シャリルです!
今回は少し短いですが、どうぞ!
オールマイト視点
私は、実に情けなかった。
活動時間に気を取られた。
しかも、人に諭しておいて、ミスを犯した。
情けない
その言葉しか言えない。
しかし、私が諭した少年は、個性がないのを顧みず、救おうとした。
私はそんな彼に、礼と訂正、提案をした。
私の個性は“ワン・フォー・オール”
聖火の如く受け継がれた力の結晶。
私は、度重なる手術の後遺症で、活動時間も三時間までに減らされた。
だからこそ、後継者を探していた。
そして、彼になら渡してもいいと思った。
無個性で、小心者の彼は、その場の誰よりもヒーローだったのだから。
けれど、問題もあった。
彼は、個性を受け取る程の器ではなかった。
あと十ヶ月でその器を完成させなければ、雄英には受からない。
しかし、私が作成した『アメリカンドリームプラン』を見せた時、彼は顔を引きつらせながらも、やる気は十分だった。
緑谷少年は、朝もしっかり来て計画通りに励み、学校から終わればすぐにゴミ掃除をしに来ていた。
途中、彼の後をつけいた少年がいたが、何も騒がず、ただ緑谷少年をじっと見ていた。
その後、緑谷少年がその子がクラスメイトであり、行動が可笑しいからついてきたと言っていた。
因みにその時私の事を『親戚の叔父さん』と誤魔化したらしい。
叔父さんねぇ……いい響きじゃないか!
それから、月日が経ち、試験まであと三ヶ月切った日の事だ。
いつものように彼はごみを担いで走っているといきなり倒れた。
立たせるために敢えてきつい言葉を発していたが、私は彼がオーバーワークになっていたのに気づいた。
彼はプランを守っていなかった。
しかし、彼はずっと先を見据えていた。
“入るだけでは駄目。”
“他の人よりも何倍も頑張らないと駄目。”
“きっと追いつけない。”
“僕はあなたみたいになりたいんだ”
“あなたみたいな、最高のヒーローに!”
その言葉は、あの事件の時に彼が言った言葉を思い出させた。
私は彼のその執念に驚かされ、口が滑り、つい叔父さんと言ってしまった。
少年はオールマイトは叔父さんじゃないと言ったが、最初に言ったのは君なのにと心の中で思ってしまった。
そして、試験当日朝六時。
どれほど出来ているのかが少し不安でいたが、私の予想を彼は、緑谷少年は超えていた。
彼は指定した区画以外まで、チリ一つ残さず綺麗にしていた。
ギリギリで、仕上げたのだ。
私が予想した以上に!
「Oh My…Oh My… Goodness!」
喜びのあまり、叫んでしまった。
しかし、その後すぐに少年は落ちそうになり、それを受け止めた。
その少年の体は、近くで見ても、十ヶ月前とは全く違う。
とても逞しくなった。
私は、彼がどんなヒーローに成長していくのか、楽しみになってきた。