作者の説明力不足によりわかりにくいところがあると思いますが、もしわからないところがありましたら感想にて質問をくださいm(_ _)m
もちろん、質問以外の感想も待ってます!!!
...あまり辛辣すぎると心が折れるので優しくお願いします
《なじみ荘》
そう書かれた看板のある木造アパートは、二階建てのどこにでもあるような小奇麗で微妙に年季を感じさせられる、そんな外観のアパートである。
であるがしかし、その中身までもがどこにでもあるようなアパートのそれであるかどうかといえば、その答えは否であろう。
否、断じて否である。
なじみ荘、その木造建築物の正体は、人外・安心院なじみの別荘である。
「やぁ、球磨川くん。僕の語り部はどうだい?」
「中々どうして様になっているだろう?」
『うわー、安心院さんが語ってたのかよ』
そうだぜ。
『それはそうと、安心院さんみたいな人外と違って僕はただの浪人生だから全然状況が把握出来てないんだけど...』
いや、浪人生ってのは嘘だろ
君みたいなふらふら放浪してる浪人生がいてたまるかよ。
あー、(放)浪人生って?
『"語り部"発言からしてシュミレーテッドリアリティとか水槽の脳とかそっち系が関係してたりする?』
その通り。
さすが、球磨川禊は伊達じゃないってか?
『いや、モノローグで返事されても困るんだけど』
あー、いや、
「失礼、すまないね」
癖になっていたみたいだ
それはそうと...
「この世界の説明だっけ、長くなるからモノローグでいいかい?」
ちゃんと聞こえるようにしておくからさ。
『ま、構わないけどね』
球磨川くんが少々呆れたような顔をしながら了承してくれた。
じゃあ説明を始めようか。
僕が箱庭学園にやってくる4年前、球磨川君に会う1年ほど前の話なんだけど、僕は世界を作ってみようと思ったのさ。
笑ってくれていいぜ、あの頃の僕はシミュレーテッドリアリティ一辺倒な考え方しかできなかったからね。
僕に7億の端末がいるのは知ってると思うんだけど、その端末全員がスキルを持っているIF世界を作ってみたんだ。
神様になるスキル「過身様ごっこ(スペックオーバー)」で箱庭を作ってその中の要素と分岐点を弄ったりしてさ。
突然7億人にスキルを持たせちゃ世界が混乱してしまうだろうから少しずつ、確か1人目は中国の赤ちゃんに体が発光するスキルを持たせたんだっけな...
それからしばらくして、僕らが「スキル」と呼ぶ能力は「個性」と呼ばれるようになった。
「個性」を持つ者は、最初期において極少数派だったため迫害をされた。
ま、当然だよね。
常識に当てはまらない異常者たちが、同時に自分たちの安寧を脅かせる強者だったんだからね。
そのころの無個性(個性を持たない人)は個性持ちに対する根源的な恐怖心から個性持ちを迫害せざるを得なかったのさ。
まぁだからといって個性持ちが黙って迫害され続けるはずもなく、そのうち個性持ちの中で強力な個性とカリスマ性を持つ人物が現れた。
そしてその時代に世界に抗うようになったんだ。
人々は現行の秩序を壊し続ける彼らを「敵(ヴィラン)」と呼び、そんな彼らを止める存在を「ヒーロー」と呼ぶようになった。
最初期、超常黎明期から2〜300年ほど経ち、ヒーロー飽和社会と呼ばれるようになったが未だに「個性」は世界に適応できず敵とヒーローが日々争い続けている。
この世界についてはこんなところだね。
『なるほどねー』
『この世界は安心院さんの黒歴史(笑)であると』
『2つほど質問をしてもいいかな?』
「構わないよ。」
『いぃ、っだだだだだだだぁ...!』
「おっと、失礼つい癖で腕ひしぎ十字固めをかけてしまったようだ」
「別に君の黒歴史(笑)発言に起こっているわけじゃないから気にしないでね」
『ごめんって、謝ったじゃないか...今』
『反省しているにも関わらず技を掛け続けるほどの人でなしになっているなんて...』
「そりゃ人でなしさ、じゃなきゃ人外なんて名乗れねーよ」
「それはそうと、質問ってなんだい?」
文字通りお話にならないから腕ひしぎから解放して質問を待つ。
『あー...いてて、質問その1...。どうして僕はこの世界に連れてこられたのか。』
『その2。ここに来る途中に寄った学校らしき建築物は何なのか。』
「なるほど、当然の質問だね」
さっきも言ったとおりこの世界には個性という能力を使って社会に逆らう敵と、それらを止めるヒーローがいる。
球磨川くんにはそのヒーローになって欲しいのさ。
これが質問その1の答え、球磨川くんをこの世界に連れてきた理由。
水槽学園では英雄になれなかった球磨川くんだけど、多分この世界のヒーローにならなれるんじゃないかな。
なんたってこの世界ではヒーローっていうのは称号ではなく職業だからね。
これが質問その2の答えに繋がってくるわけだけど...
この世界には職業的ヒーローを育成するための学校っていうものが存在する。
その中でもいっとう優秀で最高峰と呼ばれる学校が、ついさっき球磨川くんに寄ってもらった雄英高校さ。
『なるほど...つまり、安心院さんは僕を異世界と呼べるような世界に転生(この場合はトリップかな?)させ、水槽学園の時の遊びの続きをしよう、って考えているわけだ』
「概ねそんな感じの認識であってるよ」
「今球磨川くんが言ったように君は異世界転生に近いことをしている。」
「ならば当然、転生特典と呼べるようなサービスがあってしかるべきだとは思わないかい?」
『わぉ!』
『少年漫画なら"サンデー"より"ジャンプ"派、web小説なら"なろう"より"ハーメルン"派の僕が思わずテンションを上げてしまうような展開だ!』
球磨川くんが取ってつけたような反応をしてくる。
若干イライラさせられるが、まぁいいや。
「特典は3つさ、1つ目はスキル付与だよ」
「僕の持つ7932兆1354億4152万3224個の異常性と4925兆9165億2611万0643個の過負荷、合わせて1京2858兆0519億6763万3867個のスキルから好きなのを1つあげよう」
『うわー、いつ聞いてもひどいスキル数だ』
球磨川くんが若干引き気味、といったような表情で...って危ねー、僕としたことが忘れるところだったぜ。
「言彦に殺されてから主人公(めだかちゃん)のスキルを目指して作り、失敗したスキル「模造盗(コピーライト)/他人のスキルを可もなく不可もなく模倣するスキル」でパクった「完成」とか「正喰者」とか「愚行権」とか、箱庭学園時代に出てきた全スキルも付与可能だぜ」
『なんてこった、これはひどい』
なんとでもいうがいいさ。
それで、どのスキルがいいんだい?
『そうだねー..』
『「五本の病爪」とか「見囮刀」とかも捨て難いし、「完成」とかはそれこそチート級だ』
『どれにするか迷うなぁ』
球磨川くんに関わり深いスキルを挙げてくる。
確かに球磨川くんが使うなら身近にあったスキルを使うのが良いのかもしれないね。
『...うーん、よし!これに決めたたよ!』
そう言い三拍ほどためをつくる球磨川くん。
果たして球磨川くんはどのスキルを選ぶのか...
『僕は「独楽図解(スピニングアングラー)」をもらうことにするよ』
そう来るか。
本当は次回と合わせて一つの話だったのですが3000字に抑えたかったのと、なんとなくきりが良かったのでここまでにしました。
次回も引き続き特典付与会です。
感想待ってます!!!
特典に関して不快に思われても、出来ることなら次とその次の話を読んでから切るか否かを判断してもらえると嬉しいです。