鈴音side
あたしはティナに向かって駆け出すと同時に掌底をティナの腹部に向けて放つ。するとティナは思わずのけ反りそうになるも足で踏み堪える。
「鈴音、今の掌底、結構痛かったわよ。でもその程度で私は負けられないのよ!」
あたしはそのままティナに向かって2発目の掌底を繰り出す。するとティナはあたしの掌底に負けじとナックルパートを仕掛けてくる。
『いった いった ハミルトンがいったーっ!!鈴音ちゃんの掌底連打に負けずにナックルパートを鈴音ちゃんに怒涛の勢いで仕掛けるぅ!』
やがて両者とも疲れたのかパートナーの元へと戻っていく。
「ラウラ、交代よ。あたしは疲れたから少し休むわ。」
「わかった。ゆっくりと休んでくれ。最悪、もう一人を倒してしまっても構わんのだろう?」
「あんた、そのセリフはやめなさい。あのティナがパートナーに選ぶほどだからそんな生易しい相手じゃないはずよ。」
「ははは…わかってるさ。では行ってくる。」
ラウラside
鈴音と交代した私はリング内に入る。相手もパートナーに交代するようだ。相手は…翔野 ナツコ、どれくらいの実力かわからない。だから確かめてやる!そう思い、私はすぐさまナツコの元へ駆け出す。するとナツコの方も私に向かって駆け出してくる。そして、リング中央で
私とナツコは組み合う。
「このずっしりとした重み、流石ドイツ代表候補生ね。」
「そちらこそなかなかの重みのようだ…なっ!」
その言葉と同時に私は組み合った状態からヘッドバットを放つ。
それに思わずよろけるナツコ。私はそれを逃さず、右手を弓なりに引き、あの技を放つ。
「ベルリンのぉぉぉ赤い雨ーっ!」
それに気づいたナツコは慌てて両腕をクロスして、ガードする。ベルリンの赤い雨を防いだナツコはすぐさま私の腹部に蹴りをたたき込み、ロープサイドまで押しのける。そのままナツコは追撃を仕掛けようとする。しかし、その時である。
ズズン
ナツコのISの両腕が両断され、地面へと落ちた。どうやらベルリンの赤い雨はしっかりと決まっていたようである。
「あ、危なかった。これをまともに喰らっていたら、一発でシールドエネルギー全損までいっていたわ。」
『な、なんとラウラちゃん、ISの絶対防御をベルリンの赤い雨で貫通したぁぁぁ!』
そんなアナウンスが聞こえるもそれを気にせず、ナツコは私に向かってくる。そして、私の身長に合わせるように姿勢をかがませる。
(おそらくタックルを狙っているのだろう、それなら向かってきたところを抱えて、バックドロップだ!)
そう思い、両腕を垂れ下がらせて隙を作る。しかし、私まで後2メートルもないといったところでナツコはかがませていた体勢を起き上がらせ、腕を私の首目掛けて突っ込ませる。
「ラウラ、その技は危険よ!」
鈴音のアドバイスに従い、慌てて両腕をクロスさせて首を守る。
「無駄よ!喰らいなさい、居合切りボンバー!」
私は居合切りボンバーとやらを喰らい、そのままロープサイドまで吹っ飛ばされる。そのまま追撃をかけようと私を飛び越して、ロープサイドの外を目指す。やがてロープに叩きつけられた私に対してロープを挟んで、ナツコは逆さの状態で自らの足を私の首に自らの手で私の両腕を掴む。
「ラウラ、今助けるわ!」
するとすぐさま鈴音が私を助けようとナツコに対して攻撃を仕掛けようとする。
「そうはさせないわよ!鈴音!テキサスコンドルキック!」
しかし、そんな鈴音をティナが両膝蹴りでロープ外から弾き飛ばす。鈴音は吹き飛ばされて地面に向かって落下していく。一方、ティナはロープにつかまり、落下を免れたようだ。
