咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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大量キンクリでパパッと終わらせました。夏休み編は大して重要でないのにほのかの告白のせいで全部キンクリできないのがなあ…


第37局[休息]

私が本家から帰ると深雪が出迎えてくれた。

帰って荷物を置きリビングでしばらく話すと、深雪が何か言いたそうにしている。何か言いづらいことでもあるのだろうか

 

「あの…お姉様…雫達から海に誘われているのですがどうなさいますか?」

「海ね…」

 

深雪は私が夏、なるべく外出したがらないのを知っている。今年の九校戦は例外だが例年仕事以外では遊びなどで外に出ることはない。既に達也の約束は取り付けているのであろう。あとは私の回答待ちと感じられた。

 

「どうでしょうか」

「そうね、雫の誘いを無下に断るのも悪いし行こうかしら」

「わかりました!雫にそう伝えときます」

 

深雪の顔は私の返答を聞くと、太陽を浴びた向日葵のように明るくなった。深雪は私と海に行きたかったようだ。考えてみると私と海に行くのは三年ぶりだ。そう思うと海もいいかもしれない。

 

 

 

出発の日、私たちは空港ではなく葉山のマリーナに集まった。飛行機ではなくクルーザーで向かうらしい。クルーザーから現れた船長のような人はどうやら雫の父上のようだ。先に達也は船長から歓迎を受け、私と深雪を呼んだ。

 

「お初にお目にかかります、四葉咲です。お招きありがとうございます」

「初めまして、四葉深雪です。この度はお招きいただきありがとうございます」

 

私と深雪は2人揃って綺麗に頭を下げた。

 

「ご丁寧な挨拶恐縮です、四葉のプリンセスの方々。私目は北山潮。貴女達のような美しい四葉のプリンセス達を迎えれることは当家にとっても栄誉と申せましょう、何卒楽しんで頂ければ嬉しいと思います」

 

潮は四葉の私たちに敬意をもって接した。この国で一番味方につけたいのは四葉。四葉とつながりを持つことはこの国に置いて一番力を持つことに近づくということを潮は知っていた。

 

その様子に雫とほのかは鼻を伸ばしているなどと突っ込み、潮はあたふたと慌て用事もあるのだろう、早急に退散した。

 

 

クルーザーは定時通り出発しクルーザーでは色々な話をしたが、急に私の人格の話となった。

 

「ね、咲。咲ってあんまり目立つの嫌いだと思ってたけど九校戦では目立つ行為ばっかりしてたけどどうして?人格のせい?」

 

エリカの質問に確かにそうだとほかの人からもそういう目で見られた。

 

「私は目立つのが嫌いなんじゃなくて面倒なのが嫌いなのよ。本当は九校戦も出たくなかったんだけど、流石にそれは学校としてまずいから出たわ。それなら出るなら出るで楽しくやりたいからああなっただけ。暑いのは嫌いだけど魔法戦は嫌いではないのよ」

「咲の美貌と魔法力だったらあんなことしなくても目立つ」

「それに目立ちたくない奴が入学早々先輩達に喧嘩ふっかけねえわな」

 

私の言葉と雫とレオの付け足した言葉でみんな納得したようだ。

 

 

 

クルーザーは予定時刻に無事別荘のある島に着いた。

 

水際では私を除いた深雪達五人の女子が遊んでいる。達也は私の横でビーチのパラソルからそれをちらりちらりと見ていた。男子があれを直視するのは正直きついだろう。女子の私にとってもあれを直視するのは少しきつい。

 

「おーい、達也く〜ん泳がないの〜」

「お姉様、冷たくてきもちいいですよ」

 

エリカと深雪が私たちを呼ぶ。達也も私も手を振って返しといた。

 

「達也さん呼んでますよ?」

「お前も呼ばれているぞ、咲。泳がないのか?」

 

達也はニヤリと笑いながら言った。嫌な人である。まあ私も人のこと言えないかと思い本を読むことに戻った。

 

いつまでも来ない私たちを深雪達は取り囲んだ。

 

「咲、そんな海まできて本読んでたら勿体無いって。泳がなきゃ!」

「そうですよ、エリカの言う通りです、お兄様もパラソルの下にいるだけじゃもったいないです」

 

