オーバーロード 天使の澱 ~100年後の魔導国~   作:空想病

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最終話 -1 ~手~

/War is over …vol.05

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユグドラシルの最終日……あの時に、ゲーム内に存在していたものの中で、ある一定の条件下にあったモノが、この異様な異世界への転移現象に巻き込まれた。

 その条件とは、『ワールド』を冠する何かを付属していること。

 または、それと密着している状態にあったこと。

 世界級(ワールド)アイテムを保有しているプレイヤー……ギルド拠点……または、アイテムが単体で、この異世界に転移する。世界級(ワールド)アイテム保有者──あるいは世界級(ワールド)アイテムを蔵するギルド拠点のメンバーは、突然の状況に混乱し混沌となり、異世界での生になじむことなく生涯を終えるか、あるいは暴虐と擾乱の運び手として君臨するか──ひとつの種の保存のために、その首都は別のまったく違う者たちへの戦争と破壊を強行するなどして、自らの地位と命運を盤石なものとして来た。その最たる例こそ、“六大神”。絶滅の憂き目にあっていた弱小種族(ニンゲン)を守るという大義名分のもと、そのほかの種族──亜人や異形を排斥したプレイヤーたちがいた。さらにはワールド級の職業(クラス)……ワールドチャンピオンも、後の世に伝わる“八欲王”として、この異世界で尋常でない災禍を巻き起こし、過日の伝説として語り継がれてきた。

 さらに、世界級(ワールド)アイテムの保有者であるプレイヤーのみならず、世界級(ワールド)アイテムが“単体”で、あるいはそれを蔵した──世界級(ワールド)アイテム所有者の私物と同義とみなされた拠点などが転移し、それを現地の存在が発見・発掘したことで、世に混乱が巻き起こることも、ままあったようだ。

 そんな中で。

 最悪にして災厄そのものと言うべき存在が、世界の敵──ワールドエネミーの存在である。

 

 

 

 

 アインズ・ウール・ゴウン魔導国とギルド:天使の澱(エンジェル・グラウンズ)

 両者は協力関係を締結することで合意した。

 アインズは、カワウソというプレイヤーを魔導国に迎え入れ、天使の澱という100年後の異世界に現れた存在を『世界の盟約』に参画させた。

 

「この世界の盟約というのは、かつてこの異世界に流れてきたユグドラシルプレイヤーと、当時の現地人たち──僕の父、世界最強と謳われた“竜帝”、先代の白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)と交わした約定が基礎になっている」

 

 そう語るのは、アーグランド信託統治領を治める竜王──ツアー。

 ツアーの居住地たる朽ちた宮殿にて、椅子に座るアインズとカワウソ──そして、彼らの傍に侍る随従たるアルベドとミカを前に、始原の魔法(ワイルド・マジック)の最後の担い手たる竜王(ドラゴンロード)は説明を続ける。

 

「ユグドラシルとよばれるゲームの最終日。どういう理由でなのかは未だに不明だが、この異世界に転移してきた渡来者たちには一定の法則が存在している。100年ごとの転移期間の開きやユグドラシルのゲームルールに縛られるということ。人間種は人間種の、亜人種は亜人種の、異形種は異形種の姿形を備えたまま、こちらの世界にやってくる。

 そして、中でも重要なことは、君たちが何かしら「世界級(ワールド)」規模の要素を保有していること。さらに、世界級(ワールド)アイテムだけではなく、八欲王のようなワールドチャンピオンなどの職業(クラス)レベル保有者────そして、“ワールドエネミー”という最悪の災厄・善悪の区別すらない絶対の脅威が、この異世界に100年単位で転移してきていることだ」

 

 その事実を前に、ツアーの父たる竜帝などに代表される現地の住人や、当時のユグドラシルプレイヤーたちが協議を交わし、最終的に交わした契約というのが『世界の盟約』であった。

 当時、ツアーは幼いながらも、その調印式典に立ち会い、交渉の場を見届けたという。

 

「六大神以前にも、ユグドラシルの存在の影響はあったというのが、僕の父の見解だった。この世界でユグドラシルの力や法則が作用したり、そもそもにおいて転移者たちが現れたのも、あるいは『そういう風に設計した何者か』が存在したのではないかと──そうでもなければ、ゲームのアイテムなどが機能してしまうこと自体がありえないことだ。父は、六大神の前に存在していたユグドラシルの転移者たち──ユグドラシルの魔法システムに挿げ替えられる前の存在とも懇意にしていたことから、その推論に辿り着いたらしいが……まぁ、現状において確信に迫れたものは、ひとりもいないというのが実際のところだ」

 

 率直に「それは何故だ?」と訊ねる100年後の世界に現れたプレイヤー・カワウソに対し、ツアーは微笑を込めて説き続ける。

 

