比企谷八幡の憂鬱   作:可愛いは正義

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お気に入り50突破ありがとうございます。

評価もオレンジになってて驚きました。

感想も嬉しかったのでまた書いてくれると嬉しいです。



父親

ハルヒを送っていった俺は今ベットの上に倒れこんでいた。

体は疲れきっているのか疲労感が半端ない。

 

だけど心はとても落ち着いていた。ハルヒと約束を交わしたからだろうか、その証拠に心は落ち着いていても胸は熱い。

目を閉じてもハルヒの顔を思い出してしまい目を開けてしまう。

 

「寝られない......」

 

俺はベットの上で独り言のように呟く。

時刻は夜の10時を回っている。

眠れないと判断した俺は部屋の窓から空を見上げる。空には満天の星が輝いていた。

 

時々流れてくる流れ星を見ながら今日あった出来事を思い出す。

 

 

俺には今まで縁がなかった事が沢山あった。

 

恋ばなを聞かされて勘違いして、罵倒されて。

妹に八つ当たりして.....最低の一日だった。

 

でもハルヒと出会って最高の一日に変わった。

 

「ハルヒ.....」

 

部屋の中で呟く。顔が熱を帯びてくるのが分かるが心地良かった。

まるでMAXコーヒーを飲んだ時のようだった。

 

初めて飲んだMAXコーヒーは甘いの一言だった。

 

でも不思議と落ち着く味。

ハルヒも好きだと言ったMAXコーヒーが自分も好きになれて嬉しいと思ってしまう自分に笑ってしまう。

 

「MAXコーヒー.....か。長いしマッカンで良いか」

 

俺は再びベットに入り眠りについた。

 

 

 

 

 

 

朝。

ここまで賑やかな朝も初めてだった。

 

今は放課後なのだが順を追って話そう。

 

 

まず朝目が覚めて朝食を食べるために下に降りると小町に昨日の事を聞かれた。

内容は.....あまり思い出したくない。

 

次は学校だ。

学校について教室に入ると黒板に俺の絵がチョークで書かれており吹き出しに「それって俺のこと?」と書いてあった。

 

そしてその絵を見た俺はガン無視で机に座り勉強を始めたことで勉強していることに対して「マジメぶるな」とか「無視すんなよ」等あげればきりがないが言われ続けて放課後になったので図書室に移動して勉強している。

 

小学生の利用する、図書室は基本的に勉強する人が使用すると言うよりは本を読みたい人が利用するものだと教師は理解しているため初めは驚かれた。

 

それで今に至るわけだ。

 

今俺は職員室に来て分からないところを担任の先生に聞いている。

 

「先生ここ分からないんですけど」

 

「ああ?はっ!そんな問題私にも分からん!」

 

あんた教師だろ!と突っ込みたくなった俺を誰が責められるだろう。

 

「えーと....貴方教師ですよね?」

 

「比企谷。人を肩書きや見た目で判断するな。いいか?よく聞け」

 

「は、はあ....」

 

「小学校の先生なんて基本は答え見ながら回答して教科書に書いてあるとこ説明してるだけだ。言ってしまえば馬鹿にでも勤まる」

 

おい、全国の小学校の先生に謝れ。

 

「いや、まぁでも。流石に皆そうとは限らないんじゃ」

 

「甘い!甘いぞ!比企谷!お前の頭の中は砂糖で出来てるのか?」

 

「.......」

 

「今度は無言か?ほほお良い度胸だ、比企谷」

 

俺が今考えている事は三つある。

 

一つ目は、目の前のアホ教師を殴ること。

 

二つ目は、理論的に説明して目の前の先生を論破して納得させる。

 

そして三つ目は、先生の後ろに鬼の形相で腕組んでる校長に任せる事だ。

 

 

うん、三だな。さらば先生。

 

 

「えーと。それじゃあ先生失礼しました」

 

「おいこら、まだ話は終わって...にゃい......ぞ、、こ、ここここ校長!?」

 

そのあと職員室から出た俺が担任の先生の悲鳴を聞いたのは言うべくもない。

 

 

 

 

 

担任の先生に天罰が下った後、俺は再び図書室に戻ってくると図書室の先生が図書室の鍵を閉めようとしていた。

時計を確認すると6時30分を指していた。

 

俺は仕方なく帰ることにしてランドセルを背負うと家に向かって歩き出す。

 

家に向かって歩いていると一台の自販機を見付けて近寄りランドセルを開き教科書を全て出して予め作っておいた二重底を外し120円を取り出して自販機からジュースを買う。

 

ハルヒと出会う前の俺ならコカ・コーラを選んでいたが今は迷わずにマッカンを買っている。

 

「ごくっごくっ....ふぅ」

 

やはり落ち着く。

何故皆買わないのか不思議に思うくらいだ。

 

マッカンを飲みながら目を閉じて目を開けばハルヒが隣にいる気がした。

「私にもそれ飲ませなさいよ!」と言ってくる気がしたが現実はそこまで甘くはないのだ。

 

