ラブライブ!ダブルサンシャイン!!バトルスピリッツSC EPISODE0   作:アポロ雄将

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 Love File!1

 異魔神(イマジン)ブレイヴ

実体を持たず、条件を満たしたスピリットと合体(ブレイヴ)することで実体を得られる。また、普通のブレイヴとは違い、一体の異魔神(イマジン)ブレイヴに2体のスピリットと合体(ブレイヴ)出来る。合体(ブレイヴ)したスピリットは普通のブレイヴ同様、力を得ることが出来る。


2LIVE「輝く意思の結晶」

 「相手が化け物なら手加減する必要はない!撃て!撃てぇ!!」

 

 多くの銃声が鳴り響く中、三人は白き龍騎パラディウムと紫の龍騎ダークスの後ろに立ち二体の龍騎は武器を回転させ銃弾を跳ね返す。

 

 銃声が静まった瞬間、仮面越しに不気味に笑うベルドゴールは自身が持つ大きな獣の爪で襲い掛かり、警察の集団を切り裂く。

 その傷で苦しむ声も聞こえるがそれでも警察は立ち向かう。

 

 「この化け物め……!駆逐してやる!」

 

 銃がダメなら警棒で対抗する新人警察官はラショウに何度も叩く。

 

 「嘘だろ……?」

 

 ラショウにはそんなものは通じず新人警察官を持ち上げ、その人を金棒のように振り回す。

 

 「うわっ!た、助けてくれー!」

 

 助けを求めるが中々手を出せずラショウは新人警察官を隊列に並んでる隊員に投げ出し、隊列を崩させる。

 しかも鬼だから投げるスピードは半端じゃなく、投げ出された新人警察官は恐らく―――――――いや、確実に重傷を負ってる。

 

 この光景を見たわたしは確信したことが一つある。

 

 「やっぱり、人間じゃスピリットに太刀打ちできない……!」

 

 並みの人間はおろか、世界で1位2位を争う日本警察があっさりやられるということはもう人類に勝ち目はないという意味を表してる。

 

「果南!今のうちに逃げ――――――――――――――

 

 

 鞠莉が逃げようとしたその時―――――――

 

 「おっと、逃がしゃあしないよ?これを見たからにはね?」

 

 式鬼が通さまいと紫の巨体の主、ラショウと共に立ちふさがる。

 

 「……あなた達の目的はなんなの!?こんなところで暴れだしても意味はないはずよ!」

 

 鞠莉が式鬼に聞く。

 確かに鞠莉の言う通り、こんな能力があるくらいだからこんなところで暴れる必要はないはず。

 

 「うーん……なんだっけ……あぁ!思い出したよ。忌まわしき十二神皇を滅ぼすためだったよ……!」

 

 忌まわしき……十二神皇!?この少女達、言ってることがまるで分からない!

 ならわたしが言うべき言葉はただ一つ―――――――

 

 「大体、バトスピは想像の中でしか存在しないはずなのにどうしてここに現れるのか説明してほしいよ!」

 

 わたしは怒りを交えて聞き出す。

 

 「そうだね……どうせ終わった頃には忘れてるから説明してもいいかも」

 

 式鬼は余裕を持つかのように語りだした。

 

 「わたしたちもこの間までバトスピはただのカードゲームだと思ったんだよね~。でも、落ちてたエラーカードを取ってみて意思を強くして握りしめてみたらバトスピカードが出来てさ~」

 

 白紙のカード?確か東京に行く途中、拾ったけどまさか……?

 

 「で、それが出来たのがこの異魔神(イマジン)ブレイヴなんだよね~。まさか実体化出来て自分の力として使えるのが驚きだよ~」

 

 そんな仮想的なことが……。信じがたいけど目の前で信じがたい光景を目にしたんだ。

 

 「ま、そんなわけだから君達もそこの黒髪お嬢様と同じように大人しくしてほしいんだよね~」

 

 するとラショウが鞠莉の首を突然掴み締め上げる。

 

 「うぅ……っ!」

 

 「鞠莉!」

 

 鞠莉を助けようとすると背後から首に鋭い刃を押し付けてきた。恐らくこの刃の持ち主は【ゴシック・ラーヴ】の刃に違いない!

 

 ウゥ……!

 

 ゴシック・ラーヴの眼を見ると本気で命を奪う眼をしてる……!まさか――――――――

 

 「君……!命は奪わないんじゃ……!」

 

 「あぁ、言ったよ。でもこれを聞いた以上、生かして返すわけにはいかないんだよね~。だから、死んでもらうよ?」

 

 そんな……じゃあもうわたし達は……。

 嫌!ここでまだ終わる訳にはいかない!起死回生の方法はまだあるはず……。

 でも今の状況鞠莉は酸素を取るだけで精一杯だし、ダイヤも起きる気配もない……。

 それにわたしが下手に動いたら命がない!どうすれば……。

 

 ……っ!そうだ!

