fate+DM+オリ主=大惨事   作:ヤマアラシ齋藤

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フィオナの森での死闘〜文明戦争終結
転生者ゲット君の日記 1


 

ある日気付いたら転生していた。

頭の悪い事を言っているとは思うがどうか真面目に聞いてほしい、俺は何処にでもいる唯の一般ピーポー。銃も持ったことがないし人を殺した事のない至って善良な一般市民だった、だったんだ。仕事に疲れて爆睡して目覚めたら赤ん坊になっていたんだ。頭の悪い事を言ってると思う、だけど本当なんだ。そしてその転生した場所も信じられない場所だった。

 

「ゲットは本当に泣かんのう。ほれ高い高ーい!」

 

そう言われ雲より高く放り投げられる俺。ふと横を見れば隣に住んでいるアーマードワイバーンのオッサンが呆れたようにコチラを見てくるのが分かる

 

「何やってんだよ!おっさん。ゲットを天高く投げ飛ばすなって言ってんだろうが!」

 

「……ホノオ。ボーグは頭が筋肉で出来てるから言っても無駄だよ」

 

「儂の息子なのだからこの程度は平気だろう。なーに問題ない、儂も小さい頃は親父にこうやって遊んで貰ったものよ」

 

やんやんやと下から聞こえてくる声に耳を傾けながら隣で飛行している知り合いのオジサンが呆れたような溜息を吐く

 

「……まーたアホな事をやっとるのか」

 

「あー……うー」

 

この世界は化け物しかいなかった。というかこの世界の事を俺は知っているし分かりたくない。何故ならばこの世界は致死率100%であり俺が生まれた種族では太刀打ち出来ない存在が山のようにいる世界

 

その名を超獣世界、それが俺が生まれた世界だった

 

……神がいるのならば転生をやり直させてくれ。あっ神と言ってもゴッドとゼニスの事を言ってる訳じゃないからあしからず

 

丸月抜日

 

この世界じゃ弱い存在は生きていけないから俺という存在がいた事を証明するために取り敢えず日記をつけようと思う。

赤ん坊の俺が日記をつけるなんて頭がおかしいとは思うがこの世界では珍しい事ではないらしく、親からは

 

「おお!ゲットは賢いのう!これなら大きくなったら儂みたいに機神装甲を装備出来るかもしれんな!」

 

「アナタとこの子が機神装甲に乗って共に戦う姿……早く見たいわね」

 

とか親バカな意見?を貰いました。それで良いのか超獣世界、ロクに喋れない赤ん坊が日記をつけるなんて可笑しいとは思えんのか超獣世界。

 

まぁ超獣世界なら仕方ないか。だってこの世界、胎児のような存在ですら流暢に話を出来る世界だし、隣の子どもなんて3歳で火文明の最前線に出て活躍してるらしいし。この世界じゃ戦えるようになる=最前線行きだから頭可笑しい。俺もさっさと強くならなきゃ絶対にコロりと死んでしまう

 

生きねば

 

丸月三角日

 

【悲報】俺氏赤ん坊なのに機神装甲に載せられる【不要な親心爆発】

 

いつも通りハイハイをして家で過ごしていると親父が俺をつれて最前線に行くとか言い始めた。頭可笑しい、そして笑顔でそれを笑顔で見送る母親も頭可笑しい。駄目だ超獣世界、マトモな奴がいねぇ

誰か助けて

なんか最前線で親父が変な装備を付けてた。山のようなドリルとハンマーが身体中に取り付けられっ……て親父ヴァルボーグかよ。初期アニメ主人公の切り札じゃねーか。サイン下さい、え?俺もこれに乗る?いや大きさ的に無理だろ。え?俺サイズの機神装甲?いやいやいや無理無理無理、死ぬから。俺中身パンピーだよ?まだ歩く事すら出来ないからね?

そんなの装備させられても動けないから

何で身体を持ち上げる?待て何故砲丸投げの体制を取るのだ父上、待て落ちつ

 

アーッ!

