シャルロットside
鈴音達の試合が終わり、次は僕たちの番になった。なのでセシリアに声を掛けるとセシリアは本を読んでいた。
「セシリア、それ何読んでるの?」
「ああ、これですか。これは今回のタッグマッチの件を実家のメイドに話したら是非これをと言って送られてきたものです。なんでも一流の戦術が載ってあるとか。」
「へぇー、そんなものがオルコット家にはあるんだ。それ見せてもらってもいい?」
「ええ、いいですわよ。」
そう言ってセシリアは僕に本を見せる。
「なになに、『獲物は逃すな!』『相手の誘いには絶対に乗るな!』そこまで目新しいものはないけど…」
そう思いページを次々とめくっていくと気になるものが一つあった。
「『円は直線を包む!』これだけよくわかんないね。」
「ええ、どういう意味なんでしょう?まあ覚えておいて損はないでしょうし。」
セシリアはそう言って本を閉じた。
「じゃあ行こうか。もうそろそろ時間だし。」
「そうですわね。どちらが先発にします?」
「セシリアだと遠距離対策されたら詰むから僕が先発に行くよ。少しでも情報を引き出してから交代するね。」
「ええ、よろしくお願いしますわ。」
そう言った後、僕とセシリアはアリーナに向かった。
僕とセシリアがアリーナのリングの上に行った時、もうミラーラビリンスの二人はスタンバイしていた。どうやら先発は…セミロングの方だから国津 レミさんか。
「じゃあ行ってくるね。セシリア。」
「ええ、行って来てください。」
僕はそう言うとポケットから紫色のガシャットと黄緑色のガシャットを取り出して起動スイッチを入れる。
『MIGHTY ACTION X』
『SHAKARIKI SPORTS』
「変身。」
そして、僕は2本のガシャットを指すと同時にゲーマドライバーの扉を開く。
『レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティ〜アクショ〜ンX!』
『アガッチャ!シャカリキ!シャカリキ!バッド!バッド!シャカっとリキっとシャカリキスポーツ!』
変身音が鳴り終わり、僕は仮面ライダーゲンムレベル3となる。
「ええええ⁉︎更識さん達と同じタイプのIS⁈代表候補生ってだけでかなり厄介なのに機体も高性能とか…やるだけやってみるけど…」
そんなことを少し弱気になりながらレミさんは呟く。
(ふふ、どうやらクラス対抗戦で簪達のを見てるからかなり警戒しているね。これなら…)
そう思いながら僕は右手に持ったホイールをぶん投げる。レミさんは慌ててこれを避ける。それと同時に僕は駆け出し、一気に距離を詰める。そして、チェーンソーとビームガンの一体化した武器『ガシャコンバグヴァイザー』を取りだして、袈裟懸けに切りつける。するとそれに合わせるかのように近接ブレードを取りだしてつばぜり合いをする。
「なかなかやるね。でも甘い…よ!」
「ぐはっ⁉︎」
そう言って空いていた腹部に向かって蹴りを叩き込む。それによってレミさんはロープに叩きつけられる。
「一気に行くよ!」
そう言って僕はレミさんのところへ駆け出す。
「それを…待っていた!」
そう言って彼女はトップロープを掴むとこちらへ向かって走り出す。そして、そのまま僕の首に巻きつけてから手をロープから離す。すると弾力でロープは元の位置に戻る。
「シャルロットさん!」
「おおっと行かせないよ!」
セシリアが僕を救出しようとリングに上がるもナギさんに邪魔される。
「くっ、そこをどいてくださいまし!」
そう言って持っていたビームライフル『スターライトmk3』をナギさんに向けて、撃つ。しかし、装甲がその一撃を弾いた!
「な、そ、そんな馬鹿な?!訓練機でビームを弾く装甲をしているなんてありえませんわ!」
「実は試合前、私達と同年代くらいの人が来てね。その人に渡された装置を訓練機に使ったらこうなったのよ。(ボソッ)」
どうやらセシリアの問いに対して答えたようだけど小声で言っているからよく聞き取れない。
「あんたはこっち!」
そう言ってセシリアをナギさんは僕とは逆側のロープに叩きつける。
「絶対にここを通られないようにする!」
そう言ってナギさんはISの拡張領域から何やら大きなガラスのようなものを取り出した。あれ確か対IS用の強化ガラス…まさか!!!!