「誰もいない、か」

 

マッカンを飲みほした俺は空を見ながら帰路につく。

 

「今日は星、出てないのか」

 

ハルヒと出会ってから星を見る回数が確実に増えている。ハルヒは兵庫に帰ってしまったが星は兵庫の空でも等しく輝いている。

 

今の俺には、星を見ることでハルヒと近くにいれているような気がしているのかもしれない。

 

家に着くと小町からの質問責めで勉強どころでは無かった。

 

小町からの質問責めはまだ我慢出来るが、そのあと親父に呼び出され「お前この頃小町独り占めしてずるいぞ!」と怒られた。解せん。

 

そして親父.......あんたどんだけ娘好きなんだよ、泣くなよ.....。

 

 

 

 

 

 

 

そんな日々を過ごしていた俺も3年の月日が経ち今や中学3年生になっていた。

 

小学6年からひたすら勉強していたおかげで学年1位の成績を誇り志望校である、北校にも無事に受かることが出来た。

 

虐め事態は無くす事が出来た。

本来虐めは、虐められる方が何かしらアクションを起こさなければつまらないのだ。

俺は何をされても勉強を続けて何もアクションを起こさなかった。

 

俺の反応に飽きたのか虐めは無くなった。その代わり誰からも喋りかけられなくなったが。

それでも先生達からの評価は良かった。

 

頭が良いというのは一種のステータスなのだろう。担任の先生から「ありがとう!君のおかげで給りょuげふんげふん。私も鼻が高いよ」

 

給料って言っちゃうあたり俺の担任らしいと思ったが最後くらいと思って一言。

 

「早く結婚出来ると良いですね」

 

「お前に言われたくないわ!」

 

まぁ尤もな意見を返されてしまったわけだが。

 

卒業式も終わり、俺には最後の試練が待っていた。実は父親には未だ俺が何処の高校に受かったのか言っていない。

 

帰宅すると家には珍しく両親も揃っていた。

恐らく初めてだろうが「おめでとう」という言葉をかけられて少し照れてしまう。

 

「親父、少し話がある」

 

「ん?なんだ小遣いならやらんぞ?」

 

ふっ、そんなこと言えるのも今のうちだ!

 

別室に俺と父親だけになり話を切り出す。

 

「親父。小町と仲良くするには、たぶん俺が家にいないほうがいいと思うんだ」

 

「うん、そうだな。俺もそう思う。なんだ出てくのか?」

 

人が緊張しながら話てんのに段々ムカついてくるな。

 

「.....それで、だ。相談がある」

 

「なんだ?」

 

「俺第一志望で兵庫県の北高って所に受かったんだ。そこに行けば小町とは離れるから親父とも仲良くやれると思う」

 

「......なあ、八幡よ。お前なんか誤解してると思うから言っとくぞ」

 

「ん?」

 

急に真剣な表情に代わる父親を見て心臓が少し跳ねる。

 

「親ってのはな。何時までも子供の味方なんだ。勿論お前もな、八幡。俺は別にお前にいてほしくないなんて思ってない。むしろ、だ。このまま家に残って欲しいと思ってる」

 

父親の話を聞きながら俺は目の前が掠れてきた。

 

「だが....お前もそんな理由でわざわざ兵庫にまで行きたいなんて思ってないんだろ?」

 

完敗だった。全て見透かされていたのだ。

普段はおちゃらけていて小町一番とか騒いでる父親が俺の為にここまで言ってくれるなんて思いもしなかった俺は罪悪感からなのか、嬉しからなのか言葉を発することが出来ない。

 

「お前は俺の子だ。言ってみろ、今のお前の気持ちをな」

 

「........」  

 

それでも俺は言葉にすることが出来ない。掠れて声が出せない。

 

「お前の頑張りは見てきた。常に勉強して遊ばずに過ごしてきた。プリキュアを見初めてたのは少し気になったが........学年一位にまで登りつめたんだ。並の努力では無かったんだろう」

 

嗚咽が混じり初めて父親の前で涙を流した。

嗚咽混じりに俺は俺の気持ちを父親にぶつけた。

 

「おれ、は....あいたい、奴がいる、んだ」

 

「......」

 

父親は黙って聞いてくれてる。

 

「そいつ、変わっ、ててさ。ひっ.....俺も人の事、いえない、だろうけどさ。でも.....会いたいんだ」

 

「そうか.......分かった。仕送りと学費は任せろ。小遣いの方は母さんに相談するんだな」

 

「.....小遣いはくれないのかよ」

 

少し可笑しくて笑ってしまう。

 

「言っただろ?小遣いならやらんぞって、な」

 

「だな.....なあ親父」

 

「どうした?」

 

「また、長い休みとかにさ。帰ってきても良いか?」

 

「当たり前だ。ここはお前の家なんだからな」

 

 

 

 


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