IS 幻夢vsIS   作:稲葉 優

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お気に入り登録20件突破ありがとうございます。戦闘シーンをお待ちの方はもう少しで戦闘まで行くので待っていて下さい。それでは第3話どうぞ


クラス代表を決めよう

簪side

 

篠ノ之さんとオルコットさんに振り回されて午前中からかなり疲れた私は早く終わって欲しいと思いながら午後の授業を受けていた。担当は担任(笑)だ。そして、担任(笑)は授業中に面倒な問題を持ち込んできた。

 

「そういえば、クラス対抗戦に出るためのクラス代表をまだ決めていなかったな。誰かいないか?自薦でも他薦でも構わんぞ。ただし他薦されたものが降りることは許さんからな。」

いやいやそんなこと授業中に決めることじゃないでしょ。終礼にでも決めればいいものをなぜ今決めようとするのか。しかもクラス代表というのはクラス対抗戦に出るだけでなく、クラスの雑用なども任される。つまり、学級委員みたいなものだ。当然自分でやりたがる生徒など上がるわけもなく、他薦も可能な状況なら…

 

「織斑君がいいと思いまーす!」

「賛成!!」

「折角男子がいるんだからちょうどいいしね。」

このように実力などは度外視でただ物珍しさで推薦する人が出てくる。特に唯一の男子生徒なんて格好の的だ。

 

「かんちゃ〜ん、やらないの?」

「面倒くさいし、まだ調整中のガシャットがあるし…」

そう、私が現時点で完成させた正規のガシャットは9本。プロトタイプのものも含めるともう少し作ってあるけど、まだまだ少ない。予備用の正規のガシャットを作らなければならない。それに目標を考えるとレベル3で対処できない事態があってもおかしくない。だから時間を多く取られるクラス代表なんてやっている暇はない。織斑君がいいと言っている人はかなり多く、クラス代表は織斑君で決まりかなと思っていた時、オルコットさんが怒りで身を震わせながら立ち上がり、まくし立てた。

 

「お待ちなさい!そのような物珍しさだけで下劣な男などをクラス代表に選ぶなどクラスの恥となるだけですわ!クラス代表にふさわしいのは実力から考えてもわたくしだと思いますわ!わたくしがこのような極東にまでわざわざ足を運んできたのはISの技術を学ぶためであって、決して曲芸を見に来た訳ではありませんわ!」

なら自薦すればいいのにしかもクラスの子がどれくらいの実力をしているかなんてわかるわけがないんだからネタ的解答の方が増えるに決まってるだろうに。しかし、オルコットさんはまだ収まらないのか続けて言う。

 

「みなさん!クラス代表とは実力を重要視して選ぶべきです、そしてそれはこのわたくしですわ!大体このような野蛮な国で過ごすこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で「うるせえ、イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずいメシの何年覇者だよ。」な、なんですってぇ?!!」

オルコットさんのセリフに怒ったのか、とんでもないことを言う織斑君。なんで自ら積極的に問題を起こそうとするのか高校生なんだからもう少し考えて発言すべきだし、侮辱に侮辱で返しても何の意味もないよ。あれかな?アッパレ国辱ボーイズとでも呼ばれたいのかな?

 

「はあ、もうさっさと決めてくれないかな。(ボソッ」

思わず口から本音が出てきてしまったが、小声だったしどうせ聞こえて…

 

「なんだと!」

「何ですって!」

どうして大声で喧嘩してるくせにこんなピンポイントで聞こえるのか。そして、二人は気に入らなかったのか私に突っかかって来た。

 

「あなたは悔しくないんですの?たかが男ごときにクラス代表を取られてしまいそうになってるんですのよ!」

 

「ところでオルコットさん、さっきから日本のことを極東だの何だの馬鹿にしてるけどISを生み出したのも世界覇者になったのも日本人だよ。つまりあなたは担任を馬鹿にしていることになるんだけど?あと代表候補生って国の代表としてここに来てるんだからさっきの発言はイギリスの日本に対する挑発だと取られてもおかしくないんだけど?そして、織斑君も貴重な男性IS操縦者なんだから発言には気をつけないとイギリスと日本の戦争に突入しちゃうよ。君が思っているより君の発言は重いんだから。」

織斑君は何も言い返せないのか黙ってしまった。しかし、オルコットさんは私の発言が気に障ったのか

「決闘ですわ!クラス代表の座をかけて私と勝負しなさい!」

 

「話はまとまったようですね。織斑君とオルコットさんは決闘でクラス代表を決めるようです。あとは日時とかを決めればこの話は終了…」

 

「何を言ってるんですの?あなたもやるんですわよ更識さん?」

 

「は?何言ってるんですか?私はただ喧嘩を仲裁しただけなのに何で巻き込まれてるんですか?」

 

「更識という名前で思い出しましたけど、あなたのお姉さんはIS学園の生徒会長ですわよね。わたくしの提案に乗らないなんてとんだ意気地なしですこと。所詮姉の生徒会長も意気地な…」

