オリ主が挑む定礎復元   作:大根系男子

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今回、かなり独自設定があり、とあるキャラクターが疑似サーヴァント化しています。
ご注意ください


女神を射止めた狩人

『ロマニ達の支援は不可能だ』

 

軋む、音がした。

自分の内から零れるその音が自分の身体が限界なのだと知らせる。

 

『私以外のスタッフ総出で魔力供給の調整と戦闘の観測と解析をしている今、君たちの分に割ける人員は私しかいない』

 

思えば当然のこと。

暴走する術式、それも英霊召喚なんていう規格外の代物の制御なんて万全の状態であってもリスクが大きくて手を出したくない物を、ガタガタの霊基で宝具を発動したまま挑めばそりゃ霊核に罅の一つや二つ入るだろう。

カルデアからの魔力供給も戦闘中の彼等に割いているようで現界を維持するのでやっとの量だけ。

もう後30分もすれば修復が追いつかないまま罅が広がり砕け散るのだろう。

 

『……全員準備はいいかい?』

 

準備、準備ね。

 

五体が欠けた自分。

カルデアに頼らない召喚、その上とんでもクラスのサーヴァント二体と直接契約してるせいで魔力切れ寸前の立香。

長時間のレイシフト、そして二度連続の戦闘でまだ万全には程遠いマシュ。

そしてそもそも魔力が足りなくて宝具を撃つのも一度きりのオリオンと彼女。

この中でまともに何とかなるのなんて、たった一人しかいない。

その彼女だってぎりぎりだ。

そう、ぎりぎりの賭けに勝たなくては彼女が召喚してくれた意味がない。

 

嗚呼、準備か。

そんなもの、

 

「決まってるわ、()()に決まってるじゃない。ねぇ、立香?」

 

最悪だ。

戦場近くの森に身を潜めて状況を見てみれば、そこにあるのは、いいえ、あったのは固有結果の残骸。

己の心象世界を以って世界を塗りつぶす大禁呪。

世界を侵食して己だけの世界を独立させる魔法一歩手前の秘儀。

士郎君が持つ究極の一とはまた別の、無限を内包する一。

世界から分断するその術理は今、至る所から綻んだ様に世界から剥がされ中で戦っている彼らの姿が見えるほどに壊れかけている。

中で戦っている彼らだってそうだ。

己の肉体から剣を露出させ鎧としながら血だらけの士郎君。

すでに現界もままならないようで、粒子が零れだしているジークフリート。

己と同じように右腕を失いそれでも前へと進むメドゥーサ。

焼け焦げたように色を失った旗を掴み必死に宝具を展開するジャンヌ。

そして、彼らを嬲る様に嗤いながら蹂躙を続ける女神。

 

「そうだね」

 

 

敵は形はどうあれ神霊域の存在。

自分の陣地作成(魔力制御)の主導権が奪われたように、ただ存在するだけで周囲を疑似的な神殿と化す存在。

神とは崇め奉られるモノ。

当然のことなのだ、存在しているという事で周囲の存在を支配下に置くなど。

紛い物でも土地と魔力ぐらいは容易く奪って見せて、だからカルデアが外から届ける魔力も十全に渡し切れていない。

その癖相手は聖杯の魔力で万全の状態。

 

「でも、ううん、だからってッ」

 

これじゃどんなに頑張っても勝ち目はない。

だけど、

 

「ここで負けられないッ……負けたくないッ!」

 

そうだ、負けたくない。

 

「こんな所で私は終わりたくない、私はマシュと、皆と空が見たいッ!」

「ダヴィンチちゃん、私と先輩は大丈夫です。私もここで負けたくありませんッ!」

 

嗚呼、良い返事だ。

そしてちゃんとそれはカルデアに居る彼女にも伝わって、勿論此処にいる新しい仲間にも伝わった。

 

「……いい、マスターだな。俺らのところに居たらオリュンポスのご隠居達がさぞかし喜んだんじゃねぇか?」

「昔のダーリンみたいだね!」

「やめて」

「ふふっ、でも本当に素敵です……やっぱり世界って綺麗ですね、こんな真っ直ぐな人がこんな終わりの場所にもちゃんといてくれる」

『それには同意だ。嗚呼本当に、碌でもない状況だが、私は彼女がマスターでよかったと今この時に改めて思うよ』

 

そんな言葉に少し照れてやめてよーなんて言うが、直ぐにその顔は切り替わる。

まだ青い、でも戦士の顔だ。

そうだ時間は無い。

もうすぐ夜明け。

前で戦い続けている彼らも、そして私たちも限界だ。

なら、

 

「行こうみんな、此処で終わらせるよ」

 

勝ちに行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

『では手筈通りに、頼むよギネヴィア、アーチャー』

「ええ勿論、思いっきりぶっ放せるようにしてあげる」

「さあダーリン、愛を放ちましょうねっ!」

「あー、まあちっとばかし気張るとするか」

 

手順は決まっている。

此処に来る前に、決めておいたのだから。

 

指を振るい四肢の殆どが欠けてしまった自分が大地に立つために土台を作る。

取り出すのは剣。

一度限界まで発動しきったこの子は未だ焼き付きの残る刀身を星明りに照らされている、王より預かった己の真価。

それを地面へと突き刺し手を放す。

準備は、もう済んだ。

ここからは、下拵えといこう。

 

さあ始めよう。

さあ歌い上げよう。

さあ、

 

勝ち()を取り返しに行くわよ―――起きなさい、燦然と輝く王剣(クラレント)。今宵、最後の仕事よ」

 

軋む音が大きくなる。

剣は私の言葉に応えて今一度魔力を増幅させていく。

当然もう魔力なんて殆どない。

『魔力充填』で大地から吸い上げるにも土地の支配権は奪われている。

だから疑似霊核を削り割る。

軋み、皹が広がる。

現界出来るぎりぎりまで魔力を注いでそれを種火に魔力を増やす。

 

