デート・ア・無限サバイブ・鏡像の戦士外伝・神衣・ライフ   作:にゃはっふー

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はい、というわけで最初はやはり十香ちゃん。

時間の流れは無視して女神四糸乃とよしのんと出会う前です。

それでは、どうぞ。


十香・ト・デート

 それはまだ四糸乃と出会う前であった。

 

 クラスが違う中で、隣クラスから怒声がいつものように聞こえる。いつものことだと思っていると、だっだっだっと誰かが来た。

 

「神衣~今度デートだっ。シドーに私の気持ちを思い知らしめてやる~~」

 

 そんなことを言って、精霊十香はそう言い、いじけながら去っていく。

 

「………ふむ………」

 

 静かにこの騒動の事件を考えて、

 

「殺すか」

「待ってくれ神衣!!」

 

 標的が来たので、躊躇いもなく椅子を持ち上げながら、待て待てと、

 

「十香には悪いけど、今度は無理なんだっ」

「ほう、まあ十香の依存的なところを治させるにはいいかも知れないが、ほぼ勢い的なのがな………俺は問題ないが、お前の態度が問題の恐れがあるし」

 

 ともかく椅子をぶん投げようか考えるが、渋々やめておく。

 

 十香は断る事に士道と行動を共にしたがり、デートしたがる。今回は察するに断られ、腹いせに別の奴とデートされる思いを思い知らせてやるつもりだろう。

 

 効果あるか?と思うが、士道は神衣ならなと納得しそうだが、そんな反応見られたらストレスはマッハで危険値になるだろう。言っても分からないから、後悔してもらうほど断罪しておかなければいけない。十香がぱっと見、自分以外とデートして悲しいと思いしたと思うほど、弱ってもらわないとダメだ。

 

 そんなことを考えながら、彼は十香と休日買い物にでも行くかと言う感覚で、士道と別れることにした。

 

 今日は図書室で少し調べ物、もとい、少し色々裏作業するつもりなので、図書室で簡単な作業をする。こういう言い訳をして、資金稼ぎなどしている。悪いことはしていない、ただ存在しない人物になって、運営しているだけだ。

 

 その時ついでに彼女、フラクシナスの司令官、琴里にも連絡しておく。

 

『チッ、そう言うことね。士道ったら………通りで十香のストレス度が上がったはずよ』

 

「妹よ、とりあえずあれの始末は任せるが、十香のデートは俺でも問題ないか?」

 

『それは問題ないでしょう、一応、向こうからの指名だしね。十香とはどこを歩く気?』

 

「簡単にショッピングか、食べ歩きかだな。映画館や遊園地は、士道が一番がいいだろうから却下だからな」

 

『さすが私のお兄ちゃん♪ 最初の映画や遊園地は、やっぱイベント的に後々保険として用意しておきたいから、食べ歩きでお願い。それで場所は?』

 

「そこだな、後で琴里経由で待ち合わせなど合わせればいいだけだし………単純にうまい店周りで、無理に用意した店じゃないところを」

 

『OK♪ お店はお兄ちゃんがリストアップしておいて。後は何名かサポートに回すわ』

 

「そうか、助かるよ琴里。さすがにお金も無限にある訳ではないと知ってもらうため、ギリギリの目線にしておきたいが、手持ちの不安などがあるからね」

 

 今回の士道以外デートで、なるべく人の生き方を教えるため、お金は無限にないなど、普通のお店とはなにかなど、そう言ったことを十香に教える方針に行動する。そんなやりとりの中、

 

「!」

 

『? どうしたの?』

 

「いや、気の」

 

 所為と言おうとしたが、瞬間、スタンガンが放たれる。

 

 とっさのことで窓から逃走。すぐに近くに生える木などを利用して下に下りると、襲撃者も同じように下りてきた。

 

「………なにようだ」

「………」

 

 

 

「状況は!?」

「現在カメラを………映像出ますっ」

 

 フラクシナスの巨大モニターには、鳶一折紙と神崎神衣が写り、鳶一折紙は片手にスタンガン、片手に乙女の魔法の薬が染みついたハンカチがある。

 

「なにを………音声っ」

「了解っ」

 

 そして、

 

『鳶一さん、いったい………いや、なんとなく思い当たる』

『そう、話が早くて助かる』

『………十香と本当につき合えと言わないでくれ』

『そんなこと言わない』

 

 無表情のまま、じりじりと距離を測り合う二人。鳶一折紙は静かに、

 

『私はただ、夜刀神十香と結婚しろと言いに来ただけ』

『俺の予想を遙かに越える恋敵撃墜方法!!?』

『できれば新たな命があれば、私は全力で祝福する』

『もっとタチが悪いッ』

 

