咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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劣等生漫画版は読んでいないので、そこはご了承下さい



第21局[挑発]

九校戦前の懇親会は、選手だけでも四十人×九校で三百六十人、裏方も合わせると四百人くらいにはなる。まあ何かと理由をつけて欠席するものも居るので、全員参加と言う訳にはいかないようだが、それでも三百は軽く超える。

 

私もやはり面倒くさいので、サボろうとしステルスモモを使ったが、先手を打った機嫌の悪い深雪が、達也を連れてきて逃げようとした私を捕まえた。私の悪魔というあだ名をそろそろプレゼントしようかと思う。

 

達也絡みではない機嫌の悪い深雪の宥め方はわからないので(達也がらみでもわかりにくいが)懇親会では隅っこで会場を観察していた。

そんなことをしていると見知った顔を見つけた。

 

「エリカじゃない!さっき言ってた関係者ってこういうことだったのね」

 

散歩に行く前、九校戦を応援しに来たエリカやレオにあっていたのだ。美月ともう一人連れがいるらしいが話もそこそこに散歩に出てしまったので会うことはなかった。

 

「そういうこと、これどうかしら?」

 

「とても似合ってるしかわいいわ」

 

「男子にはコスプレに見えるらしいけどね」

 

「その男子っていうのはレオ?」

 

「ミキよ、コスプレって言ったのは」

 

男子で美希なんて名前はこの世界で初めて聞いた。女性のような名前だし忘れることはないと思うのだが、と首を傾けているとエリカは納得したようだ。

 

「そっか、まだ咲には紹介してないんだった。ミキからはよく話聞いてたけど」

 

お盆を持ったままどこかへ抜けてしまった。

 

私のことを話しているということは私のことを知っているということ。その点から考えればなるほど吉田幹比古のことであろう。彼もこの会場に来てるのか。

 

「四葉咲様ですか?」

 

「ええそうよ、貴女は?」

 

三高の制服を着た女子が話しかけてきた。

 

「一色愛梨です。一応咲様に婚約を申し込んでいます」

 

普通なら女の子と女の子が婚約できるわけないだろと笑い飛ばすところであり、事実私も最初笑ったものだが、なぜか咲の「ips細胞で同性の間でも子供ができるらしいです」がこの世界に取り入れられており同性同士でも婚約や結婚ができるようになっているらしい。なんでや!

 

「ああ、貴女が一色愛梨さんね、噂は聞いているわ」

 

通称「エクレールアイリ」、移動魔法を使った剣さばきの鋭さからエクレールの相性がついたらしい。

 

「ありがとうございます…私、咲様に会いたくて会いたくて…九校戦中か夏休みの残りにお茶やどこかお出かけでもどうですか?」

 

「一色だけ咲様にデート申し込むのはずるい」

 

「三日月先輩お久しぶりです」

 

彼女は三日月神奈、二高の2年でまたまた私の先輩だ。

 

余談だがなぜこんな中学の先輩で二十八家が多いかというと理由がある。東京には有名中学が2つあり1つは四葉の資本が入ってる学校。残り1つは七草の資本が入っている学校である。なので私に婚約を申し込んでる家で東京に進学させる場合私の中学になるのだ。

 

「私も咲様とデートしたい」

 

「私の方がしたいですよ」

 

二人の目線がぶつかり火花が散っているようだ。

 

 

「喧嘩はダメですよ二人とも、うーんそうね、愛梨ちゃんは何に出場するのかしら?」

 

 

「新人戦クラウドボールと本戦ミラージバットです」

 

「三日月先輩も当然ミラージバットですよね」

 

「うん、それとスピードシューティング」

 

「じゃあどれか種目で優勝したらデートしてあげることにします」

 

二人とも喜んで気合が入っていたがこの条件だったらまあデートに行くことはないだろう。

クラウドボールは私と当たるしミラージバットは渡辺先輩と当たる。スピードシューティングは七草先輩と当たる。そこまで考えた提案であった。まあ優勝したらしたでお祝いにデートしてあげるのもいいだろう。機嫌も取れたことだし仲良くなってくれそうだし一件落着と思いホッとしていた。

 

 

 

 

 

 

「あの一色と一緒に喋ってる子超綺麗じゃね?」

「一色も可愛いけどあの子の前だと霞むな」

「さっきの四葉の子も可愛かったけどこっちは綺麗系だな」

「なあ吉祥寺、お前あの子のこと知っているか?」

 

話しかけられた吉祥寺は将輝の方を見たが当然知っているようだった。

 

「名前は四葉咲さん。四葉三姉妹の長女で深雪さんと同じく一高。エントリーしてる競技はクラウドボールとバトルボード。一高一年Wエースのうちのもう一人だ。案外君たちでもチャンスがあるかもしれないよ」