 

丸月□日

 

生きてた。生き残れた。何とかなった。ゴキブリのように湧いて出てくる闇の軍勢。ブラッディイヤリング×いっぱいがいる所に投げ飛ばされた俺はワンワン泣きながらも必死に機神装甲を使って戦い続けた。隣で戦ってた同胞と思われるヒューマノイドがビックリしたような目でコチラを見ていたが仕方ない。だってワンワン泣きながら戦ってる赤ん坊がいるとか信じられないのが普通だと思うの。

最終的にその人に連れられて前線から戻ったらそこは死屍累々(敵で)どうやら親父は火文明のエースらしく敵をバッタバッタと薙ぎ倒して血塗れだった。

正直引いた。ドン引きだった。そして自分も似たような姿をしている事に気付き自分にドン引きした。

親父は俺の戦果を聞いて満足そうに笑い

 

「これなら明日はもっと厳しい場所に送り込んでも大丈夫そうだな!」

 

とか抜かした。もう嫌このパパン誰か助けて

帰ったその日は母親に甘え倒した。それを見て親父が俺に構いたそうにしたが無視した。あ^〜母親が優し過ぎて駄目になるんじゃ~

 

丸月§日

 

「今日はピクニックにでも行くか」

 

親父の朝の第一声に俺は耳を疑った。赤ん坊を戦場に放り込む、脳味噌が筋肉で出来ているような馬鹿がこんなマトモな事を言うとは思えずその言葉の真意を考えた。

ピクニック=戦争?

ピクニック=虐殺?

恐らくは戦争だろうと思い、また戦場に放り込まれるのだろうと諦めていると母親が嬉しそうにお弁当がどうとか言い始めた。その瞬間家の母親は戦場で弁当を広げるキチガイなのだろうと諦め2人の話に集中した。

だが話を聞いても血生臭いワードは一つもなく、どうやら火山に弁当を持って散歩、友人に会いに行くだのなんだのとしか言っていない。

えっ……マジでピクニック?

 

やったぜ

 

「……それがお前の息子か」

 

そんな事を考えていた自分を殴りたい。ついでに親父を殴りたいけど意味無いから抱かれた時にワンワン泣いてやると心に誓いながら上から聞こえてくる厳かな声に耳を傾ける。

 

「そうさ。これが儂の息子、ゲット。これからの火の文明を引っ張っていく存在、お前さんも何時か共に戦うだろうしそろそろ紹介せんと不味いと思って来たのさ」

 

「……ゲット。良き名だ」

 

「そりゃそうさ俺と嫁が1ヶ月悩んで考えた名前だぜ?良い名に決まってんだろ」

 

その厳かな声の持ち主は巨大だった。この火山よりは小さいが火口にスッポリとハマる位には巨大でそれが持つ翼がはためくだけで途轍もない音を立てて辺りが吹き飛ばされる。

分かっていた。この親父が普通な事をするはずがないって。だけどこれは予想外だろ

 

「さぁゲットよ。お前の力を見せてみよ。手を抜けば塵に帰ると思え」

 

何でボルシャックドラゴンと俺が戦わなきゃ駄目なんだよこんの糞親父ぃ!

 

丸月格日

 

生きてるだけで素晴らしい。そうは思わんかね?俺を照らす太陽。飛び散る返り血、飛び散る肉片。あぁ生きてるだけで幸せだ。あの蹂躙と比べたらブラッディイヤリングがゴミカスに見えちゃう不思議。

ヒャッハァーッ!動かないブラッディイヤリングは良いブラッディイヤリングだぁ!全く戦場は地獄だぜぇ!