 それに関してフラクシナスメンバー全員も唖然となる。

 

 まさかここまで相手を潰すのに全力を出すとは、クルー全員戦慄。いや、一人除いて頷いている者が………

 

『ともかくここではらちが明かない、少し来て』

『断る、行けば最後しか考えられんッ。逃走っ』

『チッ』

 

 そう小さく舌打ちして、サイレンサー付きの乙女の嗜み銃を取り出し、発砲。それを避けながらSOSコールが神衣から来る。

 

「チッ!! アノアマアァ………私のお兄ちゃんになにやらせようとしてるのよッ。警護班ッ、ともかく現場へ急行!! 弾痕などの処理と、鳶一折紙の撃墜ッ。この様子じゃ、デート中もなにするか分からないわっ。ただちに神衣兄を回収して!!!」

『了解ッ』

 

 

 

 そんなことがありながら、後日である。

 

 フラクシナスメンバーは今回は士道ではなく、神衣のサポートに周り、彼らのデートと言うより、買い物などと言った感覚だろう。お互い仲が良いが、彼の好感度は士道よりはやはり下だ。

 

「まあ、本当は士道より、神衣兄の方が女の子の扱いは上なんだけどね」

「えっ、そうですか?」

 

 女性クルーが疑問符を浮かべ、それに対して、

 

「そうよ、通話は神衣兄には繋がってないわね? その状態で待ち合わせ場所の周りを見せて」

「了解」

 

 そう言われ操作すると、すぐに分かる。

 

 彼自身は安物、よくてそこそこの衣類のはずが、そのルックスだけで極まり、鋭い目つき、落ち着いた雰囲気で、本を読む様は、まるで、

 

「そう、まるで少女漫画かなんかのような、クール系男子のように立ち振る舞いっ。言っちゃ悪いけど、士道より神衣を兄として紹介した方が同姓の友達からいいなと言われる数は数知れず!! なによりその見た目と共に、中身まで完璧超人!!!」

 

 そう、琴里がある意味学業よりこちらを優先できるのは、全て神衣が勉学のサポートを前々からしてくれていたこともある。教えるのも上手で、友達も塾に行くより、神衣に教えて欲しいと頼みに来るほどである。

 

 神衣がただいるだけで、道行く女性が少し見たり、少しこそこそ話し合う人もいる。その様子に少しだけ嫉妬する男性クルーがいるがいまは無視。

 

「そして極めつけは………来たわね」

 

『おーーいっ、かーーむーーいーーー』

『十香か』

 

 そう言って普通に歩き出す二人。その様子はまさに美男美女。それもそうだ。十香は恋人にしたいランキングを現れてから上りだした存在。加えて神衣は、

 

「こちらの調べでは、恋人にしたい男性ランキング堂々一位のようだな」

「そうよ令音。お兄ちゃんはクール系キャラ全ての覇者よ、正直神衣兄と買い物に行くだけで勝ち組感は半端ないわよ」

 

 その様子だと琴里は何度も体験している様子であり、クルーは、

 

「まあ確かに、神衣くんと士道くんを比べるのは、ねえ」

「大人の落ち着きがありますね、彼からは」

 

 眼鏡を直しつつ社長(シャッチョサン)の幹本と、早過ぎた倦怠期(バッドマリッジ)川越が頷き合う。

 

「実は彼とは分野は違いますが、パソコンなどの電気機器の話では、馬が合いますね」

 

 そう言うのは次元を越える者(ディメンション・ブレイカー)である中津川も頷き会う。

 

「あっ、確かに、ぱっと見なら神衣くんですね、士道くんもいい人なんですけど」

「まあ、見た目なら神衣くんですね。あの歳にない落ち着いた雰囲気がありますからね」

 

 と、藁人形(ネイルノッカー)椎崎と、保護観察処分(ディーブラヴ)箕輪が言い合う。

 

「そう言うことよ、まあ、恋人になると考えれば現実は別だけどね。神衣兄はスペック高すぎだから、そうそうできないし………私が潰すし」

 

 最後の言葉だけ、小さく呟かれた。誰にも聞こえなかった(聞こえなかったことしてください)

 

「あっ、十香ちゃんと神衣くん、移動開始しました」

「そのまま監視お願い。念のため、警護班は鳶一折紙に警戒して」

 

 

 

 その後はまあ楽しいデート、と言うよりかは、

 

「友人との食べ歩きですね」

 

 川越の一言に、みんなが頷き合う。

 

 だが令音、解析官である令音だけはいやと呟く。

 

「彼はよくやっているよ」

 

 そう言い、音声を拾う。

 