「ん?どういうことだ?」

「咲さんに関しては四葉にしてはオープンでね、婚約をどこからでも募集しているようなんだよ。しかも婿入りだけじゃなくて嫁に出す条件もあるんだ、そこの将輝やあそこの一色も申し込んでいるよ」

 

「「ええーーー!!!!」」

 

将輝は余計なこと言うなという目で見てくるが事実だし仕方ない

 

「じゃあ俺たちでもいける可能性があるということか?」

 

「可能性はあるけど条件付きなんだ、1つは卒業時にある質問に答えること。もう1つは正解した人だけで行う咲さんとの魔法戦に勝つこと」

 

「四葉直系に魔法戦で勝つのは無理だから諦めるしかないな…」

 

その言葉を聞き将輝はどうなのかと、思い見ると将輝は熱を篭った目で咲を見ていた。

 

 

 

 

 

 

「お姉様はすぐイベントごとをサボろうとするのはよくありません、今日だって逃げようとしてました。でも会場についたら楽しそうですし…なのに深雪のそばには来てくれませんし…今だって他校の人とあんな楽しそうに……もしかして深雪はお姉様に嫌われたのでしょうか……もし…もし……そんなことあったら……深雪は……深雪は……」

 

 

ほのかと雫はまた深雪の扱いに困っていた、怒っているだけだったらいいが途中で泣き出しそうになるのでどう言ったらいいかわからないのだ。本当は深雪の機嫌が悪いから咲は逃げたんだよと言いたかったがそんなことこんな状況で言えるわけなかった。達也も咲もこの場にいないしどうするか悩みどころだった。

 

「どうしたの深雪、元気ないね〜」

 

「深雪は咲に嫌われたと思っているぽい」

 

「そんなわけないじゃん深雪!咲と話すとき深雪のことが出ると咲嬉しそうだよ、そんな咲が深雪のこと嫌いになるわけないって!」

 

突然現れたエイミィの言葉に深雪はそうね、お姉様が私を嫌いになるはずないわといって正気を取り戻したようだ。

 

雫とほのかは第3の深雪への特効薬としてのエイミィに感謝するのであった。

 

 

 

 

 

せっかく隅っこで目立たないようにしていたのに婚約を申し込んでいる人が次々と挨拶に来るせいで私の周りは壁2と人の壁2つにより完全に四方を囲まれていた。婚約者候補なので無下にもできないし逃げることもできない八方ふさがりであった。さてどうしようかと思っているところでちょうど老師の話が始まるようだ。

 

「全体系弱い精神干渉魔法10秒後くるでー」

 

これは枕神怜の予知モードである。これはイメージが簡単で、来る牌がわかり最高の上がりの形がわかる能力を、ただ自分に対してどんな魔法がいつ来るかを教えてくれる能力に変えただけである。

 

その後魔法発動のあと、紹介と共に現れたのは若い女性だった。後ろに老師が隠れている

 

周りの婚約者候補の人たちは気づいていないようだ。誰が気づいているんだろうと気になり周りを見回してみると、達也、九鬼先輩、七草先輩は気づいているようだった。

最後また老師の方を見るとこっちを見て笑った。やはり10年前と変わっていないようだ。

 

「まずは悪ふざけをした事を謝罪しよう。だがこれは非常に弱い魔法だ。しかしこの魔法に気がついたのは私が見た限りでは六人だけだった。つまり私がテロリストで、此処に居る人全員を殺そうとしたとしても、止めに動けたのは六人だけだと言う事だ」

 

あと二人は誰なんだろうかと思ったが次の言葉でその思考は止まった。

 

「10年前、ここにいるとある一人と魔法勝負をした。そのものは私を上回る強大な魔法強度干渉力と速度を持っていたが、私に土をつけることはできなかった、なぜそのものは勝てなかったのか、弱い力でも強い力に勝てると知らなかったからだ」

 

会場がざわめいた。10年前といったら5〜8歳である。その時点で老師より強大な魔法能力というのは桁違いであるからだ。

 

 

「諸君、私は君たちの活躍を楽しみにすると共に、君たちの工夫を期待している。先ほどのような小さな魔法でも、使い方次第では有効な魔法となる。使い方を間違った大魔法よりも、使い方の正しい小魔法の方が役に立つ事もあると言う事を覚えておいて欲しい」

 

最後は私の方向を見て締めくくった。

10年前、私は絶対王者照の力をもってしても老師に負けている。これは完全に今の力を見せてみろという挑発であろう。

 

いいわ見せてあげる、人は神に勝てないそれは理、「神依」の絶対的な力を

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさかのips展開、タグのガールズラブは深雪とだけだと思ってて落胆した人(そんな人いるのか)歓喜な展開になりました

最後咲さんカッコつけてますけどついこの間負けましたよね(震え声)

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