「世界は(あまね)く広い……僕の父や、父と同世代の“聖天の竜王(ヘヴンリー・ドラゴンロード)”と“常闇の竜王(ディープダークネス・ドラゴンロード)”たちですら、世界の真相には至れていない。何より、この世界の謎の“すべて”を調べるにしても、いろいろと問題が多すぎた。

 この謎を究明しようとすれば、あらゆる国家や大陸、あらゆる種族や一族、ありとあらゆる存在が、平等に公正に協力し合う必要が出てくる。国家、種族、思想と信仰、主義や主張の垣根さえ超えて団結するほどの意思がなければ、世界の謎をすべて解き明かすなど不可能なことだ。しかし、当時の人間と亜人と異形は、競い合い奪い合い殺し合うという生存競争に明け暮れ、とてもではないがひとつの意志の許で、ただひとつの事柄を探求するというのは不可能だった……かつては、ね」

 

 カワウソやアインズたちがいた世界でも、すべての物事が解明されていたわけではないように、この異世界にも未知は溢れかえっていた。

 しかし。今では大陸世界の全てが、アインズ・ウール・ゴウン魔導国という、錦の御旗の許に統合され、アインズという超越者の意志の許で動き続けている。

 魔導国が100年前に始めた、新たな冒険者たちの育成。そうして、今もなお冒険者は大陸に散り、多くは海洋へと飛び出し、いまだ明らかではない未知を調査・発見し続けているという事実。

 伝え聞く海上都市の存在──「夢見るままに待ちいたり」などの実在も、やがて明らかになるはず。ツアーの友──リーダーと彼女が偶発的に辿り着き、たった一度だけ協力関係を結んだという“眠り姫”。

 

「海上都市ね……大陸の周りは塩辛くない淡水の海って話だが……確か、アインズの持っている果実、アンデッドを受肉化させるというアレも、そこから流れてきた一品なんだよな?」

 

 カワウソは、アインズがモモン状態となっていた時のことを思いだす。

 女神であるミカの感知能力ですら、モモンを一人の人間・一個の生命と誤認させたほどの、アンデッドを受肉化させるアイテム。

 

「厳密には、それをナザリックで品種改良し、いろいろと手を加えて栽培したものだ。100年前、“重爆”という女冒険者チームが漂着し助けられ、帰還するときに持たされたものらしいが……俺も、この果実を初めて口にしたときは驚いた。こんなのユグドラシルには絶対に存在しないアイテムのはずだからな」

 

 アインズがボックスから取り出した白金と黄金のマーブル模様の果実。

 異形種プレイヤーは、人間種への転生はできないという、ユグドラシルの縛り(ルール)

 だが、アンデッドモンスター……その中でも骸骨(スケルトン)系統の存在に、人間の肉体を授けるというアイテムがあるというのは、確かに奇妙である。

 それを最初に造り出したとされる海上都市は、300年前の過去──十三英雄のプレイヤーたるリーダーたちと協力したこともあるというが、詳しくはよくわかっていない。リーダーたちは海難事故で遭難し、気を失って漂流していたはずが、いつの間にか海上都市の入り江に辿り着いていたらしいという。そこからどうやって大陸に戻ってきたのかも詳しくは覚えていないようだったと、当時をツアーは振り返る。

 

「二人を蘇生させ、〈記憶操作〉に一日の長がある天使の澱のNPC……ガブくんに当時の記憶を()てもらえば、いろいろと判るのかもしれないがな」

 

 そう提言するアインズ。プレイヤーであるアインズには色々と限界がある〈記憶操作〉の魔法であるが、NPCの専門家にやらせると目に見えて違う成果を獲得できる。

 しかし先日、そのリーダーと彼女の二人が、容易に蘇生できない事情は知らされていた。

 

「うん。そうなると、あとは──」

「ああ……僕たち全員の計画……“彼女”を復活させ、ワールドエネミーを生かした状態で、“彼女”の魂を救い出す。そして、ワールドエネミーを、今度こそ完全に打倒する」

「そうすれば、リーダーの蘇生拒否問題は解決し、ツアーの友人たちは完全に復活を遂げる。俺はツアーとの約束を果たせるわけだ。……しかし」

 

 アインズが唸るのも無理はない。

 ワールドエネミーを倒すというのは、生半可なことではない。

 何しろ相手は、最大人数六人からなるチーム六つで構成される軍団(レギオン)でも、苦戦を強いられる壊れ性能なボスモンスターだ。つまり、Lv.100の存在が6×6=“36人”態勢で挑んでも、勝率は圧倒的に低い。それ以下のLv.90台の戦力など、使い物にすらならずに殲滅される。体力を削るよりも先に全滅する可能性が高すぎるのだ。

