オーバーロード 最強の拒絶タイプ   作:なと〜

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間が空いて申し訳ありません。

テストは瀕死で部活もめちゃめちゃ忙しいので不定期更新になりそうです。




使徒、放射

「なるほど…世界級(ワールド)アイテムが…」

「そうだ!早くナザリックに戻ってこい!」

 

 ゼルエルから届いた伝言(メッセージ)の内容は世界級(ワールド)アイテムの存在が確認された事。その一団と敵対した可能性があるのでナザリックに戻ってこいというものだ。

 アインズ自身は一応世界級(ワールド)アイテム、通称『モモンガ玉』を個人的に所持している。これならアインズ自身は他の世界級(ワールド)アイテムの影響を受けない。

 だが現在アインズと一緒にいるラミエルとナーベラルはその影響をもろに受ける。さらにアインズは戦士になって弱体化しており、世界級(ワールド)アイテム抜きの並みのLV.100プレイヤーでも余裕で負ける。

 

「ゼルエルさん、少し…待ってくれませんか?」

「は!?」

 

 アインズはエ・ランテルの現状を伝え、一つの仮説をたてる。

 

「多分、この惨状の犯人とゼルエルさんが遭ったプレイヤーは同一ではありません。この惨状は多分、第七位階魔法<死者の軍勢/アンデス・アーミー>だと思うんですよ。なら、別のプレイヤーの可能性が高いですよ。」

「なるほど……ならば世界級(ワールド)アイテムのプレイヤーと何らかの関わりがあるのかもしれませんね…どうしますか?」

「こっちからアプローチして、なんとか仲介してもらえるように頼みましょう」

「わかった。こっちからも支援をしよう」

 

 その後、ゼルエルがナザリックから一軍を出すことになり、その際に守護者が我先にと押しかけたのは言うまでも無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「やれやれ、面倒くさいな…」

 

 モモンが小言でそんなことを言うのは、目の前に広がる異常なアンデットの軍団がいるから……

 

 

 

 

 

 

 

 それと自分の周辺から頑として離れようとしないシモベ一同である。

 

 

 最初は<死者の軍勢/アンデス・アーミー>が可愛く見える軍団が用意されていたのだが、さすがにやばいということで、大半を周囲の索敵にあてた。

 それでも、えりすぐりのモンスター達でモモンを護衛している。モモンにとっては窮屈でしかたないのだ。

 

「はぁ、さっさと終わらせようか。ラミエル、やれ。ただし最小限でな」

「かしこまりました」

 

 ユイことラミエルは両の手から青い物体(・・・・)を出す。ソレは彼女の手の中で正八面体を作り出し……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅い閃光が放たれた

 

 

 

「相変わらず、すごい威力だな」

「ありがとうございます」

 

 ラミエルの加粒子砲は骸骨(スケルトン)などのアンデットを掃討し、一直線の道を作り出した。

 

「周囲にプレイヤーや冒険者はなし、ならばこのまま私達三人でひとまず踏み込むぞ。ナーベ、ユイ、行くぞ」

「「はっ」」

 

 ひとまず冒険者モモンとナーベ、ユイで対応を試みる。一応、周囲に派遣されたシモベを配置させている。

 

「カジット様、来ました」

「はい、バカ確定。やあ、カジット、さっきぶりだな」

 

 舎弟らしき男から先程の魔法詠唱者(マジックキャスター)の名前を聞いてしまい、挑発するモモン。

 

「ちっ、さっきの冒険者か。どうやってあのアンデットを突破した?」

「何、普通に薙ぎ払ってだよ。それより、一つ聞きたいんだ。なぜこんな事をするんだ?」

「ふん!まぁ、冥土の土産に教えてやろう。儂の野望を!」

 

 カジットはまるで自分が神にでもなったかの様に、モモンに話した。

 より高度な魔法を習得するには人間の時間では足りない。ならばアンデットになって永遠の時間を得よう。それには莫大な死のエネルギーが欲しい。そこで『死の凱旋』という大儀式を実行するための<死者の軍勢/アンデス・アーミー>という魔法を使っている。

 

「なぜンフィーレア少年をさらった」

「あの小僧のタレントに用があっただけさ」

「ほぅ…」

(タレント…アイテムで魔法を使っているのか?)