ボルシャックドラゴンとの戦い(一方的な蹂躙は)熾烈(生き残り的な意味で)を極めた。ボルシャックドラゴンの炎を避けては無駄な反撃をしてまた避けるの繰り返し、そんな事を暫く繰り返していると向こう側が何か満足そうに頷いた後親父と何かを話してそのまま火口の中にスッポリと埋まっていった。何がしたかったんだあのドラゴン様は、さっぱり理解が出来ん

 

だが、あの経験のせいでこの辺りの雑魚程度には鼻糞ほじりながら戦えるようになった気がする。

 

そんな事を思いながら今日は戦い続けた。今日はなーんかつまらなかった。何故だ、命に関わらない平和な日だったのに

 

分からん

 

丸月§§日

 

フィオナの森と呼ばれる場所がある。そこは自然文明の聖域であり良く燃やされたり破壊されたりする事で定評のある場所だ。そして俺は今その自然文明の聖域にいる。何故だ

理由は簡単。親父である機神装甲ヴァルボーグのせいである。大体親父のせい。闇文明は火文明だけではなく全ての文明に対して侵略活動を始めていた。親父の永遠のライバルらしい闇の騎士ザガーン

そうザガーン。あのザガーンである。フレーバーテキストでめっちゃ強そうな扱いを受けているあのザガーン。そんなザガーンさんと家の親父は対等な実力を持ったライバルだとかなんとか

そんなザガーンさんが本腰をあげて自然文明を滅ぼすとか

 

「お前がかの機神装甲ヴァルボーグ。我ら銀髭団の応援要請を受けてくださり感謝する」

 

「なぁに。アレと対等に戦えるのは火文明でもボルシャックを除けば俺やヴァルディオスくらい。任せときな」

 

ビーストフォーク(銀髭団)達の話を聞くと文明戦争が始まった運命のオーロラの日の翌日、謎の生命体がフィオナの森に進行し森を荒らし始めたとか、それを止めようと自然文明は立ち上がったが謎の生命体の量は日を追うごとに増殖し森を侵食していったらしい。今では森の半分以上がその生命体に荒らされた。そして闇文明からのザガーン。前門の化け物、後門のザガーン。そんな状況を切り抜けるために立ち上がったビーストフォーク、そして救援を受けた親父

 

……うん。正直に言うと俺はその化け物の正体を知っている。超獣世界のエピソードは大体覚えているからそれが何なのか分かる。その化け物は闇文明の生物パラサイトワーム。3マナ2000のアイツだ

 

取り敢えずその生物は闇文明の奴らが生み出した化け物ではないのかと思うも伝える方法がない。

だって俺幼児だぜ?アウアウ言ってるだけの赤ん坊だし。頭は回っても口が回らないとはこの事よ。そんな赤ん坊が機神装甲を装備して戦っているんだがら全く超獣世界は地獄だぜ

 

「どうせその化け物はザガーンが作り出した奴だろ。性根の腐ったアイツの事だ、やる事が腐っておるわ」

 

「なっ……つまり此度の一件その全ては……闇文明の仕業だとでも言うのか!?」

 

「むしろそれ以外の可能性があるのかしりたいわい」

 

「……てっきり水文明の生物兵器かと」

 

「あー……やりそうではあるのぅ。性根の腐った水の糞共なら……というかアクアスナイパーの野郎がやりそうな事ナンバーワンではあるな」

 

水文明という言葉を聞いた瞬間心底不快そうに顔を歪める親父。

 

「……因みにその怪物の見た目は?」

 

「脳を露出させた虫のような生命体でした。謎の粘液を噴出させフィオナの森を」

 

「そりゃザガーンの趣味じゃな」

 

ザガーン趣味悪っ!?

 

えっ何で俺がこの場所にいるかの説明かがないだって?それは簡単

 

「では……和平の対価として自然文明からはフィオナの森の妖精、霞妖精ジャスミンを」

 

「儂ら火文明からは機神装甲ヴァルボーグたる儂の息子。小さな勇者ゲットをそちらに預ける」

 

一時的な和平の対価として身柄を預けられる為でした。

ばっかじゃねの!クソ親父ぃ!

