憐憫の獣、再び   作:逆真

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紳士淑女、親愛なる読者の皆々様方へ

『憐憫の獣、再び』をいつもご愛読いただいて、ありがとうございます。

この話を最後まで読んだ後、あなたは罵詈雑言を口にするでしょう。
口にしなかった者だけが、サーゼクスやアザゼルに石を投げなさい。


悪魔の駒

 ゲーティアは、サーゼクスの髪を掴んでいるのとは逆の手にそれを取り出す。

 

悪魔の駒(イーヴィル・ピース)

 

 それはチェスを模したアイテムだ。かつての戦争で大きく人数を減らした上級悪魔たちが、チェスの特性を取り入れた少数精鋭の制度。開発者はアジュカ・ベルゼブブ。全盛期の悪魔のように軍団を持つのではなく、駒として少数の下僕悪魔に強大な力を分け与えるというシステムだ。悪魔以外の種族に使用した場合は対象が転生悪魔となる。死者に使用することさえ可能である。

 

「語るまでもないが、これはおまえたちの作り出したアイテムだ。我々はこの世界に来て、おまえたちを調べて、このアイテムを知ったがな。その性能を、歴史を、規則を、材料を知って、正直、首を傾げたよ。これは何の冗談だ?」

 

 ゲーティアは嘲笑と苛立ちを隠そうともしない。

 

「我々が出した見解、『悪魔の駒』の致命的な欠陥を列挙してやろう。言うまでもない問題点だが、それはチェスを模していることだ。いや、模していないことと言うべきか」

 

 悪魔の駒はチェスのようであって、チェスではない。

 

「『王』の力によって駒の価値は左右される? 複数の駒を消費することでより強い者を眷属にすることができる? 『変異の駒』がある? チェスを模している意味がないだろう。むしろ、どのあたりにチェスの要素があるんだ。駒の形と名称だけではないか。チェスの何を参考にしたいかは分からないが、真似る気がないなら無理に当てはめようとするな。独自の媒体を創り出せ」

 

 もっと言えば、『悪魔の駒』のシステム的にはどうやっても駒価値の無駄が生じる。『騎士』や『僧侶』の駒を使用する場合、駒価値が1と3の者を転生するのに必要な駒は同じだ。駒価値8の者を転生させる場合、『兵士』八個と『女王』一個と『戦車』二個のパターンがあるが、やはり無駄が生じる場合がある。

 

 極端な話、チェス一セットよりも『兵士』の駒四十五個を持つ方が、より『王』に適性し、より優れた眷属を作れるはずなのである。

 

「何故、貴様ら、魔王から血筋だけの貴族にいたるまで、同じ数の駒しか持っていないんだ。上級と最上級と魔王で区別化する意味はあってもいいだろう。少数精鋭? それは一部の貴族なら適しているだろう。だが、魔王ならむしろ軍隊を持つべきだろう。大隊クラスの私兵は持っておくべきだろう」

 

 少数精鋭と言えば聞こえはいいが、要するに軍隊を率いるだけのノウハウがないのだ。そして、戦争とは結局、数なのである。いくらサーゼクスが前ルシファーの十倍強かろうが、いくらアジュカやファルビウムが賢者であろうが、個人にできることなど限られている。レーティングゲームのトッププレイヤーを引っ張って来たところで、数など知れているだろう。

 

 他の神話が本気で攻め込んできたとして、悪魔は本当に戦争ができたのだろうか?

 

「何故、貴様ら、他種族だけではなく純血悪魔や混血悪魔まで眷属にする?」

「これは病原菌とも言うべきもの。特に、先天的に部分感染している患者に使用させ完全感染させるケースまであるそうではないですか……! 完璧に駆除すべきです!」

「……バーサーカーの意見も一理あるがな、悪魔に『悪魔の駒』を使って眷属にする意味があるのか? 純血悪魔が減ったからこそ転生悪魔と言う身分を創り出したんだろうが。目的が完全に破綻しているぞ?」

 

 混血悪魔ならばまだ分かる。人や他種族と交わって薄れた血を元の位に戻そうと言うのならば分かる。

 

