IS 幻夢vsIS   作:稲葉 優

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今回の話を書くに至って、これ大丈夫かな?となった作者です。それでは第9話始まります。


激突!勇者vs龍!

簪side

 

名前決めの翌日、私はアリーナでセシリアに特訓をつけていた。

 

その特訓の内容は…

 

「はあはあ、も、もう一度お願いしますわ。」

 

「わかった。じゃあ行くよ。」

私はそう言ってガシャコンマグナムを撃つ。

 

セシリアは右手に持った細剣でその弾を切り払おうとする。しかし、間に合わずまたも弾丸が直撃する。これで10回目だ。

 

流石にダメージを受けすぎたのかシールドエネルギーが少なくなってきたセシリアに一度シールドエネルギーを補給するように言う。

 

私はその間にこんなことになった経緯を思い返していた。

 

昨日の昼休み

『簪さん、就任パーティの時の約束、覚えています?』

 

『うん、私と本音と特訓するんだよね。それでまずは苦手な近接戦闘からしようと思うんだけど…』

 

『何故近接戦闘からですの?もうクラス対抗戦まで時間がないので今回は遠距離戦闘を鍛えてもらおうと思ったのですけど?』

 

セシリアの疑問に私は答える。

『確かに長所を伸ばすようにするのはいいことだけど、今まで長い間をかけて修練して今のレベルになった遠距離戦闘をクラス対抗戦までのあと6日でスキルアップの段階まで持っていける?』

 

『た、確かにそうですわね。そこでこれまであまりやって来ていない近接戦闘なら伸び代は多めだからそっちを優先すると。』

 

『理由はそれだけじゃなくて鈴音のISの戦闘型もその理由なの。これを見て。』

 

そう言って私は手元の携帯端末で鈴音の代表候補生としての試合の映像を見せる。代表候補生は基本自国のレベルを他国に知らせるためによく広告塔として使われる。故に簡単に試合の映像が手に入りやすいのだ。

 

その試合を見てセシリアは

『なるほど、鈴音さんの戦い方は近距離パワー型。ですがそれなら遠距離に徹すれば…』

 

『懐に入り込まれたらパワー型な上、多分相手もセシリアの代表候補生としての試合の映像を見ている。だから遠距離対策はかなりとってくると思う。でもセシリアの近接戦闘は?』

 

セシリアは少し考えたあとやがて気づいたのかはっと顔を上げる。

『代表候補生時代のデータにないから予想がつかない上に戦法が分からない。それに鈴音さんの意表もつけますわ。』

 

『そう、だから今回は近接戦闘を鍛えようと思うの。それでセシリア、今ある近接武器は何?』

 

『「インターセプター」という近接用のショートブレードが一つありるだけですわ。』

 

それを聞いて私は驚く。

『えっ、ちょ、ちょっと待ってということはそれ近接型に間合いに入られたらそれ一つで裁かないといけなくなるよね?!それに近づいてきた相手の迎撃にビットを使おうにもビット操作中はセシリア動けないんだよね?!それほぼ近接戦闘はそのへんの量産機以下になるんじゃない?!』

 

『た、確かにそう考えると途轍もなくまずいと思ってきましたわ。相手は代表候補生になるだけの実力があるのですから苦手な遠距離対策もきちんとしているでしょうし。』

 

私の言葉に納得したのか自分がまずい状況にいると理解したセシリア、そこで私は疑問に思っていたことを聞いてみる。

 

『セシリアってイギリスの貴族だったよね。それなら家の習い事か何かで近接戦闘、もしくはそれに近いことって何かやったことない?』

 

『ええ、一応家の習い事の中にフェンシングがありましたわ。まあまだまだ未熟ですけど。』

よかった〜。これで何もやってないとか言われたら流石にまずかったから。となると…

 

『セシリア、放課後フェンシングの剣、もしくはそれに似たものを学園の武器倉庫から探そう。習い事としてやっていたなら未経験よりはちゃんとできると思うから。』

このIS学園には二つの学科がある、操縦科と整備科だ。そのうちの整備科は主に武器開発などを行なっていて、歴代の整備科の生徒は自分の作ったものを卒業後そのままIS学園に置いていく。そのため、様々な武器が学園の武器倉庫にある。ちなみに虚さんは整備科で妹の本音もそっちに進む予定らしい。

 

『ええ、わかりましたわ。ではそれを取りに行った後、放課後に特訓をお願いしますわ。』

 