 

ヴァルボーグ殿にジャスミンを預け別れた後。先程の会合を思い返す。機神装甲ヴァルボーグ。その名に劣らず、その身から感じる覇気は森を震わし後ろにいる部下達の身体を震わした。私も立場がなければ身体を震わしていたかもしれない

 

銀髭団団長 銀の拳 この名は伊達にあらず、数ある敵を力を持って沈めてきた。私の力がこの森を守ってきたと自負出来るほどに。だが、この私を持ってしてもかの機神装甲の存在感を恐ろしく、頼もしかった。彼が自分と同等と言ったザガーン。それと戦ってくれる。それだけで私達は百万の軍勢を味方にしたよりも頼もしかった。

自分の腕の中で眠る赤子。それは彼の息子、自分の血を引き継ぐ存在。それを彼はコチラに引き渡してくれた。その姿を見て私達は信じてしまった。

ヴァルボーグ殿の言葉とこの赤子の事を

 

「儂の息子ならばお前らと一緒に戦ってくれるだろう。なぁゲット?」

 

「……(プイッ)」

 

「早い反抗期だのう!ハッハッハッハッハッ……ハァ。こんな見た目だが実力はある。ブラッディイヤリングの軍勢を吹き飛ばす位の実力はな」

 

その言葉に私達は絶句した。闇の軍勢、それをこの赤子が打ち倒せる?

 

「この子を頼む。きっとゲットならお前達と分かり合える筈、恨み、嫉み、怨みが増えすぎた儂ではもう無理じゃ。きっと根っこの部分で分かり合えん。じゃが、この子なら……」

 

「……息子を頼んだ」

 

そう言って頭を下げる。あの機神装甲が、それだけでこの子に対する深い愛が見えてしまう程に。こんな若輩者に頭を下げるその姿に胸が熱くなり身体の内から出てくる衝動のままに私も頭を下げた

 

「機神装甲……か。このような赤子ですら一騎当千の怪物となれる装甲。これが火文明の英智の結晶、末恐ろしいな」

 

「あー……」

 

腕の中で不安そうに見詰めてくる赤子を見て思わず笑ってしまう。如何様に強くてもやはりは赤子、親と離れるのは心苦しいのか。

この子が私達自然文明と火文明の架け橋となるかもしれない存在。信じよう。彼の言葉を、この子を

今はそれしか出来ないのだから

 

その頃話題のゲット君の脳内は

 

「(ヤベーよ。自然文明と火文明が分かり合えるとか、それが俺の肩に掛かっているとか……あの糞親父やってくれたわ。というかジャスミンちゃん可愛いくね?将来結婚を前提にお付き合いしたいんだが。というかフェアリー可愛すぎ問題)」

 

銀の拳がさっきの思考を叩き潰してしまうような事を考えていた。

 

□月<日

 

一言で言えばこのフィオナの森は地獄だった。ザガーンさんが作り出した(風評被害)であろう害虫が日夜森を侵食し、それを止める為に銀髭団は戦い続ける。そしてそんな銀髭団に新たなメンバーが追加された。

……俺だよ!何奴も此奴も遠慮って奴を知らねぇ!機神装甲を装備させて無理矢理戦場にポイ!ビーストフォークってのは蛮族か何かか分からないが火器を使わない。つまりパラサイトワームを殲滅する為の火力が全然足りない。唯一パラサイトワームに対抗できているのが団長である銀の拳だけ、その他は殆ど役に立っていない。もう銀の拳団に改名しちまえ糞が

しかし、そんな糞環境でも良い点は必ずある。それはこの世界では圧倒的に数が少ない人間ベースの存在。フェアリーの女の子達が非常に可愛いという点である。正直彼女達の為に戦っていると思えばやる気が出るくらいに。

 

そう言えば家に引き取られたジャスミンちゃんは無事だろうか。あの脳味噌筋肉に戦場に放り込まれていないだろうか

非常に心配だ。

今度会った時に筋肉ムキムキのジャスミンちゃんなんてみたくない

 

□月^日

 

今日はフィオナの森の聖域で一体だけパワーバランス崩壊していた(過去形)自然文明の王と会った。グレートホーンという名前らしくフィオナの森の守護者でありこの森の王らしい。

確かカードとしてのスペックは家の親父よりも強く、確かパワー7000+2000のWブレイカーであり、火文明最強のボルシャックドラゴンが相手にならないレベルで強い。お前のせいで同じ文明でスーパーレアなのに外れレア扱いされたデスブレードビードルさんが可哀想に見えるスペック持ってるよな?

