前回説明した「"個性"を変化させられる理由」に「固有の身体能力であるから」というものを追加しました。
前回からどんどん捏造設定が増えていきます。
苦手な人はUターンをお願いします!
今回からあとがきに捏造設定やその他作中で説明されないであろうことについての説明を載せています
良かったら読んでいってください!
時が経つのは早いもので、気がつけば球磨川禊がトガヒミコと出会ってから2ヶ月が経ち8月になっていた。
安心院なじみは庭で草むしりを、トガヒミコは精神世界で僕と修行中だ。
ちなみに、僕ってのはもちろんみんなのアイドル安心院さんさ。
まぁ、このいわゆる地の文は半一人称半三人称的なところあるからね。
わかりにくかったら申しわけない。
それはそうと、彼は何をしているのかというと、球磨川禊は何をしているのかというと、だ。
彼は現在おつかいをしに行っている。
そうだね、多分海に洗濯でもしに行ってるんじゃないかな?
もちろん、汚れきった心の洗濯さ。
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「はぁ...はぁ...」
今日も海浜公園に来てゴミ掃除をしている。
今日はオールマイトがいない日だ。
オールマイトは、彼は一流のプロヒーローだから当然僕のことをつきっきりでみてくれるわけじゃない。
体を動かす訓練は超回復のことも考えて2日おき、そのうちオーマイトがみてくれるのは3回に1回(つまり大体週に1回)だけだ。
オールマイトがいない間、僕はできる限りのことをしている。
オールマイトに渡されたトレーニングプランは、あくまで僕が雄英の入試を突破するためのもの。
つまりそれを守って訓練をしているだけじゃダメなんだ。
雄英には入れるかもしれない、でも一流のプロヒーローにはなれないかもしれない。
だから僕はトレーニングプラン以上の訓練をやっている。
...オールマイトには悪いけどね。
そんなことを考えながら休憩をしていると、僕の目の前に男の人が立っていた。
『やぁ』
『こんなところで何してるんだい?』
白いTシャツに黒いスラックスを履いた男の人が軽く笑いながら尋ねてきた。
「や、あ、あの...」
「ゴミ掃除をしています!」
僕がそう言うとその人は
『ふーん…』
『…海浜公園に溜まった異常な量のゴミを掃除する、それも1日で終わるような量でもなく、君が行動を起こしたのも今日が初めてというわけでもなさそうだ』
『これは掃除っていうより、むしろなにかの訓練みたいだね』
と、やたら正確な分析をしてきた。
「は、はい!」
「実は...ゴミ掃除をしながら体を鍛えているところでして...」
「あの、お兄さんは何をしに来たんですか?」
『へぇ』
『面白いね』
『この量を体を鍛えるために掃除する、か』
『どこかで見たことがあるようなないようなトンデモトレーニングだね』
『ん?僕?僕は普通に海水浴に来ただけだよ』
『まぁ、気が変わったんだけどさ』
何が面白いのか、少し笑いながら明後日の方向を見て何かを考えているような仕草をして男の人はそう言った。
それを少し不気味に思いつつ、なぜかその場から動けなかった僕は気がつけばその人の話に引き込まれていった。
『トレーニングを始めてからせいぜい...うーん、4〜5ヶ月ってところかな?』
『大体中学生くらいの年齢、個性は4歳までに発現するらしいしこの年齢の子が突然トレーニングを始めるのは、いささか不自然と言える』
『つまり、君は今年の春頃に何かトレーニングを始めるようなきっかけと言えるような出来事にあい、この暑い中1人で海浜公園の掃除をしているわけだ』
『でも、中学生の男の子がトレーニングとして思いつけるのはせいぜい筋トレやランニング程度だろうし、少なくとも海浜公園のゴミ掃除をするなんてのは思いつかないだろうね』
『そのことを考えると春頃にあったきっかけと言えるような出来事とは...』
『師匠と呼べるような人との出会い、だろうね』