というわけで放課後、武器倉庫に目的のものを取りに行ったらドンピシャで見つかったため、それを使って今特訓をしている。ちなみに近接武器の展開がこの間試合で出さなかったようにセシリアは苦手だった。でもやはり今までやってきたフェンシングの武器だからか元々備え付けられているものより早く武装展開することができた。というか本人の適正に合わせて付属の近接武器を選んでよ、イギリス政府。いくら遠距離型とはいえ最低限は守ろうよ。ショートブレード一本とか自殺行為に等しいよ。

 

そして、今は剣の重さに慣れつつ反応速度を上げるため、銃弾を剣で対処する特訓をしている。 本音?声掛けて来たはいいけど今さっきまでお菓子食べててお腹一杯になったのか、アリーナの観客席で昼寝してるよ。

 

そんなことをしていると協力を要請していたお姉ちゃんがやって来た。それに後ろに鈴音もついてきている。

 

「遅れてごめんね、簪ちゃん。私もセシリアちゃんの特訓に協力するわ!」

 

「うん、ところで何で鈴音も一緒にいるの?」

 

「実はね、鈴音ちゃんが私と戦ってみたいって言ってるのよ。」

 

「どうして?」

 

「あたしの今の実力を試すのとセシリアに試合を見せるためかしらね。」

 

「わたくしに?何故ですの?クラス対抗戦で戦うのですからむしろ見せないほうがいいのではないですか?」

 

セシリアがそう言うと鈴音は答える。

「だってあたし、最初の日にセシリアに事務受付を案内してもらった恩を返してないし、それに…」

 

「それに?なんですの?」

 

「あたしはセシリアと正々堂々勝負したいから手の内を隠すのはやめようと思ったのよ。でも勝つのは私だから。」

 

その言葉を聞いて、私とセシリアは自分達の姑息さに気づく。鈴音はあえて自分の手の内を晒してでも勝とうとしている。それなのに私達は意表をつくとか正面から戦おうとしていなかった。

 

それに対しセシリアは

「こちらも鈴音さんと会長の後に模擬戦をしますわ。簪さんと。ですからクラス対抗戦では手の内を見せ合った状態で戦いましょう?でも勝つのはわたくしですわ。」

 

そう返したセシリアと鈴音の間に火花が散る。

 

そして、その間にお姉ちゃんが入る。

「うーん、まさに青春って感じよね〜♪でもアリーナの時間は有限だからね〜♪というわけで鈴音ちゃんと私が模擬戦するから簪ちゃんとセシリアちゃんは観客席に行ってね。」

 

お姉ちゃんの言葉に従い、私とセシリアは観客席に向かう。やがて準備が出来たのか二人が出てきた。鈴音はISを展開しお姉ちゃんは腰にゲーマドライバーをつけて生身の状態で出てくる。

 

「それじゃ始めましょうか。」

 

そう言った後お姉ちゃんはTADDLE QUESTガシャットを取り出し、起動スイッチを押す。

 

『TADDLE QUEST』後ろにゲーム画面が出ると同時にアリーナ内に宝箱が置かれる。

 

ゲーマドライバーに差し込み、同時にピンクの扉部分を開く。

 

「変身♪」

お姉ちゃんがそう言うとお姉ちゃんは光に包まれ、

 

『レベルアップ!タ〜ドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト〜!』

 

やがて光が晴れて中から仮面ライダーブレイブレベル2が現れる。

 

するとお姉ちゃんと鈴音は

 

「「仮面ライダーブレイブ(甲龍)、更識楯無(凰 鈴音)いざ尋常に…」」

 

「「勝負!!」」

そう言って二人は駆け出し、模擬戦が始まった。

 

楯無side

鈴音ちゃんとの戦闘が始まり、私と鈴音ちゃんはすぐにアリーナの中央で私はガシャコンソードを鈴音ちゃんは大型の青龍刀である双天牙月を互いにぶつけ、つばぜり合いとなる。流石にパワー型のIS、私は後ろに押されてしまう。このままではまずいと思い、双天牙月をいなし、隙の出来た鈴音ちゃんに対して炎の斬撃を加える。しかし、鈴音ちゃんは慌ててそれを避け、私から距離を取る。しかし、髪の先が少し間に合わず炎で焦げる。

 

「今のはちょっと当たるとまずいわね、だったら…」

 

鈴音ちゃんはそう言うと上空に上がる。やがて…

 

「くらいなさい!」そう言うと私はアリーナの壁まで吹っ飛ばされる。

 