「これが私達の作戦よ!」
そう言って取り出した強化ガラスをリングの中央にぶっ刺した。
『シャルロットちゃんとセシリアちゃんがリング中央のガラスによって分断されたぁ⁉︎』
楯無さんが言うようにこれで僕とセシリアは完全に分断された。なんとか合流して体勢を立て直さないと…そう思いながらロープを脱出しようともがくもどんどんと絡まっていく。
「ふふ、これでどれだけすごいISに乗っていたとしても負けは確定よ!」
そう言ってレミさんは動けない僕に対して拳で殴っていく。武器を使わないのは恐らくロープが切れて抜け出されるのを防ぐためだろう。僕はなす術なく殴られ続け、ゲージが半分を切った。
セシリアside
シャルロットさんと分断されたわたくしは攻めあぐねていた。装甲にビームが弾かれる以上このブルーティアーズの使える武装は近接用のレイピアとミサイル型のティアーズ2機のみ。しかもそれを分かっているからナギさんはずっとわたくしに対してライフルで射撃ばかりしてきます。なんとか避け続けていますけどこのままでは…
「そこっ!」
そんなことを考えていて気を取られ、ついに一発当たってしまう。でもこのくらいなら…そう思い、わたくしは再び回避に専念する。しかし…
「次はそこで…その次は…こっちだね!」
「え、嘘?!きゃあああ?!」
なんとその後面白いように次々と当てられていく。
「いくら逃げても無駄だよ!もうあなたの回避パターンは読めた!」
わたくしが右に避ければ右に、左に避ければ左にと的確に撃ってくるナギさん。ついにシールドエネルギーが2割を切ってしまった。
(このままではまずいですわ!ルール上、空を飛んで逃げるのも無理!どうすれば…そういえば射撃は偏向射撃でない限り直線の物…これですわ!でもそれをするにはスピードが…)
「ほらほらどうしたの?!このままじゃ負けちゃうよ!」
そう言って煽ってくるナギさん。こうなったらイチかバチかですわ!スピードが足りないなら…
「体を軽くすればいいんですわ!」
そう言ってわたくしは頭のバイザー以外のパーツを部分解除して右手にレイピアを持った状態となる。
「それがどうしたぁ?!これで終わりよ!」
そう言ってナギさんはトドメと言わんばかりに撃ってくる。わたくしはそれをなんとか避けて…
「『円は直線を包む!』ですわ!」
そう言ってわたくしはナギさんの周りを回転し始める。
「こ、これじゃ…狙いが定められない!でも相手のシールドエネルギーもゼロに近い!紛れ当たりでもすれば上々!」
そう言ってナギさんは乱射をしようと再び引き金に手をかける。
「そこですわ!」
「えっ、嘘?!きゃあ?!」
わたくしはライフルの発射と同時に銃口にレイピアを突き刺す。それによって暴発してしまい、ナギさんのライフルはわたくしのレイピアもろとも粉々になる。
「き、強化ガラスに拡張領域をほとんど使ったせいでライフル1丁しか持ってないのに〜」
「やはりあれだけ巨大な強化ガラスを入れるには相当な拡張領域を使ったようですわね!」
「でもそっちだって武器はもうミサイル2個だけだしこんなところでそんなもの使ったら真っ逆さまにリングもろとも落ちるよ!どうせこのまま逃げ切りすれば判定勝ちだよ!」
「ふっ、それが甘いのですわ!」
わたくしは回転を途中でやめ、ナギさんに向かって走り出す。そして、ナギさんを抱え上げ、左手でナギさんの右腿に手をかけ、右手でナギさんの首に手をかける。そして、頭をナギさんの背中にぴったりとくっつけその上で手に力を入れて反らせる。
「くっ、なるほど私を失神させて勝とうってわけ…でも英国のお嬢様のセシリアの腕力じゃあいつまで経っても失神になんかなりはしないわよ!」
そう言ってナギさんはなんとか逃れようと必死にもがく。
「そんなことは承知の上!ですからここはリングを利用させていただきます!」
わたくしは飛び上がり、強化ガラスに向かっていく。そして、空中でナギさんごと回転してナギさんの体がロープ側に来るようにする。そして、わたくしは全身全霊の力で強化ガラスを蹴り、そのままロープに向かって突っ込んでいく。
