咲-saki- 四葉編 episode of side-M 作:ホーラ
皆さんはどう思いますか?
夕食が終わり3人で話しているとリーナの話題になる。
「俺は高い確率でリーナが"アンジーシリウス"だと思う」
アンジーシリウスとはUSNAの世界最強と言われる魔法師部隊、スターズの総隊長の名である
私もあのリーナの目や母からの忠告、神儀の予言からそう思っている。
「わからないのは"シリウス"の正体を隠さない姿勢だ。わざと知らせてるのかもしれない」
わからないのはそれであった。麻雀で赤5捨てて安い手にしてるということをわざと晒せるのは、誰かの連荘止めるためとか場を流すためとかあるが、極秘情報であるシリウスの情報を流す意味がわからない
咲達がわからないのは当然でリーナの精神的ガードがUSNA当局の予想より緩いだけであったのだが。
「そして」
「何故USNAは戦略級魔法師という切り札のシリウスを投入してきたのかということですね」
達也の推理に深雪が続ける
「深雪のいう通りリーナの能力は諜報向きではない。本命は別にいるのだろうが囮としては」
「大きすぎるわね」
「USNAがシリウスを国外に投入するほどの任務、一体なんでしょう?」
深雪と達也が首を傾げている。私の考えてることはまだ考えていないようだ。
「私の拉致か暗殺、それもありそうな線じゃない?」
「そんな!?」
「確かに咲の力は横浜ですでに目立っている。あの時の神依は派手だったからな。リーナとあった初日、リーナが咲を見る目は警戒してるという目であった。USNA情報部が咲の情報を掴み脅威となる前に拉致または暗殺するという線も考えられる、だが1つ指摘すると」
「私が四葉っていうことね」
四葉はすでに国を一つ滅ぼしている。USNAが喧嘩をうるだろうか。
「そうだ。だが逆に咲を暗殺し四葉を引っ張り出すことによってUSNAvs四葉という人海戦術で勝てる状況に持っていく。そしてそれで四葉の力を削げば日本への侵略はUSNAにとって容易いものになるとも考えられるぞ」
「あり得ない説ではありませんがお姉様を暗殺できるでしょうか?」
深雪は私をなんだと思っているんだ
「確かに咲はリーナでも暗殺できないだろうな、咲ではなく深雪と俺が狙われている可能性もある。気をつけるにこしたことはないだろう」
私をなんだと思ってるんだという感想もあったが達也のその言葉に私と深雪は頷いた。
次の日、リーナが生徒会室にやってきて学校の設備を詳しく教えてくれないかというお願いをしてくる。私はいつも通り全体の25%の仕事を終わらせ、既に本を読んでいたので私とリーナで回ることになった。深雪は心配そうな目をしてきたが、大丈夫という目で答える。
彼女が留学してきてまもないので当然なのだが、彼女と2人っきりになるのは初めてだ。
少し気まずい雰囲気になっていた。私の愛想が悪いとか人付き合いが悪いとかではなく、リーナが明らかに探りの目を入れているのだ。枕神怜も精霊達も警戒している。
私とリーナが2人で歩くと目立つので、人通りの多いところでは仕掛けてこないが、それならば人の少ないところではどうだろうかと思い試してみることにした。
人通りがほとんどない裏庭から実験棟に行く小道にわざと出るとリーナが足を止めた。
「リーナ疲れたの?戻ろうか?」
まだ怜の予知モードは反応してないまだ仕掛けてこないようだ。
「いいえ、大丈夫よ」
何か言いたそうにしているので首を傾げて続きを促す。
「咲って多重人格って言われてるけど本当に多重人格なの?」
それを聞きたかったのか。たぶん私の噂は他の生徒に聞いたのだろう。私が多重人格ということは学校中に知られている。
「そうよ、なんでそう思うのかしら」
「多重人格という割にはこの前の実技の時のようにすぐ出したり戻したりできるからよ、それに人格ごとに魔法特性が分かれてるっておかしいと思わない?」
この前のリーナとの対戦で実験してたらリーナは疑問に思ってしまったらしい。そこで怜のアラートがなった。そろそろ仕掛けてくるらしい。
「そうかしら、私にとっては普通なのだけど」
「じゃあ今はどの人格なのかしら」
リーナが近くから気絶させるための電撃魔法を発動してくる。私はあらかじめ発動していた"避雷針"によりそれを無力化する。その後襲いくる掌底を障壁魔法で無力化、次に指からはなってきたサイオン粒子の塊は私を突き抜ける。私はリーナの頭にCADを突きつけた。
「パレード!?」
パレードとは九藤家の秘術だったはずだ。できないことはないが精霊魔法の方が楽である。今使ったのは"囮精霊"、九校戦で幹比古が使った技だ。簡単にいうと分身技。
「ねえ、リーナさっきのは何かしら」
「避けられると思ってた」
「説明はしてくれるの?」
やはり神依無しでも普通に動けるぐらい今年の神儀による加護は効いている。
「お許しください、お姉様」
リーナが深雪の真似をしてくるので拘束を解除してあげる。
「やっぱり咲も達也と同じで深雪に甘いのね」
「で、説明はしてくれるのかしら?」
「単なる好奇心よ」
明らかな言い逃れだが面倒くさいのでもういいだろう。
「ま、いいわ」
「え?」
「リーナは私の腕試しをしたかったんでしょ、折角実技で戦ってるのだからこれっきりにしてね」
私がいつもの調子でいうとリーナは戸惑いの表情を浮かべている。
「じゃあここで分かれましょ」
「え、ええ」
私が何もせず逃してくれたことにリーナは疑問を覚えているようだ。すれ違い様にリーナの耳元で小さく囁く
「次仕掛けてきたら容赦しないから」
そう言い残し、その場を立ち去った。
咲が好きすぎて、短編書いて1人でそれを読んで楽しむぐらい咲の作品に飢えているので誰か咲の作品書いてください…