『僕のヒーローアカデミア』   作:Ph.D

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他の二次創作に手を出し始めて更新が遅くなってしまいました…

これからこれら草案を煮詰めていくので(ついでに試験もあり)更新がさらに遅れるかも知れません
気長に待ってもらえると嬉しいです!


侵入

 『いやしかし、いたずら書きって言われても場所を指定してくれないとわからないぜ』

 

 そうぼやく球磨川くんの前に、やけに大きい校舎が現れる。

 

 『......もしかしなくてもあれかな?』

 

 校舎の壁にデカデカと書かれた文字、おそらくいたずら書きだと思われるそれには

 

 【いたずら書き】

 

 と、書かれている。

 

 『いやはやまったく、僕のこと大好きかよ?』

 『かまって欲しいお年寄りってやつ?』

 

 【いいや、違うしね

 お年寄りっていうかお年頃ってやつだしね

 球磨川くん死ね】

 

 球磨川くんのつぶやきのような問いかけに答えるように、いたずら書きが形を変える。

 

 『ほー』

 『文字にスキルがかけられているのか、それとも安心院さんが隠れているのか...』

 『わからないけど...ま、関係ないか』

 

 言葉を切ると同時に螺子を投げ、自らへの罵倒の書かれている、いたずら書きのされている壁に螺子込み『なかった』ことにする...

 

 そして校舎が壊れた。

 

 『わーお』

 『これは、なんというか、あー、ファンタスティックだ』

 

 球磨川くんが驚く、というより呆れたような言葉を漏らすとそこへヒーローたちがやってきた。

 

 

 「おい、これをやったのはお前だな?」

 

 ヒーローと呼んで良いのか怪しい、そう思わってしまうほど汚らしい感じの男が尋ねる。

 おそらく、「これ」というのは「壊れた校舎」もしくは「校舎を壊したこと」を指しているのであろう。

 いや、おそらくというか十中八九そうなんだろうが。

 

 『なんのことだい?』

 『確かにいたずら書きを消したのは僕だけれども、校舎が壊れた現場に居合わせたのも僕だけれども、僕に校舎を壊すつもりもなければその動機もない。』

 『そもそも僕は校舎を壊すことではないことを理由にこの場にいるわけで、確かに僕の目の前で校舎は壊れたけれど、それはもしかしたら春一番と呼ばれるような強風による倒壊かもしれないし、もしかしたらポストが赤いせいかもしれない。』

 『だから...』

 『僕は悪くない』

 

 意味不明

 

 それが、初めに話しかけた男-イレイザーヘッド-をはじめとしたその場にいる全てのヒーローたちが抱いた感想であり警鐘であった。

 

 「なんにせよ、だ」

 「この場にいる以上お前には建造物等損壊罪をはじめとしたいくつかの容疑がかけられる」

 「大人しく捕まってもらうぞ」

 

 イレイザーヘッドが話を進める。

 

 『いやいやいや、なんにせよ、だ』

 『そもそも校舎は壊れてなんかいない』

 

 「なにっ!?」

 

 イレイザーヘッド以外は未だ状況についていけていないのか、またもやイレイザーヘッドのみが反応をする。

 校舎の復元は『いたずら書きをなかったことにした』という現実を『なかったことにした』だけであるが、球磨川くんがそんなデタラメにデタラメを重ねたようなスキルを持っていることなど小指の甘皮ほども知らないイレイザーヘッドからすれば十分驚愕に値する事象であろう。

 

 『悲しい勘違いによって一方的な暴力がふるわれようとしているようだけれど』

 『僕に戦う意思はない』

 

 『だから、これは正当防衛だ』

 

 イレイザーヘッドたち雄英高校の教師であるヒーロー陣は、驚愕により反応が遅れた者や状況についていけていない者等、様々いたが一様に、なんの反応もできず背後の(球磨川くんからすると目の前の)校舎の壁に縫いつけられるように螺子込まれた。

 

 縫いつけられるよう螺子込まれた、とは一体どのような状況なのか全くもって想像し難いが、体から螺子が咲き誇る、もしくは螺子と壁に挟まれた人間ハンバーガーのような状況であり、さらに端的に言えば(今までが端的であったかというとそういう訳では無いが)「球磨川禊初登場時のチーム負け犬のような状況」である。

 この場に鍋島猫美がいない以上全滅は必至で確実だろう。

 実際、その場にいたヒーローたちは全滅であった。

 

