IS 幻夢vsIS   作:稲葉 優

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この小説もようやく10話という2桁の話数に到達しました。そして、お気に入り登録も130件を超え、UAも1万を超えました。これも皆様のおかげです。まだまだ未熟な作者ですがどうかよろしくお願いします。では第10話始まります。


クラス対抗戦!勝つのはどっち?淑女vsカンフー娘!

セシリアside

 

鈴音さんと会長さんの模擬戦が終わり、わたくしセシリア・オルコットは愕然としていました。それはもちろん鈴音さんのレベルの高さにです。相手は現役国家代表(わたくしは最近までヨーロッパのIS開発計画であるイグニッションプランで敵国となるドイツとイタリアの情報収集を徹底的に行っていたため、知りませんでしたが)であるにもかかわらず、会長さんのゲージを5割も減らしたのはすごいと思いましたわ。

 

多分、わたくしは鈴音さんには勝てないでしょう。ここで自惚れるほどわたくしは自分の分が分かっていないわけではありませんわ。でも負けられない、わたくしには負けられない理由があるのですわ。自分を奮い立たせる。

 

わたくしは鈴音さんの容態を見るため、簪さんと一緒に保健室に向かう。そんな時、ふとわたくしに先ほどの模擬戦での疑問が浮かび上がる。烈火太陽脚?でしたっけ?あの技最初に使った時と2回目に使った時とで威力が変わっていたような?何故か怪我した後の2回目の方が威力が高かったのですけど。まあそんなことはどうでもいいですわ。わたくしはふと浮かび上がった疑問を心の中にしまい、急ぎ足で保健室に向かった。

 

6日後

簪side

 

私は第2アリーナのBピットにセシリアと本音とともにいた。

 

「セシリア、頑張ってね。」

 

「ええ、特訓の成果見せてあげますわ。だから応援していてくださいね。」

 

「うん、わかった。」

 

「うんうん、特訓の成果見せてやれ〜。そして〜優勝して〜学食デザート半年無料券を〜」

 

「もう本音、欲望だだ漏れだし、特訓のうち半分くらい寝てたでしょ。本音も特訓をつけるよう頼まれたのに。」

 

あまりに欲望だだ漏れの本音に呆れる私だが、セシリアは笑って

 

「ええ、そうですわね。そのためにも優勝しなければなりませんわね。では行ってきますわ。」

 

セシリアはそう言ってカタパルトに乗り、

 

「セシリア・オルコット、ブルーティアーズ発進しますわ。」

 

そう言ってピットから出て行った。私はそれを見届けた後、本音とともに観客席に向かった。

 

セシリアside

わたくしがアリーナに出た時、鈴音さんはもうすでにスタンバイしてわたくしを待っていました。

 

 

「来たわね、セシリア。あんたと簪との模擬戦の映像、見せてもらったわ。どうやら近接戦闘を訓練したみたいだけど、そんな一朝一夕の技術で勝てるほどあたしは甘くないわよ。」と鈴音さんは不敵な笑みを浮かべて言ってくる。あの後、わたくしと簪さんの模擬戦の映像を会長さんに撮ってもらって鈴音さんに見せました。鈴音さんが手の内を全部見せた上で勝つというのならこちらも全て見せたうえで勝たなければなりませんものね。

 

「ええ、もちろんそれだけで勝てるとは思っていませんがわたくしには負けられない理由がありますの。だからこの勝負勝たせていただきますわ。」

 

『3…2…1…試合開始!』

 

そう言われた瞬間、わたくしは鈴音さんに向かってビームライフルを撃つ。しかし、鈴音さんはそれを上空に上昇して華麗に避ける。

 

「そうはさせませんわ。」

わたくしはビームライフルを撃ったと同時に空中に待機させていた2機のビットを使い、鈴音さんの迎撃を行う。ライフルとビットを同時に使うことは出来なくてもライフルを使いながらビットを移動させるくらいは出来ますわ。しかし、流石鈴音さん、全てとは言わずともほとんどビットによる攻撃を避けていますわね。

 

「ああ、もう鬱陶しい。」

そう言うとビットがへしゃげながら爆発を起こす。衝撃砲でしょうね。爆風が晴れると鈴音さんがいない?!一体どこに?

