咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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vs淡


第16局[軌跡]

深雪は賭けに勝った、自分のフィールドを見た深雪は微笑み、もう一度ニブルヘイムを発動した。

 

 

 

 

土煙が晴れた時、淡は1本残っている柱を見て驚いた。あり得ない、今まで戦ってきた深雪の障壁や情報強化も大したものだった。たぶん十文字家の障壁にも見劣りしないだろう。さらに私は3.5秒貯めたのだ、スピードで負けたならともかくスーパーノヴァを耐えるなんてあり得ない。あり得ない。あり得ない。

 

本当は淡が残り本数12vs1で圧倒的有利であるのだが原作同様淡は能力を止められると冷静な判断を取り戻すのに時間がかかってしまう。その間に深雪の必殺コンボの下準備はできてしまった。

 

淡はもう一度水素と酸素を貯め直す、1秒でも貯めて近くでぶっ放せば軽く吹っ飛ばせるだろという目論見があった。それに私には最初から発動している情報強化がある、いくら深雪の魔法力が高いからっていって今の私の情報強化12本を一瞬でぬくのは至難の技だろう。

 

しかしその目論見は完全に崩れ去った、深雪がニブルヘイムからインフェルノに変えた途端ニブルヘイムによって氷柱についた氷が一瞬で膨張し淡の柱12本全てを吹き飛ばした。

 

 

「勝者深雪」

 

達也がそう宣言すると深雪は礼をし下がると普段見せないような喜びの顔でガッツポーズしたのだ。

 

 

 

 

 

 

深雪は姉の新しい神依に平均1年に一回勝てていた。姉の神依は強力だが必ずどこかに弱点があった。それもそのはず、咲の神依は漫画のキャラを元にしているのだ。チャンピオンや主人公でもない限り弱点がないことはない。しかし4年前に天照大神の「大」の能力を見せられてから一転、深雪は一度も勝つことができなかった。

最初の2年はまず絶対安全圏すら突破できずに終わってしまった。

次の1年は絶対安全圏と同時に展開される情報強化を抜けず

ここ1年は超新星に対抗する手段がなかった。

 

 

 

特に一番最後の超新星に対抗する手段、これがどうしようもなかった。絶対安全圏は魔法を息をするようにすることができれば突破可能であり情報強化は魔法力を鍛えるまたは技術を磨くことで突破可能であった。上二つの攻略法を教えてくれた姉も超新星に対しては対抗手段がわからなかったようでヒントを教えてくれることはなかった。

 

最初深雪は出されれば必敗の超新星は出す前に倒せばいいということを考えた。必殺技は出させなければ必殺技ではない理論である。

しかし淡の情報強化を抜くにはどうしてもある程度時間がかかりその間に超新星を撃たれ負けてしまった。多数の情報強化を抜くのに時間がかかるのなら目標を一つにすればいいという理論で1vs1でやったことがあるがこっちの目標も1つしか存在しないのでいつもの超新星より早く発動され考え方を改めざるえなかった。

 

 

次に深雪は出されても守りきればいいということを考えた。母のガーディアンだった桜井さんレベルまで障壁魔法を鍛え勝負に使ってみた。しかし3秒間貯めただけの超新星に後ろの目標ごと吹っ飛ばされてしまった。これは障壁魔法では空気の流れは止めれないので障壁魔法内で爆発が起きたためだ。

 

 

最後に超新星の威力を弱める方法を考えた、兄に超新星の原理は聞いていたので貯めている途中に使わせればいいと最初考えた。貯めている間に点火しようと思い、火を発生させる魔法を使ったがどこに貯めているのか空気なので見えず、適当に炎を撒き散らしても真空チューブで守られてしまい意味がなかった。それならばと乾燥した冬に戦ってみたがいつもと同じ威力であった。

 

ここまでの試合から深雪は仮説を立ててみた。淡は湿度を感じとれ1秒間にどれぐらいの水分解するかは湿度と空間で計算し湿度が変わっても毎回同じだけ水を分解しているという仮説だ。もし湿度が高い時にいつもと同じ空間、同じ時間、水を分解したとする。そしたらいつもより爆発が大きく自分も巻き込まれてしまう可能性がある。そのリスクを防ぐためにあり得る話であった。

 

今回この仮説を頼りに対戦した。まず深雪がお互いのフィールドにニブルヘイムを発動したのは空気中の水分を凝固させ空気中の水分を減らすため、こうすることによって淡が考えているよりも少ない量しか水を分解することができない。

これにより淡の思ったよりも超新星の威力が低かったのだ。深雪は淡がやったこともないルールであるので安全をとって3〜4秒しか貯めないと思っていた。今までの経験だとそれ以上貯めると深雪や淡自身も危険だしそれ以下だと火力が足りない。

 

実は淡はピラーズブレイクをやったことあるのだが深雪はそれを知らなかった。しかし今回は逆に淡が負ける原因となった。

 

その仮説+予想が当たりギリギリ障壁で耐えることができた。障壁は空気が入り込まないように柱の5つの面それぞれに触れるように設置したのも良かったようだ。

 

この試合は一瞬に見えて深雪にとっては4年間の戦いだったのである。ガッツポーズの一つもしてしまうだろう。

 

「淡ちゃん戦ってくれてありがとう」

「勝ち続けてたけど負けると悔しい、咲に申し訳ないなあ、なんて言われるんだろう。」

「お姉様はそんなことで怒ったりしないわよ」

 

深雪が今まで勝ってきた時も姉は怒るような素ぶり見せなかった。いつもよく頑張ったねと褒めてくれた。今回は天照大神の神依なのですぐに人格が戻ることはないが明日目を覚ましたら褒めてくれるだろう。

 

「今回はそんなことないみたい、すぐにリベンジしたいけど、じゃあね、また試合しようね」

 

何かがおかしい、淡と何度も戦ってきたが必ず寝ないと姉の人格は戻ってこなかった。

 

 

淡の時とは比べものにならないぐらいの大気の震えが起きた。近くの校舎の窓ガラスは揺れ咲の周りに風が巻き起こっている。

 

今回の大気の揺れは生徒のほとんどが感じ取っていた。魔法感受性の高い生徒などは吐き気などを催しトイレに駆け込む。

今度は深雪たちにも見える光が天から咲に落ち大気の震えは止まったがそこにいたのは咲でも淡でもなかった。

 

深雪は重要なことを忘れていた。咲に勝つことが少ないので忘れがちだが咲は"負けず嫌い"であることを。

 

 

「衣の名は「天」江衣、淡に勝ったのだから今度のは金剛不壊に出来ているな?」

 

咲が見せたくないと言っていた天照大神の「天」、その神が今そこに降臨していた。




どうしても淡が負けるのを第16局にしたくて今までの話が長かったり短かったりしました。なぜ第16局にしたかったかというとアニメ阿知賀編で淡が負けたのが第16局(話)であるのとそのサブタイトルが軌跡であるので4年間の深雪の軌跡を示すこの話にはピッタリだったからです。


ころたん、イェイ〜♪

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