『神衣、あの駅で使ってる、ピッってものはなんだ!? 私もしてみたいぞっ』

『あれは、切符はもう知ってるよな? 切符のお金を前もって払って置いて、その代金を払ってるんだ。駅をよく利用する人が、込んでるときとかに使用するものだよ』

『おお、そうか。なら私はまだだな………まだ駅の名前がよく分からぬ』

 

 と言う会話に、あれ?と、

 

「十香ちゃん、切符とか、駅のこと教えましたっけ?」

「ここに来る前に、バスなどを使用したときに、雑談していた。その時、十香が電車を見ていたからね。その時に」

「いつの間に………そう言えば、私も知らないうちに色々教えてもらったっけ」

 

 琴里が懐かしみ、なんだか教鞭取れますね~と言う会話の中、令音は静かに彼を見続ける。

 

「? どうしたの?」

「いや………年の割に、引き出しが多いと、感心していただけだよ」

 

 そう言い、モニタリングしていると、警報が鳴る。

 

「警戒ッ、イーグルⅠから連絡が途絶えましたッ。続いてⅡ………」

「通信の最後に伝令あり、白いものがとっ」

「ちっ、やっぱり来たか鳶一折紙!! デートの邪魔は千歩譲ってもいいけどッ、神衣兄に変なことさせようとするのだけは許さんッ!!! ついでに士道の分も入れて、常日頃の恨みをはらしてやるわ!!!」

 

 アメをかみ砕き、鬼の形相で指揮をする琴里であった。

 

 

 

「!!」

「? ほうした? ふぁむい?」

 

 口の中にたい焼きを入れて喋り、ゴックンと飲み込む十香。それに、

 

「いや、いま殺気と怒気と、震える者達の気配を少々………」

「?」

「気にするな」

 

 いろんなところを巡りながら、十香は楽しそうに微笑んでいる。

 

「………」

 

 と、不意に彼女はしんみりな顔になり、静かに、

 

「本当にだな………」

「? なにが」

「世界は敵だけじゃない………シドーの言う通りだ」

 

 そう言いながら、様々な行き交う人を見る十香。その顔を見ながら、僅かに考え込む。

 

「………もう機嫌は直ったか?」

「むっ、それは少し………けどまあ、神衣に免じて許してやる」

 

 そんな会話をしながら、神衣は目の前の精霊を見る。その様子は、

 

(やはり人だな)

 

 鏡の中から、控えているモンスターを見ながら下げる。

 

(実は攫う算段をしていたが………はあ)

 

 こんなに楽しそうにおはぎを頬張る少女を見て、下手に手を出すのは悪手と判断する。むしろばかばかしいと、そう思う。

 

 彼は研究者、良くも悪くも、目的のために手段を選ぶ気は無い。ただ最良で最短を選ぶだけだ。

 

(近くに居るんだ、気長にやろう)

 

 そう思いながら、あまりの食いっぷりに公園で飲み物と共にいただく。

 

 普通の公園で、僅かに神衣もおはぎを食べつつ、あんこがついた指を舐め、横を見ると、

 

「十香、口元にあんこがついてるぞ」

「ん? うん………」

 

 それでもまだ食べ続ける十香。仕方ないなと立ち上がり、前に立ちハンカチで拭おうと少ししゃがむ。

 

「あまり食べ過ぎると晩飯が入らないぞ」

「むっ、それは困るな………」

 

 大人しく拭かれるため、顔と言うより、口元を突き出す十香。

 

 そして、

 

 

 

(神は私の味方………)

 

 何故かいた不審者を、乙女の嗜みで蹴散らし、いいポジションを取り、スナイパー体制で、神衣と十香を見る。いいタイミングだ。

 

 鳶一折紙のシナリオで、このままゴム弾(対人製高性能)を打ち込み、奥手な彼を後押しする。

 

 後は二人を祝福するイベントが発生、事故キス。なんて素敵な響き、自分も愛しの人としようと心に決めながら、気を失った神崎神衣を回収し、乙女の説得をするだけだ。

 

 いまは仕方ない、素敵イベントだけでもいい。彼女もこれで彼を意識するだろう。神崎神衣と夜刀神十香、二人とも神合わせだ。祝福しよう。その為の薬も用意した。

 

 不適な笑みを見せ、音の消えた弾丸が放たれた。

 

 

 

(殺気!!)

 

 妙な気配を感じたが、体制がまずい。

 

(避ける、十香に当たる。防ぐ、十香の前で? モンスター論外)

 

 まだ正体を隠している身である自分が、そう簡単に力を引き出せない。

 

 目を瞑り、口元を突き出しているが、琴里達がいる。これではと、

 

(軌道は………俺の頭か!? なんでだ!!)

