咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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訪問者編オーラス


みんな訪問者編まだ終わってなかったこと忘れていたと思います
自分も忘れてました


第66局[和解]

「深雪?」

 

姉から話しかけられることによって、意識が再び現在に戻ってくる

 

「申し訳ありません…三年前のことを思い出していました」

「なるほどね」

 

私は会話の最中に昔のことに耽ることで、目の前の姉をほったらかしにしたことを謝る。

 

「お姉様、一つよろしいでしょうか?」

「何?」

「どうしてお姉様は小さい頃から私とお兄様に対しての態度が変わらなかったのですか?」

 

今まで聞くに聞けなかった質問であるが、これを機に質問してみる。聞いてはいけない質問かも知れないのでビクビクしていたが、聞かれた姉は笑っている。

 

「深雪は私が達也さんと話しているのを見て、嫉妬してくれていたのかしら」

「っ……!……そんなことは…いえ、その通りです」

 

ごまかそうと思ったが、ごまかすことではないと気づいたので素直に言う。

 

「ありがとう深雪。心配しなくていいわ。私の一番は貴女よ」

「あ、ありがとうございます」

 

姉に笑顔でそう言われては嬉しくも恥ずかしくもある。今の私の顔は赤く茹で上がっているだろう。相変わらず姉は人誑しだ。

しかし、姉の次の言葉で顔が引き締まる。

「ねえ、深雪。なぜ鳥は空を飛ぶのだと思う?」

 

三年前にも聞かれた質問。

姉が婚約の条件に出すほどの質問。

その答えは一緒に暮らした三年間でわかった気がする。

しかしまだ言葉にすることができない。

間違った答えを言ってしまったら、姉が遠くに行ってしまうような気がするので下手なことは言えないからだ。

 

「これの答えが深雪の質問の答え。ごめんね、意地悪なお姉さんで」

 

私が答えを言う前に、姉がそう言う。

その言葉が言い終わると同時に、お風呂が沸いたというアラームがなった。そのアラームを聞いて姉が立ち上がり、風呂場の方に歩いていく。

 

「お風呂、先に入らしてもらうわね。あ、そうだ深雪。明日の夕食は3人分よろしく」

 

そう言い残し風呂場に消える。深雪はその言葉を聞いて小さくガッツポーズをする。

 

あんなに怒ってたのに深雪の頼みとなったら断ることができない。相変わらず咲は深雪にとても甘いのであった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、私は昼食を達也と深雪と一緒に食べること以外は普段通り生活していた。

エイミィや十三束君に、今日の咲は機嫌がいいと言われたぐらい普通であった。不機嫌オーラを垂れ流してるつもりはなかったのだが、原作咲さんと同じように周りを知らぬ間にビビらせていたのかもしれない。

 

私は下校した後、一度マンションに帰り荷物を持って、今家の前にいる。

3日ぶりでありそれぐらい用事で家を空けることもあるのに何か懐かしく感じるのと同時に、自分の家なのだが知らない家のようにも感じる。

勇気を出してインターホンを鳴らし、家の中に入ると2人で出迎えてくれた。

 

「お姉様、お帰りなさい」

 

深雪は笑顔だ。それと対照的に達也は真剣な表情をしている。次の瞬間、達也は深々と頭を下げた。

 

「すまん咲、手をあげた俺が悪かった。お前を大切に」

「思うがゆえの行動だったのでしょ?わかってるわよそんなこと。私も同じ気持ちで、貴方達を心配に思ったから家を抜け出したのよ。これでおあいこ。それでどう?」

 

顔を上げた達也は苦笑いしている。私の喧嘩両成敗論で達也は一応納得してくれたようだ。

 

「ああ。おかえり咲」

「ただいま、達也さん深雪」

 

初めての私たちのちょっとした喧嘩は三日で解決した。

 

 

 

 

 

 

 

風に乗って楽しげなざわめきが聞こえてくる。学校全体が喜びの声に満たされており、時折泣き声が聞こえるが、それは不幸によるものではない。

今日は卒業式だ。式自体はもう既に終わっており、1年の私は関係ないはずなのだが…

 

「何でこんな面倒くさいことになってるのかしら」

「お姉様、もうそれ今更ですよ…」

 

私は学校にある二つの体育館をシャトルランしていた。

 

