咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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アクシデントにより明日から1日投稿です。誕生日設定完全に忘れてた…


第40局[防塞]

先日の女子生徒の顔は見ていたので、学校では精霊魔法を使って監視していた。相手はこちらに危害を加えた訳ではなく、見ていただけなので何もできない。ならば前世で哲学者の誰かが言っていた見ている者はまた見られているのだ理論でこちらも監視してやろうということだ。

 

 

今日は朝から何度も探りを入れる式神のようなものの干渉を学校外から受けている。

いつもは一度防壁術式に阻まれるとその日はもうちょっかいを出してこなくなるのだが、今日は諦めが悪いのか何度も攻撃を受けている。一高全体を大きな網をかけて構えてるような感じがして鬱陶しい。絶対服従で無効化させてもいいが、1時間ぐらい大丈夫だが1日中は流石にきつい。それならばと思い神依を発動する。

 

 

臼沢塞

原作の能力は相手を塞いで和了させない能力。能力を無効化や封じるとかではなく塞ぐとしか言っていなかった。咲がこの世界に置き換えると何かを塞ぐ能力。ブランシュ事件で使ったように空間を塞いだり意識を塞いだりするようにも使えるし精神干渉系のように記憶を塞ぐというようにも使える。塞ぐという動詞が多少強引にもつくのなら使えるのだ。そして私が解除しないとそれは解除されない。

 

 

今回使うのはSB魔法での外からの視線を「塞ぐ」結界だ。神依を発動し結界のイメージをする。イメージすることにより魔法が発動すると鬱陶しい視線を感じなくなった。魔法の結界はうまくいったようだ。

 

 

 

 

その日の夕方久しぶりに九人揃って帰宅することとなった。

 

「咲さん、式神のようなものの視線が今日の午後から消えたんだけど何か分かる?」

 

吉田君がそう聞いてくる。やはり吉田家の神童と呼ばれていただけある。午前中の鬱陶しい視線に気づいていたのだろう。あれは式神や精霊に対して敏感ではないと気づかないはずだ。

 

「鬱陶しかったから対処したわ。一応生徒会長ですもの」

 

達也は珍しいものを見るような目で、その他の七人は尊敬する目でこちらを見てきた。達也は私が相手を殺したり消したり記憶を無くさせたりしないで平和的に解決したことに驚いているようだ。そうしたいのはやまやまだったのだが探知するために逆に学校の結界が邪魔でできなかったのである。

 

そんな話をしながらいつもの喫茶店に入ることになった。いつもの九人座れる広い席は空いてなかったのでカウンターとカウンターに一番近い席に分かれて座った。

 

私が紅茶2/3飲んだところでエリカたちが外に出始めた。下校の時尾行してきたものを処理しにいったのであろう。エリカたちなら心配ないしこちらから小物に構う気はないのでエリカたちに任せることにした。

 

 

 

 

翌日

九校戦はチーム52人に対し論文コンペは3人。だが実際に関わる生徒は九校戦より多い。技術系クラブ美術系クラブはもちろんのこと純理論系クラブや実技上位者も総動員される。

簡単にいうと私や深雪も準備に駆り出されていた。

 

達也にプラズマどうこうの魔法を発動してくれと言われたが、ちんぷんかんぷんであったので産業スパイの精霊魔法対策するわといって断った。深雪も達也に頼まれていたが私と同じ理由かどうかわからないが断ったようで達也が結局自分でやることになっていた。

 

 

精霊魔法を使うと、彼女がどうやら尻尾を出したようだ。達也に一言謝り私は中庭に向かった。

そこにいたのはおさげの女子生徒1人。この前の監視者だ。

 

「ねえ貴女、手に持っているもの何かしら」

「………!?」

 

私は気づかれないように後ろから話しかけた。女子生徒はびっくりしているようである。

 

「それパスワードブレイカーよね、何に使う気なのかしら?」

「貴女は知らなくていいことです」

 

その言葉と同時に閃光弾を放ってきた。

 