「お、お姉ちゃんが吹っ飛ばされている!」

 

「な、何ですの?!急に何かに当たったように会長さんが飛ばされましたわ!」

 

観客席からそんな声が聞こえる。

 

やがて鈴音ちゃんが得意そうに解説する。

「これが中国の第3世代兵器『衝撃砲』よ。空気を圧縮させて撃つ砲身も砲弾も見えず、角度に制限のない武装よ!」

 

なるほどね。でもそれだけじゃ…

 

「生徒会長には勝てないわよ!」

 

私はそう言い、鈴音ちゃんの方へ向けて走り出す。

 

「この衝撃砲に弱点はないわ!」

そう言い、鈴音ちゃんは向かってくる私に対して衝撃砲を撃ってくる。しかし、私はそれを右に左に時にはジャンプをして回避する。

 

「なるほどね。流石生徒会長で現役国家代表、衝撃砲の弱点を看破されたか。」

鈴ちゃんはそう言った。

 

簪side

先ほどの鈴音の弱点発言に驚きを見せるセシリア。

「ど、どういうことですの?!衝撃砲の弱点って砲弾も砲身も見えず射角も制限のない武装にどんな弱点が?!」

 

「セシリア、確かに一見弱点のない武装のように見えるけどわかりやすい弱点があるよ。セシリア、あなたは目を向けずに後ろの物体に向かって射撃が出来る?」

 

「何を言っていますの?!そんなの出来る訳…」

言葉の途中で気づいたのかはっとした顔をするセシリア、どうやら気付いたみたいだね。

 

「そう、いくら射角が制限がないと言っても普段から目を頼っている私たち人間はつい照準を合わせるのに目を使ってしまう。それに今はまっすぐにお姉ちゃんが向かってきているから横から撃つってのも鈴音の性格上しないしね。攻撃のタイミングも鈴音、表情が変わるからすぐわかるし。」

 

「なるほど。そう言うことでしたか。」

 

楯無side

やがて私は鈴音ちゃんのところに到達し、ガシャコンソードにホルダーに差してあるライトイエローのガシャットを差し込む。

 

『DOREMIFA CRITICAL FINISH』

 

私は思いっきりガシャコンソードを振り、上空から音符の雨を降らせる。

 

鈴音ちゃんは慌てて避けるも全部は避けられず、何発か当たってしまう。

 

「衝撃砲の弱点はばれた。でもこれならどう?」

 

そう言って鈴音ちゃんは先ほどよりも上空へ行き、アリーナの天井ギリギリまで行く。そして、衝撃砲をどんどん撃つ。

 

しかし、私は避けられなかった。なぜなら…

 

簪side

「なるほど。考えたね、鈴音。あれなら今までの攻略法じゃ無理だね。」

お姉ちゃんに衝撃砲が再び当たり始めた。それもそのはず今の鈴音は先ほどの表情で見分けるという方法が使えない。アリーナの天井ギリギリまで登ったのは作戦だった。鈴音はアリーナの天井にあるライトを背にした。これで逆光でお姉ちゃんの側からは鈴音の表情がわからない。

 

「ええ、先ほどの技で落とそうにも天井ギリギリに行っているので鈴音さんより上空へ行く前に鈴音さんに撃墜されてしまいますわ。」

セシリアがそう続ける。

 

さあお姉ちゃんはどう出るか?

 

楯無side

これはきついわね。でもこのまま終わるような私なら国家代表なんてやってないわ。私はさっきガシャコンソードに入れたDOREMIFA BEATガシャットを抜き、代わりにTADDLE QUESTガシャットを入れる。

 

『TADDLE CRITICAL FINISH』

 

やがてガシャコンソードの刀身が炎を纏う。そして、私はそのままその場で回転し、炎の竜巻となる。私の真上にいた鈴音ちゃんは慌ててそれを回避する。当たらなかった。でもこれでいい、最低限の目的は達成した。

 

「危なかったわ!でもこれで終わりよ!」

 

鈴音ちゃんは元の位置に再び戻り、衝撃砲を撃つ。

 

しかし、私はそれを回避しない。なぜなら分かっているからだ。私の直前で落ちることを!