 

 わたしはポケットに入れてたバトスピのエラーカードを手に取り、強く握りしめた。

 少女が言うことがホントなら……!

 お願い……!友達を助けたいの……!だから……!力が欲しいの……!

 どんな力でも構わない……!だから!力を!

 

 その時、ポケットの中のカードが強く光出した。

 

 「うわっ!?まさか……!わたし達以外にも異魔神使いが……!?」

 

 グアァ……!?

 

 ラショウは急に強い光を見て鞠莉を放り投げる。

 

 鞠莉が投げ出された先は商品の棚に叩きつけられ、バタンと鞠莉は倒れ気を失った。

 

 「どうした!一体なにが起きたというのだ!?」

 

 呪は事態に気づき、駆け出す。

 

 「み、見てよ……わたし達以外にも……異魔神使いが……!」

 

 「何!?」

 

 わたしの右手には異魔神ブレイヴカード【海魔神(かいまじん)】を握って、わたしの背後には海魔神がいた。

 

 「あらぁ、新手の異魔神さんが誕生したのぉ?」

 

 妖は微笑みながら手を合わし、喜んでいた。

 

 「だが所詮、異魔神ブレイヴは単体では真価を発揮しない!我らの敵ではないな」

 

 「わたしが合体(ブレイヴ)対象のスピリットを持ってないと勝手に思っちゃ困るよ」

 

 「何!?」

 

 わたしの手にはフォンニードとリーフ・シードラのカードを持っていた。

 

 「わーお、高クラスのカードを持ってたんだ」

 

 式鬼はカード見て目を丸くするが驚いた感じが全くしない。

 

 「フン、いくら強力なカードを持ってたとしてもそのカードは一体だけでも召喚するだけでもコアが多く消費する。異魔神使いになったばかりの貴様ではとても扱えるカードではない!」

 

 そういえばバトスピのルール上、コアという石がなきゃ召喚が出来ない。カードゲームのバトスピじゃコアステップやカード効果でコアが増えるけど―――――――――――

 

 「まずコアステップがないからコアはどうやって生成されるの?」

 

 そう、これがわたしが思う謎の一つ。

 RPGのようにターン制じゃないし、どうコアを増やせばいいんだろう?

 

 「ふん、それは貴様の勘に聞くんだな」

 

 「まあまあ、折角同類が増えたんだからちょっとだけ教えてあげてもいいんじゃ~ないかな」

 

 案外式鬼は親切だね……ホントにテロリストなの?

 

 「貴様!余裕をこくのもいい加減にしろ!大体お前は――――――

 

 「君の意思がコアの生成原になって、その意思の強さがコアの結晶になるんだ。やってみなよ?」

 

 呪の説教を無視して式鬼はわたしにアドバイスする。

 

 ¨意思の強さがコアの結晶になる¨――――――――この言葉を信じてみよう。

 

 わたしは……ダイヤを……鞠莉を救いたい!救うためにはあの三人を倒すんだ!

 

 その思いが具現化し、コアが生成された。しかし、生成されたコアは4つだけ。

 

 「ふん、こいつの余計な事を吹き込んだから少々焦ったが生成されたコアは4つだけか。その個数では召喚もおろか実体を維持することも出来ん」

 

 確かに、リーフ・シードラとフォンニードのコストは7。異魔神ブレイヴは実体がないから維持するためのコアは必要ないけど、スピリットの維持コアは最低でもコアは一つは必要。合計16個コアがなきゃ召喚が出来ない。

 

 おまけに異魔神ブレイヴは実体を持たないからバトルに参加できない。

 ダメだ……もうわたしに手段がない……!

 

 「ごめん……ダイヤ……鞠莉……!」

 

 諦めかけたその時、奇跡が起きた。

 

 海魔神が水混じりの戦慄の竜巻を起こし、わたしが生成した全部のコアと二枚のカードを巻き込む。

 

 その竜巻に震え、わたしは取りに行くことが出来なかった。

 

 「あらあら?今度はなにかしら?」

 

 妖は片手を顔に触れ、謎に思う仕草をする。

 

 「……っ!そうだった!」

 

 呪は悔しがるように歯を食いしばった。

 

 竜巻が破裂し、中から現れたのは【蜂王(ほうおう)フォンニード】と【森羅龍樹(しんらりゅうじゅ)リーフ・シードラ】が召喚された。

 

 「式鬼!貴様、なんてことを!」

 

 「だって召喚できないままやられてもらっちゃつまらないじゃん?」

 

 ど、どうして召喚出来たの……?

