戦いは苛烈を極めていた。
原作では殆ど戦闘をすることなく終わったこの戦いだが、今回はそうではない。
まず、メルカルトが味方にならなかった事が大きい。
そして、ウルスラグナの黄金の剣が凶悪過ぎる。
既に護堂の権能がどの神から簒奪した物かを看破され迂闊に近づけなくなってた。
最早戦闘は泥沼と化していた。
「あー、ちくしょう!何だって、テメーらは俺を集中攻撃してきやがる!」
ただし、戦況は俺が一人圧倒的に押されていた。
「戦に置いて、最もひ弱な物を最初に各個撃破する事は定石であろう!」
「この程度の事で弱音とは、さっきまでの威勢は何処へ行った?」
二柱して護堂を狙い撃ちである。
流石に話しの流れからして乱戦になると思っていたのに対して予想外過ぎてどうしよも無い。
くっそ、出鼻くじかれたのが痛手だ。まさか、協力して俺を倒すではなく、個々の意思で勝手に俺だけ攻撃してくる始末。
如何しろと…、まあいい、それならそれで、痛いのは勘弁だし賭けの要素も其れなりにあるが、打開策はある。
「我が絶対の雷をこの手に!」
護堂は雷霆を剣の状態で顕現させ手に取る。
そして、ウルスラグナへ向けて全力で疾走する。
「時期になったか?神殺しよ」
ウルスラグナは残念そうな表情で黄金の剣を構える。
「ハアアアアアアアアアッ!」
護堂は雷霆を袈裟方に大振りの一閃を放つ。
しかし、そのような隙だらけは一撃ではウルスラグナに届く訳もなく弾かれノックバックする護堂
そして、ウルスラグナが隙だらけの護堂に一閃を浴びせる。
「興覚めだな神殺し。これで、貴様の権能の殆どが使い物にならなくなったぞ?」
知を吹き出し倒れる護堂を冷え切った視線を向けるウルスラグナ
「ゥ…ガハッ」
内臓も一緒に傷ついたのか吐血する護堂。
しかし、その顔は不思議と余裕が見られた。
「この状況でそのような顔をするとは何か企んで…!?」
ウルスラグナの言葉が最後まで紡がれる事は無かった。
「黄金の剣…、言霊を持って神格を切り裂き、神を地へと引き摺り下ろす常勝不敗の軍神ウルスラグナが持つ対神格戦に置いて反則級の力を持つ剣。」
「まさか…貴様…!」
「自分の剣の味はどうだ?ウルスラグナ」
護堂が取った行動は簡単、原作同様魔導書でウルスラグナの権能を強奪しただけだ。
そして、原作同様ウルスラグナにそれを突き立てた。
ただこれをするにはウルスラグナに隙を作らなければならなかった。原作では白馬の力で何とか出来たが今はそれを使い切りどうしようもなった。だから、わざと隙を作り斬撃を浴びた。攻撃を当てた瞬間と言うのは其れつまり隙となる。ただし、一歩間違えれば致命傷を負いその時点で負けとなる。
広がる黄金の世界。ウルスラグナとメルカルトの両方を飲み込み世界を侵食する。
既に黄金の剣で深手を負っているウルスラグナは最早抵抗する暇もなくハリネズミになり、メルカルトも権能を削られ消耗を見せる。
「全く…、こんな事もあろうかとこいつ等の出典を洗いざらい調べて置いて正解だったぜ」
護堂は誰にも悟られない程度の小声て呟いた。
護堂はカンピオーネになりたくないと常に思っていたが、それでも心の何処かではそれは叶わないという感情があった。だから原作で現れた知る限りのまつろわぬ神について調べた。勿論他の神についても調べたが、原作初戦のこの戦いが最も難易度の高い。だから徹底的に調べた。更に言うならメルカルトについては原作でも多くは語られて居なかった為、敵対した場合の事を考えてそれはもう鬼気迫る勢いで調べた物だ。ウルスラグナについては不意打ちで出典がしっかり理解できていなくとも弑逆出来ていたのでメルカルト程しっかりとは調べはしなかったが。
「此処までやっても仕留めきれないんだから神ってのは出鱈目だな…。もう呪力が足りない。」
呪力を失い黄金の世界は崩れ去り元の世界へと戻った。
「人の身でありながら我ら二柱を相手にし此処までしたのだ誇ってよいぞ、神殺し。」
消耗したとはいえメルカルトはまだ余力を残している。
最早護堂の勝機は殆ど潰えたと言っても過言ではない状態だ。
メルカルトは止めを刺そうと護堂に歩み寄る。
―――――戦いに色は必要ない…
「何だ?まだ抗うか、神殺し」
メルカルトは護堂の雰囲気が変化したのに気づいた。
―――――音も匂いも不要だ。
護堂の手には雷霆が握られている。
しかし、呪力の大半を失った状態では只よく切れるだけの剣だ。メルカルトにとっての危険度はゼロに等しい。
―――――相手の動きが分かって居るのなら光だって不要だ。
しかし、メルカルトは不安を拭い切れなかった。
直ぐにでも勝負を決める為に動きを速め、攻撃モーションに入った。
―――――無いならかき集めろ。それが駄目なら他から持ってこい。
一閃
ただそれだけ…
ほんの一瞬、神速と呼ばれる領域での錯綜
「無形流『唯閃』」
崩れ落ちるメルカルト
それが意味するのは
草薙護堂の勝利である。
取り敢えずこんな感じ。
書いてて自分のボキャブラリーの少なさに唖然としましたね。
すいません、ホントはもっと壮絶な戦いにするつもりだったんですが、才能がそれを許してくれませんでした。