咲-saki- 四葉編 episode of side-M   作:ホーラ

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プロローグ
第0局[転生]


転生

小説や映画などフィクションものなどである生まれ変わりのことである。私も小説で何度かそういう話を見ていて、眉唾(まゆつば)ものだと思っていたが、実際自分の身に起こると衝撃を受けるのは仕方がないことだろう。

 

 

 

私の名前は宮永咲。咲-saki-という漫画の主人公と同じ名前である。自身もその影響で咲を読むと、原作咲も読書好きといった共通点が多く、自身も麻雀を始めるぐらいハマってしまった。

 

高3の夏、登校時にトラックに跳ねられ、目を覚ますと、そこはやはり病院のような場所であった。

体が動きにくいのは怪我をしているからであろう。誰か呼ぼうと思い声を出そうとするが口から出てきたのは嗚咽だけだ。

起き上がろうとして、ベットの手すりに手を伸ばす時に気づいた。そこにあった手はいつもの私のものではなく、赤ちゃんの手である。

コナン君のように体が縮んでしまったのか。しかしベットをよくみると、それは産後によく赤ちゃんが置かれていたベットに似ている。この状況から考えると転生、つまり世に言う「転生トラック」というやつか。

 

衝撃を受けるが、赤ちゃんに生まれ変わった以上、体が動かないので思考する以外のすることがない。どの世界線への転生なのかと考え、できる限り部屋を見てヒントを探そうとしたがその必要は無くなった。

私がいる部屋に入ってきたのは病院服のような服を着ている四葉真夜であったからだ。

 

四葉真夜とはライトノベルの魔法科高校の劣等生で出てくる主人公の敵のような役割のキャラだったはずだ。

私は本であればなんでも読むので、少年漫画でも官能小説でもライトノベルでも同人誌でもBLでもレズでも、全てがテリトリーである。そのことが功を奏した。

 

抱き抱えられ、ほうずりされながらも思考は止めない。どうやら私は魔法科高校の劣等生の世界線へ転生してしまったようだ。確かこの世界では魔法がどうたらこうたらという話だったはずだが、なぜか重要な部分はあまり思い出さない。話の根幹に関わる部分の記憶はブロックされているらしい。

よくある転生ものの、事件知ってるので先に対処しました、みたいなことはできないようだ。

 

 

 

私の固有魔法がわかったのは、自分では1歳の頃であった。

頭の中に咲のキャラがいて、そのキャラを2人まで選択することができる。そして、そのキャラの固有能力をこの世界に置き換えた場合の能力をイメージすることで、その能力を使えるというものだ。

 

例えば園城寺怜。

彼女は原作では1巡先を見るという未来視を行なっていた。これをこの世界に置き換えると同じく未来が見えるという能力になる。

練習することでどこまでの未来が見えるかは伸びていったが、見る未来が遠くなるにつれて疲労がたまっていく。これによりデメリットも引き継ぐということも判明した

 

しかしまだ使えないキャラも存在する。一番好きなキャラの主人公宮永咲の能力を使おうとしたが使えなかった。なぜなら槓や嶺上開花のような概念がこの世界にはなく、イメージができないからである。

 

2歳の頃、大人たちも私にこの力があるとわかったようだ。喋り方やオーラがそれぞれ違うということから神を纏っているように思えたそうで「神依」とこの能力を名付けた。つけた人はネーミングセンスがある。

 

私はこの能力により、たくさんの固有能力や固有魔法を使えることから後継者筆頭となる。

 

確か真夜は原作では襲われて生殖能力を失っていたはずなのだが、この世界ではそんなことはなく私にも1歳下の妹ができた。名前はみなもだ。明らかに咲関係の名前であり、ある神依はみなもと一緒に行うので、それとなく異世界からの私と同じ転生者か聞いてみたがどうやら違うようであった。

母の姉、深夜にも2人の子供がおり、それはもちろん達也と深雪である。達也と深雪は司波ではなく、深雪は生まれた時から、達也は高校入学前から四葉の姓を名乗ることになった。

 

私は真夜に達也と深雪と共に同じ国立魔法大学附属第一高校に入学するよう言われ、入学することとなる。

 

波乱の高校生活が始まろうとしていた。

 




2人でやる神依なんて一つしかないですよね…


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