 

 この奇跡に驚いた時、市販で売られてた海魔神の効果を思い出した。

 

 海魔神は召喚された時、系統-——————いわゆる種族が【異合】(いごう)【殻人】(かくじん)を一体ずつコストを消費せずに召喚出来る。

 

 召喚したのは系統【殻人】を持つ【蜂王(ほうおう)フォンニード】と、系統【異合】を持つ【森羅龍樹(しんらりゅうじゅ)リーフ・シードラ】。そう、条件は揃ってたんだ。

 

 そうか!このバトスピカードは効果を特殊能力として実現してたんだ!

 

 「くっ……!たかが高クラスのスピリットを召喚出来たからといい気になるな!やれ!ダークス!パラディウム!」

 

 二体の龍騎士は武器を構え、リーフ・シードラとフォンニードに襲い掛かる。

 

 「あっ!えっと……!」

 

 召喚したのはいいけど何していいかわからずあたふたしてしまう。

 わたしはどうすれば……!とにかく襲い掛かるやつを倒しなきゃ!

 そう思った直後、海魔神がリーフ・シードラに触手から光線を当てリーフ・シードラは雄叫びを上げる。そう、海魔神はリーフ・シードラと合体(ブレイヴ)し、合体(ブレイヴ)スピリットとなった。

 

 その後、海魔神はリーフ・シードラに指示を出し襲い掛かるダークスとパラディウムを尻尾で振り払った。

 

 「うぐっ……!?」

 

 突然、呪が苦しみだした。

 まさか……異魔神ブレイヴは召喚した持ち主の分身であって、合体したスピリットの神経も共有されるの!?

 

 「上手い上手ーい!戦う時は思うがままやればいいって説明したかったけどその必要はなかったみたいだね」

 

 なるほど、本能で戦えばいいんだね!

 

 「あらあら、これは応戦が必要みたいねっ」

 

 妖は言葉通りキャメロット・ナイトとベルドゴールで応戦する。

 

 「追撃~!」

 

 妖が操る妖魔神は大きな爪でリーフ・シードラを引っ掻く。その傷でリーフ・シードラは脱力感を感じてる。

 

 「あっ……!」

 

 その脱力感がわたしにも感じる、どうやら推測は合ってるようだね。

 

 痛む暇を与えさせず、ベルドゴールが持つ獣の爪でリーフ・シードラを引っ搔く。

 

 「うぐ……っ!」

 

 この攻撃はやっぱり効いてしまう、初めて戦うわたしにとってはこれは致命的なダメージだ。

 

 「はぁ……はぁ……リーフ・シードラ!」

 

 それでも海魔神(わたし)はリーフ・シードラに指示を出し、リーグ・シードラの体の一部である食虫植物でベルドゴールを飲み込む。

 

 「あらあら~、飲み込まれちゃうわ~」

 

 妖魔神は身の危機を感じたか、ベルドゴールから分離する。

 異魔神ブレイヴは合体したスピリットを好きなタイミングで分離が出来る。カードゲームの方もレイヴが合体したスピリットが破壊されたらスピリットが破壊される前に分離する行動も同じだ。そうでもしなきゃ、ブレイヴごと破壊されるんだ。

 

 「そこだっ!」

 

 捕食してる隙を狙って、ダークスとパラディウムがリーフ・シードラに一方的に攻める。

 

 「フォンニード!」

 

 海魔神(わたし)はフォンニードと合体(ブレイヴ)し、フォンニードの羽音が激しくなると同時に鱗粉を撒き散らす。

 フォンニードの鱗粉を吸ったダークスとパラディウムが息を荒くする。

 そう、フォンニードの鱗粉は吸ってしまうと神経が麻痺してしまう成分があるそうだ。

 

 「はあ……はあ……。わたしとしたことが……!くそっ!」

 

 パラディウムとダークスの神経を共有してる呪も息を荒くしてる。

 

 「まだわたし達が負けたわけじゃないわよぉ~」

 

 妖はカード一枚投げ出し、もう一体のベルドゴールを召喚しただちに妖魔神と合体する。

 そしてベルドゴールの召喚後、ベルドゴールは黒い霧を噴出させる。

 

 おかしい……確かにベルドゴールの召喚時は疲労状態のコスト4以下のスピリットを破壊する能力を持ってる。

 でもわたしが操るリーフ・シードラとフォンニードのコストは7。さらにブレイヴは合体することでそのブレイヴのコストも加算される。海魔神のコストは6、どちらもコスト合計13だ。

 

 「カードゲームのバトスピと一緒にされちゃ困るわよぉ?」

 

 霧は広がり、視界が全く通用しない!