 

「な、何で?!確かにしっかりと狙ったはず…くっ、もう一度よ。」

そう言って今度は連射してくる。しかし、それも私の直前で落ちてしまう。

 

そして私は言った。

「ねえ鈴音ちゃん、ここちょっと熱くない?」

 

「それはさっきの竜巻のせいで…はっ、まさかそう言うことね!」

 

「これで衝撃砲は使えないわ!」

 

簪side

私は訳が分からなかった。何で鈴音の衝撃砲がお姉ちゃんの直前で落ちてしまうのか。隣を見るとセシリアは分かったのか私に向かって勝ち誇った顔をしている。私はセシリアに聞いた。

 

「何でお姉ちゃんの直前で衝撃砲が落ちちゃうの?」

 

「簪さん、先ほど生徒会長が炎の竜巻を発生させましたよね。それによってアリーナ内の空気は温められましたわ。ということは空気中に含まれる酸素が二酸化炭素になったということ。そして、衝撃砲は空気を圧縮して撃つ砲撃ですわ。先ほどまでとは空気内の二酸化炭素の比率が上がったことで空気が重くなった。そのせいで照準がずれ、生徒会長の前に落ちるということです。」

 

「な、なるほど。」

セシリアの饒舌ぶりに感心しながら私は試合に目を戻した。

 

鈴音side

まさかそんな方法で衝撃砲を無効化してくるなんてね。どうする?アリーナ内のスプリンクラーを壊して温度を下げてもう一度衝撃砲を使えるようにする?いいえ無理だわ。この方法じゃ常温に戻るまでに時間がかかるし何よりスプリンクラーまで遠すぎる。

 

「やれやれ、やっぱこの手を使うしかないか。」

 

私は空気が高温になったことで使えなくなった衝撃砲と手に持ったままだった双天牙月を拡張領域(いわゆる武装をしまうための場所)に入れる。衝撃砲は背中にある2つの大きな玉のようなもののため、身軽になる。使えないとはいえこれで衝撃砲がどこから発射されるかばれちゃったわね。

 

やがて私は地面に降りて、こう言った。

「会長、あたしの本気を今から見せます。PIC解除。」

PIC、ISが空中に浮いているために必要な装備で普通は解除なんてしない。でも私の本気にはそれが必要なの。PICを解除した影響で両足がしっかりと地面についた状態となる。これでいい。やっぱり空中より地上にいる方が私にはちょうどいい。

 

「行きますよ。はあああーっ!」

そう言って私は会長に向けて駆け出した。

 

楯無side

「行きますよ。はあああーっ!」そう言ってこちらに向かってくる鈴音ちゃんを私は見る。すると目の前から急に鈴音ちゃんが消えた。

 

「ど、どこに?!」

 

「遅い!」

 

いつの間にか私の後ろに回っていた鈴音ちゃんは私にハイカットキックをかます。上空に吹き飛んだ私に向かって鈴音ちゃんは追撃をするように上空に飛び上がり私を肩車の体勢にしてそのまま空中で逆さになり私の頭を地面にぶつけようとする。私は慌てて持っていたガシャコンソードのAボタンを押し、モードを切り替える。この剣はボタンで炎モードと氷モードを切り替えられる。私は地面に向かってガシャコンソードを振る。すると氷の柱が出来上がり、見事に地面への落下を防ぐ。

 

「あと少しで技を決められたのに…でもその体勢からじゃ反撃は出来ない。」

 

そう言って肩車状態を解除し、

 

「くらいなさい!烈火太陽脚!」

そう言って鈴音ちゃんはガラ空きの私の腹部に向けて飛び蹴りを放つ。私はガシャコンソードを両手で支えていたのを右手一本だけにし左手で烈火太陽脚を逸らして当たるのを防ぐ。逸らされたのに気付いた鈴音ちゃんは飛び蹴りをやめて地面に着くと後ろに飛び去って距離をとる。

 

「驚いたわ、鈴音ちゃん。何か格闘技でもやってたの?」

 

「ええ、中国に格闘技の師匠がいてその人に教えてもらいました。」

 

「なるほどね。ならお姉さんも本気出しちゃおっかな〜♪」

 

そう言って私はDOREMIFA BEATガシャットを取り出し、起動スイッチを押す。

 

『DOREMIFA BEAT』

私はガシャットをTADDLE QUESTを入れているのの左側にDOREMIFA BEATを差し込み、ピンク色の扉を一度閉めて、再び開ける。

 

『レベルアップ!タ〜ドルメグル!タドルメグル!タドルクエスト〜!』

 

『アガッチャ!ド・ド・ドレミファソ・ラ・シ・ド!OK!ドレミファビート!』

 

私の上からビートゲーマが被さり私はレベル3になる。鈴音ちゃんが格闘で来るなら目には目を歯には歯を格闘には格闘をよ!