「まさか、この魔法はお前だけのものではないのか?」

「ふん!癪だがあの女のおかげだな」

「あの女?刺突武器の女か?」

「そうだよ!」

 

 奥の霊廟の影から怒鳴り声が聞こえる。目をやると店でやりあった女が出てきた。どうやらお怒りのようだ。

 

「クレマンティーヌだったか。お前のおかげとはどういう意味かな?」

「ああん!そんな事知ってどうすんだよ!」

「まあいいじゃないか。我々も興味があるんだ。教えてくれてもいいだろう?」

「ふん!知りたいなら教えてやるよ…あの世でな!!」

 

 そういうとクレマンティーヌはスティレットを持ち、ナーベに突撃してくる。二人の間はそれなりに開いていたのだが、文字通りあっという間に距離を詰める。おそらく武技を使用しているのだろう。

 だが、常に臨戦態勢だったナーベはすぐさまクレマンティーヌの首を切り落とそうとする。

 だが、そうする前にモモンが前に出て、剣の腹でガードする。

 いきなり出てきたモモンに驚くナーベとクレマンティーヌ。だが張本人の男はそんなことお構いなしに口を開く。

 

「おいおい、後衛の魔法詠唱者(マジックキャスター)を相手して楽しいか?それは前衛の私を倒してからやってもらおうか」

「……おっけ~」

 

 クレマンティーヌとしては先の戦闘で苦汁を飲まされた女二人を嬲り殺しにしたかったのだが、確かに戦士っぽいこの男を殺した方が楽しいだろうと思い、モモンの誘いにのった。

 

ナーベラル(・・・・・)ラミエル(・・・・)。この女とは私がやる。お前たちはここの掃除を頼む」

「「かしこまりました」」

 

 そういうとモモンはクレマンティーヌと一緒に墓地の奥に消える。

 

「ふん!たかが女二人に我の野望を止められるものか!」

「うるさい、《二重最強化》《エレクトロ・スフィア/電撃球》!」

「なあ!?」

 

 いきなり第三位階の魔法を《二重最強化》して放つ。青白い閃光が当たり一帯をつつむ。

 光が晴れるとそこには二人の女と一人の男しか立っていなかった。

 

「ふふふ、馬鹿が」

「まったく、芋虫のように簡単に死ねばいいものを」

「同意です。さっさと片付けましょう」

「第三位階を使う馬鹿とはな。ゆけい!骨の竜(スケリトル・ドラゴン)!」

 

 カジットの声に答えるように空から人骨の集合体…否、骨の竜が舞い降りた。

 

「ふははは!魔法に絶対の耐性をもつ骨の竜(スケリトル・ドラゴン)。お前たちでは勝てぬわ!」

「愚かね」

「全く。あなたはあちらを、私は隠れているもう一匹の方をやります」

 

 この時点でカジットは気づくべきだった。この二人の醸し出している強者の気配に。そして口調が変化した彼女たちに。

 

飛行(フライ)

「飛んだか…」

 

 カジットはナーベが飛んだの見て、顔を歪めた。骨の竜から逃げ出され、大勢の援軍が来たらさすがに厳しいからだ。

 そしてひとつの異変に気づく。

 

(なぜ逃げようとしない?そしてその女はなぜ動かない?)

 

 最初はユイが時間を稼ぐ間にナーベが街に戻ろうとするのだと考えていたが、ユイは戦闘態勢にも入らないし、ナーベも滞空して動かない。

 カジットは切り札のもう一体の骨の竜を出すべきか迷ったが、それは無駄なことだった。

 

 ナーベは手からほとばしる雷を、ユイは正体不明の謎の物体を出す。

 

「な、なんだ貴様ら!?その魔法は!?」

「「死になさい」」

 

 カジットは思わずもう一体の骨の竜を地面から出現させ、自分も魔法を唱えてバフをかけようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、青と赤の閃光が炸裂した。

 

 青の閃光は地上にいた骨の竜を、赤の閃光は半分地中にいた骨の竜を、それぞれ撃ちぬき、青の閃光はそのままカジットに向かい…

 

「ギャアアアアア!!!」

 

 カジットに命中し、灰と化した。

 