『ついでに言えばこのトレーニングの効果について考えれば、君の個性は単純増強型か、もしくは...無個性だ』
『どう?当たってるかな?』
「〜〜っ!?!?」
衝撃で声が出ない。
それこそ初めてオールマイトに出会った時以上の衝撃だ。
なぜかって目の前にいる男の人が予想のようにつらつらと述べていた、その全てが当たってたからだ。
『あれ、どうかした?』
男の人がにっこり笑いながら優しげに話しかけてくれたおかげでなんとか落ち着きを取り戻す。
「大丈夫です!」
「お兄さんの言う通りなんですが、どうしてわかったんですか!?」
まぁ落ち着きを取り戻せたからと言って落ち着いて話すことが出来たわけじゃないんだけど。
『んー、僕には人の弱いところがその人自身より、よーくわかるんだ』
『それこそ手に取るように、ね』
『まぁだからその特技を使ってちょっと予想してみただけだよ』
『この程度のこと、たいしたことじゃないさ』
『それより提案なんだけど...』
『君の事情を話してくれないかな?』
『きっと力になれると思うんだ!』
そう言われ、気がつくと事情をほとんど全て話してしまっていた。
ヒーローになりたいこと、でも自分は無個性だから諦めかけていたこと、そんな時師匠に出会って道を示してもらったこと、訓練で体を鍛えれば師匠から個性を手に入れさせてもらえること...
もちろん、オールマイトのことは黙っていたけどね。
『なるほどねー』
『いや、僕の知り合いにも君の師匠によく似た人がいてね』
『スキルを人に渡せる人や一晩で強敵を打ち倒せるようになるトレーニングができる人とか、中には体を弄ってスキルを発現させられる人とかもいたよ』
『あと君のように、スキルを持っていないけれど訓練の末大きな力を手に入れた人とかね』
『あー、スキルってのはいわゆる"個性"のことさ』
指を折りながら話をしてくれている。
どうやら男の人の知り合いにも僕やオールマイトのような人がいるらしい。
『さっきも言ったように僕には君の弱点がよくわかる』
『そして、君のような事例に出会ったこともある』
『だから君のトレーニングに手を貸したいんだけど』
『どうかな?』
そう言って男の人は手を差しのべてきた。
「こちらこそ!よろしくお願いします!」
自分でも不思議に思うほど、いつの間にか男の人を信用していたらしい。
僕は全力でその手を取った。
でも僕には少し気になることがある。
「あの、でも、お兄さんはどうして協力してくれるんですか?」
「初対面で、しかも無個性の僕に...」
そう、どうしてこんなに よくしてくれるのか、っていう疑問だ。
普通に考えれば初対面でしかも無個性の中学生の訓練の手伝いなんてしようと思わないだろう。
いくら僕のような人が知り合いにいるからって少し変だ。
『うーん、理由?』
『そんなの決まってるよ』
『それは僕が弱いものの味方でありたいから、ってだけさ』
『あ、言い忘れてたね』
『僕の名前は球磨川禊、親しみをこめて...あー、うーん...』
『ま、適当に呼びやすい呼び方で呼んでね!』
「あ!」
「僕の方こそ申し遅れました!!」
「緑谷出久といいます!」
「これからよろしくお願いします!!!」
『こちらこそよろしく、出久ちゃん』
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「おかえり、球磨川くん」
『草むしりお疲れ様、安心院さん』
僕が草むしりをしていると、なにやら楽しそうな顔をした球磨川くんが帰ってきた。
「やけに楽しそうだけど、なんかいい事でもあったのかい?」
『わかってるくせにそういうこと聞くあたり安心院さんって本当に性格良いよね』
『たいしたことじゃないよ』
『安心院さんの言う通り海水浴に行ったら面白い子と出会えたってだけさ』
まぁ球磨川くんの言う通り僕は全部見てたからね。
この世界に僕らが介入しなければおそらく主人公になっていた少年、緑谷出久くんか...
