比企谷八幡の憂鬱   作:可愛いは正義

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本当読んでくださったかたありがとうございます。

※修正。2月27日
小町からのお祝い➡お願いに変更しました。


出発

母親と小遣いの相談を始めて3時間--------------

 

一月5000円で過ごせと言う無理難題を回避すべく頭だけは良くなった、俺の頭脳をフル回転させて一月に2万まで小遣いを送ってもらうことになった。

 

月2万まで送ってもらうことに成功した俺は疲労感からソファーのうえで項垂れていた。

 

「はぁーーあーふぅ......はぁー」

 

「お兄ちゃんが疲れた人の声だしてる」

 

ソファーで項垂れながら天井を見ていると小町と目があった。

 

「あー小町。お兄ちゃん疲れたからマッサージしてくれない?」

 

「良いよ」

 

そう言うと俺の頭を優しく掴んでマッサージを始める。

 

俺と同じでひねくれている小町がすんなりとマッサージをしてくれた事に驚きながらも疲労感が溜まっていたのもあって瞼が重くなる。

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「本当に兵庫県に言っちゃうの?」

 

声を震わせながら小町は聞いてくる。

 

「ああ......」

 

「そっか.....そうだよね。その為に今まで頑張ってきたんだもんね」

 

「小町....」

 

「ふぅ......さて!そんなお兄ちゃんに小町からお願いがあります!」

 

マッサージの手を止めていつも通りの口調に戻る小町。だけど小町の目を見ると赤く腫れていた。

 

「まず一つ目!帰ってくるときはお土産を絶対に買ってくること!そして二つ目!帰ってくるときは前もって連絡を小町にいれること!そして三つ目!!」

 

「まだあるのかよ.....」

 

「まぁまぁ、これが最後ですから.....」

 

小町は俺の首に自分の腕を絡めて後ろから抱き付いてくる。

ソファーに座ってるから抱き付くって表現もどうかと思うが凄く暖かかった。

 

「そして、三つ目。絶対に長い休みには帰ってくること」

 

「..........小町」

 

「お兄ちゃん....小町は本当は行ってほしくないよ。もっとお兄ちゃんと一緒にいたい」

 

「.......」

 

「でも、駄目なんだよね。分かってるよ、お兄ちゃんの顔見れば.....何時だって小町の為なら自分を犠牲にしても助けてくれたお兄ちゃんの顔じゃないもん......」

 

「小町....」

 

「そんな顔されたら止めれないの分かっちゃうもん....。もう...小町的にポイント低いん....だがらね」

 

小町は俺に抱き付いたまま泣き出した。小町の泣き声が聞こえる度に胸が締め付けられる。俺の選んだ道は合ってたのかと考える。

 

でも、間違っていないと答えが出てしまう。

 

今も忘れられない彼女を思い出しながら。

 

 

 

小町は暫く泣き続けてそのまま寝てしまった。

寝息を立てている小町をお姫様だっこの要領で持ち上げて小町の部屋に入りベットの上に寝かせて布団をかける。

 

「おにい、ちゃん....」

 

うわ言で俺の名前を呼ぶ小町の頭を優しく撫でて自分の部屋に戻った。

 

引っ越し屋さんは明日来てこの部屋はもぬけの殻になる。

父親と相談した結果。マンションのひと部屋を借りて住んで良いとの事なのでそこに明日中に運んでもらうのだ。

 

俺も明日の昼頃には出発して兵庫県に向かう。

 

「はぁ......」

 

部屋のベットの上に座り溜め息を漏らす。

 

初めて家族の気持ちを聞けた。

心情は酷いものだった。

 

ここまで自分の事を愛してくれているなんて今まで思わなかった。

知ろうともしなかった自分にむしょうに腹が立つ。

 

今生の別れでもないんだ。そこまで悲しむ必要はないだろうと思っていた。

 

だけど.....俺の目からは涙が止まることなくあふれでてきた。

涙を流すなんてこと、ハルヒに会って以来今日までなかった。

 

沢山泣いた。父親と話すときも母親と話すときも妹である小町と話した後も泣いてばかりだった。

 

「なあ----------ハルヒ。会えるよな?」

 

今更になって心配になってくる。北高に行ってハルヒが居なかった時の事を考えると考えるだけで胸が痛い。

 

ハルヒの性格から間違いなく受けるだろうと思ったけど、ハルヒと出会って一緒にいた時間なんてせいぜいが数時間だ。

 

人の性格が分かる時間ではない。ただ変わってるやつってだけだろう。

でもあの時は何故かそう思った。

 

3年と少し前。この時間は長かった。何度挫折しそうになったか分からない。

でも挫折しそうになる度にマッカンを飲んで頑張ってきた。

 