卒業式の後のパーティが開かれるのはいい。

それを主催するのが生徒会なのもわかる。

どうして二つの会場に分かれているのか。いやその理由もわかる。一科生とニ科生分けた方が気楽であるからであろう。 けどそれと感情は別であった。

 

まず私は一科生の方の会場で生徒会長として挨拶をする。その後、ニ科生の会場に向かい同じように挨拶をする。そして一科生の会場に戻り、七草先輩達と写真を撮り幾分か話すと、再びニ科生の会場に戻りこちらの会場を運営している深雪の話を聞いて何か問題がないか確かめる。そしてまた一科生のところに戻り、今度は中条先輩から話を聞く。それの繰り返し。

一番きついと思われる場所に配置されてる気がするがたぶん気のせいと思いたい。

 

達也も巻き込んでやろうとしたのだが、深雪に拒まれたので断念。

 

私はパーティが終わる頃にはヘトヘトになっていた。

 

 

 

「咲さんお疲れね」

 

パーティの終わりかけ、一息ついていると七草先輩と渡辺先輩が話しかけてくる。

七草先輩は魔法大学に順当に合格し、市原先輩や十文字先輩と大学でも共に学ぶことになった。

渡辺先輩は魔法大学を受験せず、防衛大学校に進学することとなった。理由は言わずもがなである。

 

「申し訳ありません、お見苦しい姿を見せてしまい」

「まあ仕方ないさ、あんなに往復してたら疲れるだろうからな」

「メールか何か使えば良かったんじゃない?最初の挨拶以外は往復しなくて済むし。去年はそうしていたわよ」

 

七草先輩の言葉に絶句してしまう。情報を伝える手段は口伝達以外にもそういえばあった。また達也に脳筋とか言われてしまう。

 

「咲さんもそんな顔するのね」

「そんな顔見るの2回目だな」

 

七草先輩たちは楽しそうに言う。1回目はモノリスコードの時であろう。

 

「そうそう、私たちは咲さんにお礼を言いに来たのよ」

「お礼…ですか?」

 

お礼を言われるようなことはしていないので首を傾げる。

 

「お前は私たちの高校最後の1年間を忘れられないものにした立役者の1人だからな」

「悪い意味でじゃないわよ」

 

お礼を言われていると言うより弾劾裁判にかけられてる気がしたが仕方がないだろう。確かにこの1年間無茶苦茶なことをやった気がする。

 

無茶苦茶なことをやっているといえばステージにいるリーナだ。パーティの終わりかけであるのにステージの上に立ち、有志のバンドメンバーと歌を熱唱している。

リーナはほとんどいなかったが、一応臨時の生徒会役員であった。さすがに臨時役員に大変な仕事を任せるのは気が引けたので、あまり手のかからない当日の催し物の担当をしてもらったのだが、何を勘違いしたのか自分でバンドを率いてステージに上がっていた。私よりリーナの方が頭が悪い。そして、普通に上手いのが笑えるのだが。

 

みなもも馬鹿であるし、戦略級魔法を使える私が言うのも何だが、戦略級魔法を使える人はたぶん全員馬鹿なのであろう。賢い達也もシスコン全開の兄馬鹿であるし。

 

 

「サキ!貴女めちゃめちゃ歌上手いって聞いたわよ!私と歌うわよ。ほらマイク」

 

ステージから降りて来たリーナに捕まる。

逃げようとするが七草先輩と渡辺先輩にブロックされてしまう。万事休すだ。

仕方なしに私は雀明華の神依をしてステージに上がる。

 

私と2人で歌うリーナは楽しそうであった。リーナは私以上に特殊な存在。何かと制限されることも多いはずだ。しかし軍や国に今この時は縛られていない。今この時間を楽しんでいるに違いない。

 

 

そんな私たち2人の歌声は空を自由に飛ぶ鳥のように天高く登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これぐらい簡単に咲さんと照も仲直りしてほしいですね。

新しい神依出すタイミングが全然ないんですけど…



アンケートのお願い

ダブルセブン編が終わったあとifをやろうかなと思っています。(このままのペースだと原作に追いつくため)
咲のキャラを劣等生の世界に入れるifを考えているので、そこで誰を入れて欲しいかのアンケートを取りたいと思います。読みたいと思ったキャラを自分の活動報告にコメントして頂ければ、もし1票でもなるべくそのキャラの物語も書こうと思いますので遠慮なく要望言ってもらって大丈夫です。最初は多数決で多かったキャラから始めます。



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