IS 幻夢vsIS   作:稲葉 優

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今回は本音vs一夏となります。近接型の戦闘を書くのは初めてなので至らない点もありますが、第5話始まります。


Let’s game

簪side

 

本音の待つAピットに戻って来て、次の試合はオルコットさんvs織斑君の試合なので私達は観客席に行って試合を見ようとAピットを出て行こうとしたら、担任(笑)が入って来て私達が出て行くのを遮った。

 

「何か御用ですか?織村先生?次はオルコットさんとあなたの弟さんの試合なので私達は観客席に行って試合を見ようとしたのですが?」

 

「更識妹、お前のISは明らかに競技用のスペックを超えている。故に没収することとなった。」

 

その言葉を聞いて、私はうんざりしたが一応担任(笑)に聞いてみる。

「製作者に許可を取ったんですか?没収という名目でデータを取られてしまうのはまずいのでこういった場合、製作者に聞くのが普通だと思うのですが?」

 

「製作者に許可は取った。だからお前のISを早く私に寄越せ。」

 

「嘘ですね。あなたの右手に汗が滲んでいて動揺が見えますよ。」

と言った途端、担任(笑)はすぐさま右手を見る。もちろん右手には汗なんて滲んでいない。

 

「やれやれ。そんな風にしたら、誰だって嘘だって見破れてしまうじゃないですか?まあそんな確認をしなくても嘘だってわかったんですけどね。」

 

「それはどういうことだ、更識妹。」

 

「だってこのISを作ったのは私ですから。」

私がそういうと担任(笑)の顔が一瞬驚愕の色に染まる。

しかし、すぐさまシニカルな笑みを浮かべて

 

「そんな嘘を吐くとは随分と教師を舐めているようだな、貴様。たかが女子高生にISを作れるわけがないだろう。」

 

「あなたの友人の篠ノ之束は今から約10年ほど前にISを作った。その時彼女は確か中学生くらいの年齢だったでしょう?それに私はISコアも含めて一から作った篠ノ之束とは違い、外装だけです。技術力があれば、作れるとは思いますけど?」

 

「仮に貴様にそんな技術力があったとしてもその外装を作るための資金はどうする?女子高生のポケットマネーごときでは払えもしない。何せ普通ISは国が総力を持って億単位の金で作るものだ。」

 

「資金なら私の実家の更識家と幻夢コーポレーションがスポンサーとなって用意しました。」

私の家である更識家は国に任された対暗部用暗部いわばトラブルシューターの役割を持つ家だ。当然命のかかる仕事を受け持っている家なのでかなり報酬は高く、国公認なこともあって名家だ。

 

「幻夢コーポレーションだと?お前の実家はともかく何故幻夢コーポレーションがスポンサーとなるんだ?お前の家との関わりはないだろう?」

 

「私の幼馴染が幻夢コーポレーションの社長をしていて、私の研究に興味を持ったから出資してくれたんですよ。」

 

「幻夢コーポレーションの社長というと壇 黎斗か。それなら何故自己紹介の時に企業代表と言わなかった?お前のISは幻夢コーポレーションの所属になっているはずだろう?いくら実家が名家だと言っても企業や国以外に所属するISなど難しいのだからな。それに幻夢コーポレーションの社長と幼馴染だと?そんな都合のいいことがあるはずがないだろう。」至極当然の疑問を担任(笑)はぶつけてくる。

 

それに対して私は

「そんなに疑うなら本人に確認してみればいいじゃないですか?幻夢コーポレーションにかけてみれば私が企業代表ではない理由もわかりますし。」

 

私がそういうと担任(笑)はすぐさまケータイを取り出し、幻夢コーポレーションに電話をかける。最初は受付の人が出たのかさっさと出ろと言わんばかりにイライラしていたが、すぐさま黎斗に電話がつながる。私と本音にも聞かせるためにか担任(笑)はスピーカーモードにしており、会話の内容が聞こえてくる。

 

『お電話変わりました。私が幻夢コーポレーション社長の壇 黎斗です。かの有名なブリュンヒルデ様が今日は私にどのような御用件で?』

 

「御託はいい。聞きたいことは3つだ。貴様は更識妹と幼馴染なのか?そして、何故更識妹は企業代表としていない?あと更識妹のISは貴様の企業の所属なのか?」

仮にも一大企業の社長に話す口調ではない。この担任(笑)世渡り出来てるのだろうか?

