比企谷八幡の憂鬱   作:可愛いは正義

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評価や感想をくれた方、読んでくれた方ありがとうございます。
これからようやく本筋に入っていけると思います。


SOS団

四時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り終えると、ハルヒは早々に教室から出ていった。

 

俺も部室に向かうべく立ち上がると谷なんとかと国木田が俺の席まで来ていた。

 

「よお、比企谷。お前本当に涼宮と仲良いんだな」

 

「うん、確かに仲良いよね。最初から知り合いだったの?」

 

授業が終わったと思ったら質問攻めとか何処の転校生だよ。俺は静かに暮らしたいんだって....。

 

「私もその話聞きたいな。私の方から話しかけても何も反応してくれない涼宮さんがどうやったら反応してくれるようになるのか。コツでもあるの?」

 

朝倉さんまで登場して退路を断たれてしまった。

 

「....さあな。俺用事あるから」

 

そう言って立ち上がるが谷なんとかが「一緒に飯食わねえか?」と聞いてきて国木田も何故か朝倉さんまでその話に乗ってきた。

 

朝倉さんが乗ってきたのが嬉しいのか谷なんとかは先程までとは違い顔を近付けて目で訴えてくるが一緒に食べるつもりはない。

 

「顔ちけえよ....悪いけど約束があるんだ。三人で食べてくれ」

 

俺はそれだけ言い残して教室から出ていった。

 

 

「なーんだ。比企谷君一緒に食べないなら私もいいや。またね」

 

「な、何故だぁああ!!」

 

俺が教室を出た後、谷なんとかの悲痛の叫びが聞こえたが無視して部室に向かった。

 

 

 

別館の一番端までくると文芸部と書かれた部屋があった。

 

文芸部と書かれているのでここは文芸部の部室じゃないのか?と思ったが取り合えず中に入ってみることにした。

 

「.......」

 

「.......」

 

扉を開けると眼鏡をかけた美少女と目があって扉を閉めた。

 

 

「......」

 

文芸部という文字を見てさっき部室にいた女の子、朝何故か一緒に登校した長門さんとやらが座って本を読んでいた。

 

「ここって文芸部なんじゃ.....」

 

「あれ?八幡何してるのよ」

 

俺が部室の前で四苦八苦しているとハルヒが弁当箱を2つ持って此方に歩いてきた。

 

「.....ここって文芸部なのか?」

 

「そうよ。それがどうかしたの?」

 

「いやどうかしたよ.....文芸部なら俺達の部室にはならないだろ?」 

 

「それがね、文芸部は去年で三年生達が引退して今のところあの子しかいないみたいなのよ」

 

「だから?」

 

「だから、あの子以外入らなければ規定人数に届かなくて廃部。なら私達が入って違う部活になってもいいじゃない」

 

何がいいのか全然分からないんだが......。

 

「中にいる子は、文芸部に入りたくて入ったんだろ?俺達が勝手に変えるなんてことしたら困るだろ」

 

「あーそれなら大丈夫よ。本さえ読めれば良いって言ってたし。それより中に入りましょうよ」

 

ハルヒに半ば強引に手を引かれ部室に入ると先程のように長門さんと目が合う。

 

「彼女の名前は長門有希よ」

 

説明終わりかよ....。

 

「えーと、長門さん。ハルヒと俺はここの部室を文芸部ではなく、宇宙人や未来人や超能力者を見つけるための部活にしようとしてるんだが....いいのか?」

 

「構わない」

 

......相変わらず何考えてるか分からないし返答も短い。

 

「そうか....追い出されるかもしれないぞ?」

 

「どうぞ」

 

....この子は本当に文芸部に入りたかったのだろうか?そんな疑問さえ浮かんでくる。

あまりに覇気が無いし何より感情がこもってなさすぎる。

 

「何言ってるのよ、八幡。有希はもう我が部の団員なんだから、辞めさせるわけないでしょ?」

 

「俺聞いてないんだけど。いつ決めたんだよ...」

 

「さっきよ。有希も良いでしょ?」

 

「問題ない......」

 

「ほらね」

 

「........はぁ...分かったよ」

 

