IS 幻夢vsIS   作:稲葉 優

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ようやく鈴音が登場し、キャラが増えました。感想でも鈴音の扱いを期待している人もいて嬉しいです。それでは第7話スタートです。


襲来!敵か味方か?チャイニーガール!

簪side

クラス代表騒動終結の翌日のHR前

 

「ねぇ〜、かんちゃ〜ん、どうやら〜、2組に〜転校生が〜来たらしいよ〜。」

 

そんなことを本音が言ってきた。

「うん、知ってるよ。というか生徒会でその人の転校書類確認したでしょ。忘れたの?確か名前は〜」

 

「凰 鈴音よ。」そんな声が背後から聞こえた。

 

「そうそう、そんな名前…って」

 

今の声は本音ではない。じゃあ誰が?そう思い、その声の主がいるであろう背後を振り返った。するとそこにはツインテールで茶髪、そしてエメラルドの瞳をした少女がそこにいた。

 

「あたしが今あんたたちが話していた凰 鈴音よ。今日は2組のクラス代表になった私が1組に宣戦布告に来たのよ。それで1組のクラス代表は?」

 

「わたくしですわ。」そう言い私の背後からセシリアが現れた。どうでもいいけどこの学園、人の背後に立つ人多すぎない?ホラー映画じゃないんだから。

 

「このクラスの代表ってあんただったのね、セシリア。昨日の事、改めて礼を言うわ。」

 

「いいえ、英国貴族として当然のことをしたまでですわ。」

 

二人はどうやら昨日すでに知り合っていたらしい。

 

「昨日、鈴音さんが事務受付の場所が分からなかったそうなので案内して差し上げたのですわ。」

私達に説明するようにセシリアはそう言う。

 

「あんたがクラス代表なら話は早いわ。2組のクラス代表としてクラス対抗戦で当たったら全力で戦いましょう。」

そう言って凰さんはセシリアに握手を求める。

 

「ええ、もし当たることになったら正々堂々勝負いたしましょう。」

そう言いながら凰さんと握手をするセシリア。

 

やがて握手が終わると凰さんは私の方を向いて

「あんたが更識 簪ね。あなたのことは黎斗から聞いてるわ。そして、全ての事情は知ってるわ。(ボソッ」

最後のところだけ凰さんは小声で言う。

 

「あの凰さん、「鈴音でいいわよ。堅苦しいの嫌いだし。」鈴音、それって…」

 

私は詳しく話を聞こうとしたらHR前の予鈴が鳴る。

 

「時間が来ちゃったわね。詳しいことは放課後生徒会室で話すわ。じゃあ、そういうことだから。」

そう言って鈴音は2組に戻って行った。

 

 

 

放課後

楯無side

私は簪ちゃんから昼休みに凰 鈴音さんのことについて聞かされ、生徒会全員で生徒会室で待っていた。

私達が待っているとくだんの鈴音ちゃんがやって来た。

「あなたが凰 鈴音さんね。私は生徒会長の更識 楯無よ。話は簪ちゃんから聞いたわ。全て知ってるってことは…」

 

「ええ、あんたたちのあれはISじゃないってこともそして今の社会を変えようとしているってことも…」

 

「黎斗君から話を聞いたって言ってたけど、あなたと黎斗君の関係は何?あなたの転校書類には中国の代表候補生って書いてあったんだけど…」

 

「あたしは確かに中国の代表候補生よ。でも小5から中2までの間日本にいたの。あたしの家は中華料理屋なんだけど、黎斗はそこの常連でね。その時に知り合ったのよ。」

 

「なるほど、でも私達の活動に協力する理由は何?ただの常連とその店の娘ではそんな話をする中になるとは思えないのだけど?」

 

そう私が問いかけると彼女はこう言った。

「あたしの両親ね、すごくラブラブだったの。この世の中で珍しいくらいに具体的に言うと私の目の前で熱いベロチューをかわすくらい。」

 

