王様は平穏が欲しいようです。   作:ユーリ・クラウディア

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サブタイが全く思いつかずに毎回適当につけているのですが、やっぱり結構不格好にみえるね


取り敢えずイタリアに行こう

草薙護堂が目覚めたのは戦いから10分ほど経過した後だった。

 

雷霆によってゼウスごと消し飛んだはずの肉体は以前よりも活力が溢れ、今まで上手く感じ取れなかった自身の呪力を明確に感じ取る事が出来るようになっていた。

 

そして目覚めた護堂が最初に取った行動は逃走だった。

 

それはもう脱兎の如く、魔王として再構築された肉体スペックをフルに使って

 

幸い誰にも目撃される事無く現場から離れる事に成功した護堂は「ふぅ~」と一息ついてから頭を抱えた。

 

「結局カンピオーネになる事は避けられなかったな…」

 

多少憂鬱に感じる護堂ではあったが、最早覚悟は決まり今は今後の事を考える事にした。

 

「まずは、この後についてだな…。」

 

今直ぐに魔王として名乗りを上げることも可能だが、それは先を知る護堂にとってあまり好ましくない事だった。

 

そもそも、権能の力が足りない。原作の草薙護堂が得た権能はウルスラグナのものだ。中でも言霊の剣たる黄金の剣の効果が絶大だった。此れからを鑑みるにあの剣が無い状態では例えオリンポスの頂点たるゼウスの権能があったとしても、此れ一つでは度しようも無い。

というのも、まつろわぬ神々は世界の至る所で信奉されている為、中には同一視される事で複数の神格が混ざった歪極まりない神として降臨する。そうなった場合原作でペルセウスがウルスラグナの権能を封殺したようにゼウス単体の権能では心もとない。此処で名乗り出れば戦力強化の前に色々と面倒事を強いられる可能性がある。原作でも力試しと称してサルバトーレ・ドニと決闘させられていたはずだ。

これではいずれ必ず日本を訪れるヴォバン伯爵に勝利する事もできないだろう。

 

ならば次は何をするべきか、答えは簡単だ。

 

「イタリアの方はまだ本格化していない様だな…」

 

そう、ウルスラグナ討伐だ。

此れしかない、今直ぐ自信を強化する事の出来る可能性があるのは、イタリアで起きる事が決定しているウルスラグナとメルカルトの戦いに乱入しウルスラグナを確実に弑逆する事だ。メルカルトは状況次第と言った所か…、原作でもメルカルトととは戦ったりはしていなかったはずだ。戦いの後はアストラル界にでも隠居したのだろう。討伐して自身の糧にしても良いが、ぶっちゃけ原作をアニメでしか見ておらず、その先は友人からサラッと聞いた程度だ。確か、かなりヤバ気な神の封印が解けてそれと戦うって感じだったはずだ。その他にもあの有名な孫悟空と戦うとか聞いたような気がする。

まあ、それは置いておいてだ。このメルカルト、今弑逆した事で後々に何か悪い影響が出る可能性が無くは無いという事だ。既に原作とは異なるゼウスを弑逆した時点で今更ではあるが、それとこれとは話は別だ。

まあ、幾ら考えても答えは出ないだろう。ならばメルカルトとの交渉が決裂した場合はやつも討伐しよう。まあ神二柱相手に両方討伐するとか詰んでる気がするがそんな事を言っていたら何時まで経っても強く話なれないな。

ある程度方針を決めた護堂はボロボロになり殆ど機能を失った自身の服装をみて苦笑いをこぼす。

 

「取り敢えず急いでイタリアに向かおう。原作道理ならもう時間が無い。」

 

取り敢えず荷物を回収するために宿泊しているホテルへと誰にも見つからないよう警戒ながら足を速めていった。

 

 

 

 

 

***********

 

 

 

 

 

護堂が神殺しを成し遂げてから半日が経過したころの事だ。

イタリアのとある片田舎でエリカ・ブランデッリはまつろわぬ神と対峙していた。

お察しの通り神王メルカルトとウルスラグナの二柱だ。

最初は自身が優秀でありそれを証明するために神殺しに挑んだ彼女だがそれは昨日、神獣を相手にした時にその自信を木っ端微塵に吹き飛ばされ、神殺しを諦める事にしたが赤道黒十字が誇る大騎士としてのプライドが、遭遇したのならば被害拡大を防ぐため行くしかないと言う選択肢を選ばせ。自信満々で家を出てきた事も相まって引っ込みがつかなくなったのである。

 