「グググ…鈴音!」
助けに行こうにもナツコにしっかりと技を決められており、動くことが出来ない。
「こうなったらイチかバチかよ!」
すると鈴音はしまっていた甲龍の衝撃砲を出して、地面に向かって撃つ。すると鈴音は衝撃砲の発射の勢いを利用して戻ってくる。そして、そのまま私とナツコに向かって一直線に突き進むってまさか…
「えい!」
そんな掛け声とともに私に技を決めていたナツコに頭から突っ込んだ。それによってロープとナツコの腕によって後ろに反らされていた私の体はナツコの体ごと押し上げられる。やがて私はナツコの下に下敷きにされた状態でリングに戻された。もちろん技は解けている。
「ゴホッゴホッ…」
「ラウラ、大丈夫?!」
リングに戻ってきた鈴音はすぐさま私の介抱をする。
「ああ、ただ次助ける時はもう少し優しく…」
「助けるのに必死でそこまで気遣えなかったわ、ごめん」
鈴音の手を借りて私は起き上がる。それと同時に私と一緒にリングに戻されたナツコもティナに抱き起こされて立ち上がる。やがて両タッグが向き合った形となる。
「第2ラウンドよ!鈴音!」
「ええ、こっからが本番よ!」
鈴音side
するとナツコとティナは同時に駆け出す。そして、ナツコは右手をティナは左手を差し出して手を繋ぐ。
「喰らえ!友情のクロスライン!」
「鈴音!」
「分かってる!」
その言葉と同時にあたしとラウラは地面に仰向けになり、向かってくる二人に向かって蹴りを放つ。すると二人は手を繋いだまま、空中に吹っ飛んでいく。
「鈴音!決めるぞ!」
「あたしはティナにあんたはナツコで!」
するとあたしはティナにラウラはナツコに追撃を加えようと飛び上がる。
「かかったわね!鈴音!ラウラ!」
「これは私達のツープラトンの布石よ!」
ツープラトン、簡単に言えば二人で行うタッグ技のこと。でも…
「そんな空中に飛ばされた状態で一体どうやってツープラトンを放つっていうのよ!」
そうこうしている間にもあたし&ラウラとティナ&ナツコの距離はどんどん縮んでいく。するとティナは右手をナツコは左手を繋ぎ、空中で両手とも繋ぎ、地面と平行に体を向ける。
「ナツコ、しっかり勢いつけてよね!」
「分かってるって!」
するとその状態のまま、二人はその場で回転し始める。するとその回転はどんどんと激しくなり、やがて大きな竜巻となっていく。
「これが私達のツープラトン、テキサスハリケーンよ!」
あまりの風圧にせっかく近づいていたあたしとラウラはリングに向かって叩き落される。その回転によって発せられるかまいたちにどんどんシールドエネルギーを削られていく。
「くっ、凄まじい風ね!でもこの竜巻の中から抜け出せば、ラウラ!」
一緒に竜巻の中を抜け出そうとラウラを見るとラウラは足を押さえてうずくまっていた。
「すまない、鈴音。さっきリングに叩きつけられた時に足をひねって…だから鈴音、お前だけでもこの竜巻の中から脱出するんだ!一人でも残ればまだ勝機はある!」
(確かにラウラの言う通り、ここはあたしだけでも…でもそんなことをしたらラウラが…)
(鈴音よ。)
あたしが思い悩んでいると師匠の声が聞こえてくる。
(し、師匠?!)
(何を迷っているのだ。鈴音!これはタッグマッチだ。一人だけ勝ち残っても意味はない。二人が足りないものを補い、支え合い勝利するのが真骨頂…今こそ見せてやれ!お前とラウラ二人の友情によるコンビネーションを!)
(分かりました、師匠!)
