咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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第7局[条件]

翌日、七草先輩が駅で私たちを待ち伏せしていた。偶然ねとか言い出した時は小走先輩ですか?とツッコミそうになったが誰も理解してくれないので心の中で抑えた。

 

七草先輩の用件とは昼食3人一緒に生徒会室で食べない?という話だった。昨日の礼もあり私たちは昼休み生徒会室を訪れることになった。

私は昼休み本を読みたかったのだが七草家と交流しとくのもいいかと思い座学をすぐに終わらせ前世で身につけた技で昼休み読もうと思っていた本を読む。ステルスモモももちろん併用していたので気づいた人はいないだろう。

 

 

昼休み、久しぶりに私たちと昼ご飯を一緒に食べれるとあって深雪のテンションは高かった。

 

生徒会室に入ると女子生徒会役員と渡辺先輩に出迎えられた。

深々と深雪とお辞儀をし入り、主役の深雪が上座に着き年齢順に達也私と席に着いた。ちなみに本家だと私深雪達也という順番になる。

 

座ると七草先輩から生徒会メンバーの自己紹介があった。

 

深雪の対面に座っているのが会計の市原先輩。あだ名はリンちゃんらしい。確かに凛としているのであっているあだ名だと思うが本人は嫌がっていた。

 

そして私の対面に座るのが中条先輩。あだ名はあーちゃん。達也より私の方が怖がられていたように見えたが流石に違うと思いたい。

 

それに私は会っていないが服部先輩という先日深雪たちがあった男子役員で今年の生徒会役員全員のようだ。

 

紹介が終わるとダイニングサーバーで出来上がった昼食は5つ、1つ足りないと思ったところで渡辺先輩が自分の鞄から弁当を出した

 

「あの、渡辺先輩のそのお弁当はご自分でお作りになっているのですか?」

「そうだが意外か?」

 

渡辺先輩の弁当はとても美味しそうに見える。前世に前の母親が作ってくれたのと遜色ないレベルだ。しかし風紀委員長を務める渡辺先輩と弁当作りを結びつけにくい人もいるだろう。

 

「いいえ、少しも。普段から料理をされているかどうかはその手を見ればわかりますよ」

 

達也に言われて手を見ると渡辺先輩は手を隠したが一瞬絆創膏が貼ってあるのがみえた。趣味だと絆創膏貼ることはないと思うので花嫁修業の一環とそう結論づけた。

 

「お兄様お姉様、私たちも明日からお弁当にしましょうか?お姉様は食堂混んでたら昼食抜きでいいとか言い出しそうですし。」

「混んでる食堂に行かなくてもいいし深雪の弁当はとても魅力的なんだけど….」

「食べる場所がね」

 

深雪は私はともかく達也とは一緒に食事をしたいだろう。しかし人目を気にしないで食べれる場所など校内にはほぼ皆無だ。達也も突っかかって来たら四葉の名使って偉そうにしてる一科生ぶっ潰せばいいのにとか思うが、達也も私と理由は違うのだが四葉の名を使うのは好きではない。一回痛い目みさせてあげればあの手の輩は片がつくのだが流石に入学して2回目の試合は戦闘狂すぎるから自重している。

 

「まるで兄妹というより恋人同士の会話ですね」

「どっちが本命なんだ達也君?」

 

中条先輩が爆弾を落とし渡辺先輩がそれに食いついた。達也にとっては答えにくい質問だろう。

 

「そうですね、妹の方は血の繋がりが無かったら、恋人にしたいとは考えた事があります」

 

爆弾は達也に対して爆発することはなく達也に対しての爆弾が逆に私たち女性陣に対して誤爆することになった。私もそうだが他の先輩や深雪も顔を真っ赤にしている。

 

「もちろん冗談ですが」

「え?」

 

冷静にいう達也に私たち女性一同は驚きの声を漏らしてしまう

 

「それに咲の婚約の条件、同じ十師族の七草先輩なら知ってるんじゃないですか?俺には無理ですよ」

「それはどんなのだ真由美」

「私も聞いたことがある程度だけど咲さんの高校卒業時に咲さんが以前出した問題の解答を各々が出して正解した人だけが咲さんと魔法戦できて、勝ったら咲さんゲットっていうルールだったかしら?」

「ええ、あってます。魔法戦に負けたらそこの家に嫁ぐことになってます。」

 

 

私は四葉次期当主候補筆頭なのだが嫁に欲しいという縁談が次々と届くらしい、四葉と血縁関係持ちたいのと四葉の血を入れて自分の家を強くしたいのだろう。お母様にどうするのか聞かれたので考えるのが面倒なのでこう答えたらそれが十師族+師補十八家+有力百家や名門の家に伝わったらしい。なのでまず問題を解こうと婚約を申し込んでいる家は大変のようだ。

 

「その問題っていうのはなんだ?」

「鳥はなぜ飛ぶのか?という問題というか質問ですね、答えというより私の考えと一致したら正解という感じです」

「ずいぶんこれは難問だな…」

「正解を書いてある紙はすでに金庫に保管されてるので私がもう変えたりはできませんね」

 

 