そして、それが今の現状に繋がる。

神の戦い割って入り戦いを止めるように進言した彼女だが、受け入れられるはずもなく、終いにはウルスラグナに雷を浴びせられる始末だ。

幾度かは躱せた。しかし、神の攻撃を防ぎ続けるなどただ優秀なだけの彼女には出来なかった。

持っていた盾は雷に弾かれ何処かに飛ばされた。

その時バランスを崩して次の雷は回避できないだろう。

エリカは自身の未熟と奢りを呪った。なぜ神殺しなどと言う暴挙に出てしまったのか。彼女は自身の死を悟りながら目をつぶった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全ての理を持って、天を支配するは我が覇道のみと知れ」

 

 

 

しかし、何時まで経っても雷は来ない。

代わりに聞こえて来たのは聖句だった。

別に聖書に乗っているとかそう言う言葉ではない。

だが、それが聖句だとエリカは瞬時に理解できた。

しかし、疑問にも思った。今この近隣にはカンピオーネはいないはずだ。

エリカの思考は、居るはずの無いカンピオーネの登場で混乱を極めた。

 

この時エリカは気づいただろうか、先程まで恐怖していた自身が安堵していることに。

それが、紛れも無く、今現れたカンピオーネが原因だという事に。

 

 

 

 

護堂はエリカに降り注ぐはずだった雷を発生するその前に天候を掌握する事で防いだ。

そして、二柱の神に向けて腰を折り挨拶をした。

 

「神王メルカルト、並びに軍神ウルスラグナとお見受けするする。」

 

「何者だ…。いや、問うまでも無いな。忌々しき神殺しよ」

 

最初に反応したのはメルカルトだった。

 

「我が権能をかすめ取るか、中々面白い趣向よな、神殺し」

 

続いてウルスラグナが反応する。

 

「お二方の戦に口出しするのは少々気が引けるのですが、今後の私の為にウルスラグナ、貴方を弑逆しに参りました。」

 

「ほお…?ワシは眼中にないと?言ってくれるはっ…!」

 

メルカルトが自身を蔑ろにするような言い回しに怒りを見せる。

 

「勘違いなきよう、メルカルト、貴方が弱いと言っている訳では無い。ただ、今回私が欲しているのがそこの軍神の権能だったというだけの事だ。お望みとあらば二柱まとめて相手をしよう。」

 

此れは護堂にとって一種の賭けだった。こんなこと言って本当に二柱同時に来られたらまず勝ち目はない。がメルカルトに自身が面白い存在だど思わせ交渉を有利に進めるための切り込み。一歩間違えれば悪印象を持たれ友好が築けない可能性がある。只でさて既に神殺しの魔王である自身にどれだけ好印象を持たせるかがカギとなる。

だから、まずは自身がお前ら二人相手にしてやってもいいぜ?と挑発的な態度を取る事でインパクトを与え自身に今日興味を持たせることにした。

最初の言ってから攻めすぎな気もするが、これくらいできなければ神殺しなどやってはいられない。

 

「あ…貴方は…?」

 

そこで、エリカが我に返った様で、問いかけて来る。

 

「お嬢さん、悪いけど邪魔だから離れていてくれるかな?話は此れが終わってからでも遅くは無いだろう?」

 

取り敢えず本気でかまっている暇は無いので適当に返す。

 

「え…ええ、分かったわ」

 

普段のエリカなら此処で目ざとく色々約束させて自身に有利になるよう現地を取りにいく所だが、我に返っても状況に混乱し、正常な判断を出せていなかった。

 

エリカが下がったのを確認した。護堂は二柱の神に向き直った。

 

「さて、それで?どうする?このまま三つ巴の戦いをするかそれとも、メルカルトが下がるか。将又ウルスラグナが下がって。俺とメルカルトで戦うか。何だったか、メルカルトと俺との二人でウルスラグナをボコにするって選択肢があるが?どうだい?」

 

護堂は飄々とした態度を心掛けながら提案する。

 

 

 

 

「ハハハハハッ…!面白い、面白でわないか!神殺しの少年よ!」

 

メルカルトは大声を上げて笑い出す。

 

「だが、答えは否だ。諦めよ。出来ないのであれば三つ巴の戦いと行こうでわないか!」

 

「良きかな、我に敗北を与えてくれるのであれば!いや実にいい!」

 

交渉決裂、二柱の神からの苛烈な攻撃が降り注いだ。

 

今回の場合は仕方がないといえよう。護堂の手にあった手札が如何せん貧弱過ぎた。

不幸中の幸いだったのは二対一という災厄の状態にならなかった事だろう。

 

そして、再度交渉する暇も与えられずイタリアの地で三つ巴の戦いが幕を開けた。




はい、という事で三つ巴の戦いに成っちった。

ちょっと俺の頭脳ではメルカルトを仲間にする事はできまかったよ。

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