 そして、アインズ・ウール・ゴウンの保有するLv.100の存在は、アインズを含めて10名。

 さらに、カワウソが率いる天使の澱の保有するLv.100の存在は、カワウソを含めて13名。

 両ギルドの戦略級攻城ゴーレム──ガルガンチュアとデエダラ。

 そこに現地最強と謳われるツアーが加わっても、合計で26……笑えるほどに戦力が足りていない(ちなみに、彼以外の竜王で絶対的な戦力になるもの──そして、戦いに参加してくれるものは、絶無。世界級(ワールド)アイテム持ちの“常闇の竜王”は、住居の洞窟から出るのを拒否している。世界の敵とやらにはまったく興味がないのだ)。

 そこで、打倒作戦にはナザリック最強と謳われる第八階層の戦力も投じたいところだが、いろいろと難がある。広域殲滅に特化した“生命樹(セフィロト)たち”=九つの星を戦力にカウントすれば35名。だが“ルベド”だけは、敵味方の区別がつかないので集団戦には使えない。かと言って個体で投入しても、ワールドエネミーを相手に孤軍奮闘させるのは分が悪い上、もしも敗北すればナザリックの貴重な戦力と資産が無に帰しかねない。せいぜい、最後の手段としてバックアップに徹させるしかないというのが、アインズの下した判断だ。

 

「例の、ツアーが掌握している、エリュエンティウの守護者たちというのは?」

「ダメだな。彼女たちはあくまで、八欲王のNPCであり、最後の王たる彼が残した君命に忠誠を尽くす存在。世界の敵・ワールドエネミーが直接あの都市を襲う事態にでもならない限り、彼女たちが戦うということは、絶対にありえない。なぁ、ツアー?」

「……まぁ、世界級(ワールド)アイテムを貸し出してくれるだけでも、良しとしてくれると助かるよ」

 

 ツアーはそう言って、竜の大きな肩をすくめた。

 

 南方の浮遊都市・エリュエンティウ……その都を守護するLv.100NPCたち。

 彼女たちの存在理由は、“あの都市を守ること”に終始しており、都市外の世界への干渉行為……武力行使は基本厳禁となっている。専守防衛の理論に則り、自分たちの側から仕掛けるような行為は、この数百年間ずっと控え続けてきたのだ。──かつて、八欲王の勢力が、全世界の版図を一変させた時のような謀略と暴力を発揮させないために、あの地において寿命で死んだ最後の王・彼女たち都市守護者が信奉するギルド長が、ツアーに後事を託した際に交わした約定と盟友関係こそが、主亡き守護者たちの存在理由と成り(おお)せている。

 一応、エリュエンティウも魔導国の王たる存在・アインズへの恭順状態を受け入れてはいるが、それはあくまでツアーとの盟友関係を前提としたものであり、アインズから彼女たちへの強権力については、そこまでのものはないのが実際だ。

 早い話。彼女たち都市守護者は魔導国には干渉しない代わりに、魔導国もまたエリュエンティウの者に過度な干渉をしてはいけない。

 それを破った瞬間に、彼女たちはナザリック地下大墳墓を“敵”と見做して行動することになりかねず、アインズとしてはわざわざ眠っている獅子の尾を踏む……あるいは、眠っている竜の巣へ盗人を送る危険を冒したくはないのだ。そういった点に留意しながら交流しておけば、エリュエンティウの守護者はツアー同様、有用な協力者でいてくれる。南方において著名な都市として、あの地域における特産食料や魔法開発と研究事業──この異世界での先達たる転移ギルドとして、アインズたちとは非常に良い協力関係を維持できている。

 では、エリュエンティウの守護者らにバレないようにワールドエネミーを誘導する方法などを使えばという案も考えられるだろうが、そんなものはまるで実現性がない愚案である。あのワールドアイテムすら通じないワールドエネミーを、一体だれがどのようにして誘導してくれるというのか。

 何より、そんな姑息に頼っては、偉大なるアインズ・ウール・ゴウンの名が泣くというもの。

 

 とりあえず、揃えるだけ揃えても、現状において十分な戦力は35名しかないと考えるほかない。

 それでも、天使の澱が加わらなければ、使える戦力は21しかなかったことを考えれば、ずっと希望が持てる員数である。

 アインズ・ウール・ゴウン魔導国で育つ混血種(ハーフ)……さらに、プレイヤーと現地人の間に生まれた子供たちの中で、ユウゴ以外にLv.100の階梯に辿り着けそうなものは確認できていない。そして、そのユウゴは魔導国の正統な後継者として期待される大黒柱──このような無謀な作戦に投じて、ワールドエネミーに取り込ませて喪うというのは、あまりにも辛い。

 

「ワールドエネミーに対抗するために、ナザリックと天使の澱──そして、この異世界に流れ着いていた世界級(ワールド)アイテムを装備すれば、どうにか互角…………と言いたいところだが」

