咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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入学編はさっさとキンクリしたい…


第8局[平穏]

私はクラブ勧誘合戦まで平穏な日々を暮らしていた。

学校に登校すれば明智さんや少し仲良くなった子と喋ったりするようになりエイミィの紹介で十三束君とも仲良くなった。

昼食は七草先輩たちの厚意で生徒会室を使えるようになり深雪と達也と一緒に深雪の手作り弁当を食べ先輩達と交流する。

放課後は文芸部の人と共に図書室に通い本を読んでいた。

 

そんな平穏な日々も終わってしまった。

 

 

 

 

 

クラブ勧誘日初日の放課後、風紀委員一同が部屋に集まっていた。

 

 

「さて諸君、今年もあの馬鹿騒ぎの季節がやって来た、幸い今年は補充が間に合った。教職員推薦枠の1-A森崎駿と部活連枠の1-B四葉咲、生徒会推薦枠の1-E四葉達也だ」

 

「使えるのですか?」

 

懐疑的な視線が私以外の2人に注がれる。私は四葉の名と入学早々の試合が知れ渡っているのが原因であろう。達也は四葉の名はあるが二科生というところが、森崎は百家だがそんなに有名どころじゃないのが心配されているのであろう。

 

「実力は3人とも保証しよう。咲はお前らが知ってる通り、達也君の実力はこの目でみている、森崎のデバイスさばきもなかなかのものだ。それともお前が面倒を見るか?」

 

「いいえ、邪魔をしないならそれでいい」

 

「質問がなければ出動!一年はここに残れ」

 

そう言って二年三年生は先に見回りに向かい一年の私達は腕章と機械を渡され説明を受けた。

何か問題があったらこれで録画するらしいのだが原則風紀委員の証言は単独で証拠採用されるので無理に録画する必要はないらしい。余裕があれば録画しておく程度だろう。

 

「CADは委員会の備品を使用してもよろしいでしょうか?」

 

備品のCADとは先日達也がこの部屋を掃除した時に出てきたものと聞いた。私はCADについてよくわからないが高級品らしい。やはりどの世界でも掘り出し物はあるのだと思った。

 

達也はそのCADを"2つ"借りた。

渡辺先輩は面白がったが、逆に森崎君は見栄をはって墓穴を掘ったならコソコソしとけよとかいう小物発言をして去って言った。なんなんだあいつは。

 

CADの同時使用、それは極めて精密なサイオンコントロールが求められる"らしい"。私はエイスリンの能力でそれがわからないのだが。

 

エイスリンの原作の能力は自分のイメージの牌譜を卓上に描き出し門前で13巡以内にテンパイする能力。これをこの世界に置き変えた場合自分のイメージする現象を魔法に置き換えたり、イメージするだけで魔法が使える能力になる。私はこの能力を使い他の咲のキャラの能力をこの世界にうまく落とし込んだ。神依の中でも最も重要な神依かもしれない。ちなみに15年も日本にいるのでカタコトではなく普通に喋れるようになった。エイスリンの神依の力は既に私に馴染んでおり神依無しで使えるようにもなっているのでエイスリンの力を使いながら他の2人の神依を使うこともできる。なので達也達はこれを神依ではなく普通の私の力だと思っている。

 

話を戻すとイメージすると私は魔法を使うことができるので本当はCADを使う必要はないのだがCADを持った方が神依無しでは一応早いのでCADを使っている。最高マルチキャストできる魔法数は他家の数つまり3つだけだが問題はない。CADを複数使ってマルチキャストする際これにより意識してサイオンコントロールすることはないので求められる"らしい"ということだ。

 

「森崎君を東福寺にしてあげましょうか?」

 

「さすがにそれはまずい」

 

東福寺とは長野1回戦で咲に飛ばされた学校である。この世界では私と私が教えた達也と深雪しかわからない隠語であり、訳すと「逆らえないようにして(消して)あげましょうか?」となる

 

 

「森崎君よく達也さんが四葉と知って突っかかってきますね」

 

「お前と深雪には負けるがせめて二科生の俺には勝ちたいというプライドだろうな」

 

その後二、三言話し、私たちは自分が担当された区域に向かった。

 

 

 

 

 

私が担当を命じられたエリアは毎年最も争いが起こるエリアである。これは完全に貧乏くじを引いた。とりあえず風紀委員の存在を示して事前に警告するために私はオーラを纏った。

このオーラは魔法でもなんでもない。咲の強キャラが纏っているオーラのようなものを纏ってステルスモモの逆、存在感を上げているだけだ。

 