 純血悪魔ならば普通に、人間関係を築けば良いだけの話だろう。私兵でも妻でも妾でも、眷属にできるだけの関係性があるならできるはずだ。同じ種族を奴隷にする必要などどこにある。ゲームに参加させるために眷属にしたというのならば、それは娯楽と種族の存亡を同じ天秤にかけたことになる。

 

「その点に関しては、論じるだけ無駄だよ、ゲーティア」

 

 トライヘキサに首を絞められているサマエルだった。

 

「そいつらのお粗末な脳みそにそんなことを考えられるような器官は備わっていないのさ。考え無しのろくでなしばかりだ。特におまえだよ、おまえ。サーゼクス・グレモリー。おまえの『騎士』沖田総司だよ。おまえさぁ、何で鎖国云々で揉めている国の、外国側を排除しようとしている組織の主要人物を眷属にしてんだぁ!」

 

 言葉遣いが乱れるサマエル。あるいは、此方が素なのかもしれない。

 

「馬鹿なのか。揉めるに決まっているだろう、問題が発生するに決まっているだろう! 当時の日本人なら百歩譲って攘夷志士だろうが。せめて『人間』として新撰組を裏切らせてから眷属にしろよ! こっそり悪魔に転生させて歴史の裏側に引き込んでんじゃねえよ! 私はそういうつもりでおまえらの縁を結んだんじゃねえんだよ! 逆だよ、あそこでおまえに新撰組の沖田総司を殺させるつもりだったんだ。一億歩譲ってなぁ、沖田総司を眷属化させたことで発生した問題を放置してんじゃねえよ! 遊び半分でよそ様の国を荒らしてんじゃねえぞ! ちゃんとてめえで解決しろよ! あの一件の火消しのために、三十二も端末を使い潰したんだぞ! 他者の身体だとしても、死の苦痛は付き物なんだよ! 何で一年間に三十二回も死なないといけねえんだ!」

 

 サマエルは溜まっていたものを吐き出す。それはもうすぐ自分の計画が成就するという余裕から来るものではなく、ずっと文句を言いたかった相手がいたから怒りをぶつけているといった風だった。

 

「何故、『悪魔の駒』というシステムを進化させなかった?」

 

 チェスを模していることが欠陥であることに気づかなかったのなら、この問いはひどく滑稽なものになってしまうが。

 

「何故何百年も同じシステムを使っているんだ。何故何百年も違う手段に手を出さないんだ。『悪魔の駒』のシステムは創造された時から変わっていない。悪魔の寿命から見れば百年などスパンとして短いとでも言うんだろうが……百年は百年だぞ? 人間を見習え。奴らが生み出した携帯端末の進化、特にこの十年ほどは目を見張るものがあるぞ? 法的にも機能的にも進化や変化の余地はいくらでもあっただろう。それを、何故変えなかった?」

 

 悪魔の駒の誕生は人間界にチェスが生まれた時期とほぼ同じだ。現代のチェスは十五世紀末に確立されたと言われているため、悪魔の駒の誕生も同じ時期のはずである。

 

 五百年以上も『悪魔の駒』を使い続けながら、悪魔という勢力は全盛期には届いていない。無論、悪魔の寿命が一万年であることを考えれば決して長い期間とは言えないのだろうが。だとしても、悪魔は五百年の繁殖期を無駄にしたことになる。

 

「変えられなかったのではない。変える必要性を見つけられなかったんだ、おまえたちは。そこにある問題性に気づこうとさえしなかった」

 

 考えれば問題点はいくらでもある。例えば、原材料が特定の場所でしか採掘されない鉱物である点だ。ゲーティアの作戦は失敗に終わったが、アグレアスが奪われればそれだけでアウトだ。もっと言えば、獅子王のように島ごと消滅させてしまえば取り戻しようもない。

 

 他にも、せっかく増やした悪魔がレーティングゲームで死亡するケースが挙げられる。眷属にした悪魔が主人を超えて、殺してしまうケースがある。どれも本末転倒だった。

 

 ゲーティアという第三者の視点だから分かるという意見はあるだろう。しかし、サーゼクスたち新四大魔王には眷属がいたはずだ。臣民がいたはずだ。この世界に来たばかりのゲーティアと違い、何百年という時間があったはずだ。何のために、他者から奪った玉座に、何百年も居座っていたのだ。