いきなり始まった彼女の両親のラブラブ夫婦生活に私はもちろん簪ちゃんも本音ちゃんも顔を赤くしてる。あっ、虚ちゃんが倒れた。どうやら自分と弾君に当てはめてしまったみたいね。ごちそうさま〜♪

 

そんな私達の反応を無視して彼女は話を続ける。

「でも今って女尊男卑じゃない?そんなことをしている夫婦がいたらどうなるか…」

そのセリフを聞いた途端私達は現実に戻される。まさか…

 

「多分察しただろうけどそうよ。それが気に入らない女尊男卑の連中によってあたしの家の中華料理屋は襲撃を受けた。それも一度や二度じゃない最初はガラスが割られてるくらいだったんだけどね。どんどんエスカレートして行ってついにはお客さんがいるのにうちにカチコミかけてきたのもちろんお店はメチャクチャ。中華料理屋は泣く泣く閉めることになり、周りをそう言った目に合わせないためにあたしの両親は離婚せざるを得なかった。」

 

今の女尊男卑社会の弊害を聞き辛い気持ちになる。そうよね、黎斗君だってこの社会の被害者だもの。こう言った人がいるのは知っていたけど、それでも直接聞くとやはり辛い。

 

「それであたしは中国に帰る父親についていくことにした。そうじゃないと父さん自殺するんじゃないかってくらい精神状態が悪かったから…。そして、中国に帰る前日、最後だと思って町を見て回っていたの。その時に黎斗に会って…。辛かったんでしょうね、当時のあたし、ただの常連に何が出来るでもないのに黎斗に事情を話していたの。全て聞き終わった後、黎斗が…」

 

『そうか、辛かったね。それなら世界を変えてみないか?』

 

『世界を変えるってどういうことよ。』

 

『今の女尊男卑社会を壊すには女尊男卑の根幹となっているISの絶対性をなくせばいい。それはわかるよね。それならISを男でも乗れるようにすればいいんじゃないかって思うだろうけど、それは違う。男女ともISが乗れるようになったらまず男がすることは…』

 

『…女達への報復?』

 

『その通りだ。その方法では人類絶滅エンドに一直線だ。ゆえにISを超えるものを開発しなければならない。』

 

『そ、そんなの無理に決まって…』

 

『いいや、私の幼馴染…更識 簪って言うんだけど彼女が今ISを超えるものを作っていて、最終段階に入った頃だ。それを使う。』

 

『じゃああたしにそれを使えと…』

 

『いいや、君にはISで中国代表候補生になってもらう。』

 

『な、なんでよ。その幼馴染が作ったものを使って武力制覇した方が…』

 

『武力でISを超えるものだとしても今の世の中にはIS信奉者が多すぎる。そんなものが出たとわかったらすぐさま潰しにかかるだろうね。それに持っているのが何の権力も持たない小娘なら尚更だ。君にはIS側の事情を探って欲しいんだ。代表候補生ともなれば簡単に潰すことは出来ないくらいの権力が手に入る。それに…君の言う武力制覇の途中で死んだらお父さんが悲しむ。』

最後のところを言う黎斗の顔はそれまでの真剣な表情に悲しさを纏わせたわ。

 

『そういうことなら分かったわ。なってやろうじゃない。代表候補生に。あたしの両親の幸せのために!』

 

『そうそう、もし代表候補生になったら専用機が手に入るだろう。その時に幻夢コーポレーションを指定して欲しいんだ。』

 

『な、何でよ。それは構わないけどさ。』

 

『私が幻夢コーポレーションの社長だからだよ。専用機の相談という名目で会いやすくもなるしね。そういえば君には言ってなかったね、これが名刺だ。』

 

そう言って黎斗は『幻夢コーポレーション社長 壇 黎斗』と書かれた名刺を差し出してきたわ。驚いたわよ、まさかうちの常連さんが大企業の社長だったなんてね。

 

