「シリカ?」
「!……は、はい!?」
シュウに声をかけられ、シリカは意識を戻される
「大丈夫?なんかぶつぶつ言っていたけど」
「だ、大丈夫ですよ!」
「ならいいんだが」
使い魔を蘇生するダンジョン、思いでの丘は、四十七層南部に広がる草原に走る、ほぼ一本道の単純な構造をしている。それ故に道に迷う可能性は皆無だが、代わりにポップするのは強力で醜悪なモンスター揃いであり、女性プレイヤーがあまり近寄りたがらない危険なスポットなのだ
「きゃぁぁああっ!し、シュウ、助けて!見ないで助けてぇっ!」
「……ハァ」
ダンジョンに入って早々、食虫植物系モンスターの触手によって吊るし上げられる。シリカ真っ逆さまに吊るされているせいで、スカートが下がりそうになっているのを左手で押さえ、右手に持った短剣を振り回している
「…仕方がない」
シュウは溜息を一つ吐くと、目を閉じたまま腰にあるタガーで、モンスターの元へ走り出す
「……はぁっ!」
人食い花に捕まっているシリカを助け人食い花を倒し、シリカを助けた。お姫様抱っこで助けた
「し、シュウさん!!」///
「どうした?」
シュウは、シリカを地面に降ろした
「うぅ……すみません」
「気にするな。自分がやっただけだ」
「あの……やっぱり、見ましたか?」
「……最終的に目を瞑った」
「えぇ!?でも、どうやってモンスターの場所を知ったんですか!?」
「それは、あまり話したくない、それより先を進もう」
此処にいる途中、シュウ達は何度か戦闘行っていた
≪思い出の丘≫へと到着し、無事に≪プレウマの花≫を手に入れたシリカは、涙を眼に浮かべながらシュウへと問いかけた
ようやく長年連れて添ってきた友達と再会出来る
そう考えると、シリカは弾む胸を抑えきれなかった
「ここはモンスターも多い、町に帰ってからだ」
「はい!」
シリカは頷くと、メインウィンドウに花をしまう
アイテム欄に収納されたことを確認するとそれを閉じた
此処からは徒歩で帰還したが、高価なクリスタルを使うのはギリギリの状況でのみ
此処はグッとこらえて歩き始める
息と同じではあるが、モンスターには出くわすことなく街道近くの小川にかかる橋へと差し掛かった
その時だった
不意に後ろからシュウの手が肩にかけられた
一瞬ドキっとしたがシュウの検し医い表情を見てシリカは怪訝になって声をかける
「――そこで待ち伏せている奴、出てこいよ」
「え…………!?」
シリカは慌てて木立に眼を凝らすが、人影は見えない
だが、数秒が過ぎた後、そこからある人物が姿を現した
「ろ……ロザリアさん……!?なんでここに……!?」
驚愕するシリカは、思わずロザリアに対して問い投げる
だが、その間に答えず彼女の唇の端を釣り上げて笑う
「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高いスキルね。侮ってたのかしら?」
そこでようやくシリカの視線を移す
「その様子だと≪プネウマの花≫をゲットできたみたいね。おめでと、シリカちゃん。じゃ、早速その花を渡してちょうだい」
「……!?な……何を言っている……」
その時シュウが前に歩み出る
「そうはいかないな。オレンジギルド≪タイタンズハント≫のリーダーさん」
瞬間、ロザリアの肩が跳ね上がり、笑みが消えた
シリカはロザリアのHPカーソルを確認する。だが、
「え……でも……だってロザリアさんは、グリーン」
「オレンジギルドと言っても、全員が犯罪者カラーではない、グリーンのメンバーが獲物を見繕ってパーティーに潜伏、待ち伏せしていることに誘導する。昨日盗聴してやがったのはあいつの仲間だ」
「そ……そんな……。じゃあ、この二週間一緒のパーティーにいたのは……」
「そうだよォ。あのパーティーの戦力評価すんのと同時に、冒険でたっぷりお金が貯まって、おいしくなるのを待ってたの。本当なら今日にでもヤッちゃう予定だったんだけどー」
シリカの顔を見つめながら下で唇を舐める
「一番楽しみな獲物だったアンタが抜けちゃうからどうしようかと思ってたら、なんかレアアイテム取りに行くって言うじゃない≪プネウマの花≫って今が旬だから、とってもいい相場なのよね。やっぱり情報収集は大事よねー」
そこで言葉を切り、シュウに視線を向けた
「でもそこの黒い騎士サン、そこまで解ってながらノコノコこの子に付き合うなんて、馬鹿?それとも本当に体でたらしこまれちゃったの?」
ロザリアの屈辱にシリカの視線は赤くなるほど握りを感じていた
短剣を抜こうとしたが
「馬鹿はどっちだ?」
その言葉でシリカは怒りが無くなってシュウを見た
「なんですって……」
殺気を押し出しながら、ロザリアへと問いかける
「聞こえなかったのか、馬鹿はどっちだよ、相手になっても勝てない相手に」
「何よ、マジになっちゃって、馬鹿みたい。それより、自分達の心配をした方がいいんじゃない?」
そう言い終えると同時に、ロザリアが指を鳴らす。それを合図に、並木の影からぞろぞろと現れる人の影。その数、7人。いずれもオレンジカーソルの犯罪プレイヤーでありながら
「し、シュウさん!人が多すぎます!脱出しないと……!」
「大丈夫、俺は強いから。君はクリスタルを用意してそこで待っているんだ」
「えっ!で、でも……!」
自身を心配して制止しようと声を上げるシリカに背を向けて、橋の中央まで歩き出して止まると
「どうやら、説得しても投降するつもりは無いか」
「八ッ!何でそんなことしなきゃならないのよ。あんた、状況分かってるワケ?それとも、この人数相手に、本気で勝てると思ってるの?」
「どうやら、交渉決裂、いいだろう、本気で行かせてもらう……!!」
俺の体に青い炎が俺の体を包み込んだ。この時俺以外の皆は大きく驚いた人が勝手に燃えたから。そして火が消えたら黒いコート、仮面、左腰に刀、黒いブーツ、手には赤いグローブを着けていた、そう、噂のファントムになったのだ
「さぁ、何処からでも、かかってこい」