 

「他神話を浸食している、人間を食い物にしている。おまえたちはそれだけの問題を発生させる悪魔の駒を、使い切れていないじゃないか。当然、挙げろと言われたら悪魔の駒の問題点はいくらでも挙げられるぞ。おまえたちは、この数百年何をやっていたんだ? 玉座など放って遊んでいたのか?」

 

 悪魔の駒の話は一例でしかない。悪魔だけではない。聖書の勢力に属する異形は、数が減ったと嘆きながら、このままでは滅ぶと憂いながら、神が死んだと絶望しながら、生きることに手を抜いていた。

 

「おまえたちはこの冥界に生きていた。だがな、おまえたちが『生きたい』と言っても説得力はないんだよ。何故ならおまえたちは全力でもなければ本気でもなく、必死でもなければ真剣でもない。おまえたちは絶滅への危機感と向き合わなかった。おまえたちは絶望への対処が遅すぎた。おまえたちは今日まで――」

 

 

 

 ――ちゃんと生きようとしていなかったじゃないか。

 

 

 

「生きるという生物として基本的なことを、おまえたちは怠けていた。その上で、何かやりたいことがあったのか? ただ時代や周囲に流されるだけではなく、本気で魔王になったというのならば答えてみせろ。我々の見解が見当はずれでおまえたちが真剣に生きようとしていたのならば言ってみろ。おまえは一体、何をしたかったんだ?」

「は、はは」

 

 乾いた笑い声が響く。

 

「ははははははははは」

 

 その声を発するのは、最強の魔王ではない。術式の天才でもなければ魔王少女でもない。人王ではない。施しの英雄でも鋼鉄の天使でも犯罪教授でもない。神の悪意ではない。黙示録の獣ではない。

 

 魔術王ソロモンだった。

 

「ははははははははははははははははははははははははははは! ははははははははははははははははははは――ごぐほぅ!」

「突然馬鹿笑いしてどうした、馬鹿王が! 大人しく死んでおけよ!」

「笑うことすら許されないの!? 思い切って聞くけど、お父さんを嫌う理由を教えてくれないかな!?」

「てめえ、(おれ)が三千年もの間、どんなものを見てきたと思う? 『真理』から生まれてきた(おれ)が、何を見せつけられてきたと思ってやがる?」

 

 地獄のような三千年だった。悪夢そのものな三千年だった。

 

「醜いものばかりだった。辛いことばかりだった。特に、生まれて初めて味わったのは、てめえのイカれた妄念に塗れた憤怒だった! シバの女王の死に対する、異常なほどの怒りだった。そんな生まれ方をして嬉しいはずがないだろう。そんな生き方をして楽しいはずがないだろう。人間を信じているというなら、『真理』をもう少しだけ綺麗なものに作れたんじゃねえのかよ!」

 

 それは獣の切実な訴えだった。貴方ならもっと良いやり方があったのではないか。貴方なら直接的に悲劇を減らす手段があったのではないか。だって、貴方は人類が(おれ)を倒せると信じていた――否、知っていたのだから。

 

「―――――――――ちょっと待て、トライヘキサ」

「何だ、ゲーティア。もう指輪の行方とか面倒臭い。一回殺してから自力で探そうぜ」

 

 トライヘキサのやけくそなのか逆に効率的なのか分からない発言を聞き流し、ゲーティアはあらゆる感情を押し殺して問う。どうか勘違いであってくれと願いながら。

 

「貴様、いま何と言った? 三千年もの間、貴様は『真理』と繋がっていたはずだろう。なのに、()()()()()()()()()()()()()()だと?」

「いや、(おれ)は正確には廃棄物である泥の――――ん?」

 

 そこで、気づく。

 

 人類悪として一度人間に敗北した彼らだからこそ、その不自然な事実に気づいた。

 

「隙を見せたな、ふたりとも」

 

 魔術王は、ニタリと笑い、手元に真鍮の壺を実体化させる。

 

 それを見て、トライヘキサもゲーティアも退避の姿勢を取った。ゲーティアは神話を読み解くことで存在と能力を推測し、トライヘキサは一度あれを受けている。

 

 ソロモンの奥の手。絶対封印の宝具。七十二柱を封印し、湖の底に落とされた壺。『真理』構築の決め手。

 