「さて、アインズ様のご援後に行きましょうか?」

「いえ、ゼルエル様から即時撤退のご命令が出ています。ナザリックに戻りましょう」

「アインズ様を置いていくのですか?」

「ゼルエル様はアインズ様があの女に負ける可能性より、我々が世界級アイテムで支配される可能性が大きいとおっしゃっております」

「!了解しました。すぐに伝言(メッセージ)を送りましょう」

 

 その後、開かれた転移門で二人は無事、ナザリックに帰還した。

 

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「強いな」

 

 モモンの言葉には重みがあった。超人的な肉体能力を誇る彼の一撃をことごとく避け、急所を突いてくる彼女をしっかりと表していた。

 

「全く、かたいな~」

 

 クレマンティーヌの言葉にはそれなりに余裕があった。が、あきれたような口調になっていた。

 先ほどから二度、ヘルムの隙間にスティレットを差し込んでいるのだが、全く効いた様子がない。硬いモノに当たる感覚しかなく、彼女が期待する肉を突く感覚とは程遠い。

 

「やれやれ、次で決めようじゃないか、クレマンティーヌ」

「いいんじゃない~」

「その前に冥途の土産にひとついいかな?どうやってこの魔法を発動させている?」

「そんなの簡単、簡単。叡者の額冠を使ってんだよ~」

(叡者の額冠?アイテムの名前らしいが……まあ、後でもいいか)

 

 そう結論付けると、モモンは手に持っていた大剣を地面に突き立てる。

 

「さあ!決死の覚悟でかかって来い!!」

 

 その後、冒険者組合からの調査隊は背骨がバキバキになった女の死体を発見したとか…

 

 

 _________________

 

 

 その後、冒険者組合に帰ってきたモモンは様々なお偉いさんから感謝と驚嘆の言葉をかけられ、宿屋に帰りにくかったのだが、朝日が昇る前に宿屋に戻り、そのまま転移門でナザリックに帰還した。

 ちなみに、ンフィーレア少年と死の宝珠はきちんと回収し、叡者の額冠は破壊された。そしてナーベとユイは先に宿屋に戻ったということになっている。

 

 

 

「さて、今回集まってもらったのはほかでも無い。世界級アイテムの存在が確認されたのだ」

 

 最初に口を開いたのは事の発端であるゼルエルだ。一応、守護者には一通り伝えたが、確認のためにもう一度伝えた。

 

「これからの活動についてアインズさんといくつか決めたことがある。じゃ、お願いします」

「うむ、まずはこれから外で活動する守護者には世界級アイテムを持つことを義務付ける。そして近くには必ず供となるモンスターを連れて行け」

「なお、ラミエルにはこれを渡しておく」

 

 そういうとゼルエルは瓶に入っている真っ黒な液体をラミエルに渡す。

 

「それは『ヒドラの毒』。使い方はしっているな」

「はい」

 

 ゼルエルが渡した『ヒドラの毒』は簡単に言ってしまえば、自殺用(・・・)アイテムだ。自らが飲む、あるいはかければ、種族・耐性関係なく即死する。ユグドラシルではレベルダウン用のアイテムとして使われていた。

 だがこの世界では死亡したあとの蘇生がどうなっているのか未だ判明しておらず、非常に危険なアイテムだ。

 

「いいたいことはわかるな、ラミエル。お前は非常に危険な役についているから、世界級アイテムは持たせられない」

「心得ております」

「よし、我々からは以上だ。何か質問は?」

「おそれながら二つほど」

「うん?なんだデミウルゴス?」

「はっ!一つは現在王都にいるセバスですが…」

「囮だ。セバスを囮にプレイヤーを引きずり出す」

「なるほど…最後の質問ですが、アルベドとパンドラ、お二方以外には少々…人払いをお願いいただけますでしょうか?」

「ふむ、すまんが下がってもらえるかな」

 

 そういうとアルベドとパンドラ、デミウルゴス以外はしぶしぶといった感じではあったが、部屋から出て行った。

 

「それで、なんだ?」

「はっ!ラミエルなのですが、少々対策をした方が良いかと…」

「どういうことだ?まさかラミエルが既にプレイヤーに通じているとでも」

 

 ゼルエルからの一言、それは何気ない一言だがシモベであるデミウルゴスを恐怖させるのには十分すぎた。

 