深雪とエリカが迫ってきたので読書を中断せざる得ない。

 

「身ぐるみ剥がすわよ」

 

エリカが私のパーカーを剥がそうとする。阿知賀1話の玄のようにエリカは手をわきわきとしながら私を襲ってくる。怖い。

 

「咲はスタイルいいんだから隠す必要ない」

 

雫がエリカの攻撃に後押しして腕に捕まってくる。

 

「そうですよ、お姉様、脱いで楽になりましょう」

 

拷問時に使う早く吐いて楽になれのように深雪が言ってくる。そんな子に育てた覚えはない。

 

「ち、ちょっと待って。わ、私日焼けにものすごく弱いのよ。パーカー脱いだら背中真っ赤になっちゃうのよ」

 

これは事実である。達也に助けを求めて目を送るがこっちを見ていない。裏切り者め。

 

「とうっ」

「あ…」

 

とうとう私は五人に抑えられパーカーとズボンを脱がされた。恥ずかしくて涙目になってしまう。

 

そこにいたのは涙目の神を具現化したような姿であった。その姿はこの世の美を凝縮されたような姿であり、深雪達は驚き固まっていた。それを見逃さなかった私は見て一瞬で服を取り返し、早着替えで元の姿に戻った。

 

「咲…隠す必要ないでしょ」

「そうですよ、今まで見た中で一番素晴らしい水着姿でした」

「肌を見せるのは恥ずかしいのよ…」

 

咲が水着姿を除くと一番肌を見せたのは九校戦のクラウドボールの半袖半ズボンであった。

 

「でも神様みたいでしたよ」

「お姉様…そろそろ事実を話してもいいのでは」

「そうね……恥ずかしい話なんだけど私泳げないのよ…」

 

この世界、ほとんどの能力において卓越した力を持つ咲の最大の弱点は泳げないことであった。原作咲も泳げなかったし仕方がないが恥ずかしいものは恥ずかしいのである。深雪以外の4人が笑い出した。

 

「安心しました。咲さんでもできないことあるんですね」

「泳げないことで人間味を感じる」

「咲があの姿で弱点なしなら近寄り難いですね…」

「咲もできないことがあるのは嬉しいね、同じ人間と感じられて。さっきの姿みたら同じ人間じゃないと思ったもの」

 

4人とも私が泳げないことで安心したようだった。

 

「だからパラソルの下で本を読んでるわ」

「お姉様は水が怖いんですよね?」

 

深雪が挑発してくる。バトルボードにも出てるし水が怖くないと知っているはずだがこれは私を海に連れ出す罠だ。

 

「怖くないわよ」

「お姉様は深雪に水かけで負けるのが怖いんですか?」

「深雪言うようになったわね。勝負よ」

 

ズボンをめくり海の方へ向かう咲は向かった。煽り耐性0である。深雪は咲の扱い方が世界で一番上手い人物なのだ。

 

 

 

 

水かけは1vs5であったが私が勝利した。みんなに水かけごときで人格変えるのずるいと言われたが売られた喧嘩は買う。それが私の流儀だ。雀明華を使い縮小版風舞台を使い、周りに強風を起こして水を飛ばしそれを深雪達に当てて勝った。当然手加減なしに歌も歌った。

 

 

その後、ほのかのちょっとかわいそうな事故があり、達也とほのかは一緒にボートに乗っていた。当然深雪の機嫌は悪い。これはどうしようもなかったので私は本の世界に現実逃避した。周りのどうにかしてという目は無視することになったのだが。

 

 

夕食のバーベキューが終わり遊んでいたカードゲームが美月の負けで終わると雫が深雪を外に連れ出した。何か雫は訳ありな顔をしていた。その後ほのかが達也を連れ出したのでそれから何かが起こることを未来視なしにわかったのだが、何かするのは自分の信念に反するので何もせずそっと見守ることにした。まあ深雪を連れ出した時点でわかっていたことだが。

 

 

次の日、深雪とほのかにこの暑い中散々振り回されている達也はいつもより楽しそうに見えた。

 

 




まあ咲視点だったらこんなもんで大丈夫ですよね…



今日は宇津木玉子(誰?)の誕生日です。同じく副将で炎上したマタンゴも祝福

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