 

 ツアーが語る“神竜”の能力は厄介であった。

 破滅の竜王(カタストロフ・ドラゴンロード)による奸計により、リーダーの恋人だった彼女を核として目覚め、アレは自分の敵を喰らい、その力を養分として吸収することで、尋常でない強さを発揮していた。弱肉強食──喰った者のレベル、スキル、ステータス、あるいは道具(アイテム)異能(タレント)ですら、あのワールドエネミーは己の性能として無限に取り込み続け、誰にも何にも手出しできない地点にまで到達してしまった。アレには集団の力など意味がない。むしろ、アレを成長し強化させるための餌にしかならなかった。その成長能力は、まさに無限にして無尽蔵。倒す手段はないと、誰もが諦めかけた。

 だが、そんな状況下で、リーダーの世界級(ワールド)アイテム“ダヴはオリーブの葉を運ぶ”が発動したことにより、どうにか封殺することが可能だった。だが、喪われた者は多かった。神竜の力を前に、エルフ王家の女王やドワーフの工王など多くの仲間が(たお)れ喰われ、瀕死のツアーやリグリットの目の前で──リーダーは…………。

 おまけに、件のワールドエネミーは、ユグドラシルのWiki情報にも、一切の記載がない存在──アインズが知る32体のそれとは、まったく違う存在であったのが厄介の極みだ。

 

「運営が用意したワールドエネミーのなかでも、誰にも知られず、発見されぬまま最終日を迎え、転移してきたワールドエネミー……というところだろうか。竜というよりも龍の見た目ということだから、「八竜」とは違うな。そして、あの「八竜」ですらアンデッドの完全耐性を超える屍毒ブレスを扱う。ならば、それに準じる破格の性能を持っていても、何ら不思議ではないが」

「ああ。最終的にアレの扱う天変地異は、僕たち竜王の力・始原の魔法(ワイルド・マジック)でも対抗不能で、まるで打つ手がなかった──“世界の敵”だと、まさにその通りだと言わざるを得ない性能だったよ。まともに対抗できたのは、無銘なる呪文書(ネームレス・スペルブック)などの世界級(ワールド)アイテムが存在したことや、僕の父たちが残した始原の魔法(ワイルド・マジック)製の防具があったからというのも大きい」

「じゃあ……あとはコイツがどれだけ役に立つか──」

 

 頭上の赤黒い輪っかを掴み、眺めおろすカワウソ。

 アインズなどの第三者では奪うどころか触ることすらできない、『敗者の烙印』保有者専用の、呪いじみた世界級(ワールド)アイテム。

 

「“亡王の御璽”──自軍勢力・味方全体に世界級(ワールド)アイテムの“無敵化”を与える性能か」

「ああ。だけど、あの第八階層“荒野”の戦いでわかったことだが、これは世界級(ワールド)規模の攻撃は完全に防げるが、世界級(ワールド)相当の防御力は、どうやら貫けないらしい」

 

 あれから数ヶ月も経過していたが、カワウソはありありと思い出せる。

 あの七つの(実際には十一個の)星──アインズが語る生命樹(セフィロト)たちは、ナザリックの保有する“諸王の玉座”によって統制される殲滅装置だった。その殲滅性はまさに世界級(ワールド)規格。1000人のプレイヤーを蹂躙可能だったのも、当然といえば当然の仕様であった。

 それと戦った時に、カワウソの無敵化に護られたNPCたちは、相手の攻撃を防ぐことに成功したが、自分たちの攻撃を通すことはできなかった。世界級(ワールド)アイテム同士の戦いで、互いの性能が相殺された結果、あのような膠着状態を維持できたものと断定してよい。相手が世界級(ワールド)アイテムの影響にない存在であれば、表層の墳墓で一撃死させた上位アンデッドの死神のように、たった一撃で事は終わる。

 ならば、相手がワールドエネミーとの戦いとなると────

 

「我々が保有する世界級(ワールド)アイテムとの相互作用──シナジー効果に期待したいところだな」

「ああ。それでいて、効果時間10分の間に、相手を、例のワールドエネミーを倒しきる目途を付けられるかどうか、だな」

 

 アインズの判断に、カワウソは首肯する。

 震える掌は、この現実化した世界において、ユグドラシル最悪の敵を相手にするという恐怖──戦いで死ぬかもしれない危惧を、雄弁に物語っていた。しかし──

 

「──ありがとな、ミカ」

 

 背中に手を添えてくれる女天使・ミカの回復能力で、平静さを取り戻す。

 軽く頷くだけのミカに頷きを返し、カワウソは(アイテム)を頭上に浮かべ直した。

 