 

『質問にお答えしましょう。まず、更識君のISが我が社の所属かということに関してはYESです。彼女の実家でもさすがに十分な保護はできないと考え、我が社の所属としてもらいました。まあスポンサー特権として我が社に所属することになったわけですがね。。次に更識君が企業代表ではない理由は彼女は既に日本の代表候補生であり、我が社の企業代表を兼業できないのと同時に我が社はIS業界では風当たりが強くてね、そんな我が社の企業代表と言ってしまうと彼女の身に危険が及ぶと考えた為です。そして、最後に私と更識君は幼馴染です。今は企業の社長として対応している為、他人行儀な呼び方ではあるが、普段は簪と呼んでいます。』

 

「なるほどな。大体わかった。最も風当たりの件についてはそちらの自業自得だろう?」

 

『痛い言葉ですな。』

風当たりの件についてそう黎斗は返したが、実際は全くそう思っていないだろう。そうでなければ、私のドライバーに出資するわけがない。私のドライバーがISでないからこそ黎斗は喜んで出資してくれたのだから。

 

私がそんなことを思っていると通話が終わったのか、ケータイを戻した担任(笑)はさすがにブリュンヒルデといえど企業と戦うのは不利だと感じたのかこんなことを言ってきた。

 

「更識妹、貴様のISの没収はしない。それに貴様のISと同系統の物を使っているものは更識姉、布仏姉、布仏妹といる。それは学園に提出された書類で確認済みだ。その者たちの没収も貴様のISと同様にできないと考える。それに更識姉はそのISでロシアの国家代表となっている。国家代表の使っているISと同系統なら規定違反などということはないだろうしな。まあ問題はなかろう。」

それなら最初から絡まないで欲しかった。というかお姉ちゃんの件があるんだから自己解決して欲しかった。やっと出て行くかと思ったら担任(笑)はすぐこんなことを言い出した。

 

「そうそう、貴様のISの件で忘れそうになったがオルコットはISのダメージレベルが危険領域に達していてな。故にオルコットと織斑の試合は取りやめとなり、布仏妹と織斑の試合が繰り上がりで執り行うこととなった。布仏妹は準備をしておけよ。」

と言って担任(笑)はAピットを出て行った。Aピットに残される私と本音。担任(笑)が遠くに行ったのを足音で確認した後、

「「私(かんちゃん)の規定云々よりもよっぽど重要なことじゃないかー?!」」と叫ぶこととなった。そして、本音は慌ててゲーマドライバーを装着すると先程の私と同様に生身で出て行った。

 

本音side

わたしが慌てて出て行くと、もう既に織斑君が白いISに身を包んで待っていた。

 

「遅いぜ。早く始めようや。」

 

遅くなったのはあんたの姉が原因だと思いながら私はポケットからピンク色のガシャットを取り出し、起動スイッチを押す。

 

『MIGHTY ACTION X』かんちゃんのと同様にわたしの後ろにゲーム画面のようなものが現れ、アリーナ内にチョコブロックが置かれる。するとわたしの髪が風を受け、目付きも鋭くなる。

 

そして、ガシャットをスロットに差し込む。

 

「変身!」普段のわたしからは考えられないようなはっきりとした声でそう言う。そして、かんちゃんのと同様にゲームキャラのセレクト画面のようなものが回り出し選択する。するとその画面がわたしの体に重なる。

 

『レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム?!アイム ア カメンライダー!』

かんちゃんと同様の3頭身ボディに変化する。違うのは顔部分でピンク色のツンツン髪のようなパーツが頭にあって、目はオレンジ色をしている。

 

「か、簪のと同系統のIS!?」とか織斑君が言ってくるが別に本人が名前で呼ぶことを許可していないのに馴れ馴れしい。

 

一方、観客席からは

「あのISかわいい〜。」

「簪さんのよりさらにゆるキャラっぽい」

「ピンクのツンツン髪がアクセントになってる。」などと言っている。

 