禁忌を水底に(シークレット・オブ・バビロン)!」

 

 だが、壺が吸い込む対象はトライヘキサでもゲーティアでもない。まして魔王たちやサーヴァントたちでもない。

 

 ソロモンの狙いは、トライヘキサが投げ捨てたサマエルだった。壺に吸われるも、サマエルに抵抗できるだけの力は残っていない。死ななければ別の端末に移ることはできない。神の悪意は詰んだ。

 

「ああ、そうか。君は、最初からそのつもりだったのか、ソロモン。なら、いいか。私の楽園への夢は潰えたとしても、形は違ったとしても、君が、それを受け継いでくれるのだから……」

 

 サマエルがミリキャスの身体ごと壺に封印される。

 

「本当を言えば、サマエル本体が良かった。けど、ハーデスの爺さんは厄介だ。まして俺はサマエルがどういう理論で悪魔の身体を乗っ取っているのか知らなかった。どういう法則があるのか、どういうルールに縛られているのか不明だった。だからこそ、こうして悪魔の身体を使う手段を選んだ。ま、結果はともかく経過には妥協すべきか」

「それは、駄目だ!」

 

 トライヘキサは飛び出すが、

 

「遅いよ、トライヘキサ」

 

 一瞬早く、ソロモンは魔法陣を開き、そこに壺を投げ込んだ。トライヘキサはソロモンに飛びかかり、馬乗りになる。

 

「いや本当、この馬鹿蛇が姿を現してからずっと隙を狙っていたんだ。だけど、おまえたちが間に合ってしまった。おまえたちに見つかってしまった。俺とサマエルの両方が死なないうちに、絶対に壺の発動が邪魔されないタイミングが必要だった」

 

 ソロモンは心底から満面の笑みを浮かべる。その表情に怒りはない。達成感と狂喜のみに彩られた表情。それを見て、トライヘキサは怒りと悲しみと絶望に泣いた。何か言葉を紡ごうとしても、喉が震えて、嗚咽のような音しか発せられない。

 

「まず、俺はゲーティアを信じていた。おまえならば、おまえたちならば、人理補正式ならば、この星の人類に足りない要素を満たし、次のステージに引き上げてくれると信じていた。実際、おまえたちは人類悪とそれを打倒できる英雄を生み出してくれた」

 

 兵藤一誠とアーシア・アルジェント。

 

 誰でも良かった。そう、本当に誰でも良かったのだ。人間から生まれた神さえ殺す魔王が必要だった。人間から逸脱せず魔王さえ滅ぼす勇者が必要だった。この二つに辿り着くための生贄が必要だった。

 

「次に、俺は愛しい女王を信じていた。俺を愛し、俺が愛し、されど俺を裏切り、俺が殺したあの女を信じていた。俺には分かる。あいつが残してくれた何かが、この蛇の計画を狂わせたのだと」

「貴様……!」

「ああ、でも、本当、どうしてなんだろうな。どうして――あいつは俺を裏切ったんだ! どうして、あいつは俺の計画をここまで狂わせた!」

 

 あの日の真実が、どうしてもソロモンには分からなかった。思い出せないのではない。最初から分からなかったのだ。神の叡智があったのに。神の視点があったのに。ソロモンはあの日の真相が分からなかった。

 

 どうして、シバの女王がソロモンの理想を否定したのか分からなかった。どうして完成間近の『真理』にあのような細工をしたのか分からなかった。生まれて初めて、憤怒に飲まれて人間を殺した。

 

「あいつを殺したのは――あいつを唆したのは一体、誰なんだ!」

 

 サマエルだけが女王の裏切りを知っていた。当然だろう。聖書の神は最後までシバの女王の思惑に気づかず、逆にソロモンの共犯者たちはソロモンの本心に気づいていなかった。

 

「それから、俺はライダー、アストルフォを信じていた。彼は人間だの悪魔だのを度外視して、自分がやりたいようにやると。確率的には聖書の方に味方する。この予想は現実となり、彼は絶好のタイミングで魔王どもをこの場に送り込んでくれた」

 

