始まりの時
「よし、あとはこのデータを入れてっと、完成」
暗い整備室の中で水色の髪に真紅の瞳を持ったショートカットの少女がそう呟いた。
「黎斗に伝えに行こう」そう言って少女は整備室の中から出て行った。
そして、整備室を出てすぐの廊下で目的の人物に会うことができた。
「あっ、黎斗ちょうどよかった。ようやく完成してんだよ。ISを超えるかもしれないものが」
「それは本当かい。簪が作り始めてから3年とうとう完成したのか。これでようやく計画が実行できるね。」
「うん、これで今の女尊男卑の世界を変えられるよ。ありがと、黎斗。黎斗がいなかったら、私絶対に諦めてたからISを超える物を作るなんて。」
「いいや、そんなことないよ。僕はただ幼馴染として純粋に君の作るものが見たかったし、何よりもこれで簪の悩みも解決だね。ところで刀奈さんと布仏姉妹は協力してくれるって?」
「うん、お姉ちゃんは女尊男卑家じゃないし、私の考えも別に間違ってないから協力するって。虚さんと本音も女尊男卑には否定的だったし、特に虚さんは弾さんとの交際を考えたら女尊男卑のない社会の方がいいって言ってすごい積極的だったよ。本音も弾と虚さんの交際には賛成だからそのために協力するって言ってた。」
「とりあえず何個できたの?それによっては計画の賛同者を増やして戦力を増強することが出来るんだけど。」
「まだ5個しかできてないから黒斗と私、お姉ちゃん、そして虚さんと本音の分しかできてないよ。その代わり、ガシャットはレベル3分は全員分できたけど。」
「デモンストレーションはどうする?どこで行おうか。白騎士事件みたいにやるとISの二の舞だし、何より女性権利団体に狙われてしまう。いくら、性能が良くてもさすがに10も20も来られたら、たまったもんじゃないしね。」
「うん、だからあえて私は発表する場はもう決めてあるんだ。木を隠すなら森の中っていうし、仕様ですで通せば、わかんないしね。」
そう言って私は黎斗にあるパンフレットを見せる。
それを見ると黎斗は「なるほどね。確かにここならより多くのIS使用者に衝撃を与えられるし、何より情報を集めやすい。なかなか考えたね、簪。それで全員でここに入るのかい?僕は男だから潜入方法が限られるけど。」
「いいや、黎斗には外部で動いてもらおうかなって思ってる。」
「了解。確かに全員で行くと万が一取られでもした時に対抗手段がなくなる。わかった、僕は裏方に徹するよ。」
「うん、お願いね。私達は入学するからIS学園へ。」