「同じ手が通用すると思って二回も同じことやるなんて流石に私を舐めすぎよ」

 

私は当然対策をしていたので閃光弾中に彼女の肩を掴んだ。彼女は私の手を振りほどき袖口からダーツを繰り出そうとしていた。がしかし飛び出すことはなかった。既に精霊魔法の電磁気を使う魔法でその仕掛けを無効化してある。

 

「じゃあちょっと眠ってね」

 

私は雷童子の威力を抑えたスタンガンのような魔法で彼女を気絶させた。

 

 

 

 

保健室で話を聞くとどうやら私と達也を憎んでいるようだ。憎まれることはよくあるので最初はそんな理由かと思っていたが明らかに憎まれ方がおかしい。これはマインドコントロールを食らっているだろう。シノハユの世界チャンピオンがマインドコントロールのようなことしてた覚えがあるがマインドコントロールは専門外であるので先生に任せることにした。

 

 

 

その日の帰り道、レオとエリカがいない代わりに千代田先輩と五十里先輩と一緒であった。

彼女、平河さんの行為に聞いて私から聞いた他の人の反応はほのかは憤慨し雫は理解に苦しむという反応、幹比古と美月は少し同情的な反応であった。

一科生二科生で見事割れる形になったがそのことについて口には出さなかった。

それにしてもさっきからちょろちょろと鬱陶しい。

 

「おい咲、やめろ」

 

五十里先輩達と平河先輩に説得してもらおうなどと話していた達也が私の雰囲気が変わったのを見て私を止めた。相手の式神を逆探知して術式者をこの世から消し去ろうとしたのだがまだ相手が見てるだけなので正当防衛にすらならない。そのことに数日間の攻撃によりイライラしてた私はようやく気づくのであった。

 

 

 

学校に隣接した丘を改造して作った野外練習場。私は警備隊の様子を見るためにそこに来ていた。そこでは十文字先輩と警備隊員になった生徒またはスカウトされた生徒が対戦しているようであった。それも私と同じく1vs10で。

 

「七草先輩、渡辺先輩お久しぶりです」

 

 

魔法による模擬戦は事故防止などの理由によりモニター要員がつくことになっている。どうやらこの模擬戦でのその要員は七草先輩と渡辺先輩のようだ。

会うのは実際には1、2週間ぶりぐらいだが一学期は毎日会っていたので久しぶりに感じられたのだ。

 

「咲さんじゃない、どうしてこんなところに?」

「激励に来ました」

「咲に激励されたら男共は頑張るだろうな」

 

渡辺先輩は笑いながら言う。モニターを見ながら思ったことを言う

 

「少し失礼ですけど10人側もうちょっと工夫してほしいですね」

「例えばどんな風にだ?」

「まず1人移動魔法が得意な人が十文字先輩に姿を見せ囮となります。そして9人が待つ場所に引きつけ一斉攻撃で撃破します。もし撃破できなくてもサイオンは消耗させれるのでそこから2、3人の組に分かれ波状攻撃すれば勝てると思います」

勝てると思います」この部分は必要なのでしょうか?

 

スマートではないが人海戦術で勝つのは戦いの基本である。モニターの中の10人チームは全くそれを活かせていなく各個撃破されていた。10人倒されたところで私は十文字先輩のところに向かった。

 

「お疲れ様でした」

「四葉か」

 

一瞬私がなぜいるのかと思ったようだが私が生徒会長ということを思い出し激励ということがわかったようだ。

 

「十文字先輩にとっては訓練にもなっていませんでしたね」

「……」

 

十文字先輩は少し物足りなさを感じているようだ。私の提案が通るかもしれない

 

「十文字先輩、私と模擬戦しませんか?」

「お前とか?」

 

私の急な質問に少し驚いた様子を見せたが今までの行いを見てこういうやつだったと思い直したようだ。

 

 

「ええ、退屈はさせませんよ。私が勝ちますけど」

「いいだろう、新会長の力を試してやる」

 

現生徒会長と旧部活連会頭の戦いの火蓋がここに切られた。

 

 

 

 


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