「い、いえ、ラミエルの世界級アイテム対策に少々愚考いたしたく…」

「へえ…何か考えがあるのか?」

「はっ、ラミエルが精神支配される前に自滅できない可能性が僅かでもあるため、最悪の場合に我々でラミエルを討伐する部隊を作成するご許可を頂きたいのです」

「へえ…」

「ほう…」

 

 ゼルエルやアインズとてその可能性を考えなかったわけではない。ラミエルは冒険者ユイとして弱体化した状態が多くあり、おそらくナザリックLV.100NPCのなかで最も危険な状態だろう。

 故に最も世界級アイテムに支配されやすく、だが世界級アイテムを持たせられない者だった。

 

「わかった。その件はアルベドとパンドラ、デミウルゴスに一任する」

「アインズさんと同じ。だが私も一つ、創造主として意見しよう。部隊にシズを加えろ。シズには後で対ラミエル(・・・・・)装備を渡すから、万が一の時は彼女を優先に動かせ」

「「「はっ」」」

 

 

 

 _______________

 

 

「今日、君たちに集まってもらったのはこの近くに吸血鬼が現れたためだ」

 

 エ・ランテルの冒険者組合の一室に集められたミスリル級冒険者達。彼らはこの街の最高級冒険者であり、彼らが一同に会するという事自体が、事態の深刻さを物語っている。

 事実、吸血鬼は(この世界では)強力なモンスターであり、中には国さえも滅ぼす『国堕とし』なる吸血鬼もいるとか。

 

「ただの吸血鬼ならば白金の者でも何とかなるのだが今回はちがう。その吸血鬼は第三位階魔法を使用したのだ」

「第三位階!?」

 

 吸血鬼自体の強さは白金(プラチナ)級冒険者でもなんとかなるレベルであるが、魔法を使えるともなれば話は違う。しかもそれが第三位階ならば、ミスリルやオリハルコンでも文句無しの強敵だ。

 これは危険と気を引き締める冒険者達。そこで漆黒の戦士が口を開いた。

 

「それは本当か」

「ああ、目撃者の野伏によると仲間の死体で《アニメイト・デッド/死体操作》を行ったそうだ」

「なるほど、その吸血鬼の特徴は?」

「ああ、銀髪で……」

(銀髪?)

 

 漆黒の戦士ことモモンは心の中で頭を傾げる。彼が考えたのは友人の力作である某変態吸血鬼だ。

 まさかと思いつつも話を聞くと、見事彼女の特徴と合致するではないか。

 

(まさか…)

 

 そう思い、《伝言》を発動させる。

 

 〔ゼルエルさん…〕

 〔なんだい、モモンガさん?〕

 〔昨日の夜、シャルティア、何してた?〕

 〔昨日っていったら、野盗を殺して…ああ!〕

 〔気づきましたか〕

 〔ブレイン、忘れてた!〕

 〔ちがう!冒険者について!〕

 〔あっ…〕

 

 結局、その吸血鬼はシャルティアだということが判明し、さすがにこのまま放置とはいかないので、モモンが吸血鬼討伐の依頼を受けた。

 

 

 

 

 

 

「で、こいつらは?」

「死にたがりの愚か者です」

 

 ゼルエルとモモンことアインズの目の前には、樹の根に拘束され、身動きがとれずにいた者たち…の死体があった。

 

「あっという間だったな。これでミスリルなんだから程度が知れるってもんだな」

「全く…人の忠告は聞いておくもんですよね」

 

 モモンが手柄を挙げることをよしとしない冒険者がチームを率いてやって来たのだが、あっけなくマーレの手にかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが森の賢王ですか…かわいいですね」

「えっ」

 

 そしてモモンガとゼルエルの価値観の違いがあきらかにもなった。

 

 

「で、どうすんの?」

「とりあえず、このあたり一帯で激しい戦闘があったようにしなければいけませんね」

 

 彼らが来たのは昨夜、漆黒聖典と小競り合いを繰り広げた場所。

 ここで冒険者モモンの仕事として課せられた『吸血鬼の討伐』を偽装し、更なる名声の獲得とシャルティアの存在を隠蔽する必要がある。

 