オルコットさんのその言葉は最後まで続けられなかった。なぜなら私がオルコットさんの席まで行き、彼女を机に叩きつけ首を絞めたからだ。

 

「おい、オルコット。私のことはいくら馬鹿にしてもいいがお姉ちゃんのことは馬鹿にするな!発言を取り消せ!じゃないとこの首へし折るぞ!」

私はそう言ってオルコットさんに睨みを効かせる。

「わ、わかりました。ですからその手を離して下さい。」

オルコットさんがそう言ったので私は彼女の首から手を離す。そして、一度クールダウンした私はオルコットさんに言う。

 

「わかった。その決闘を受ける。あなたが負けたらみんなの前で土下座してもらう。」

私がそう言った直後、本音も

「あの〜、それわたしも〜参加していいですか〜。今のはちょっと〜許せないから〜。」

 

「よし決まりだな。オルコット、織斑、更識、布仏の4名はアリーナでクラス代表をかけた総当たり戦を行う。期日は1週間後だ。」

そう言って担任(笑)は授業を再開した。

 

IS学園は全寮制の学校で基本2人1組の部屋割りとなっている。普通ならそう困らないのかもしれないが私と本音、それにお姉ちゃんと虚さんはISと偽ったものを使っている。そのため下手な人と一緒になった場合何らかの要因でISではないとバレたら大変だ。そのため終礼の後、山田先生から寮の部屋の鍵をもらう時すごい不安だった。でもその心配は杞憂だった。なぜなら私と本音は相部屋だったからだ。

 

私と本音は割り当てられた寮の部屋である1116室に向かい、鍵を使ってその扉を開けると…

 

「は〜い、簪ちゃん。私にする?私にする?それともわ・た・し?」

そんなことをふざけながら言う私のお姉ちゃん更識 楯無がそこにいた。私は冷静にケータイ電話を取り出し、

 

「もしもし、虚さん?今私と本音の部屋にお姉ちゃんが…」

 

「ストーップ!簪ちゃん。何でもするからそれだけはやめて〜!」

あんまりにも必死に懇願するので虚さんへの通報はやめて私と本音はお姉ちゃんと一緒に部屋の中に入り、あんなことをした訳を聞く。

 

「それで何であんなことしたの?お姉ちゃん?」

 

「だって簪ちゃんが私が馬鹿にされたからクラスで怒ったって聞いて…それでお姉ちゃん嬉しくて感極まっちゃって…」

うっ、あれ噂されちゃったんだ。まぁそりゃそうだよね、いきなり同級生の首絞めるとか明らかにやりすぎだよ。

 

「そう簪ちゃんが!私の!ために!怒って!くれたの!」

 

「お、お姉ちゃん?!や、やめて!そ、そんな大声で言わないでよ。は、恥ずかしい…」

私がお姉ちゃんのことを馬鹿にされたことでよっぽど嬉しかったのかわざわざ区切りつつ大声でそんなことを言い出す。私はそれに顔を赤くしてやめるように言う。この件をこれ以上続けるとお姉ちゃんが暴走すると思い、私は気になっていたことをお姉ちゃんに聞く。

 

「と、ところでお姉ちゃん私と本音が一緒の部屋になったのってもしかしてお姉ちゃんの仕業?」

そう私が言うとお姉ちゃんが胸を張って

「そうよ。私が簪ちゃんと本音ちゃんを一緒の部屋にしたの。生徒会長権限でね♪ちなみに私と虚ちゃんも同室よ。簪ちゃんの発明がISじゃないってバレたら面倒だしね♪」

 

そう言ってお姉ちゃんは何もない空間に手を突っ込んで中から緑色の

歪な長方形のような形をしてその正面にはピンク色の扉のように開くレバーが付いている。そうこれこそ私が開発したISを超える物『ゲーマドライバー』だ。これの正面から向かって右側には2つスロットがあり、このうちの左側にガシャットを差して変身することができる。右側のスロットにもガシャットを差せるのだが左側のスロットにガシャットが入っていないと意味がない。2本差した状態だとどうなるかそれはまだ秘密だ。ちなみにこれを常に持ち歩くのはさすがに大きいので難しいため、普段はISの武器を収納する空間であるバススロットと言われるものの応用で亜空間に保管してある。

 

「やっぱり簪ちゃんの作ったものだけあるわね♪これ使いだしてから負けたことないもの私♪簪ちゃん以外にはだけど…」

 

「システム開発者なんだから負けたらダメでしょ。一応お姉ちゃんより長く使ってるんだし。それより戦闘データ取らせてお姉ちゃん。」

私がそう言うとお姉ちゃんはポケットに入っている青色のガシャットを私に渡した。受け取った私はすぐさま解析に回り、本音もその手伝いをする。すると一人になったお姉ちゃんが

「あの〜、簪ちゃん。せっかくお姉ちゃんと一緒にいるんだからもう少し…」などと言ってると

 