「これがわたくしの…執念の一撃!」
そして、ロープに激突!わたくしの手に加えてロープが首と両腿を締め上げる。
「ぐげらぁ?!」
奇妙な規制を上げるとナギさんの声は聞こえなくなる。そして、リングに倒れこむ。やがてわたくしも力尽きて、手をナギさんから離してリングにくずおれる。すると会長のアナウンスが聞こえる。
『鏡ナギちゃん、失神によりセシリアちゃんの勝利よ!』
そのアナウンスが聞こえ、わたくしはホッとしてしまい、立ち上がれなくなる。
(シャルロットさん…わたくしは勝ちましたわ。後は頼みましたよ…)
少し時を遡ってシャルロットside
「うわああ?!なにこの揺れ?!」
ロープに絡まって身動きの取れない僕は突如として現れた大きな揺れに驚いた。
(びっくりした〜、あっ、今の衝撃で左手が自由に…幸い今の衝撃にレミさんは気を取られている。これなら…)
僕は今のうちと思い、ドライバーについているシャカリキスポーツガシャットをキメワザスロットホルダーに差す。
『SHAKARIKI CRITICAL STRIKE』
すると先ほどレミさんに投げてそのまま地面に落下していったホイールが動き出す。
「そうはさせないわ!」
どうやらレミさんに気づかれたようで彼女はロープを切らせまいとロープ際まで駆け寄り、ライフルでホイールを迎撃しようとする。しかし、僕はホイールを操ってその攻撃を避け、彼女を吹き飛ばす。そのうちに僕はホイールで僕を絡め取っていたリングロープを全て切り裂く。
「しまった?!」
リングロープを切られ、動揺するレミさんに僕は後ろ回し蹴りを喰らわせ、仕切りとなっている強化ガラス目掛けて叩きつける。
『鏡ナギちゃん、失神によりセシリアちゃんの勝ちよ!』
(どうやらセシリアはきっちりと勝ったみたいだね、さっきの衝撃も多分セシリアが…なら僕も続けてトドメと行こうか。)
そして、僕はキメワザスロットホルダーのガシャットをシャカリキからプロトマイティに付け替える。
『MIGHTY CRITICAL STRIKE』
僕はそのまま叩きつけられたレミさんに向かって走り出し、飛び連続蹴りを喰らわせる。そして、体を縦に一回転させてオーバーヘッドキックで彼女を打ち上げる。そして、それを追いかけるように飛び上がり、最後に蹴りを彼女の腹部に叩き込んだ。
『国津 レミちゃん、シールドエネルギーゼロにより勝者シャルロットちゃん。これによりミラーラビリンス両者戦闘不能によりエンプレスズ2回戦進出決定よ!』
(やった!これで2回戦の鈴音達と戦え…る。)
そう思った瞬間、僕は倒れ込む。
(やっぱりずっと攻撃を受け続けた上でキメワザ2連発はきついな。これは要改善だね。致命的な隙になりやすいし。)
そうして僕の目の前は真っ暗になった。
???side
「ふっ、なんとか勝利したか。この程度の苦難乗り越えてもらわなくては潰しがいがない。」
あの女生徒達に対ビームコーティング装置を渡して、その効果を確認するために暗いアリーナの通路口で私は試合を見ていた。それ以外に目的はもう一つ。あの危機を脱した時の技、セシリア・オルコット、やはりお前はあの人の娘だったか。
「では用も済んだので帰るとしようか。」
「待ちなさい。」
帰ろうとする私に対して話しかけてくる者が一人、確かこいつは…布仏 虚。暗部に使えるものの一人…か。仕方ない、ここは取り繕うか。
「あの試合でミラーラビリンスのお二人が使っていた装置を渡したのはあなたですね。」
「な、何を言ってるんですか。私はただこの通路を歩いていただけですよ。なんでそんなことを疑われなくちゃならないんですか?」
私は弱気な声音でそう言う。しかし、布仏 虚はそれを聞いてほくそ笑む。