ハルヒと会って一緒に宇宙人を探すために。

 

-----------俺の宇宙人を見つける為に。

 

 

 

 

 

翌朝目が覚めると時計は11時を指していた。俺は卒業して休みだが今日は平日。世の中は学校やら仕事やらで忙しいのだ。

 

寝巻きのままリビングに向かうと机の上にご飯とメモ書きが置いてあった。

 

二つおりになっているメモ書きを開いて中を読む。

メモ書きには一言だけ書いてあった。

 

『お兄ちゃん頑張って!』

 

俺は笑みを浮かべて用意されていた朝食を食べて支度を始めた。

 

普段中々外に出ないため、あまり衣類を持ち合わせていないが、ジーパンに黒のTシャツ。その上に白いパーカーを羽織って財布と携帯を持ち家に鍵を閉めて駅に向けて歩き出す。

 

春を知らせる風が心地よく体にあたり自然と歩くペースも上がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いた、な」

 

電車を乗り継いで5時間もかかったがなんとかつく事が出来た。辺りは夕方になっており日がもう少しで落ちそうだ。

 

見慣れない風景に戸惑いながらも自分の帰るべきマンションを地図を出しながら探す。

 

「最近の携帯は便利だな。動けばナビも動いて歩いてる方向を教えてくれるんだから」

 

マンションの前まで来ると一見して高級そうだった。

造られたのも最近なのか外装はとても綺麗でセキュリティもしっかりとしてそうだ。

 

「おお......親父の知り合いがやってるから安く借りれたって言ってたけどマジかこれ......」

 

予想より良いマンションで正直驚いていると後ろから声をかけられた。

 

「あの、どうかしましたか?」

 

「え?」

 

振り向くとそこには美少女が立っていた。

 

一瞬俺以外の誰かに話しかけてるのかと思って周囲を見渡したが俺と目の前の女の子以外誰もいないことを考えると俺に言ったのだろう。

 

「あーごめんなさい。私ったら急に。この辺りで見たことなかったからどうしたのかなって思って」

 

「あー、そうなんですか。俺、今日からここに引っ越してきたんですよ」

 

「そうだったんですか。それじゃあ一緒に行きましょう」

 

「え?」

 

「え、じゃなくて。ほら外は暗くなってきたし春って言ってもまだ寒いですから。あ、私は朝倉涼子って言います。貴方は?」

 

凄い勢いで話が進んでしまって全然追い付けん。

というか会って1分経たないうちから名前聞き出そうとするとか流石リア充だなおい。

 

見た目から恐らくリア充なのだろう。だって可愛いし。ぶっちゃけ心臓に悪い。

 

「いえ俺は一人で大丈夫なんで。それに悪いですし」

 

「遠慮しなくて良いのに。どうせ私もここに住んでるからついでだと思ってよ。それに名前、こっちは言ったんだから教えてくれるのが筋なんじゃない?」

 

「比企谷八幡です......」

 

「比企谷君って言うんだ。これからよろしくね」

 

「あ、はい。よろしくお願いします」

 

俺は朝倉さんと一緒にマンションに入ることになりマンションの手続きに戸惑っていた俺に代わって手続きを全て終わらせてくれ。

尚且「作りすぎちゃったから」と肉じゃがまでお裾分けしてもらった。

 

うん、凄い良い子でしたマルと。

 

ただ....俺は俺に素直に優しくしてくれる人を信じられない。

 

ひねくれていると言われるかもしれないがしょうがない、これが俺の性格なんだから。

それに、朝倉さんは一見何でも出来そうな完璧超人みたいに見えるが世の中完璧な人なんていない。

 

 

 

天は二物を与えず。

 

一人の人間に天は幾つも長所になるような物を与えない。

 

だから仮に朝倉さんが完璧超人なら、それはきっと.....人間じゃないと俺は思ってしまうからだ。

 

「まっ、人間じゃなくても。俺の探している宇宙人でもないけどな」

 

 

肉じゃがを食べ終わり一言。

 

「うまい.....」

 

こんな旨い肉じゃが初めて食べたってくらい美味しかった。

 

お腹が満たされて歯を磨き、お風呂に入ってからガラッとしている部屋のすみにあるベットの上に体を預ける。

 

「はぁ....疲れた」

 

明日になれば俺の荷物も実家から届きガラッとした部屋に少し家具が置かれる。

 

ベットと最低限の家具以外は何もない部屋。

 

ポツンとその部屋の中にいる俺。

 

少しずつ寂しくなっていき携帯をジーパンから取り出して電話履歴から小町の電話番号を出しながらかけそうになる。

決意の低さを痛感し携帯を開いたまま眠りについた。

 




サブタイトルのセンスがない......。

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