「無限に敵を喰らい、強くなるワールドエネミーか……喰らうって言えば、「九曜の世界喰い」か、「七大罪の魔王」の“暴食”か……その神竜とかいうワールドエネミーの名前は、わかっていないのか?」

「──決戦の時、世界級(ワールド)アイテムを持ったリーダーが、かろうじて情報魔法系のアイテムで読み解いてくれた名前がある」

 

 ツアーがリーダーから聞かされた名前は、今カワウソが告げた者とは該当せず、「五色如来」や「第六天君主」、「八竜」や「セフィラーの十天使」ともまた違う。

 白金の竜王は告げる。

 

「アレの名前は、────」

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 アインズとカワウソ。

 

 二人は暇を見つけては、互いのギルドを案内し合った。

 さらに、アインズは魔導国の名所なども、彼自らの手で案内してくれた。

 昨日はあそこに。今日はここに。明日はどこかに。

 

 そして、カワウソは蘇生によって失った分のレベルを取り戻すべく、アインズ指導の下で戦闘訓練にも励んだ。ナザリックの無限湧きPOPモンスター……だけではなく、冒険者御用達(ごようたし)の都市にある人工ダンジョンや、場合によってはコキュートスなどの守護者や、時間が許せばアインズ本人を相手に、レベリングを続けた。

 アインズの目論見通り、カワウソは復讐者(アベンジャー)のレベルを引き上げることに成功。対ワールドエネミー戦にまで、復讐者のレベルを5から10へと上昇させていくのが、今後の課題となった。

 

 アインズとカワウソはプレイヤー同士だからなのか、なかなかに馬が合った。互いの知ることを共有し、互いの思うことを伝え合った。無論、二人の部下……互いのギルドを護るNPCたちは疑義を呈していたが、二人の間に存在する、目には見えない関係性──相互に根を張った信頼感は本物であった。時には、この異世界における特異な法則をアインズが教授し、またはカワウソが知り得るユグドラシルの微々たる情報を共有した。

 中でも、アインズ・ウール・ゴウンの至上目的……彼が“アインズ・ウール・ゴウン”を名乗る理由について、アインズは熱く語ってくれた。

 カワウソが既に辿り着いていた正答……アインズ・ウール・ゴウンの名を、世界に知らしめるという一大事業。

 その理由をカワウソは聞いた──

 

「笑うか?」

 

 アインズは失笑されるのを覚悟したように肩をすくめた。

 カワウソは笑わなかった。

 あの玉座の間での戦いで、「そうに違いない」という思いを懐いてもいた。

 だから、驚きは少ない。

 だが……カワウソは何故か、押し黙った。

 

「笑ってくれてもいい──というか、笑われて当然だろう」

 

 言った本人も、これがどれだけ途方もない企みであるのか理解していたようだ。

 アインズの最大にして、絶対の目的。

 

「アインズ・ウール・ゴウンの名を遍く世に広め、そして、この異世界に渡り来ているかもしれない異形種プレイヤーの仲間たちに──友に──安心して平和な日々を過ごせる居場所を提供したい……」

 

 もしかしたら。

 この世界にいるかもしれない、やってくるかもしれないメンバーの元に、その名が届くように。

 アインズ・ウール・ゴウンは……自分は、ここで、みんなが来るのを、待っている────と。

 

「…………」

 

 カワウソには、まったく真似できそうに、ない。

 だからこそ、カワウソはひとつの決断に至った。

 

 

 

 

 

 そんな主人たちの交流を、NPCたちは肯定した。するしかなかった。

 NPCたちにとって、自分の主人たる者たちがそうあることに抵抗はあろうとも、主人の意志と決定こそが、絶対。

 シャルティアも、アウラも、マーレも、コキュートスやデミウルゴス、そしてセバス──ナザリック地下大墳墓のNPCたちは、順調に天使の澱との関係改善に努めた。その逆、ヨルムンガンド脱殻(ぬけがら)址地(あとち)城砦(じょうさい)──カワウソのNPCたちも、然り。

 中でも顕著な改善が見られたのは、アルベドとミカであった。

 二人は互いのギルドのNPC代表という立場故に、いろいろと折衝役としての業務に従事することが多くなり、初めて会った時の戦闘ぶりが思い出すことが難しいほど、良好な関係を築いた。傍目には、互いに遠慮のない“悪友”とも言うべき印象を周囲に懐かせるほどに。

 彼女たちの心境に何があったのか──。

 あの夕暮れの浜辺で交わした会話から端を発した、彼女たちの相互理解。

 そのことについて、カワウソはまだ知らない。

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 アインズの執務室にて。

 

「だいぶ〈記憶操作〉の魔法も上達されてきたようですね」

 