その話をした後、あたしは父さんのところに黎斗と一緒に行ってその話をしたのそしたら、

『決意は固いんだな?』

 

『うん、もちろん。また3人で仲良く暮らしたいし。』

私はその時、凄く緊張したわよ。なんせ危険な道を行くって自分で言ってるんだから、やがて父さんが泣き出したの。

 

『うう〜、私はいい娘を持ったな。そこまで決意が固いのならお前の好きにやりなさい。辛くなったらいつでも帰って来なさい。黎斗さん、娘をよろしく頼みますよ。』

 

『何も今すぐ別れるというわけではないのですから大袈裟ですよ、でも安心して下さい。娘さんは責任を持って私が守ります。』

一気に話し終えた鈴音ちゃんは一息ついて

 

「そうしてあたしは父さんと一緒に中国に帰った後、1年で代表候補生に就任したってわけ。」

そう言った。今の話を聞いて私達は

 

「それじゃこれからよろしくね♪鈴音ちゃん♪」

 

「よろしくね〜、リンリン〜。」

 

「よろしく、鈴音。」

 

「よろしくお願いします、鈴音さん。」

そう言った。

 

それに対し「ええ、よろしく頼むわ。」と鈴音ちゃんは答えた。

 

互いによろしくを言った後は雑談へ移行する。

 

「ところで虚先輩でしたっけ?さっき私の両親のラブラブ話をした時、一人倒れてましたよね?そんなに初心なんですか?」

 

「そ、それは「初心なんじゃなくて、自分と彼氏の姿に置き換えちゃっただけよね〜、虚ちゃ〜ん♪」お、お嬢様?!」

 

「へっ、虚先輩って彼氏いるの?じゃあ他の人も?」

 

そう言って鈴音ちゃんは私と簪ちゃん、本音ちゃんを見てくる。

「「「残念ながら私達はまだ…」」」と3人揃って言う。

 

「それで虚先輩の彼氏って名前何ていうんですか?」

 

すると虚ちゃんは恥ずかしそうに

「な、名前は五反田 弾と言って…「えええ〜っ、弾ってそういやあいつあたしが中国にいる時に彼女できたってメール送ってきてたけどその相手がまさか虚先輩だなんて」彼のこと、知ってるんですか?」

 

「知ってますよ、あいつとは小5から中2までずっと同じ学校同じクラスで…」

 

「ということは私が知り合う前の彼を知っているということですか…。しゃ、写真とかあります?」

 

「ありますけど、見ますか?」

 

「ええ、是非見せて下さい!」

 

虚ちゃんのあまりの変貌っぷりに押される鈴音ちゃん。わかるわ、私もあの状態の虚ちゃんには負けるもの。

 

「えーっとこっちがあたしと弾が始めて会った時の写真で…」

 

「へーっ、今と大分違いますね。今と比べると細いというか…」

 

「この頃はまだ武道をやってなかったからね。妹の蘭を守るために中1の頭くらいから武道を始めてたし。」

 

そんな風に弾君についての話をする二人。

時計を見るともうすぐ日が暮れそうな時間になっていた。

 

生徒会室を出ようと私はオセロでもしていた簪ちゃんと本音ちゃんに声をかける。その後、虚ちゃんにも

 

「虚ちゃん?もうそろそろ日が暮れるから…」

 

「まだ見ている途中でしょうが!」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

あまりの気迫に押される私。今の虚ちゃんにはやると言ったらやるスゴみがあった。

 

結局、虚ちゃんと鈴音ちゃんが弾君の写真を見終わったのが夜の8時。

 

見終わった後、虚ちゃんは私達に向かって謝り倒していた。

 

 

 

 

 

 




今回は鈴音登場と鈴音自身のことについてです。そのため、日常なのにギャグとオチががが 次回は何をやるか決めていませんが、多分バトルになるだろうと思います。それではまた次回お会いしましょう。

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