「あ、そうだ。ゼルエルさんと模擬戦をやればいい感じになるかもしれませんね」

「なるほど…いっちょやりますか!」

 

 この後、ナザリックでは『アインズ様とゼルエル様の模擬戦上映会』なるものが開催され、一時、ナザリックの警備が手薄になるほど盛り上がったとか…

 

 

 

 二人が決めた模擬戦のルールは大まかに、

 

 ・アウラが警備している範囲から出ず、攻撃もそれに留めること

 ・課金アイテムはなし。世界級アイテムの所持は認めるが、使用は厳禁(ギルド武器もふくむ)

 ・制限時間は5分間。アインズのHPが全体の1割を下回ったら、アインズの負け。ゼルエルのコアシールドが破壊されたらゼルエルの負け

 

 と、こんな感じだ。

 

「勝ったらどうします?」

「う~ん、秘密を一つ打ち明けるってのはどうですか?」

「いいんじゃないかな(イケボ)」

 

 

 かくして始まった模擬戦。開戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 ドオオオン!!

 

 それとほぼ同時に辺りに響く爆発音。爆心地はアインズのすぐ隣であり、さっきまでアインズが立っていた場所でもあった。

 

「やっぱ当たらんか」

「あんなもの当たったら骨も残りませんよ」

「んじゃあ、当てたら私の勝ちだな」

 

 言うが早いか、ゼルエルはお得意の破壊光線を乱発する。超位魔法にも匹敵する一撃がアインズを襲うが、彼はこれを《飛行》で回避し、着実に間合いを詰めていく。

 そしてゼルエルとの距離が10mほどになった時、魔法を放つ。

 

「《心臓掌握》!」

「くっ…」

 

 即死は回避できたが追加効果によって破壊光線が止む。そこを狙いアインズは様々な補助魔法を駆使し、一気に間合いを詰める。

 本来、魔法詠唱者であるアインズは一定の距離を取りながら、魔法攻撃をするのが定石だ。

 だが、ゼルエルの異名は『最強の拒絶タイプ』。いくらアインズが魔法職LV.100でも彼のA.Tフィールドを突き破るなど不可能に近い。

 さらに、ゼルエルの破壊光線はその特異なスキルから魔法とも物理ともとれない攻撃である。検証の結果、防御値は(物理防御+魔法防御)を3で割った値であることがわかった。つまり、魔法防御が高いアインズでもくらえば無事ではないダメージを負う。

 

「《現断/リアリティ・スラッシュ》!」

「甘い!」

 

 至近距離で放たれた魔法はゼルエルの最低限度のA.Tフィールドで無力化される。

 

「まだまだぁ!!」

 

 アインズは第8位階以上の魔法を連発していく。すべてが高威力の魔法だがそのすべてがA.Tフィールドで無力化される。アインズも馬鹿ではない。直線上に撃たず、ゼルエルの周囲を回りながら撃っている。さらに攻撃魔法にあわせてデバフ魔法も撃ち込んでいる。それをすべて防ぎつつ、A.Tフィールドの枚数を節約しているのはさすがとしか言いようが無い。

 

「ほい」

「のわ!」

 

 アインズの動きが止まる。アインズが移動しようとしていた先にはA.Tフィールドが1枚だけ展開されていた。

 本来、プレイヤーの体当たりにはダメージは一切ない。特殊なスキルでも持っていなければ、体当たりはただの行動の一つだ。

 対してA.Tフィールドは何らかの害ある攻撃ならば無敵の防御力を誇るが、無害な干渉にはなんの効果も無い。

 だが、ここ、異世界ではわずかにこのシステムが変えられていた。

 体当たりはダメージこそ無いが、害ある行動としてA.Tフィールドで止められる。つまりこの状況ならば…

 

「チェックだ」

 

一瞬、動きが止まる。しかしゼルエルにとってその一瞬は光線を放つのに十分な時間。

光線は何の干渉や妨害無く、アインズに直撃する。

 

超位魔法に勝るとも劣らない攻撃力とエフェクトが周囲を覆った。

 




閲覧ありがとうございます。

前書きで述べた通り、これから不定期更新になりそうです。失踪はしないようにがんばります。

しばらくは書きためておいたFGO小説でも投稿していこうと思います。←(勉強しろよ)

ではまたどこかで

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