 そう評するのは、銀髪褐色に扇情的な修道服を着込んだ智天使・ガブ。

 評された死の支配者(オーバーロード)のプレイヤーは、この異世界で仕様が変わった魔法の代表例たる〈記憶操作〉について、精神系魔法詠唱者のレベルを有したカワウソのNPCを通じ、授業を行ってもらっていた。

 授業といっても、教科書を開いたりノートに何かを書き込むということではない。

 

「なるほどな。…………ここはこうすればよかったのか」

「ええ。精神干渉において記憶を司る魔法を操る際には、対象の表在記憶と潜在記憶、重要と不要、意識的もしくは無意識的、『大切にしている』記憶と、逆に『忘れ去りたい』という記憶が複雑に混淆している。記憶というのは、ただ一筋の足跡(そくせき)・流れる映像というよりも、一冊のアルバムといえます。なので、まずはそれを理解し、流れではなく記憶の構造を整理しないと、要領よく記憶を“見る”ことは難しい。そのような状態で、膨大な過去記憶の中からひとつの事柄を書き換えるのは困難を極めるでしょう──陛下は実戦練習の積み重ねで、どうにか実用に足る結果を生み出しているようですが、はっきり申し上げて、まだ、改善の余地はある」

 

 アインズは対象の記憶を直近の記憶から網羅し、一から遡上する形で魔法を行使していたらしいが、ガブに言わせるとそれは「効率のいい方法ではない」という。

 たとえば、数分前に親を殺された直後の子の記憶を覗き見た時。

 そんな子供の記憶の中の、ある特定の記憶を見る上で、何よりも強烈な記憶が魔法使用者の意識へ真っ先に飛び込んでくる。肉親の死。流血の赤色。殺戮者に対する憎悪。逃げなければ殺されるという恐怖。だが、その記憶を消し去りたいというわけではない以上、そういった肥大化し鮮明化され、無意識に繰り返し繰り返し閲覧されまくった強烈な記憶は、この魔法を行使し続ける上で、ただの邪魔にしかならない。さらに、本人が忘れているような記憶・理解が追いつかない記憶などは薄ぼんやりとしており、そういうぼんやりとした、無意識の中に溶け込みきっている部分こそを狙って操作する場合、とてつもなく手間がかかるわけだ。また、その対象が大切にしたい思い出なども、いわゆる鍵のようなものに阻まれることがあるらしい。

 

「なるほどな……言うなれば、映画を最後の場面から巻き戻すか、チャプター選択から選んで自分の見たいシーンに辿り着く……そういう違いか」

「……?」

「いや、こちらの話」

 

 アインズはさらに数分かけて、精神系魔法詠唱者のNPC・ガブから、〈記憶操作〉の手法を教授される。

 

「ありがとう。ガブくん」

 

 謝辞を述べ立てる主人の盟友に対し、聖女は慇懃な首肯でのみ応じる。

 この授業を──監視も込みで──眺めていたのは、アインズの王妃に連なるNPC──シャルティアと、魔導王アインズの近衛兵を率いるコキュートス。そして、アインズと対面の席に座るカワウソと、堕天使の護衛役を務める主天使・ラファ。

 ちなみに、アルベドとミカは、ヨルムンガンド脱殻(ぬけがら)址地(あとち)城砦(じょうさい)で両ギルドの業務提携についての協議を行っており、席を外している。

 カワウソはプレイヤーとしての常識として、些少の疑問を呈する。

 

「〈記憶操作〉の講義なんか受けて、何か意味があるのか?」

「ふむ──俺の知る限り、ユグドラシルで使った〈記憶操作〉の魔法は、ここまで魔力を浪費する代物じゃなかったからな。一応、100年前からいろいろと調べたり試行錯誤を重ねてはいたが、純粋な精神系魔法詠唱者ではない俺には、さすがに限界があってな」

 

 頷ける話だ。

 ゲームでは一律の魔力消費で済んだことが、この異世界転移で現実化したことにより驚きの変化を遂げているものがある。その代表例が〈記憶操作〉。アインズは、他の魔法にしろ特殊技術(スキル)にしろ、そういった変化を把握し許容し改善していくことができれば良しの精神で、こういった作業を100年にもわたって続けていたという。が、〈記憶操作〉という精神に干渉する技巧について、アインズは専門職に一歩以上の遅れが生じる。それも当然。アインズはもともと死霊系魔法詠唱者(ネクロマンサー)に特化したレベル構成であるため、新たにそういった職種を獲得できる見込みもない以上、〈記憶操作〉の真価を発揮するには至れていない。

 遠い過去に、シズ・デルタという戦闘メイド──ナザリック内部のすべてのギミックに通暁しているという設定などを弄るべく、まちがった記憶をあえて植え付けるなどの応用法をアインズは発明したが、…………そこまでであった。

 期待していたようなNPCの根源や、“設定”の部分に対する干渉という領域には踏み込めていない。

 もちろん、これまでの100年でダメだったからといって、これからも絶対に不可能であるという予測は、早計の極みだ。

 

