比企谷八幡の憂鬱   作:可愛いは正義

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サブタイ変えるかも。


意志

宛もなくただひたすらに走り続けたがハルヒは見付からなかった。時間は夜の9時を指していた。ハルヒが行きそうな所は行った気がしたが一ヶ所だけ行っていない場所があった。だが幾らなんでもあんな場所には行かないだろうと思っていた。

 

そんなことを思いながら歩いていると俺の隣に黒塗りの高級車が何故か止まり車の後部座席のドアが開き知らない同い年くらいの男が降りてきた。

 

「すいません。少し良いですか?」

 

いきなり降りて笑顔で話しかけてくる相手に俺は忙しいからと言ってハルヒを探すためにまた走ろうとした。

 

「涼宮ハルヒさんの事なんですが」

 

「どうしてお前がハルヒを知っている?」

 

俺が足を止めて聞くと「さて、どうしてでしょうか。続きは車の中で」と言って車の中に入っていった。手懸かりがない俺もドアから入っていく。俺が入ると車は走り出して窓から見える風景が変わっていく。

 

「どういうつもりだ?」

 

「どういうつもりも何も僕は貴方の味方ですよ。比企谷八幡さん」

 

「俺はお前のことなんて知らないぞ?」

 

「それはそうですよ。僕はある機関に所属しています。それは涼宮さんの能力に関係している機関です。一応自己紹介を古泉一樹です。よろしくお願いします」

 

「....ああ。ハルヒの能力ってのはなんだ?」

 

「ええそうです。涼宮さんの能力は涼宮さんのの機嫌一つで世界が滅びかねない危険な能力であり彼女が望むことが現実に起こり得る。まるで神様だと僕は思っていますよ」

 

ハルヒが神様?長門さんも似たようなこと言ってたけど神様までは言っていなかったが。だが問題はそこじゃない。ハルヒの事を知っている。能力まで...それは宇宙人である長門さんと未来人である朝比奈さんだったそれならこいつは?こいつも何か特別な力があるのか?

 

「お前も何か特別な力を持っているのか?」

 

「お察しが良いですね。それにお前もということは何方かに既にアプローチをかけてもらったのですね。僕は超能力者です。超能力者と言っても能力は限定的なんですがね」

 

限定的な能力?

 

「見てもらうのが速いと思ったので貴方を連れてきたんです。どうぞ到着しましたので行きましょうか」

 

場所は千葉県の俺の家から徒歩30分くらいの場所だった。時間は11時を指していた。2時間も乗って話していたようだ。

 

道路の真ん中で立ち止まった古泉さんは俺に目を閉じるように言ってきた。

 

「もう開けてもらって構わないですよ」

 

俺が目を開けるとそこには複数の巨人?が町を破壊している様子だった。

 

「ここは閉鎖空間と呼ばれる場所です。涼宮さんの機嫌が悪くなったりストレスが貯まるとこのように巨人が現れて閉鎖空間の町を壊すのです」

 

これが?この巨人がハルヒのストレス?....ハルヒ。

 

「未だかつてこのように複数の巨人が出てきたのは初めてです」

 

巨人に向けて何か発光している物体が飛んでいくと巨人の足が切れて倒れる。

 

「あれは僕の仲間です。ああやって巨人を倒しているんです。閉鎖空間ですが破壊していれば現実世界にも影響はでますからね。さて僕もそろそろ行かなくては。この状況は異常事態です。ですが貴方ならどうにかできると僕は思います」

 

「俺が?」

 

「はい。それでは目を閉じてください。貴方にはあちらの世界に帰ってもらって貴方がやらなくてはいけないことをやってください」

 

「俺がやるべきこと...」

 

「はい。それでは....また会いましょう」

 

俺が目を開くと先程の道路の真ん中だった。俺は走り出した。最後のハルヒがいるであろう場所に向けて。あの日初めてハルヒと出会った公園に。

 

 

「はぁはぁ....」

 

懐かしい。改装もされていない公園はあの日のままだった。途切れ途切れの灯りをともす電灯は儚く一人の少女を照らしていた。

 

「ハルヒ!!」

 

「はちまん...?どうしてこんなところに?」

 

「お前を...はぁはぁ...追いかけて..きたん...だろうが...はぁはぁ...」

 

息を整えながらハルヒに言う。

 

「今日は会いたくなかったからここに来たのに...どうして来ちゃうのよ」

 

「約束したからな....」

 

「約束?」

 

「一緒に宇宙人や異世界人や超能力者を探すってな」

 

「....馬鹿。そんな理由で追いかけてきたの?」

 

「ああ」

 

我ながら呆れる理由だがな。皆に何を言われたから来たとかじゃない。俺がハルヒに会いたかったから来ただけだ。

 

「なあハルヒ。覚えてるか?」

 

俺はベンチのハルヒの隣に座りながら言う。

 

「何をよ」

 

「ハルヒが俺に最初に聞いた言葉だよ」

 

「勿論覚えてるわよ。あんた宇宙人っていると思う?よね」

 

「ああ。おれがハルヒとの出会いだったわけだ。そして...俺の目標にもなった」

 

枯れ尾花の宇宙人にかこつけて俺が望んだ物はきっと手に入らない。でもハルヒの隣にいれるだけでいいと俺は思った。近くにいたいと思えた。だから俺は千葉から兵庫に行ったんだ。ハルヒの近くにいるために。

 

俺は立ち上がり自販機で飲み物を一つ買ってハルヒに投げた。

 

「え!ちょっと!!危ないわね!てこれ...」

 

「ああ。マッカン飲みたいんだろ?」

 

「そうね。これ飲みたくて来たのに電車代でお金使いきっちゃって買えなかったのよ」

 

ハルヒはゴクゴクとマッカンを飲む。まるであの日のようだ。俺はハルヒに近付いてマッカンをハルヒの手から取るとハルヒが飲んだマッカンを飲んだ。

 

「あー!私に買ってくれたんじゃ無かったの?」

 

「これ120円もするんだぞ?全部やるわけないだろ?」

 

味もなんも分からないがこの時間が長く続けばいい柄にもなくそう思っていた。

 

「クス。なんかあの時の逆の状況ね。全く感謝しなさいよね、マッカンの美味しさを教えてあげたのは私なんだからね」

 

「ああ。それは感謝してるよ」

 

マッカンに会えていなかったと思うと後悔で死ねる程には後悔すると思う。

 

「あ、12時ね」

 

公園にあった時計を見てハルヒが呟いた。明日になったなと俺は思いマッカンを飲みほした。

 

「さてそれじゃ帰るか」

 

「嫌よ」

 

どうやら帰りたくないようだ。.....何故?今日も学校あるんですが...。兵庫まで二時間はかかるしでも電車が無いか....あれ?摘んでね?

 

「どうせ電車も動いていないし良いじゃない。今日はサボって千葉で遊べば」

 

いやいや遊べばって....。

 

「はぁ....それじゃあ千葉で宇宙人でも探すか?」

 

「そうね!それがいいわ!でも流石に眠いわね。八幡の家に向かうわよ!」

 

いやいや12時とか迷惑考えてくれよ。小町しかいないとは思うが寝てると思うし。

 

「あ、もしもし。小町ちゃん?こんな時間にごめんなさいね。今から八幡と行きたいんだけど良いかしら?ありがとう、それじゃ」

 

俺より先に小町の許可とりやがった。

 

俺の携帯が震え小町からメールが....小町家にいない方がいい?そんな事は気にしないでいてくれ。よし送信と。

 

「よし!それじゃ向かうわよ!」

 

安心したからかドッと疲れが....。


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