王様は平穏が欲しいようです。   作:ユーリ・クラウディア

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ストーカーお嬢様襲来

日本某所、某宅

 

まあ、何と言う事は無い、俺の家だ。

あの後、早々に現場を離れ数日置いて、ルクレチア・ゾラに会い石板を返却。その後早々に帰国した訳だが…

 

「で?俺に何か様かな?」

 

俺目の前で膝痲づく女性に声を掛ける。

 

「ハッ!まずは先日、危ない所を助け頂いた事、感謝いたします。」

 

まあ、お察しの通りエリカ・ブランデッリとそのメイドさんなんだが

 

「世辞はいい、要件をさっさと言ってくれ。」

 

ああ、こんな事もあろうかと妹を買い出しに行かせて良かった…。嫌な予感がしたから咄嗟に行かせたけど、その直後に来るなんて…。こんなの見られたら俺…自殺したくなっちまうよ。

 

「これは失礼しました。では、貴方様は何なのですか?」

 

「これはまた随分と曖昧な問いだな。まあ、君らの言う所のカンピオーネって奴だよ。」

 

ぶっちゃけ、彼女の言わんとする事は分かる。俺は居るはずの無い未確認のカンピオーネだ。原作ではエリカに有った時点では只の人間でその後にカンピオーネになる事で身元が多少なりともはっきりしている。

が、今回はエリカに遭遇した時点で既にカンピオーネになっているし、行き成り神に喧嘩を売った戦闘狂だと思われているふしもある。

ああ、どう説明するかな…。

 

「いえ、それは私共も存じております。非礼に当たるとは分かっておりますが、御身の素性を調べさせていただきました。御身がカンピオーネになったタイミングもおおよそ見当がついて居ます。ですが、まつれわぬメルカルトを弑逆したあの技はカンピオーネのそれとはまた違った物を感じました。」

 

ああ、そっち、カッコつけていわんとする事は分かるとか思ってたけど、彼女達の情報収集能力を侮ってたよ。恥ずかし。

 

「…」

 

しっかし、どう説明したらいいだろうか…

 

護堂が最後に使ったあの技、本来なら主人公とはいえ、原作の草薙護堂では至れなかったであろう技だ。俺こと草薙護堂は憑依者だ。以前の生ではサブカルチャーにも結構浸ってたわけで、そのサブカルチャーの世界に来たのなら他の作品の技とかも出来るのでは?と色々試行錯誤して再現した技の一つだ。

あの時放った唯閃を例に出すと、まず、剣術のベースは以前から独自に開発していたものを使う。此処までは、オリジナルだ。問題はあの時呪力が足りないと言うのと、カンピオーネと言えど人間の限界を超えた一閃を放つ事の出来る身体能力を発揮した、という二点だ。まあ、答えは『一刀羅刹』使いました。って話だ。

 

少し話がズレるが、草薙護堂の身体能力と戦闘センスが思ってたより遥かに高かった。

流石に生物学的に不可能だったり、物理的に有り得なかったりする物の再現は出来なかったが。それ以外は意外と血反吐吐けば何とかなった。

一刀羅刹についていえば、自分を深く濃く鮮明に感じる事で至れるという趣旨の事が語られていた。それ位なら危険も無く出来ると判断した。だから俺も風呂で素潜りをしたり滝に打たれたりした。修行から5年目で一刀修羅を完全に身に着けた。そこから更に2年で一刀羅刹を身に着けた。ぶっちゃけ一刀修羅も一刀羅刹も常人が使えば死ねる。実際修羅の時は高熱と筋肉痛と頭痛で救急搬送された。真面に動けるようになるまで一週間かかった。羅刹の時は全身ズタボロになって二週間意識を失い生死の境を様さまよった。完治には目覚めてから一年弱掛かった。それ以降は使ってないから、先日のが二回目の発動だ。ゼウスの時はそんなの使う暇もなく雷撃で沈められたよ。雷霆奪ったタイミングで一刀修羅は使っていたがその後ゼウス事消し飛んだし身体作り直されたからチャラになって居たな。誰だよ、習得にそれ程危険が無いと言ったの。

まあ、そんなこんなで色々周りに迷惑を掛けた技だがカンピオーネになった事で何とかそんな事にならずに済んだ。キャパが増えて一刀羅刹使っても身体ぶっ壊れるって事は無い。恐らく一刀羅刹は体感3秒くらいに凝縮して使うと本家の一刀羅刹と同じくらいの性能で戦える。今回使ったのが0.00数秒という次元だった為に軽い頭痛と筋肉痛だけで済んだ。

 

他にも色々と平行して奥の手を使って足りない呪力をかき集めてたけどそれはまあ追々で良いだろう。

 

後は簡単、かき集めた呪力を雷霆に収束し一閃、メルカルトを切り伏せた訳だ。

 

「そうだな、アレは人間の限界点に行きついた一撃、と言った所かな。まあ、普通の人間が使えばたった一振りで死ぬ可能性を孕んだ最終奥義だと思ってくれ。俺もカンピオーネとしてのポテンシャルが無ければ恐らく死んでいただろう。」

 

まあ、隠すとこ隠せば喋っても大丈夫だろう。

 

「で?そんな事が本題なのか?終わったなら疾く去れ」

 

さっきから出来るだけ魔王として威厳が出るように話してるけどマジで恥ずかしい。

早く終わらないかな、このやり取り…。でも、付け入る隙を見せると自信過剰なお嬢様がストーカーの如く付きまとってくるし…。平穏が欲しい俺としてはそれはちょっとゴメンだな。

ゴルゴネイオンよこしてアテナけしかけて来たのこのお嬢様だった事を俺は忘れない。

 

「…、申し訳ございません。まずは此方をお受け取り下さい。此方が今回の本題になります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

受け取ったそれはとてもタイムリーで見覚えのある石のメダルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ…、ゴルゴネイオンじゃね?




エリカって軽くストーカーだよね。

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