「しかし、〈全体記憶操作(マス・コントロール・アムネジア)〉のみならず、〈完全記憶操作(パーフェクト・コントロール・アムネジア)〉まで習得できているとは。優秀なNPCだな」

「光栄でございます──魔導王陛下」

 

 ガブは比較的にこやかに対応してみせるが、完全にアインズのことを信じ切っているわけではない。

 一応、自分の創造主が盟を結んだ相手に対する礼節に即しているだけ。

 ふと、カワウソは口を挟んだ。

 

「──確か、〈記憶操作〉で、NPCの設定は」

 

 カワウソの傍らで、ガブとラファが肩を動かし、息を呑む。

 しかし、アインズの告げる事実は、希望通りとはいかない。

 

「ああ。(いじ)ることができる部分は、極めて限定される。主に、知識面での“蓋ができる”感じだが、メリットは敵に情報を抜き出されない程度。それに、感情や信条、個性や人格などを書き換えることは、ほぼ不可能だ」

 

 そこを書き換えようとすることは、NPCの存在そのものを否定することに繋がる。

 仮に。アインズの背後に控えるコキュートスの場合。

『武人』だと設定されているコキュートスの記憶を弄っても、彼は武人としての個性・数多ある武装・近接戦闘用のレベル・戦術知識や言葉遣いなどを失うということには、ならない。たとえ記憶を弄って『武人』ではなく、『魔法使い』などと記憶を変えようとも、それでコキュートスの武装やレベルがすべて魔法使いのそれにかわることなど、ありえない。

 さらに、アインズが話した“蓋”の一件。戦闘メイド(プレアデス)のシズ・デルタ。彼女のナザリック内部のギミックに関する設定を封じた一件・間違った知識についても、ガーネット……シズの創造主たる博士の部屋にある本を読んでしまえば、あっという間にご破算になるらしい。知識とは蓄積されていくもの。シズに与えた間違った記憶も、正しい情報を習得していけば、そのまま間違った記憶を維持するということはできないのだ。

 このように、〈記憶操作〉でNPCの設定に干渉することは、ほぼできない。

 なので──

 

「残念ながら、君のNPC……ミカくんの設定……君を『嫌っている。』を(いじ)ることは、できないと思った方がいい」

「……そう、か」

 

 驚きはない。

 あるいは、〈記憶操作〉の魔法が『堕天使のカワウソを嫌っている。』設定を与えたミカの、あるいは救済になるのではないかと考えた。

 しかし無理だった。

〈完全記憶操作〉を扱えるガブであっても、NPCの設定……NPCがそうある根本的な理由を改造する能力は、ない。そもそもにおいて、最上位種族たる“女神”の精神耐性は、ガブの能力でも干渉不能な領域にあるという。

 たとえ、そんな無理が可能であるならば、陸に住む普通の人間の記憶を操作し、「魚のように水中で暮らす」記憶を与えることも可能なのか? あるいは逆に魚の記憶を弄って「鳥のように空中で生きる」ことは? ──だが、実際には記憶をどんなにイジくり倒しても、人間は魚にはなれないし、魚は鳥にはなれない。生物として根本的な構造自体が違いすぎるが故に、記憶だけを改造しても意味がないのだ。それをしようと思えば、記憶のみならず、肉体などの構造自体を変質させる必要がある。水中で生きるための呼吸器官や、陸上や空中を行く体構造の獲得が不可欠となる。

 そして当然。

 ただの人間に、万海を行く(えら)(ひれ)があるわけがないし、水中の魚に、万里を行く肺や翼や脚があるわけもない。それは、まったくべつの生き物でしかないのだ。

 これと同じように、NPCの根源部分に根差した設定は、書き換え不能な領域にあるという。

 

「なにか──手はないのか?」

 

 項垂れながら、思わず言葉を零す。

 納得しても、カワウソは方法を考える。

 どうしようもないと理解しても、なお迷う。

 ミカの、優しいNPCの本当の思いに背く、あの設定。

 カワウソを死んでも守り通すNPCには、あまりにも酷薄な一文。

 だが、カワウソにはどうしようもない。

 あの設定は、もはやどうしようもないこと。NPCの根源にかかわる問題なのだ。

 本当に、過去の自分はバカな事をしでかしたものだと、自分で自分に腹を立てる。

 

「……なぁ、カワウソ」

「──なんだ、アインズ?」

 

 項垂れるのをやめて、堕天使は沈黙を破った死の支配者(オーバーロード)を仰ぎ見る。

 

「実は、その件でひとつ──試したいことがある」

 

 

 

 

 〇

 

 

 

 

 数日後。

 時刻は夕刻過ぎ。

 廊下の窓から差し込む西日が、世界を朱色(あけいろ)に染め上げている。

 

