比企谷八幡の憂鬱 作:可愛いは正義
さて2話書けました。
うーん.....ハルヒらしさが難しい.....そして八幡、君誰だよってレベル。
俺はハルヒを家に送るために家から反対方向に歩いていた。
賑やかだった千葉駅を過ぎると時間も遅いためか辺りは俺とハルヒ以外の人が見当たらない。
街灯の灯りで照らされるハルヒの横顔を見て、その横顔に見とれてしまう。
「なによ」
ハルヒは俺の視線に気付いたのか聞いてくるが、見とれてたとは言えない。
「い、いや....今お前の後ろの方で変な光が見えたからUFOかなって」
「え!ちょっとどこよ!」
ハルヒは俺と目線を合わせようとしてるのか隣に来て、先程自分がいた位置を凝視してる。
目線を合わせるために少しずつ俺に近付いて、頬と頬があと少しで当たってしまいそうな距離にまで近付いていた。
「お、おい顔近いって.....」
「そんなことよりUFOはどこなのよ!?あんたばっかりずるいじゃない!私にも見せなさい!」
どんどん近付いてくるハルヒに耐えられず自分から離れる。
「き、気のせいだったかも」
「はあ.....ようやく見れると思ったのに」
落ち込んでいるハルヒの顔を見て嘘をついたことへの罪悪感が込み上げてくる。
「悪いな....」
「良いわよ。それに簡単に見つかるもんじゃないっていうのは分かってるし。それにね簡単に見つかって欲しくないって自分でも思ってるのかもしれないの」
「?.....どういう意味だ?」
「簡単に見つかったら、つまらないじゃないの。そこにいるのに見つからない。だから面白いんじゃない」
そこにいるのに見つからない.......。
「なあハルヒ」
「なによ」
俺にとってそれは........。
「........なんでもない」
「もう、なんなのよ。さっきからハッキリしなさいよね」
「いつか二人で宇宙人を見つけられたらいいなと思ってな」
やば、俺何言ってるの?ハルヒ真顔でこっち見て目そらせないし、ヤバイ。こんな言い方、これじゃまるで.........。
「ふーん。あ、ねえ。あそこの自販機で飲み物買ってもいいかしら?」
「あ、ああ」
ポツンと何処にでもありそうな自販機は、周りが暗いからか、自販機の明かりのせいなのか異様な存在感だった。
ハルヒは自販機から飲み物を一つ買って戻ってくると俺に向かってその飲み物を投げてきた。
「うおっ...あぶね」
なんとかキャッチ出来た俺を誰かに誉めてもらいたい。
「それ千葉にしかなくてね。千葉に来たら絶対飲んでくのよ」
飲み物の名前を見るとMAXコーヒーと書かれていた。よく見るが買ったことはなく飲んだことも無かった。
「これって千葉にしか無かったのか」
「飲んだことある?」
「無い」
「でしょうね。飲んでみなさいよ」
このMAXコーヒーという商品は俺の知る限り売り切れとなった所を一度も見たことがない。それに買ってるやつも見たことが無かったのだ、だからあえて俺も買わなかった。
120円払って美味しくなかったでは最悪だからだ。
「.....これ旨いのか?」
「んーん。別に美味しくはないわよ?」
え?この子は何を言ってるのん?美味しくないのに絶対買うとか意味分からないんだけど。
「ただね。どうしてか、飲みたいって時があるのよ」
ハルヒの顔は暗闇で見えなかったがどこか悲しげな顔をしているような気がした。
俺は意を決して一口飲む。
「.....甘い」
甘い。とてつもなく甘い。でも不味くはない。そして何故かこの甘さが心地よかった。
「そりゃね。それでどうだった?」
「良いもんだな」
グイッともう一口飲み込んでハルヒを見る。
「当たり前でしょ。私が大好きな飲み物なんだから」
そう言うと俺の手からMAXコーヒーを取って飲み始めた。
「えーと.....ハルヒさん?何をしてるのでしょうか?」
「んっ?飲んでるのよ」
いや見れば分かるわ!てか何で飲んでるんだよ!くれたんじゃないの?