俺は部室に入り中央の大きめの机の近くに数個置いてある椅子の1つに座った。

 

「はい、八幡のお弁当」

 

「ああ、悪いな」

 

「その腕が治るまでは仕方無いわよ」

 

こんな光景に長門さんは本を読み進めてるだけでピクリともしない。

だからなのか何時もならこんなところで渡さなくてもと言っているだろうが素直に受け取ってしまう。

 

「おお....」

 

弁当箱を開けると栄養バランスが考えられ、尚且つ一目で美味しいだろうと思わせる匂いが鼻孔をくすぐる。

 

白いご飯に卵焼き。アスパラガスのベーコン巻きにキャベツとコーンで簡単なサラダも入っていた。

 

「うまい.....」

 

何度食べてもハルヒの作ってくれるご飯は美味しかった。

 

「そう、それならよかったわ」

 

お昼を食べ終わるとハルヒは文芸部の備品だろう白板を持ってきて何かを書き始めた。

 

白板の中央には大きく3文字の英語と一文字の漢字が書かれていた。

 

「SOS団!」

 

「SOS団?」

 

聞いた感じだと全く分からなかった。

助けを求める団体なのん?としか想像つかないが....,

 

「察しが悪いわね。世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団よ!」

 

えーとつまり.....Sは世界を

        Oは大いに盛り上げるための

んでもってラストにSで涼宮ハルヒの団ってことか。

 

「ハルヒらしいな.....」

 

「ん?何か言った?」

 

「なにも。それより何をする部活なんだ?」

 

「それは放課後話すわ。もう昼休みも終わりだしね。それじゃ私はちょっと寄ってから教室行くから先に行くわね」

 

どうやら放課後もここに来なくてはいけないようだ。

ハルヒは空になった弁当箱持って小走りで部室を出ていった。

 

俺も教室に戻ろうと椅子から立ち上がると長門さんが話しかけてきた。

 

「待って」

 

「....何かようか?」

 

「今日あなたに話したいことがある。家に帰ったら708号室に一人で来て」

 

喋らない奴が自分から喋り始めたと思ったらとんでもない爆弾を投下してきやがった。

 

「なんでだ?」

 

「涼宮ハルヒの事。あなたには知る権利がある」

 

ハルヒの事?何を言ってるんだ?

 

「ここでは話せないのか?」

 

「情報の漏洩の可能性がある」

 

情報の漏洩?用は誰かに聞かれる可能性があるってことか.....。

 

ハルヒの.......。

 

「分かった。でも時間は夜の8時以降になると思うが構わないか?」

 

「問題ない」

 

長門さんと不思議な会話?を終えチャイムが鳴ったので教室に戻った。

 

 

教室に戻ると既にハルヒがおり「遅かったのね」と言われたが図書室に行っていたと言ったら興味なさそうに次の教科の教科書を机の上に出し始めた。

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「これでHRを終わりにする。問題を起こさずに真っ直ぐ家に帰るように」

 

授業が終わりHRで下校を言い渡された俺は一人別館に向けて歩いていた。

 

別館にいく理由は部活だが何故一人で向かってるのかというと、HRが終わって直ぐにハルヒが消えたからだ。

 

俺は昼休みの長門さんとの会話を思いだし一瞬部室に入るのを躊躇ったがこのままだと廊下に立たされているみたいになってしまうので諦めて入ることにした。

 

部室に入るとハルヒは未だに来ておらず、長門さんは椅子に座って本を読んでいる。

俺は気まずいながらも出口に近い所にある椅子に座り鞄に入っていた小説を開き読み始めた。

 

 

読み始めてどのくらい時間が過ぎただろうか。いや、ほんの数十分程度だろうか。廊下の方から女の子の悲鳴が聞こえてきた。

 

 

ガチャっ!と勢いよく部室の扉が開かれて何処かで見たような、ある一部分が強調されすぎている美少女が怯えながら入ってきた。

 

「こ、ここは...何処ですか?私どうしてここに連れてこられたんですか?」

 

どうやら連れてきたというより拉致って来たようだ。

 

がちゃ。

 

あ、退路を断ちやがった。

 

