活動報告で言った通り、これから色んな世界でちょっとした強者を送っていこうと思います。
注意!
転生していく子たちは、まだ、自分たちの力がなんなのか理解しておりません。
俺の一族はいつも人とは違うと思ってた。
人とは違って剣術を励み、人とは違って、闇を進んだ。
だけど、俺はそんな道は歩みたくない。
皆と同じ明るく、楽しい、そんな道を歩きたかった。
だけど、もうそれは叶わない。
なぜなら、俺の刀は血に染まっているのだから。
しかし、運命というのは不思議だ。
任務遂行中に油断し、
しかも、総人口の約八割が空を飛ぶなどの超常能力“個性”を持ち、その個性によって社会を守るヒーローという存在が確立された世界にだとは。
誰かが運命を操作したのではと思うぐらいだ。
そして、この世界にあるその個性とやら、俺にも存在する。
一つは前世で長年使っていた力と同じ、
もう一つは、前世でいつの間にか使えるようになった
この剣創は名前の通り、剣をその場で創ることが出来る個性。
もう一つの個性、邪食は邪な感情、謂わば、欲望を食う個性。
因みに二つ目の個性は内緒にしている。
「お~い!
「ん?なんだ。出久か。」
緑色の縮れ毛にそばかすが特徴の緑谷出久。
家が近くで、よく個性について語り合う良き友だ。
しかし彼は、この世界ではあまり見ない無個性だ。
けれど、彼が無個性なのは勿体無いとも俺は思っている。
「なんだ、って酷いよ。今日も君の個性分析しようと来たのに。」
出久はヒーローオタクであり、個性の分析が得意。
そして、それらを含み、とっさの状況判断に長けている。
この世界でヒーローの敵と言われる
「あ~。もうそんな時間か。わかった。じゃあ、いつもの場所に行くか。」
「うん!」
満悦の笑みを見せる出久を小動物のように見ながら、俺達はいつもの場所に向かった。
風が心地よく流れる新緑の土地。
少しばかりか都会より高い場所にある為か、肌寒い。
その中を、黒い短い髪を汗に滴らせながら、一本の刀を振る少年とそれを真剣に見ながら、ノートにメモる緑の縮れ毛の少年がいた。
「ん~……やっぱり、刀君の個性は凄いなぁ。」
「そうか?けど、剣をその場で創るだけだから、耐久性はほぼ無し。しかも、イメージしながらだから、知らなければ、創れない。」
「確かにそうかも知れないけど、その分、今から知っていけば、弱点も少なくなってくと思うよ。」
一息休憩とばかりに出久の傍に座り、空を見上げる刀は、そのまま仰向けに倒れる。
出久は未だにブツブツと言いながら、ノートに何かを書いている。
「……なぁ、出久。」
「ん?どうかしたの?」
「もし、出久に個性があったらどんなんかなぁと思って。」
ぴくっと出久の手が止まり、一瞬、間が空いた。
「……そうだね。もし、あるなら、オールマイトみたいな個性がいいかな。」
「そっか……オールマイトか。NO.1ヒーローの。……なれるといいな。」
「……うん。」
その後、少し沈黙が続いたが、時間が経過すると共に、いつもの出久に戻り、俺達は時間の許す限り、剣創について分析した。