もちろんこの「主人公」ってのは比喩でも何でもなく、めだかちゃんと同じ文字通りの「主人公」さ。
いやまぁ、そもそも「主人公」っていう表現は僕が造った造語的側面があるから比喩といえば比喩なんだけど、まぁどうでもいいね。
『そんなことよりヒミコちゃんの修行の方はどんな感じー?』
「んー、上々ってところだよ」
「個性の修行もあるから人吉くんの時よりスローペースではあるけれど、彼女のスペックは反則王鍋島猫美以上、人吉くん以上の逸材だよ」
『鍋島猫美?』
『誰それ(笑)』
『それってすごいの?』
これを素で言っているのか冗談なのかがわからないのが球磨川くんの面倒なところだよな。
いや、これは球磨川くんに限らず過負荷全般に言えることなんだけど。
まぁいいや。
「この世界基準でいうなら、そうだな...僕が鍛えずとも、"個性"を使用せずとも、二流プロヒーローなら叩きのめすことが出来るくらい、って感じかな」
「僕らの世界風にいうなら、"すばしっこい阿久根高貴"って感じさ」
『なるほど、それはすごいね』
本当にわかってるんだろうか。
不安になるけど、正直球磨川くんには関係ない話だしね。
わかっていなくてもいいんだけどさ。
『さて、僕はそろそろ昼寝でもしようかな』
「ちょっと待ちなさい。」
現在時刻はお昼を少しまわったくらいで、球磨川くんの今日のノルマはまだ終わっていない。
ていうか緑谷出久に会いに行ってもらっていたからまだひとつもこなしていないはずだ。
いまだにベクトルをしっかり理解出来てない身分で昼寝ができると思っ『おいおい、止めないでくれよ』
『睡眠ってのは存外バカにできない、重要なものなんだぜ?』
『今日1日草むしりだけやっていたどこかの誰かさんと違って、僕は外で見聞を広めて新しいことにチャレンジしてきたんだ』
『男は外で女は家で、なんて古い考え方を押し付けたいわけじゃないんだけどさー』
『普通に考えればわかることなんじゃないかなー』
『普通にさ』
『それがわからないってことは自分がバカだって言外に示してるってことになると思うんだけど、安心院さんってもしかしてそこまで考えずに...って、うあっ!』
むしっていた草を投げつけるが外れ、地面を抉る。
『あれ、もしかして怒ってる?』
『ていうか今のどうやってやったのさ』
『落ち着こうよ、安心院さん』
『話せばわかっ....!』
また外れ、今度は庭に生えてる木に突き刺さる。
「いや、別に怒ってなんかないさ」
「ほらこんなに笑顔だろ?」
「怒ってはないけど、ちょっと目障り耳障りな羽虫がいてね」
『笑ってるって目が全然笑ってないよ!!』
球磨川くんは必死の形相で草を避けながら、ついに螺子を構える。
「いや、本当に全然怒ってないんだけどね」
「まぁ、ただちょうどいいからついでに修行しようか」
「いや、本当に、全然怒ってないんだけどさ!!」
球磨川くんをなじみ荘の一室に叩き込みそのまま修行に突入する。
『いやはや、モテる男はこれだから辛いね』
『安心して寝る暇もない』
安心院さんだけに、かい?
『いや、全然(笑)』
『ところで"いやはや"って死語かな?』
知るか。
▽オールマイトがデクのトレーニングを毎回見ていたか、それともたまにしか見ていなかったかは原作2話から「つきっきりでない」と判断しました。
▽肉体トレーニングが2日おきというのは原作通りですが、オールマイトが週1で来るというのは完全捏造設定です。
▽デクが球磨川くんを信用したのは、球磨川くんが元々持っているカリスマ性が人格補正によって良い方向に働いたからです。
▽球磨川くんが言っていた「師匠みたいな人」は説明された順に安心院なじみ、黒神真黒、名瀬夭歌です。
▽トガちゃんの高スペック設定は原作通りだと思いますが、前話で説明した彼女の"個性"についてはほぼ捏造です。
▽ちなみに前話の最後のセリフは「ジョジョの奇妙な冒険 (三部)」のDIOのセリフを、今回の最後のセリフは「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンのセリフをもじっています。意味は無いです。
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今回も最後までありがとうございました!
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