先程、かんちゃんの試合の時に文句を言っていた人は今回はだんまりをしている。まあそりゃそうだよね。代表候補生の機体をあそこまで一方的に倒したんだもん。

 

「女だからって手加減はしないぜ。うおおおーっ!」

 

そんな声を上げながら織斑君(めんどいから織斑でいいや)が刀を持って突っ込んでくる。わたしはすぐさまかんちゃんと同じようにセレクト画面から武器である『ガシャコンブレイカー』を取り出す。そして、ハンマーモードでそのまま織斑を落とすように上から強烈な一撃を加える。

 

攻撃を喰らい、地面に叩きつけられる織斑。しかし、すぐさま態勢を立て直し空中に戻ろうとする。そうはさせるか。と思い、わたしはチョコブロックを利用して、空中に登っていき、織斑を追撃する。一度打ったら、反対側にあるチョコブロックに壁キックをかまし、再度往復する。最初は刀でなんとか防ごうとしていたが、途中から目が追いつかなくなり次々と攻撃を喰らう。

 

「くそっ、このっ、このっ、何で何で当たらないんだよ?!俺は織斑千冬の弟だぞ。こんな3頭身のやつに負けるなんてプライドが許さねえ!」というか刀を後生大事に持ちすぎだと思う。せめて振って当たるまでタイムラグのある刀よりも今の状況なら刀を捨ててでも素手に切り替えて殴るなり蹴るなりした方が当たりやすいと思う。こっちは3頭身ボディでリーチがないのだからなおさらだ。

 

「もう許さねえ!零落白夜!」そういうと持っている刀がビームサーベ○のように光輝く。あれに当たると危なそうだと思ったわたしは一度チョコブロックの上にとどまるとそこでガシャコンブレイカーにあるAボタンを押してハンマーモードからブレードモードに切り替える。

そして、ベルトのガシャットを抜き、ガシャコンブレイカーのスロットに差し込む。

 

『MIGHTY CRITICAL FINISH』

 

わたしはエネルギーを刀身に纏わせて剣を頭上に構えたまま、縦に高速回転しながら織斑めがけて一直線に突っ込んでいく。織斑は慌てて刀を横にして防御の態勢に移行する。しかし、勢いは止まらず刀ごと織斑は後ろに吹っ飛ばされる。やがてアリーナの壁に叩きつけられ、止まる。

 

わたしはすぐさま吹っ飛ばされた織斑に追撃をかけるため、MIGHTY ACTION Xガシャットを抜き、一度ガシャコンブレイカーをハンマーモードに戻してからもう一度MIGHTY ACTION Xガシャットを差し込む。

 

『MIGHTY CRITICAL FINISH』

わたしは勢いよく跳躍し、織斑目掛けてエネルギーを纏わせたハンマーを振り下ろす。

 

「うう、もう一度零落白夜で…はっ、れ、零落白夜!」

慌ててガードに入るが、時既に遅くもう当たる直前だ。よしこれで決まり…

 

『織斑機、シールドエンプティー。勝者、布仏 本音』

そんな音声が流れるが、一度勢いよく振り下ろしたものは急には止まらない。そのままガシャコンブレイカーが織斑にぶち当たる。

 

「う、うわあ?!」

そんな声を上げながら、織斑は地面に叩きつけられる。

 

「や、やっちゃった(汗)。おーい、織斑ー。大丈夫?」

そう織斑に呼びかける。

 

「何だ〜。気絶してるだけか。」

しかし、このままにしておくわけにもいかないためわたしは織斑を抱えてAピットまで戻る。ところでシールドエネルギーがゼロの状態で必殺技をくらったのに気絶で済むってこいつ防御方面には姉と同じ人外クラスのスペックあるんじゃないか?と思いながら…

 

一方、観客席ではあんまりな決着と事故的に起こったオーバーキル、そして3頭身のゆるキャラに運ばれる男。そんな風景を見せられた観客はシーンと静まり返るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?戦闘シーン書くの本当に難しいです。次回はあの子の登場まで行きたいなあと思っています。あくまで予定なのでどうなるかはわかりませんが。とにかく今後もこの作品をよろしくお願いします。

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