そんな事を思っていたが現実はそうでもないらしく。

何やら非常に弱っていた。パワーが3000を切っているような、そんな感覚をあって感じた。

咆吼するグレートホーン。あのカードに描いてあった勇ましさは存在してなく、殆ど死に体。虫が死んだような声しか出せないその姿を見て何故かコッチが泣きたくなった。

 

どうやらフィオナの森が侵略されているせいで力が出ず弱まっている一方だとか、闇文明のフィオナの森侵略はグレートホーン弱体化の目的があった。思わずそうそんな事を考えてしまうほどに彼は弱くなっていた。

 

何か伝えようにも俺は赤子。言葉を発する事が出来ない。そんな俺にグレートホーンはただ一言だけ俺に言った。

 

森を頼むと。

 

どんな思いだったのだろうか。森の守護者であるグレートホーンが余所から来たヒューマノイドの赤子に森を託す事を決めた時の思いは、想像に難くない。きっと自分に対する不甲斐なさ、羞恥に溢れていただろう。こうでもしなければ森を守れぬ自分に

こんな赤子に頼らねばならぬ自分に。

 

別にグレートホーンに言われなくとも可愛いフェアリーの為なら戦える。思っているしそうしている。

だから戦おう、あんな気持ち悪い害虫なんかさっさと駆除してグレートホーンには元気になってもらわないと

 

□月<^日

 

決戦の時は来た。倒しても倒して増えていく害虫共。ならば大元である存在が何処かにいる。そう考え暫く森を捜索していた銀髭団、すると其処には一体の怪物がいた。その身体は黒く全て食らいつくさんと咆吼をあげその巨体を震わせる怪物。

魔獣虫カオスワーム、その力は闇の力を凝縮させたものだった。

カードでいうならば相手のモンスター一体破壊、コチラでいうならば好きな存在を1人だけ絶対に殺せる力。

圧倒的だった。そしてグレートホーンが弱ってる原因も理解出来た。コイツだ、カオスワーム。コイツがフィオナの森を侵略しているパラサイトワーム達を増やし、グレートホーンを苦しめている張本人。

 

カオスワームのパワーは高い。俺達の中では銀の拳と機神装甲を装備している俺くらいしか倒せる物がいないほどに

森の守護者であるグレートホーンは死に体、同じくもう一体の森の守護者、デスブレードビートルは仲間の為に戦い行方不明と聞いている。

 

ならばやるしかない。ここでコイツを倒してしまえば、俺と銀の拳でかかれば一溜りもない筈

 

明日は決戦だ。今日はここまでにしておこう。

 

□月/\日

 

勝った。

 

カオスワームとの死闘。俺と銀の拳、2人で掛かれば呆気なくすんだ。当然だ、全員が同じくらいのパワーで2対1をすれば2が圧勝するのは当然、だから余裕で勝てた。最初の一体には

可笑しいとは思った。たかがカオスワーム一体の力であのグレートホーンがあそこまで弱る訳が無い、カードの能力ならば出来るがこれは現実、圧倒的力量の前では小細工など無力なのだから

塵も積もれば山となる、つまりはそういう事だった

侵略されたフィオナの森、カオスワームは自分と同等の存在を大量に生み出していた。その数占めて30体。30対2どう足掻いても勝てない、恐らくこの全てのカオスワームがグレートホーンに致死の呪いを与えているのだろう。

 

戦いは劣勢を極めた。互いに背を預け数による蹂躙を堪え生き残った。銀の拳も俺も限界だった。そんな中カオスワーム達は散り散りになり森の仲間がいる奥へと進軍を始めた。恐らく奴らも分かっていたのだろう。対抗できるのが俺達しかいない事に、2人とも死に体の今、故に今森を滅ぼそうと動き始めたのだ。