 

 スピリットの咆哮が響き、切り裂く音が聞こえる。

 

 「うっ……!あぁ!?」

 

 同時に痛みが体中に発生し、もはやまともに立てなくなってしまった

 

 そっか……!ベルドゴールを召喚させたのは、戦力を増やすためだけじゃなく、視界を遮らすためでもあったんだ……!

 

 全く霧が晴れる気がしない……!どうすれば……。

 

 そうだ!スピリットがいるんだからマジックカードがあるはず!でもわたしはちゃんとしたデッキがないからマジックカードは一枚もないし、まず海魔神とフォンニードとリーフ・シードラしか持ってない!

 さすがに市販で売られてるカードじゃ使い物にならないし、カードが落ちてる訳―――――――ないよね。

 

 すると海魔神が小さな亜空間を開き、触手を亜空間に突っ込んだ。

 亜空間に突っ込んだ触手はすぐに戻し、亜空間から数枚のカードが散らばった。

 

 そのカードをめくってみれば【ビヤーキー】のカードだった。もしかしてこれって、青緑デッキのパーツ!?

 だとしたら亜空間から出てきたこのカードは一つのデッキに成り立ってるの?

 

 散らばったカードを確認するため、カードを一つにまとめた。確認したあけどわたしが普段使ってる青緑のデッキとはやっぱり内容違う。でも使う分には十分!

 

 「えいっ!」

 

 わたしが召喚したカードは4枚の蟲の翅を持つ黒い怪人、【ビヤーキー】。

 このスピリットは系統【異合】、【殻人】を持つスピリットを召喚する度にそのスピリットの同じコストのスピリットを破壊出来る。更に自分の場に緑のシンボルを持つカードが場に存在する時、コアが増える!

 

 そう、青緑デッキのコンセプトは相手を妨害しながら反撃の準備をする。それが青緑デッキの戦い方なんだ!

 

 さらにわたしはもう一体の【ビヤーキー】、ウバタマムシの蟲人【ウバタマン】、深海の青い三つ首竜【アトライア・ハイドラ】を召喚。

 この3体ともに系統【異合】を持つため、【ビヤーキー】の特殊能力が適用され対象となるスピリットはいないが使えるコアが増える。

 二体目の【ビヤーキー】が召喚され、コアが一つ追加。他の二体が召喚され、二体のビヤーキーの効果で合計コア4つ追加される。

 

 これはカードゲームのバトスピでよく見る青緑デッキの光景だよ。

 

 反撃の準備は出来たよ、でもあの霧が邪魔だよね。

 

 「その為のこのカードってわけだね?」

 

 わたしはニヤリと笑みを浮かべながらマジックカード【ウィンドウォール】を発動させる。

 ウィンドウォールは本来、相手の攻撃を妨害させるものだけど―――――――――

 

 「さっきの言葉、そのまま返してあげるよ!」

 

 【ウィンドウォール】で吹き荒れる風が霧を払い、フォンニードとリーフシードラが他のスピリット達の猛攻を耐えてる様子が見えた。

 

 「ん?あら~?これは……」

 

 常に笑みを浮かべてた妖はわたしを睨む

 

 「君、言ったよね?『カードゲームのバトスピと一緒にされちゃ困る』って」

 

 「あぁ、妖が言ってたな」

 

 見下してた呪もわたしを見る目が化け物を生み出してしまったかと言うような眼をしてた。

 

 「その言葉、そのまま返してあげたよ」

 

 確かにこのバトスピは、わたしがやって来たバトスピとは違う。

 だから、ダイヤにも……鞠莉にも……誰にも知られてはいけない。

 

 「で、どうすんの?君」

 

 さっきまで楽し気の式鬼が急に声のトーンを下げ、威嚇するようにわたしに聞く。

 

 「君達のカードを回収するよ。次はわたしが反撃する番!」

 

 その言葉を聞いたわたしが召喚したスピリット達は宣戦布告をするように構えを取る。

 これがわたしの覚悟、わたしの思い!

 

 いくよ……わたし達の(スピリット)!!

 

 NEXT LIVE……?

 




 どうも、前回は誤字脱字が酷くてノックアウトしたアポロ雄将です。

 それはさておき、今回の話ですが色々頭を悩ませました。青緑デッキの動きやカード詳細、果南ちゃんの口調等々……。ついにはフォンニードと相性の悪い【ウバタマン】まで出てきました。でもダブルドライブでも青緑デッキにフォンニードが入ってたからいいよね?
 さあ、ここからが青緑の得意の反撃です!果南ちゃんの勝負の行方は……!?ではまた次回お会いしましょう!

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