 

「ここよ。」

 

そう言って鈴音さんはわたくしの下から手に持った双天牙月でわたくしをかち上げるように振る。そんな?!ハイパーセンサーに反応がなかったのに…。思わぬところから現れた鈴音さんの攻撃をまともに食らってしまうわたくし、そのまま鈴音さんは

 

「百戦百勝脚!」

 

そう言うとわたくしに蹴りで追い打ちをかけてきました。アリーナ天井までそのまま吹き飛ばされるわたくし。しかし、スラスターを全力で吹かせ天井の直前で止まる。そのままアリーナの天井を蹴りながらスラスターで全力加速しタックルをかます。わたくしの思わぬ行動に動揺した鈴音さんはわたくしと縺れ合いながら地上に向かって落下していく。しかし、激突直前で踏みとどまる。その後わたくしから距離を取り、体勢を立て直す。わたくしもその間にライフルで追撃をするが、鈴音さんはバックステップでさらりとかわす。

 

息を整える時間稼ぎも含めてわたくしは鈴さんに聞く。

「鈴音さん、何故あの時センサーに反応せずわたくしに接近することができましたの?」

 

「簡単よ。あの爆風の中、自分でISの展開を解除して自然落下してセシリアが爆風に目を向けているうちに地面ギリギリでISを展開して落下を防ぎ、再度ISの展開を解除して自分の足で助走つけて飛んだ上でISを展開して急接近したってわけ。」

 

「し、試合中にISの展開を解除するですって?!しかもその方法最初の自由落下の時に失敗すれば死んでますわよね?!」

 

「これくらいあたしの師匠の元で修行すればつく度胸よ。あの人、あたしが早く師匠に追いつこうと体の負荷を考えずに修行した後、何したと思う?」

 

突然の鈴音さんの問いかけに戸惑いながらわたくしは答える。

 

「えっとすごく怒られたとか?」

 

わたくしのその答えに鈴音さんは首を横に振りながら

「違うわ。師匠はね、修行から帰って来たあたしを容赦なくボコボコにしたのよ。怪我を負って回復を待たなきゃ修行出来ないくらいにね。」

 

「な、何もそこまでしなくても…せめて休めと口で伝えれば…」引きつった顔でそう答えるわたくしに

 

「確かにやりすぎと思うわよね。でも多分師匠は分かってたんだと思う。あたしがそれで聞くような人間じゃないって、だから強制的に休ませるためにあたしをコテンパンにしたんだと思う。でも危なかったわよ、夢の中であたしの爺ちゃんが川の向こうでおいでおいでしてたもの…。」そんなことを後半遠い目をしながら言う鈴音さん。というか臨死体験をすればそりゃ度胸はつきますわよね?!

 

「ところでセシリア、息は整った?」

 

そう聞いてくる鈴音さん、ばれてましたか。

 

「ええ、もう大丈夫ですわ。しかし、これまでの戦いでわかりましたわ。あなたに遠距離武器で攻撃を当てるのは至難の技だと…だから…」

そう言ってわたくしは右手のビームライフルとをしまい、代わりに新しく加えた近距離武器レイピアを出す。

 

「ここからは剣で勝負ですわ!」

 

「上等よ!覚悟しなさい、セシリア!」

そう言って鈴音さんも双天牙月を構える。

 

互いに目を合わせた瞬間、二人とも真っ向から加速して突撃する。鈴音さんは上段袈裟斬りをわたくしに出す。わたくしはあえて加速し、振り切る前にレイピアで鈴音さんに連続突きを浴びせる。しかし、鈴音さんはすぐさまスラスターを吹かせ、後ろに下がる。

 

「これでもくらいなさい!」

距離をとったかと思った次の瞬間に衝撃砲を連発する鈴音さん。まるで弾幕のように張られた衝撃砲の壁の前にどんどんシールドエネルギーを削られていくわたくし。せめて弾丸が見えれば…そうですわ!