 しかし、ヒーローは割と遅れて登場するということを忘れては行けない。

 

 「私が来た!」

 

 ヒーロー・オブ・ヒーロー、この国の心の拠り所とも呼べる"柱"であり"平和の象徴"がやってきた。

 

 オールマイト

 

 彼はどんなに困ってる人でも笑顔で助けちゃう超カッコイイヒーローである。

 

 まぁ、だからといって

 

 「ぐ、うぅ...」

 

 『まったく通りすがりの一般人に殴りかかるなんて。』

 『なってないぜ、ヒーロー(笑)』

 

 絶対に負けない、というわけではない。

 『弱さ』がないはずがないのである。

 

 負け尽くした男、球磨川禊からすれば、たとえ常勝のヒーローであろうとナンバー1ヒーローであろうと、弱点の塊のようなものである。

 

 球磨川くんが螺子を両手に構え不敵に笑う。

 その2m程先でオールマイトが肩膝をついている。

 歯を食いしばり目の前の敵を睨む彼は、正しくヒーローなのだろう。

 

 「まだっ、負けてはいない...私は負けてはいけない!」

 「プロはいつだって命懸け、っ...」

 「Detroitooooo....Smash!!!」

 

 オールマイト、彼元来のヒーロー性によるものか、はたまた先日出会った後継者候補のことが頭によぎったのか、彼は倒れない。

 

 「やったか...?」

 

 やったか?は生存フラグだ。

 

 『鎖骨が折れて肺に突き刺さっちゃったかなー』

 『一生後遺症が残るなー、これは!』

 

 立ち上がる球磨川禊。その姿は、その不気味な気持ち悪さは、正しく過負荷の名にふさわしいものであった。

 

 「はぁ...はぁ...今のを受けて立ち上がるか...」

 「残念ながら私はそろそろ限界が近い、君ももう戦える身体じゃないだろう?」

 「次の攻撃で最後にしよう」

 「もしくは、もう抵抗を辞めて投降しないか?」

 

 『おいおいおいおい...ヒーロー(笑)みたいな奴がそんなこと言っていいのかよ』

 『それに僕はまだまだ戦えるんだぜ?』

 『次の攻撃で最後?いやいや、ここからずっと僕のターン、さ。』

 

 そう言い切るとたちまち球磨川くんの傷が癒えていく。

 否、まるで『なかったこと』になったように傷が消えていた。

 

 「なん...だと...」

 

 オールマイトの顔が驚愕に染まる。

 

 『自信を持っていい。』

 『誇りに思っていい。』

 『君の強さは本物だ。』

 『知り合いの女子高校生のパンチくらいには強いぜ(笑)』

 

 「目的はなんだ...?」

 

 自分の力不足を悟るやいなや援軍が来るまでの時間を稼ぐため対話を試みる。

 しかし、オールマイトにとって幸か不幸か...

 

 『目的?もう終わったよ』

 

 彼の目的は既に達成されていた。

 

 『トラップばっかのひどいおつかいだったぜ...』

 『なにはともあれ、大健闘だったね、ヒーロー』

 『どちらが勝っても負けてもおかしくはない接戦、世紀の大決戦だった!』

 『ま、どっちも勝ってないし負けてないし、勝負は持ち越しってやつだけど』

 『応援してるぜ、頑張ってねー』

 『んじゃ、また明日とか!』

 

 背を向け正門という名の雄英バリアー跡地へ歩き出す球磨川くん。

 

 「な...っ、待つんだ!」

 

 オールマイトはそんな彼を呼び止めるが彼はいつの間にかにいなくなっている。

 まるで瞬間移動をしたかのようにいなくなったが、おそらく移動の時間を『なかったこと』にした、とかそんなところだろう。

 

 雄英高校に残されたのは、外傷がいつの間にかになくなり無傷となったプロヒーローたちと同じく無傷で肩膝をつくオールマイト。

 そして元通りになった校舎と、真っ白になった壁だけであった。

 

 

 

 

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 東京某所、雄英高校からさほど遠くないアパートの前に球磨川くんはいた。

 

 『安心院さんが指定したのはここかな...?』

 

 いたずら書きを消す直前、いたずら書きはまたも形を変えていた。

 いたずら書きは地図となり、その地図はこのアパート、

 

 『なじみ荘、か。』

 

 なじみ荘を指していた。

 

   




次の話は説明+α会です
ここらへんから捏造魔改造が加速していきますので気をつけてください!
ではまた!

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