと高笑いをする住民達、いやもう笑うしかないのだが

 

「…彼が新たな王か」

 

今まで沈黙を保ってきた2人の騎士の内1人が独り言を呟くように言葉を紡ぐ。そこには様々な感情があったのだろう。葛藤、喜び、悲しみ。それらが混じった声

 

「…願わくば彼が暴君でない事を祈るばかりだ」

 

「大丈夫です!ゲットならとても良い王様になれます!」

 

「…その根拠は?」

 

「それは…」

 

そう言いながらゲットを見る。するとこちらに気付いたのか笑顔でこちらに向かってくる。

 

「おいゲット!さっさとこっちに来いゴラァ!」

 

「えっ…どうしたんだよケイ?俺なんかしたか?」

 

「どうしたもこうしたもない!取り敢えずそこに座れぇ!」

 

「えっ…ちょっと待って助けてアルトリア!」

 

その言葉にアルトリアは微笑を返すと騎士に一言だけ残してゲットの元に向かう

 

「私達、皆がついてますから」

 

 

「おお来たかアル」

 

「なぁアルトリア。何でケイはこんなに怒っているんだ?」

 

「さぁ…何ででしょう?それよりも私はゲットに言いたい事があります」

 

この時点で二人共が可笑しい事に気付いたゲットは助けを呼ぶ

 

「マーリン!ヘルプ!」

 

「すまないねマイロード。流石の私でもそこに行く気は」

 

「あぁマーリン。丁度良いです。貴方も一緒に話しましょう」

 

「いや…え?どうしたんだいアルトリ」

 

「いいから来なさい」

 

「ハイ…」

 

アルトリアの謎の圧力に逆らえずゲットの隣に現れ座る。因みにゲットは本能的に正座をしている元日本人の魂がそうさせるのだろう。そしてマーリンもその姿を見てその真似をする。ゲット君の同調圧力である。

 

「なぁ…この国どうなるんだろうな」

 

一人の騎士がもう1人の騎士に話し掛ける

 

「さぁな。だが、これだけは言える」

 

「何だ?」

 

2人の騎士はゲット達の方を見て一人の騎士が面白そうに呟く

 

「退屈はしないですみそうだぞ」

 

輝く太陽が彼らを包み込む。そしてそんな太陽の下で新たな王が生まれた

その名を烈火王、烈火の如く外敵を打ち倒し国に平和をもたらしたブリテンの王、火文明最強小さな勇者ゲット

 

そしてそんな彼を補佐するキングメーカー、花の魔術師であるマーリン

聖剣に選ばれし少女アルトリア

そしてその兄ケイ

 

彼等のドタバタブリテン平定はまた別のお話

 




実はマーリン君は住民と騎士達をゲット達の一撃の余波から死ぬ気でガードした今回の影の功労者だったり

流石グランドキャスターや!

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