 

巡回してると思ったより事件は起きていない。軽い喧騒のようなものはところどころあるが前世でもよくあったイベント事特有のお祭り騒ぎ程度である。それに私が巡回してるとその喧騒も収まり揉め事は0であった。

 

私は同じく巡回してる先輩を見つけたので少し喋るために近づいた。

 

「沢木先輩、ご苦労様です」

「四葉さんもご苦労様、とはいえ四葉さんのおかげで今年は楽だけど」

「私のおかげですか?」

「"200人切り"がこのエリアにいたらそりゃ揉め事は起きないさ」

 

それも含めて今年このエリアが問題少ないのは3つある。

1つは沢木が言った200人切りの事実。先輩を1vs10で屠っていた咲には何をやっても勝てないということはわかっている。

2つ目は咲の四葉の名。もし仮に魔法使って流れ弾が咲に当たって怪我したとする。そうなった時仕返しに何が来るかわからない。それほど四葉の名は恐怖されている。

3つ目は咲の美貌。深雪が神が与えた最高の美貌だとしたら咲は神の美貌であった。深雪と人気を半分に分け合うぐらい構内で人気である。なぜ深雪のように絡まれないのかというとステルスモモで逃げてるからでありもし使わなかったら深雪のように囲まれているだろう。咲は知らないことだがもう既にファンクラブができており先日試合をした人や一年を中心に100人弱の生徒が1週間で加入している。

 

 

この3つの理由が争いをなくしている理由だ。このエリアを任せた摩利の思惑は当たったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

巡回が終わり委員室に戻ると達也が事情聴取を受けていた。横で本を読みながら聞き耳を立てているとどうやら剣術部と剣道部の揉め事を止めたようだ。高周波ブレードの使用と聞き少し驚いたが原作にそんなシーンあったようなことを思い出し納得した。最近劣等生側の原作の忘却が著しい。もしかしたら咲のキャラの能力が劣等生原作の記憶を侵食してるのかもしれない。そんなことを考えながら再び本の世界に飛び立った。

 

 

 

 

達也の事情聴取が終わるとすでに遅い時間であったので待たせてしまった謝罪も兼ねて達也のおごりで喫茶店に入った。

 

私の方は事件0だったので話すことがなく話は当然達也の話になった。

 

「そう言えば達也、剣術部の相手は殺傷ランクBの魔法を使ってきたんだろ? 良く無事だったな」

 

「『高周波ブレード』は有効範囲の狭い魔法だからな。触らなければどうとでも対処出来るさ。刃に触れられないだけでそれ以外は真剣相手と変わらないからな、あとそこに俺のギリギリ当たるか当たらないかという位置に殺傷ランクA相当をいたずらで使うやつもいるしな、Bだったらマシな方さ」

 

達也の言葉を聞き深雪以外の目がこちらを見る。どうして深雪を見ないのだろう。

 

「なんのことかしら?」

 

とぼけられたとは思わないが事実なので否定できない。若気のいたりというやつで許してほしい

 

「あとその後の10人以上の魔法が発動しようとして消えていた現象はあれも咲と同じくキャストジャミング?」

 

「そうよ、魔法式の無効化はお兄様お姉様の十八番なの」

 

達也は原理まで説明するつもりはなかったようだが深雪にこう言われた手前説明するしかなくなったようだ

 

「まあ俺のは咲やアンティナイトを使った完全版キャストジャミングではなく特定魔法のキャストジャミングだけどね」

 

達也は原理を説明した。簡単に言えば2つのCADで特定魔法だけの魔法を封じるというものだった。

対抗魔法の1つのキャストジャミングを使うためのアンティナイトは希少価値が高く流通量は少ない

なので魔法師の脅威となりえていないがこの方法を使えば簡単な魔法で魔法を止めることができる。もしこの魔法が広がったなら現在の魔法基盤が崩れ去るのも時間の問題であろう。まあキャストジャミング程度で魔法が使えなくなるようなることは私たちにとってはないのだが。

 

レオ達は新しい魔法を生み出したのに目先の利益ではなく先を見通した行動をしている達也に感心しており、私はキャストジャミング使うぐらいならさっさと敵を倒した方がいいと考え、深雪は兄を認めてもらえて満足そうな三者三様な様子になった。

 

 

 




入学編はオリジナル展開しない限り咲要素を入れにくいのであまり原作と変わらないし書きだめもあるので入学編終わるまで(2日だけですけど)1日二回投稿にしました、次は17時投稿です。


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