「それですよ。私はナギさんの声に対して読唇術を使ったから読めましたけど、なぜあなたがそのことを知っているんですか?しかも試合中、ナギさんは集音のためのマイクにも音が入らないくらい小声で言っていましたし。普通そこはどんなことが起きたのか聞くはずです。それを聞かないということは…当事者ってことですよ、侵入者さん?」
どうやら自分で墓穴を掘ったようだ。もはや隠しても無駄だろう。
「そうさ。私があの二人に装置を渡した。それならどうする?」
「話し合いで解決もしなさそうですし、実力行使です。」
そう言って布仏 虚は黄緑色の長方形のような物体を腰につけ、右手に黄色のゲームカセットを左手に黒色のゲームカセットを持つ。
『BAKUSOU BIKE』
『GIRI GIRI CHANBARA』
「変身。3速。」
『レベルアップ!ば〜くそう!独走!激走!暴走!爆走バイク!』
「ふっ、それが資料にあった仮面ライダーレーザーか。ならこちらも…来い、ゼフィルス。」
私はそう言って自分の愛機『サイレント・ゼフィルス』を装着する。
「行きます!」
そう言って布仏 虚はガシャコンスパロー(資料に乗ってた)で切りつけるように私に攻撃を仕掛ける。
(サイレント・ゼフィルスは遠距離型、この狭い空間なら不利…だけど)
「今の私にはこの技がある。」
そう言って私は脇を締めて、アゴを引き、両腕でボディから顔面を覆うように構える。
「そちらが防御をするならこっちはその隙をつけばいい!」
そう言って布仏 虚はガードの隙間を狙って下からの斬撃を決めようとする。しかし、私はガードの隙間を狙った下からのガシャコンスパローによる斬撃を両肘で挟み込み、ガードする。
「まだです!」
そう言って布仏 虚は右足で側面からの蹴りを叩き込む。しかし…
「ぐっ、しっかりと決めたはずなのに蹴った私の足の方が痺れて…」
「それはそうだろう。なんせこの技はパーフェクトディフェンダーと呼ばれているからな。」
「そんな?!完璧な防御などあるはずがありません?!」
そう言って私の両肘からガシャコンスパローを抜こうとする。
「無駄なことだ。そうらぁ!」
そう言って私はガシャコンスパローごと布仏 虚を投げようとする。しかし、直前で布仏 虚は手をガシャコンスパローから外して正面からのナックルを敢行する。
「一発一発の攻撃に対しては対処できても連撃にはそうは耐えられないでしょう!」
「狙いはいいが…真下がガラ空きだ!」
私はナックルの敢行でガラ空きのみぞおちに対してキッチンシンクを決める。
「ガハッ?!」
みぞおちにまともに入ったため、布仏 虚は疼くまくる。私はパーフェクトディフェンダーを解除して、布仏 虚に背を見せて立ち去ろうとする。そして、最後に伝言でも残しておくか。
「セシリア・オルコットに伝えておけ、お前は私が必ず倒すとな!」
「ぐっ、待ちなさい!」
そう言って布仏 虚は地面に落ちていたガシャコンスパローを拾い、私に次々と光矢を放つ。しかし、私はそれに対して背を見せてその場を走り去った。
虚side
「はあはあ、なかなかの実力者ですね。しかし、あのISといいセシリアさんのことと言いイギリスに何か恨みのあるものの犯行ですか?」
お嬢様に私が読唇術で読み取ったことを伝えた後、私は犯人を探してなんとか見つけられたのですが…取り逃がしてしまいました。
あのISは確か『サイレント・ゼフィルス』、オルコットさんのブルーティアーズの姉妹機として作られたイギリスのIS。そして、少し前に何者かに奪われたと情報が入ってきていましたが…
「それにあの侵入者の顔、あれは一体?」
私が光矢を連発したのは逃さないためじゃない。この通路の暗がりでよく見えなかった顔を確認するためだ。顔がわかれば探しようはまだある。でもその顔は…
「なんで織斑先生にそっくりだったんでしょう?」
その私の疑問に答える声は誰もおらず、ただ静かに通路の暗闇に溶けていった。
最後の人物は誰かわかりますよね?後この作品はタグにも書いたようにキン肉マン要素が非ライダー勢には多いのでISは武装使うかどうかすら怪しいです。ではまた次回お会いしましょう。