 

「これが今の私の全力よ!鈴音ちゃん、最後の勝負と行きましょう。」

 

「そうね。これで終わらせるわ!会長!」

 

私と鈴音ちゃんは向かい合ってやがて目で合図すると二人同時に駆け出し中央で手4つの状態となる。

 

「この状態になったらすることは一つよ!」

そう言って鈴音ちゃんは私に向かってヘッドバットしてくる。私も負けじとヘッドバットを返す。二人ともヘッドバットが痛かったのか手4つの状態から一転二人とも頭を抱える体勢となる。

 

「い、痛ったー。会長どれだけ石頭してるんですか?!」

 

「そ、そっちこそ頭固すぎでしょ?!変身後なのに傷がつくなんて。」

やがて頭の痛みが治まった二人は同時に駆け出す。鈴音ちゃんはスライディングの体勢となり、足払いをしてくる。私はジャンプしてそれを避けて、鈴音ちゃんのすねに手をついて顔面に回し蹴りをかます。鈴音ちゃんは吹っ飛ぶもすぐさま体勢を立て直し、双天牙月を出すと投擲してくる。私は横に避けると目の前には鈴音ちゃんが技の体勢に入っていた。

 

「レッグラリアート!」本来腕で出すはずのラリアートを足で出す鈴音ちゃん。私は腕で顔をかばうようにして防ぐ。そのまま鈴音ちゃんの足を掴み、脇に抱え込みすぐさまその場で回転する。

 

「投げ飛ばされてたまるか!」そう言い、鈴音ちゃんはもう1本双天牙月を取り出し、地面に突き立てて回転を止める。

 

回転が止まった瞬間、鈴音ちゃんは脇に抱えられていた自分の足を振りほどき、私の首に足を持ってきてそのまま足で首を絞める。

 

「見せてあげるわ!レベル3の真の力を!」

 

私は右手にあるターンテーブルを回して音楽を鳴らす。そして、そのリズムに合わせて私の首を絞めている鈴音ちゃんの足に攻撃を加える。最初のうちは平気そうに私の反撃を食らっていた鈴音ちゃんだったが、どんどん音楽が進み連撃を食らううちに苦悶の表情を浮かべる。やがて耐えきれなくなり、鈴音ちゃんは私の首から足を外す。正直危なかった。鈴音ちゃんは足にくらった攻撃の痛さにうずくまる。

 

「ゲホッゴホッはあはあ、や、やっと外れてくれた。」

 

「お、音楽に合わせて攻撃を加えられるたびにどんどん痛くなって…まさかこれがレベル3の真の力?!」

 

「そうよ。私のレベル3は音楽ゲームをモチーフとしたもの。その効果は音楽に合わせてリズムをとりながら攻撃することでどんどん攻撃力が上昇していくのよ。そして、鈴音ちゃんの足は今の攻撃で限界が近いはずよ。」

 

そう言って私は鈴音ちゃんの足を見る。シールドエネルギーを使った絶対防御だけでは防ぎきれず、鈴音ちゃんの足からは血が出ている。

 

「た、確かにそうね。でもこれで諦めるあたしじゃないわ。師匠も最後まで諦めずに勝利を掴んできたって言っていた。なら弟子のあたしがそれを実践しないでどうするのよ!」

 

そう言って鈴音ちゃんは気迫で立ち上がってくる。なんて気迫なの?!国家代表クラスはありそうなくらいの気迫だ。

 

「会長!これで決着をつけましょう!」

 

「ええ、そうね!これで決着よ!」

私はキメワザスロットホルダーにTADDLE QUESTガシャットを差す。

 

『TADDLE CRITICAL STRIKE』

 

「烈火太陽脚!」

 

私の飛び蹴りと鈴音ちゃんの飛び蹴りが空中で交差し、両者同時に地面に着地する。

 

勝者は………

 

私だ。

 

鈴音ちゃんは飛び蹴りが交差し、着地した後力尽きるかのように倒れた。

 

「鈴音ちゃん、あなたの凄まじい気迫見せてもらったわ。そして、その原動力となったあなたの師匠に私も会ってみたいわね。」

私はそう言って変身を解除すると鈴音ちゃんを背に背負ってアリーナを出て、保健室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第9話はとても難産でした。鈴音の師匠が誰かわかる方はいますかね?つい勢いで出しちゃいましたけど多分本筋には関わっては来ないと思います。次回はクラス対抗戦に入れると思います。

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