「ラウラ、あんたベルリンの赤い雨はまだ出せる?」
「ああ、ひねったのは足だから問題なく出せるが、それがどうかし…はっ、そういうことか!」
「ええ、行くわよ!ラウラ!」
そう言うとあたしはラウラの両足を脇に抱え込む。そして、そのままジャイアントスイングでラウラを振り回す。ラウラは振り回されている中、ベルリンの赤い雨を繰り出す。それによって空気とベルリンの赤い雨の摩擦で炎が生まれ、それは炎の竜巻を形成していく。
「ティナ、ナツコあんたたちがハリケーンならこっちは嵐よ!これがあたしとラウラのツープラトン、伯林大嵐波よ!行っけぇぇぇぇ!」
『なんと鈴音ちゃんとラウラちゃんが炎の嵐を形成したぁ!そして、テキサスハリケーンを押し返して行くぅ!』
やがて伯林大嵐波とテキサスハリケーンは中央で均衡する。
「やるわね!鈴音!でも勝つのは私達よ!」
するとティナとナツコはISの近接ブレードを展開するとそれを足と足の間に挟み込んで回転する。するとテキサスハリケーンが伯林大嵐波を押し返し始めた。
「近接ブレードを足に挟んで竜巻の直径を広げたのか!ならこちらも奥の手と行こう!」
ラウラがそう言うと今まで右手だけで発生させていたベルリンの赤い雨を左手にも宿し、両手を合わせる。それによって伯林大嵐波の勢いが増して、再び均衡状態になる。
「鈴音!ラウラ!私達には負けられない理由がある!それはたとえ専用機じゃなくても専用機に勝つことが出来るんだって証明する!それこそが私の望みよ!」
最後の一押しとばかりに勢いを増すテキサスハリケーン。
「ティナ、あんたに負けられない理由があるようにあたしにもあるわ!ラウラを…あたしの最大の好敵手を…頂点まで持って行って…決してラウラは自分の師匠に劣っていないってことを証明してみせる!これが最後の正念場よ!」
するとあたしの体の奥底から力が漲ってくる。これクラス対抗戦の時の…、今なら行ける行っけぇぇぇぇ!!!!どんどんテキサスハリケーンを押し返して行く。そして…
『鈴音ちゃんとラウラちゃんの嵐が竜巻に押し勝ったぁ!!一方、ティナちゃんとナツコちゃんはテキサスハリケーンの体勢が空中分解!!!!』
「ラウラ、行っけぇぇぇぇ!!!!」
あたしはそのままラウラをジャイアントスイングでナツコの方に目掛けてぶん投げる。あたしはそれを追うようにジャンプしてティナの方に向かっていく。
ラウラはナツコの顔を左手で掴み、そのまま落下していく。対するあたしはティナを肩車の体勢に捕らえ、ティナの頭を下に向けて真っ逆さまに落下していく。
『鈴音ちゃんはティナちゃんを九龍城落地の体勢に、ラウラちゃんはナツコちゃんをゾーリンゲンの鈍色刃の体勢に捕らえたぁ!』
あたし達は何も言わずにラウラはあたしの九龍城落地の落下地点にナツコの頭が来るように空中で横移動する。一方あたしもナツコの頭の位置にティナの頭が落下するように調整する。
「「喰らえ!これがあたし(私)達のツープラトン、九龍頭喰撃!!!!」」
『リングの上でティナちゃんとナツコちゃんの頭が激突ぅ!!その様はまさに龍が獲物を喰らうが如くだわ!そして、これでテキサスファイターズの両選手のシールドエネルギーがゼロに!よって勝者ザ・レッド・レインズ!!!!』
その放送が聞こえた瞬間、あたしとラウラは崩れ落ちる。シールドエネルギーは残りあと1割を切っていた。
「か、勝ったのか私達は…」
「ええ、ラウラ!優勝に向けての第一歩よ!」
そう言ってあたしとラウラは抱き合う。そして、少し経つとあたしとラウラはティナとナツコを抱えて、リングを降りる。下では担架が待っており、ティナとナツコは運ばれていく。そんな中ティナに近づく金髪の女教員、2組の担任だ。
「ティナさん、ナツコさん大丈夫?!」
「え、ええ大丈夫ですよ、先生。」
弱々しい声でティナがそう答える。
「あなたには謝らないといけないわね、ごめんなさい。急にクラス代表の変更なんかしちゃって…見せてもらったわ。専用機がなくても専用機に勝つ可能性はあるということを…」
「いいんですよ、先生。先生が分かってくれたということは私の伝えたいことは多分…会場の他の生徒にも伝わったと思うから…」
そう言った後、ティナは気絶する。そして、担架でそのまま運ばれて行く。先生はその場で泣き崩れる。
そんな光景を見た後、あたしとラウラはその場を後にした。
こうしてあたしとラウラの一回戦は終了した。
如何でしたか?ツープラトンの組み合わせを考えるのがすごく難しかった今回です。ちなみに伯林大嵐波はベルリンだいらんぱ、九龍頭喰撃はガウロントゥ バイトです。ではまた次回お会いしましょう