「……なんですか、いったい?」

「いいから。カワウソ様が、お呼びなの」

 

 親友である隊長補佐・ガブに手を引かれ、自室で沐浴を終えて休んでいたミカは、自分たちの拠点の第四階層“珊瑚礁地(ラグーン)”──その屋敷のウッドテラスへと、同道を余儀なくされる。

 

「──? 屋敷の外に何の用が?」

「いらっしゃいませ、ミカ様」

 

 声をかけてきたのは、十人のメイド隊。

 お待ちしておりましたと告げる堕天使メイドのサムに促されるまま、ウッドテラスの先──海面と接するようなインフィニティプールの方へ。

 

「お……おう、──いや、よく来てくれたな……ミカ」

「?」

 

 ミカは怪訝そうに眉を顰めた。

 そこにいたのは、間違いなく自分の創造主。

 いつもと変わらない装い。いつもと変わらぬ御姿。

 だが、どこか挙動がおかしい……なにか、いつもとは、違う。

 

「何か、ございましたか? もしや、アインズ・ウール・ゴウンに、何か?」

「いや、そーいうことは──いや、ある? ──なんでもいい。とりあえず、座ってくれ」

 

 プール近くのテーブルセットに、カワウソと対面する位置に腰を落とす。

 そして、カワウソの指示のもとで、メイドたちが食事を運んでくる。

 あっという間に、オーシャンビューの夕食(ディナー)が形を成した。

 テーブルの中心でアロマキャンドルのちいさな灯が、ゆらゆらと揺れて煌いている。

 しかし、疑念は残る。

 

「なんです、コレは?」

「まぁ──いいだろう、たまには?」

 

 カワウソは慣れた様子でグラスに注がれた果実酒を掲げる。ミカもそれに倣って、一応の乾杯となる。堕天使は一皿目の前菜料理をナイフとフォークで切り分け、口へと運ぶ。

 用意された食事は二人分。これは、つまり──

 しかし、ミカは疑問する。

 

「私は飲食不要な熾天使(セラフィム)であり、いちおう女神(ゴッデス)なのですが?」

「──まぁ。気分だけでも味わってもらえれば、それでいい」

 

 わけがわからない。

 何の気分を味わえと言われるのか。

 これでは、そう、まるで────否、断じて“否”だ。そんなことなどありえない。

 カワウソはミカと二人で、夕食の席を愉しんだ。二皿目の前菜、メインディッシュ、デザートやドリンク──だが残念ながら、ミカに出された料理は下げるしかなかった。それでも、カワウソはミカと、実務的なことや世間話めいたことを(しゃべ)った。しかし、ミカは多少の困惑と共に、謹直な無表情のままで応答を返すだけ。とてもではないが、楽しい食事という場にミカの存在は不適格だろう。こんな自分と共に食事をしていても、なにもおもしろくはないだろうに。

 なのに、カワウソは笑ってくれる。

 外の者の眼には醜悪と謗られて当然という堕天使の凶相──だが、彼の被造物(NPC)たるミカにとっては、至高の造形──ありとあらゆる美の極致ともいうべき至宝の耽美に他ならない。落ち窪んだ隈も。濁り切った瞳も。赤い三日月のような笑みも、すべて。

 けれど、浮ついた心を厳しく律する──律しなくてはならない。

 ミカは、己の分をわきまえている。

 何故なら、『ミカは、堕天使であるカワウソを嫌っている。』──そう設定された存在(NPC)

 それでも。

 明晰な頭脳とは関係なしに、バカな勘違いをしそうになる。

 そんなことなど、けっして……

 

「相変わらず美味(うま)かったな、イスラの料理は」

「……それは、何よりかと」

 

 こういう時──カワウソと食卓を並べる時に、必ず思う。

 

「……私も」

 

 あなたと同じ堕天使だったら──同じプレイヤーだったのなら。

 ちゃんと食事ができて。ちゃんと楽しい会話を交わして──

 きっと、何かが違ったのだろうに。

 ──否。

 愚鈍愚昧なことを考えるな。

 私は、(カワウソ)に創造されたことで、ここに存在しているだけのもの。

 私は熾天使であり女神であり──だからこそ、ミカは彼のシモベでいられるのだ。

 

「どうした?」

「……いえ」

 

 ミカの胸に秘めた懊悩を知ってか知らずか、カワウソは目を伏せつつ立ち上がる。

 

「ちょっと、腹ごなしに散歩したいんだが、付き合ってもらっていいか?」

 

 立ち上がった男から差し出される手を、ミカは躊躇いながら受け取った。

 

「──ご命令とあれば」

 

 浮きあがりそうな足取りを抑えて、ミカはカワウソの手に導かれるまま、前へ。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回完結

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