この質問は前世のとあるゲームで出された質問であり主人公の考え方が自分とマッチしており嫁ぐにしてもこの考え方ができないと嫌だっていう最低条件だ。次の魔法戦はまず負けることはないと思っているので実質嫁ぐことはないと思っている。負けたらその時はその時。その時の保険も兼ねての最初の質問だ。

 

「咲さん貰いたい家は必死に咲さんのプロフィール洗ってるらしいけど四葉の情報統制が厳しすぎるって嘆いてたのを聞いたことがあるわ」

「それでは深雪さんはどんな条件なんですか?」

「私は婚約まだ受け付けていないのです。叔母上にも何かお考えがあるのでしょう」

 

私は嫁ぐ条件まであるがみなもは入り婿のみ、深雪はまだ婚約を受け付けていない。こんな境遇もあり私に他家からの婚約が集まるらしい。

 

深雪はこの話があまり好きではない。私が他の人に取られるのが嫌なのであろう。私や達也が気づく程度だが少し深雪は元気が無くなっていた。

 

そんな中、七草先輩はようやく本命の要件を思い出したようだった。

 

 

「深雪さんで思い出したわ、えっと、我々生徒会は四葉深雪さんに生徒会に入って貰いたいと思っています、いかがでしょうか?」

 

 

主席入学者が生徒会に入るのは、もはや恒例になっているのだということを入学前から知っているので、七草先輩に深雪は躊躇いがちに答えた。

 

「会長は、兄と姉の入試の成績をご存知ですか? 有能な人材を生徒会に入れるのなら、兄と姉も入れる事は出来ないのでしょうか?」

 

深雪の発言に達也は二科生で入れないということと私はすでに風紀委員に決まっているということを市原先輩は述べた

 

「そうですか…」

 

深雪は完全には納得していないようだが一応諦めたようだ。

 

「真由美ちょっといいか?」

「何よ」

「風紀委員の生徒会選任枠が空いているよな」

「その件は今決めている最中だからもうちょっと待ってって言ったじゃない」

「確か一科生縛りがあるのは生徒会だけで風紀委員に一科生縛りはないよな」

「摩利…貴女」

 

面倒ごとを押し付ける人の顔を七草先輩はしている。達也も嫌な予感がしているようだ。

 

「ナイスよ!」

「はあ?」

「そうよ、それなら問題ないじゃない!我々生徒会は四葉達也君を風紀委員に推薦します!」

 

面倒ごとを押し付けられてかわいそうにと完全に人ごとのように思いながら達也と渡辺先輩の言い合いを聞いていたが昼休みももうすぐ終わるのでまた放課後ということになった。

 

 

 

 

放課後

昼間は不在で私は初めて会う服部先輩が達也の風紀委員入りを反対していた。

二科生の風紀委員は前例がなく、魔法実技が苦手な二科生でなくてもいいという理由と四葉の名前にビビらなくてもいいという理由の二つだ。

四葉の中でも落ちこぼれだから二科生と服部先輩が言った瞬間深雪が怒りだし結局服部先輩と達也は模擬戦をすることになった。

 

私は達也が勝つことを原作で知っているので終わるまで図書室で本を読むことにした。

 

 

 

本がひと段落し腕時計を見ると下校時間が迫っていた。達也の模擬戦などとっくに終わっているだろう。まずいと思い走らない程度の最高スピードで委員会室に向かうとちょうど2人の生徒と達也が挨拶してるところだった。

 

「遅れました。申し訳ございません」

「姐さん、この美人誰ですか?」

「鋼太郎、今注意したばっかりだろ!そいつは四葉咲、迂闊に手を出すとただじゃゃ済まないぞ」

 

「あああの、沢木をも倒した200人切りの四葉の1年か」

「四葉さんの強さは一年ニ年とか関係ありません」

 

私はあの一戦から校内で色々あだ名が付いているらしい、代表例は「絶対王者」「魔王」「四葉の白い悪魔」、原作咲とほとんど変わらなくてなんか悲しい

 

 

「三年の辰巳鋼太郎だ」

「四葉咲です。よろしくお願いします」

 

ぺっこりんと綺麗なお辞儀をすると驚いたようだ。あの試合の話しか聞いてないと仕方がないことだろう。

 

「二年の沢木碧だ。くれぐれも下の名前で呼ばないように。今度またお手合わせをお願いしたい」

「よろしくお願いします。沢木先輩は肉弾戦込みがとても強いと聞いています。なので肉弾戦込みだと勝てる気しませんけどね」

 

こういい微笑むととさすがに女子を殴るのはとか言い出した。どうやら沢木先輩は紳士的のようだ。後から聞いた話だが沢木先輩は握力が100あるらしい。

 

雫が言っていたこの学校に一般人はいないという言葉が思い出されるのであった。

 

 

 

 

2人が帰ったのと入れ替わりのように七草先輩が生徒会室から降りてきた。どうやら生徒会室を閉めるらしい。七草先輩は部屋の変わりように驚いていたが以前のここを知らない私はどれほどの部屋だったんだとしか思うことしかできない。

 

ほどなくして私たちは委員会室や生徒会室からでて今日の活動は終了するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




この世界の咲さん、漫画咲さんより感情が豊かだなあ()

今日17時に番外編もう一話投稿です

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