「俺にくれたんじゃないの?」
「あげるわけないでしょ!この味を知ってほしかったから飲ませてあげただけ。私120円しか持ってなくてこれしか買えなかったんだから少し貰えただけありがたいと思いなさい!」
いや、お金ないなら俺が貸したよ!これってか、間せtだ、駄目だ....顔が熱い。ハルヒの目を見れない....。
「あっ流れ星」
「は?」
「ほら上よ。上」
俺は上を見上げると流れ星どころか星すら見えなかった。今日が曇りだった事を思い出してハルヒの方を見ようとすると「そのままで聞いて」とハルヒに言われたので上を見上げたまま静止した。
「さっき言ったわよね。いつか二人で宇宙人を見つけられたらいいなと思ってなって」
「.........」
覚えてたのか、と顔が再び熱くなるのを感じる。
「でもね、私は明日の夕方実家に帰っちゃうわ。それでも一緒に探してくれるって貴方はまだ言える?」
そうか、ハルヒは千葉生まれじゃない。実家は千葉からは遠い兵庫だ。またいつ会えるかも分からない。
一瞬沈んでしまった俺だがふと頭に浮かんできた言葉を紡ぐ。
「高校....」
「え?」
「高校なら県外に出ても大丈夫だし、俺がハルヒの受験する高校を選べば問題ない、だろ」
言ってて恥ずかしくなってくる。というかこれストーカーじゃないよな....ないよね?
「あはははは。はぁーあ。本当に面白いわね。普通いないわよ、私と同じ高校に行きたいなんて言う人なんて」
「......悪かったな」
「私ね、皆から変わってるって言われてきた。見てくれは良いから言い寄ってくる男もいたけど、皆普通すぎてつまんないのよ。普通に告白して何がしたいんだか」
「オッケーしたことってあるのか?」
「あるわよ」
ハルヒに彼氏がいない。それは俺が考えていた妄想だったんだと思った。
これだけ外見がいいんだ、そりゃ彼氏の二人や三人出来てても不思議ではないだろう。
でも......胸が張り裂けそうになるくらいに痛かった。
「.......そうか」
この言葉を言うのが精一杯だった。
喉には唾液が溜まり今にも発してしまいそうな言葉を唇を噛み締めて必死に我慢する。
「てゆうか、全部オッケーして直ぐに別れてるわね」
はい?今こいつ何て言った?全部オッケーって言ったか?
ハルヒの恋愛の価値観が普通では無いと理解して安堵する自分がいる。
安堵した自分に問いかける。
何故ハルヒの恋愛の価値観が普通じゃないから安堵した?
何故ハルヒに彼氏がいたと知ったとき胸が張り裂けそうになった?
こんな感情俺は知らなかった。
自分に問いかける。
-------------何故。
答えは分かっている。
でも答えを出すのが怖い。
答えを見つけてしまったら全て終わってしまう気がするから。
「黙っちゃってどうしたのよ」
下を向いていた俺にハルヒが覗きこむように見ながら聞いてくる。
こんな動作一つでも胸の高鳴りは今まで経験したことないほどに高鳴ってしまう。
誤魔化す為に混乱している頭をフル回転させて話を絞り出す。
「そ、それで!ハルヒは何処の高校に受験するんだ?」
小学生なんだからまだ決めてないわよ、と言われたら全て終わりだがハルヒなら答えてくれる、そんな気がした。
「そうねー、北高かしらね」
「北高?」
「そっ、結構偏差値高めだけど私の団員なら楽勝よね?」
こいつ絶対難しい所を適当に言っただけだろ!
でも、ハルヒの性格なら間違いなくそこを受験するだろう。
「うっ....それじゃあ約束だ」
「約束?」
「絶対にその高校に入ること」
「良いわよ、約束してあげようじゃない」
俺達は指切りをしてわかれることになった。
「それじゃ、私の家。もうすぐそこだから」
「ああ」
走って行くハルヒの背中を見ていたら急に振り替えって「絶対北高に来るのよ!来ないと死刑だから!」そう言ったハルヒの背中を見えなくなるまで俺は見ていた。
「死刑は嫌だからな......行くさ」
夜空は満天の星空になり流れ星が降り注いでいた。
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