「な、何で鍵を閉めるんですか!?」

 

「黙りなさい」

 

「ひっ.....」

 

あーなんか可哀想に思えてきた。

行きなりつれてこられて鍵を閉められ黙りなさいだもんな....。

 

「ねえ!見てみて新しい子を連れてきたわよ!」

 

どうやら新しい団員になる人を連れてきたらしい。

 

「何処から拉致ってきたんだ?」

 

「失礼な言い方ね。廊下を歩いてたから一緒に来てもらっただけよ」

 

強引に手を引っ張ってきたんだろうなぁ....それが拉致ってきたって言うんだが、触らぬ神に祟りなし。目の前の女の子には合掌をしておこう。

 

「それで...どうしてその人を連れてきたんだ?」

 

「むっちゃくちゃ可愛いでしょ!!」

 

........今こいつ何て言った?

 

「悪い....何て言ったんだ?」

 

「萌えよ!萌えよ、萌え!!所謂一つの萌え要素!何か不思議な事件が起きたりするところには絶対一人はこういうキャラがいるのよ!」

 

あー確かにいるけど....。

 

「それに!見てよ!この子こんなに小さくて可愛いのに胸私よりでかいのよ!ロリ顔で巨乳!?あーなんだかだんだん腹立ってきたわ!八幡は絶対に揉んじゃだめよ、揉んだら死刑だから」

 

胸揉みながら言ってくるなよ、おっさんかお前は。というか揉んだらリアルで即逮捕で死刑だよ俺は。

 

「ふぇぇぇ。す、涼宮さん......もう駄目ですぅ」

 

「ハルヒ。何も活動しないなら帰るぞ?」

 

「駄目よっ!ちゃんと考えてきたんだからっ!」

 

ハルヒは胸から手を離しホワイトボードに何やら書き込んでいく。

 

 

「あ、あの助けてくれてありがとうございます」

 

どうやらハルヒから解放されて俺にお礼を言っているようだ、後ろ確認したけど長門さん本読んでたし多分俺だろ。

てか俺だよな、俺じゃなかったら軽くトラウマレベル。

 

「いや活動が進まないのも困りますし俺が困るからやっただけですよ」

 

「あなたは.....」

 

「ん?」

 

「あっ、いえ何でもありません。私の名前は朝比奈みくると言います。どうぞみくるちゃんと呼んでくださいね」

 

みくるちゃん?初めてあった女の子に、俺がそんな呼び方出来るわけがない。

 

「えーと....比企谷八幡です。朝比奈さん。よろしく」

 

「はい♪」

 

「よし!書けたわよ!まずみくるちゃん!」

 

「は、はい!」

 

急に呼ばれたことに驚いたのか後ずさっている。

 

「何か他の部活に入ってる?」

 

「えーと書道部に」

 

「じゃあその部辞めて。我が部の邪魔だから」

 

ハルヒらしいけど凄いこと言ってるんだよな.....。この言い方に馴れつつある自分が怖くなってきた。

 

「え、えーと.....」

 

流石にハルヒの問いに困っていると長門さんの方を見て、朝比奈さんは何故か納得して入部することになった。

 

「我が部の名前はSOS団!宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ!」

 

ハルヒの言葉を聞いて朝比奈さんは固まっており長門さんに関しては本を読んでいる。

ハルヒは満足したように笑い「それじゃあ明日からちゃんと活動を始めるから全員ちゃんときなさいよ!」と言って解散になった。

 

「ほら八幡。早く帰るわよ」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

「涼宮さんと比企谷君は仲が良いんですね」

 

意外にも朝比奈さんが、俺達が一緒に帰るのを見て聞いてきた。

 

仲は悪くはないだろう。ただ周りにいざ言われると慣れていないのもあってむず痒くなる。

 

「仲は悪くないだろうな」

 

「お二人は以前から知り合いだったんですか?」

 

「一応、な」

 

「何してるのよ、八幡。早く帰るわよ」

 

「ああ。それじゃあ、朝比奈さん」

 

「はい、これからよろしくお願いします」

 

 




次回は長門の部屋で沢山話します。たぶん....

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