 

 こうなれば仕方ない、全く、備えあれば憂いなしだが………

 

(………友人との食べ歩きって、こんなんだったか神崎?)

 

 僅かに疑問に思いながら、

 

「ほら拭い………!!!」

「ん、すまぬ神衣。っと、どうかしたか?」

「い、いや………」

 

 

 

「神衣くんにゴム弾激突しました!!」

「なんですって!!? 神衣兄は無事なの!?」

 

 映像で出ると、口元をすぐに拭った彼はすぐに身体を伸ばし、背中に被弾した。

 

 だが彼は気にせず、動揺を隠す。

 

「これって」

「ああ、彼は念のため、服の下に防護服を着てもらっていた」

「でかしたわ令音っ、お手柄よ!!」

 

 彼の進言から、対鳶一折紙用装備を、衣類の下に着込んでいた神衣。その一撃を、うまく防いだ。

 

「ですけど骨にヒビが入ってる恐れがありますッ、む、むしろよく一般人の頭部へ討ちましたねあの子………」

 

 その言葉に、琴里から、冷気のような怒気が、

 

 放たれた。

 

「よし殺そう」

 

 その後、十香の視界の外で僅かに戦争が起きたが、神衣は必死に隠した。

 

 

 

(もう一度思う、これが普通の食べ歩きか神崎………)

 

 遠い目で背中の傷を抑える。ヒビも折れも無いが、さすがに響いた。

 

 その後は遠くから弾丸の後や、グレネードらしき音も聞こえ、よくパニックにならないなと思う。精霊より彼らの方が世界の危機ではないか?

 

 気づかれないようにフォローしつつ、静かに歩く中、十香はもう機嫌良さそうに歩く。鼻歌も歌い、その様子にほっとする。

 

(もうこれでなにも起き………)

「ん? 神衣、この店はなんだ?」

「ん」

 

 そう言われたとき、メイド喫茶なるものが見えた。ああと、

 

「これは可愛い女の子が、メイドと言う職業に成りきって、接客するお店だよ。普通の喫茶店と違って、お客さんは自分を雇ったご主人様やお嬢さまと言う職業な。まあほとんど可愛い女の子と触れ合いたい客か、可愛い服着てみたいって子がやってたりする」

「そうなのか、確かに可愛い………」

「………」

 

 その時、メイド服を見ていた十香は、

 

「あっ………」

 

 店から出た。バカの姿を見た。

 

 

 

 インカムから警報が鳴り響く。十香からオーラが見え始めた。

 

 

 

「………シドー………お前、何故ここにいる?」

「かかかかかかかか、かむむかむかむか神衣に十香っ!?」

 

 そこにいたのはまさに店から出てきた友人、五河士道。インカムからもバキッと言う何かが砕けた音が聞こえた。

 

「……………友よ、十香の頼みを断り、ここに来たかったのか」

「待ってくれっ、誤解しないでくれ神衣っ」

 

 そんなことを言うが、霊力が肉眼で見えている気がするほど、十香の機嫌は悪いのが分かった。

 

「シドー………シドーは私といるより、他のおなごと一緒がよかったのか………」

「ち、違うんだ十香っ、これはその」

「………………友は死んだ」

「か、神衣っ。お前まで待ってくれっ、違うんだ神衣っ」

 

 そして空からも侮蔑の視線を感じる。琴里だろう。

 

「よし、十香。今日は俺ん家で飯にしよう。琴里も呼んでな」

「………わかった………」

 

 嵐のように去る十香に、士道が待ってくれと言うが、

 

「来るな馬鹿者っ、バーカ、バーカ。うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 そう言って走り出す。

 

「と、十」

「歯を食いしばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

「ぐっふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 歯と言いつつ腹を殴って、神衣も後を追う。

 

 腹を押さえ、ま、待ってと言う士道の後ろから、

 

「おい士道どうしたんだい? メイドさんとの有意義な時間で、腹満腹か?」

 

 そう言い、友人殿町が現れる。

 

 後で知るが、殿町から色々頼まれ、一人で来ていたが、たまにはお友達も連れてきてくださいとメイドに言われ、士道に白羽の矢が立つ。

 

 神衣とも知り合いだが、あれは全てのメイドを奪うイケメンっと嘆くため、神衣は誘われなかったのだった。

 

 こうして、十香とのデートは終わりを告げた。数多の傷を残して………




琴里「今日はお楽しみだったようね士道。メイドさんと触れ合って嬉しかったようね」
士道「こ、琴里………」
琴里「しばらく神崎家にいます、それじゃ、殿町さんとお幸せに」
士道「それも待ってえぇぇぇぇぇ」

彼はこうして裏方で支えて?ます。

それではこれで、お読みいただきありがとうございます。

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