それでは、どうぞごゆっくり
私の名前は
私は今、全速力で走っている。目的の場所は勿論、自分の家だ。ただし、帰る目的は少し恥ずかしいが…
「クソ!あのクソ上司が!」
怒っている理由は言わずもがな、自分は仕事をほとんどしないくせに、有休中の部下にまで仕事を出してくる、最低の上司だ。
そう、本当は今日は有休を取っていたのだ。ユグドラシルのため、アインズ・ウール・ゴウンのため……
しかし、朝に上司から「来てくれないか」と言う名の
どうやっても解放してくれない上司を「
「ああもう、早くしないと!」
ここ数年、遠い場所に転勤になって、全くログインしておらず、最後の日に有休を使って、一日中、ユグドラシルに籠っていようと思っていたが、上司の
「早く早く早く早く早く早く早く‼︎」
溜まっていたアップデートが完了し、懐かしのアバターが出現する。
黒い繭に仮面を付け、肩の部分は黄色い丸い物が付いている、『エヴァンゲリオン新劇場版』の第10使徒だ。プレイヤー名は「ゼルエル」
種族は天使の上位種族『使徒』だ。
種族『使徒』は異常なまでのビルド構成の難易度とPK時の獲得ポイントの多さゆえに、異業種狩りの代表格であり、私も最初は異業種狩りに頻繁にあった。その時にギルド《アインズ・ウール・ゴウン》に出会い、私がLV.100になるまで、数え切れない支援を受け、いまや《アインズ・ウール・ゴウン》では2番目に強いプレイヤーとして名を馳せている。
えっ、1番強いのは誰だって?たっち・みーさんです。ワールド・チャンピオンはチートだよ。(泣)
とりあえず、アップデートも終わって、円卓の間に出た。久しぶりのナザリック地下大墳墓だ。
「うおおおおお!間に合ったーー‼︎」
思わず叫んでしまった。しかし、仕方のないことだ。私にとって、ナザリックはみんなとの思い出の結晶であり、守るべき場所なのだから…
ふと、周りを見ると誰もいない。思わず、コンソールを開いてログイン状況を確認したら、我らがギルド長:モモンガさんがいるではないか。
「あっ、モモンガさんお久しぶりです。遅くなり、申し訳ありません!」
まったくだろう。ギリギリでログインして、危うくモモンガさんを一人で終わらせるところだった。
「ゼルエルさん!もう時間がありません!私は今、玉座の間にいます!」
「マジか!やべえ、すぐそっち行きますから待っててください!」
しまった!つい、久しぶりのナザリックにうかれて、時間の事を忘れていた!なんでモモンガさんが玉座の間にいるのか気になるが、とりあえず移動だ。『使徒』は常に《浮遊》しており、決してスピードは速くない。
「ゼルエルさん!こっちでも移動します」
モモンガさんが移動を開始しようとしているが、玉座の間に移動したのには考えがあるのだろう。ならばこちらが最速で行く必要がある。
アイテム《最速の星/スピード・スター》、使った対象のスピードを一時的に限界まで引き上げるアイテムだ。
「大丈夫ですよ!今、アイテム使って、そっちに向かってますよ!」
今出せる最速のスピードで玉座の間に向かう。流石課金アイテム、あっという間に玉座の間の大扉についた。
おもきっきり、扉を開ける。
「モモンガさーーん!」
「ゼルエルさーん!」
(ありがとう、モモンガさん…)
玉座の近くにいるモモンガさんを見て、思わず感謝の言葉が出る。そして、ハリウッドダイブで飛び込んだので、もうすぐ顔をぶつけるだろう。
しかし、私は幸せだ…本当に楽しかった………
ドサッ!
玉座の間に音が響いた。そして私は顔の痛みに襲われた。
(えっ)
私、ゼルエルは床に倒れていた。
オリジナルアイテム:《最速の星/スピード・スター》
対象のスピードを限界まで引き上げる課金アイテム。ただし、効果時間は約10秒であり、レア度も高いアイテム。今後、多分登場しない。
オリジナルアイテムの説明入れてみましたが、多分出てこないので、忘れても構いません(^_^;)
感想を頂きました。初めての作品に感想を頂けるとは夢にも思いませんでした。本当にありがとうございますヽ(;▽;)ノ
それではありがとうございました。