 

それに気付いた瞬間、銀の拳は咆吼をあげて散り散りに動き始めたカオスワームを殴りつける。腕が潰れ反撃で身体がひしゃげてでも森を守る、ただそれだけの意思で

 

銀の拳の怒り、そして蹂躙されたフィオナの森の怒り。それら全てが合わさり奇跡が起きた。進化だ。銀の拳が生物として一段階上の段へと登った、今思えばカオスワームも進化体だったなと思うがあの時は進化が起こす神秘に絶体絶命のピンチだというのに目を見開いてただ見詰めていた。

 

銀の拳改め「大勇者 大地の猛攻」

 

その力は圧倒的だった。彼の雄叫びで銀髭団は集まりカオスワームに到底叶わなかった彼等の力を鼓舞する事によって増幅させカオスワームと同等に戦える力を与えた。

その後は総崩れ、勢い付いた銀髭団に叶う訳もなくパラサイトワーム達は壊滅状態まで追い詰められフィオナの森防衛戦、始めての勝利を得る事が出来た。

 

だが勝利の代償もある。グレートホーンが、大地の猛攻の姿を見て安心したのか衰弱し眠るように死んでいったのだ。絶対的な森の守護者、グレートホーンの死、フィオナの森は悲しみに包まれた。だが、それを打ち壊したのは大勇者 大地の猛攻。彼はグレートホーンの遺体をフィオナの森の聖樹、無限大の力を与えてくれるとされている木の下に埋め、宣言した。

 

これからは我等がグレートホーンの代わりに森を守ると

 

その声に答えるように皆が大勇者を讃え喝采をあげた。すると、その声に呼応するように大地は唸りをあげ100年間眠り続けてたとされる古の存在、ジャイアント達を目覚めさせた。

森は彼等の復活に更なる喝采をあげた。これで戦える。これならば森を焼いた憎たらしい闇の軍勢に反撃することが出来ると

 

その日は祭りだった。グレートホーンの葬式の後にジャイアント復活の祭りが起きるとは思わなかったがこれはこれで良かったのだろう。

その日、赤ん坊の俺は酒をタラフク飲まされまた生死をさ迷った。

やっぱり超獣世界って馬鹿ばっかだわ

 

□月^^日

 

パラサイトワームも追い払い一時的な平和を享受していた俺は今日も日課である大地の猛攻との模擬戦をしていた。正確には進化して強くなった大地の猛攻の手加減の練習の付き合いだろうか。まぁそれはどうでも良いとして

そんな平和な日を過ごしているとどうやら同盟の契約は終わりを告げたらしく親父がジャスミンちゃんを連れて森にやって来た。

どうやら親父は約束通りザガーンを追い払った後、向かってくるデーモンコマンド達を薙ぎ払っていたらしい。

親父曰く

 

「ザガーン以外のデーモンコマンドなんぞ雑魚よ雑魚」

 

らしい。この親父ノリノリである。そして契約も終わり俺を迎えに来たという訳らしいのだが……何故かジャスミンちゃんが親父から離れようとしない、何故だ。そんな血塗れのオッサンの何が良いのか。コッチに血塗れの赤ん坊がいますよ?コッチの方が若々しくてお得ですよ?

 

そんな状態を見た大地の猛攻が面白そうに笑いそれならこの子は家で育てよう等と俺を抱き寄せながらそんな事を抜かした。

それを聞いた親父はマジ切れ。大地の猛攻も進化してようやく全力をぶつけられる存在に歓喜して殴り合いを始めた。

コイツら馬鹿だろ。

なお結果は親父のボロ勝ちである。残当

 

……森を出る前に大地の猛攻からグレートホーンの角を削ったブローチを貰った

「お前にフィオナの森の加護があらんことを」という言葉付きで。

泣かせる事すんなよ畜生。絶対にまた来ます

 


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