 

わたくしはその場で回転してアリーナの地面の砂を空気中に散らばらせる。すると…見える!衝撃砲が!わたくしはそれによって次々と衝撃砲をかわしていく。

 

すると鈴音さんの声が聞こえる。

「考えたわね、セシリア!でもこの状態じゃ…」

まさかと思い、すぐ振り返った時にはもう遅かった。

 

「あたしの姿は見えない!心突錐揉脚!」

錐揉み回転をしながらわたくしにドロップキックを繰り出す。わたくしは反応が間に合わずアリーナの壁に叩きつけられる。

 

「烈火太陽脚!」

すかさず追撃してくる鈴音さんの攻撃から逃れようとスラスターを全力で吹かせ、右に全力で回避する。

 

「それは読めてたわよ!レッグラリアート!」

鈴音さんはスラスターを横に吹かせて無理矢理に飛び蹴りである烈火太陽脚を回し蹴りであるレッグラリアートに切り替える。わたくしは慌てて両腕を目の前に持ってきてガードの体勢を作る。しかし、勢いを殺しきれずに後ろに下げられる。

 

するとここまでの戦闘の疲労で肩で息をする鈴音さん。先ほどのわたくしと同様に時間稼ぎのつもりか質問をしてくる。

 

「セシリア、あんた確か試合の最初に負けられない理由があるって言ってたけどそれってどういうこと?」

目的は分かっているがあえてわたくしはそれに乗る。先ほどわたくしも同じことをしましたしね。

 

「ええ、鈴音さんは知らないでしょうが実は1組ではクラス代表を決める時に少々もめてしまいまして…まあわたくしが原因なのですけど…」

そう言ってわたくしはあの時のことを思い出す。あんな発言をするなんてどれだけ自惚れていたのでしょう、わたくし。

 

「ああ〜、そういえばクラスメイトが言ってたかもなんか誰かが日本を馬鹿にする発言してそれでクラス代表決めで揉めたって…その日本を馬鹿にした女子ってその言い方だとあんたでしょ、セシリア。」

 

鈴音さんの言葉に首を縦に振りながら肯定するわたくし。

「ええ、それに怒ったのか織斑さんがイギリスを馬鹿にする発言をして…そしてその仲裁に簪さんが出たのですけど…」

 

「大方逆ギレしてクラス代表決定戦へ…って感じかしら?」

鈴音さんの的を射た発言に図星をつかれるわたくし。

 

「そ、その通りですわ。それで結果としてはわたくしは簪さんに負け、クラス代表にはなれないはずでしたの。もう一人の当事者の織斑さんはわたくしが簪さんへの挑発についお姉さんのことを言ってしまったことが許せなかった本音さんにやられてしまって…」

 

「結論としては多分勝者の2人がセシリアに代表を譲っておこぼれ的な感じとしてクラス代表になったってことでしょ?織斑に関しては大方なんかやらかしたんでしょ?あいつ中学の時から肝心要のところでヘマしてきたし…」

わたくしが最後まで言い終わる前に結論を言ってしまう鈴音さん。しかも大体合っているのがすごいですわ。

 

「その戦いの後、わたくしはクラスの人たちと簪さんに非礼をお詫びしましたの。クラスの皆さんと簪さんは快くそれを許してくれた。だからこそ…」

 

「この試合負けるわけには行きませんのー!!!!」

 

わたくしがそう言った瞬間、わたくしの体が金色の光に包まれる。それにわたくしはもちろん鈴音さんも驚くが、すぐに元の顔に戻って…

 

「なるほどね、確かにそれは負けられないわね。でもこっちだってクラスの期待を背負っているのは同じよ!!!!!」

すると鈴音さんの体が炎に包まれる。わたくしは一瞬驚くもすぐに鈴音さんに向き合って

 

「どうやらそれが鈴音さんの全力のようですね。でもわたくしだってこの金色の光に包まれてからすごく体の調子がいいんですの!だからこそ鈴音さん、あなたを破って見せますわ!」

 

「それはこっちのセリフよ!セシリア、あんたの全力を倒してあたしが勝ってみせる!」

 

「「これが最後の勝負よ!!!!!」」そう言ってわたくしと鈴音さんは同時に駆け出す。

 

ズッズーン

 

急に何か降り立ったような音が聞こえる。わたくしと鈴音さんが振り向くとそこには……

 

全身が黒色で蜘蛛のような不気味な顔をしたISがいた。

 

 

 

 




鈴音の一人称をあたしにすることにしました。理由としてはこの後出てくるキャラ達も私を使うキャラがいるため、書き分けが厳しくなると思ったからです。後セシリアと鈴音の途中のパワーアップらしきものですが、鈴音の師匠が誰かわかれば自ずと分かるはずです。ではまた次回お会いしましょう。

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