 これこそが、ソロモンがアストルフォという制御不能な理性蒸発騎士を召喚した理由だった。魔術王は騎士が自分を裏切ると確信していた。だからこそ、盤面を整えるための駒として機能すると断言できた。

 

「そして、この世界とは微妙に違う並行世界の来訪者――アーチャーの棺桶を引き継いだ誰かを信じていた!」

「ど――」

 

 どこで知ったという言葉さえ遮って、ソロモンは溜まらないという衝動を隠そうともせずに宣う。

 

「ああ、その様子だと本当に来ているんだな! 確証などなかった。確信などなかった。痕跡もなかった。否、来ているという予兆さえどこにもなかった! 顔も名前も知らない彼あるいは彼女はよっぽど優秀なのだろう。だが、そんなことは関係ない。そんなことは大差ない。アーチャーはああ言っていたが、ああ言っていたからこそ、あいつの志を継ぐ誰かがいると俺は強く信じた! あのような男の死を無駄にするほど、人間が終わっているものか!」

 

 ソロモンはセイヴァーの存在など知らない。アーチャーは彼のことを話さなかったし、己の死後に彼が成した大偉業も知らなかったのだから当然だ。だが、ソロモンはアーチャーの信念を誰かが受け継いでいると本気で信じていた。理論はない。根拠などない。ただ――絶対にいるはずだと妄執を抱いたのだ。

 

 現実、セイヴァーがいたからこそ、この状況がある。

 

「何より、俺はこの世界の人類を信じていた。彼らの、いいや! 俺たちの積み上げてきたものこそが、積み重ねてきたものこそが、俺を、人類を未来に連れて行ってくれると! 輝かしい世界を約束してくれると、信じ抜いてみせた!」

 

 醜い苦痛を産み落としてきた。汚い悲痛を吐き捨ててきた。だが、逆を言えば、それと同じくらい美しいものを積み上げ、尊いものを積み重ねてきたのだ。その人類史の成果は、ひとつの男によって穢される。

 

「何でだよ。何でなんだよ、父さん!」

「ああ、そう呼んでくれるか。ああ、我が計画を理解してくれたか。愛しい我が子よ。我が星の落胤よ。我らの三千年の成果よ。ならばどうか、我が理想に共感してくれ。ともに祝砲を上げようじゃないか」

 

 ソロモンは自らの胸の上に手を置く。その表情は恍惚としていた。悲哀も諦観も絶望も憎悪も憤怒もない。純粋でありながら歪な歓喜に溢れていた。

 

「ようやくだ。ようやく人類は神代(ここ)ではない、人理(どこか)に進むことができる! ありがとう、本当にありがとう! 俺はおまえたちを信じて良かった! やはり俺こそが正しかったんだ!」

 

 そう笑い、哂い、嗤い、笑って。

 

「これで俺の理想が成就する。あまりにも長い旅路だった。あまりにも長い三千年だった。やっとだ、やっと俺は償える。これで、俺は主を超えられる。おめでとう、人類! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 ソロモンは己の心臓を魔術で潰した。

 

 最終宝具『真理を未来に』起動。




ヒント1、並行世界において、ソロモンは千年以上のエネルギーをどこかで確保していた

ヒント2、3000÷2>1000

ヒント3、トライヘキサは人類史の闇、つまり人類史の半分しか知らなかった(意識的にではなく物理的に)

ヒント4、トライヘキサの構成成分には『真理』だけではなく『システム』の廃棄物も含まれる

ヒント5、トライヘキサの強さはゲーティアとほぼ同じ

ヒント6、『真理』は負の感情を集めるものではない

ヒント7、トライヘキサ関連を見てもらえば分かると思うが、拙作においてはビーストのクラスは継承や変更が可能という設定

ヒント8、シバの女王の死により、ソロモンの理想『人類を守る神になる』は反転した

ヒント9、■■■■、□□□□、????の使い分けには意味がない

ヒント10、『システム』にはソロモンの死体がくべられた

ヒント11、『システム』には唯一神降臨の術式が仕組まれている

ヒント12、三千年前、ソロモンは神になることを願われた

ヒント13、ソロモンは人間の可能性を証明したかった

ヒント14、『真理』の獣とは人間が誤認し、人類史に最も災禍を導いた大災害



次回、ビーストX顕現

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