「ここにいたんですか、お嬢様。」と言ってお姉ちゃんの背後に眼鏡をかけてヘアバンドをした人が現れる。この人は布仏虚さん、本音の姉でこちらも本音同様いわゆるメイドさんである。普段からサボり癖のあるお姉ちゃんに振り回されつつもなんとか生徒会をまともに機能させている苦労人。ちなみに私と本音は生徒会に入る予定である。この学校の生徒会は選挙で決めるのではなく生徒会長は生徒の中で最も成績の優秀で強い人がなり、役員は生徒会長が自分の手で選抜する仕組みになっている。どう考えてもこれだと身内贔屓だったり能力度外視の仲良しグループみたいな生徒会になりそうなんだけどなぜかこれで今まで成り立ってきたらしい。不思議なものだ。

 

「さーて、行きますよ。お嬢様、まだ今日中に片付けなくてはならない書類が残っているんですよ。それを片付けないと休日に出てこなくてはいけなくなりますよ。その日は弾さんとデートの約束をしているんですから。(ボソッ」

 

「虚ちゃ〜ん、それ主に自分の都合だよねぇ?!まあそりゃ勝手に書類仕事を抜け出したの悪いと思ってるけどさ。せめて、あと少し簪ちゃんと戯れたいの〜。というかなんで私がここにいるって分かったの?簪ちゃんの通報は止めたのに」

そういえば私は虚さんへの通報を止めたのになんで虚さんはここに来れたんだろう?

 

「それは〜かんちゃんと〜おじょうさまが〜話している間に私が〜お姉ちゃんに〜ケータイで〜連絡したからだよ〜。」

私の隣で作業をしながら私の心の声を見透かしたかのように本音がそんなことを言う。犯人はこいつか!

 

「ちょ、本音ちゃん。なんで通報してるの?!私行ったよね?!通報しないでって?!」

 

「だって〜、おじょうさまが〜ここでサボってると〜おねえちゃんと〜ダンダンの〜デートが〜できなくなるから〜おねえちゃん一週間前から〜鏡の前で今度のデート〜何着て行こうか〜ずっといろんな服出して〜ファッションショーするくらいに〜楽しみにしてるのに〜」

 

「ほ、本音?!な、何を言ってるの?!わ、私はそんな…」

本音の発言に虚さんが顔を真っ赤にして否定する。そんな風に否定しても説得力ないです。というかそんなのもはや周知の事実だと思うんだけど。虚さんが弾君と付き合ってて毎回のデートのたびにそんな風にしてるのって。まあそう言うことなら仕方ない。お姉ちゃんが私のところに来たのはまあ私と話したいからがほぼ8割だろうけど今この部屋にいるのは私が戦闘データ解析のためにお姉ちゃんのガシャット取っちゃってるからだしと思い私は急いで戦闘データ残って解析を進めて終わらせる。そして虚さんに言う。

 

「今、戦闘データの解析が終わったからお姉ちゃんに返すね。あと虚さん、私と本音も手伝いますその仕事。お姉ちゃんがここにいたのは私への事情説明とかもあるのでほら行くよお姉ちゃん。」

 

そう言って私と本音はお姉ちゃんを引きずりながら生徒会室に向かう。そして、生徒会室についた瞬間私と本音はその量に驚く。

 

「えっ!これだけ全部今日中にやるんですか?!いくらなんでも多すぎません?!」

そう私と本音が生徒会室に入った瞬間目に飛び込んできたのは私の身長の倍はあるだろう書類の山だからだ。でも今日はまだ学校が始まった初日のはずだここまで溜まるはずがない。

 

「実はお嬢様、春休みの間簪さまと遊ぶために春休みに処理する予定の書類を先延ばしにしていたんです。」

虚さんがそう言うと同時に私ははあとため息を吐いた。道理で春休み中よくお姉ちゃんが一緒にいたなと思った。

 

「虚さん、なんでそんなお姉ちゃんを止めなかったんですか?」

 

「実は『春休みは簪ちゃんと目一杯遊ぶ代わりに新学期になったら頑張るから』などと言っていたので…」

 

「まあまあ〜、そんなことを言う前に〜早く〜終わらせないと〜日が暮れちゃうよ〜」

確かに本音の言う通りだと思い、私達はすぐさま書類の処理に取り掛かった。

 

夜8時ようやく書類の処理が終わり、私と本音は生徒会室を出た。お姉ちゃんは虚さんに説教されている。私と本音は食堂に行き、夕食を取り寮の部屋に帰る途中に生徒会室からスッキリとした表情で出てくる虚さんとまるで何かに恐怖しているかのようなお姉ちゃんに会った。

 

私と本音は慰めようとお姉ちゃんに近づくと

「わ、私はあと何回怒られるんだ!?次はど……どんな理由で……『叱って』来るんだ!?私は!私はッ!私のそばに近寄るなああーーーッ」などと言ってきたため、今日は触れてはいけないと思い私と本音はすぐさまその場を立ち去り、部屋に戻りすぐさま部屋のシャワーを済ませたあと一体どうしたらあんな状態になるのかと虚さんに恐怖しながら私と本音は眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 




see you next again…

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