『まずは一手目だ、土地を取り戻そう』

 

その言葉に立香が声を飛ばす。

 

「今だよ!アルテミスッ!!」

「はーい―――それじゃあちょっと、お仕置きと行きましょうか」

 

ざわりと空気が変わる。

清廉なそれから神話に描かれた荒らしき月の女神としての側面がこの現世に映し出される。

その気配は決して小さなものではなく、当然向こうにいる自称女神にも届いたのだろう。

汚らしい笑顔が固まり、その中に()()()()()が生まれる。

敵はすぐさま動きを止めてこちらに意識を飛ばしてきた。

 

「莫迦、な……ッ!?この神威はあの女のッ……何故ッ!?」

 

意識を向けられる。

こちらにしたのではなく気配を感じたアルテミスを探っただけの、たったそれだけの所作でも気を抜けば倒れそうになる。

大地に固定している身体が崩れそうになる。

でも、そんな腑抜けた結果は、手を繋いだ立香が、身体に寄り添って盾を構え続けるマシュが、支えてくれるから問題ない。

一人じゃない。

だから、絶対に負けない。

 

たんと、軽い足取りで空へと飛ぶアルテミスとオリオン。

遥か上空、月の光を浴びて純白の衣から深紅の戦衣装へと姿を変えている。

魔力は充填し、既に臨界を迎えようとしているのがわかる。

声が届くはずのないその場から、しかし月の女神の宣告はしっかりと夜空に響いた。

 

「何処の誰に玩ばれたのか、そこまでは知らないわ」

「どうせこいつはそんな事興味ないしな」

「でも私の可愛い信者と、私の天罰を勝手に使ってくれたことを許してあげるほど」

 

 

―――オリュンポスの一柱、純潔のアルテミスの名は安くない。

 

風が止む。

星が輝きを失う。

その光すら奪い月明りは真昼の様に世界を照らす。

星辰は息を潜めただ月の審判を褒め讃える。

世界に、正しい女神が降臨した瞬間だった。

 

「オリオン」

「応」

「汝の戒めを今一時だけ解きましょう……だから、一緒に愛を放ちましょう?」

「あたりめーだ、昔からそうだろ?お前が弓を構えて」

 

そう言って、アルテミスに寄り添っていた彼の姿が変わる。

熊を模した姿はもうない。

それは月明りに映し出された影。

一時だけの奇跡。

霞むように確かな存在を持たず、けれどその二つの脚は確かに空を踏む。

淡い栗色の髪を揺らし、甘い美貌と万物を射止める鷹の瞳。

ギリシャ神話に語られる、至上至高の狩人。

 

「俺が矢を放つ―――さあ、二人で愛を放つとしようか」

「ええッ!さあ、いくわよッ!」

 

その名をオリオン。

純潔の女神の心すら射止め天上に輝く星に名を連ねた世界最高峰の弓兵の一角。

その彼が弓を構えた女神に寄り添い、その手を重ねる様にして弦を引く。

 

月女神の(トライスター)―――ッ」

 

二人は言葉を紡ぎ、

 

「―――愛矢恋矢(アモーレ・ミオ)ッッ!!」

 

今、言祝ぎが人の世を荒らす害獣を誅する一撃を放った。

 

降り注ぐ光の矢。

永遠の愛を月へと誓った神話の一撃は天から下る月明りより眩しく世界を照らしながら、文字通り天罰となって地上へと降り注いだ。

 

「ぐゥッッ……!おのッ、レェェッッ!!」

 

狙いを見誤るような弓兵ではない。

彼は女神を射止めた狩人、彼女は狩りを司る古きオリュンポスの一柱。

当然、その矢は自称女神へと着弾する。

 

その矢は届いた。

だが殺すにはまだ足りない。

本人曰く、オリオンに捧ぐ溢れんほどのアルテミスからの愛を矢にして放たれるその宝具の神秘は対人用ながらも、星の聖剣と肩を並べる(A++)もの。

 

「餓アァァァァァァッッッ!!!」

 

それでも足りない。

彼女はアルテミスそのものではなく、あくまでオリオンと言う英霊の霊基を間借りすることで召喚されたイレギュラーな存在。

神威()を宿した矢も驚くべき威力だが、万全の状態ならまだしも魔力が心許ない状況下で放たれたそれは神獣の格を得たあのカリュドーンの猪(女神)を撃ち取るにはまだ足りない。

 

 

 

―――だが、狙いはそこじゃない。

 

 

 

「……くはッ、なんだ存外お前の言う愛とやらも温いものだな。えぇ?アルテミスよ」

 

結果はすぐに出た。

カリュドーンと拮抗していた宝具の矢はひび割れる様に砕けた。

光の粒子は地上に霧散して漂っていく。

それを成したカリュドーンは肩で息をし膨大な宝具の熱量によって全身に火傷を負いながら、それでも尚健在。

かつての主人をあざ笑っている。

それを言われるアルテミスも全力の一撃で、宙に浮いているので精一杯。

オリオンも元の熊に戻っている。

 

『さて、諸君。二手目だ』

 

ああそうだろう、そうなるだろう。

今の立香と、そしてどんなにマシュが肩代わりしていても、魔力供給が心許ない状況下で残る二画の令呪も使わないで放った宝具では勝ち目も薄いだろう。

だけど、

 

「ギネヴィアッ!」

「ギネヴィアさんッ!」

 

力強い掛け声が聞こえる。

この特異点で自分が出来る最後の大仕事だ。

フランスの皆さん、ごめんなさい。

人理修復後にちょっと地形が変わっていても、許してね。

いざ、華麗に綺麗に上品に、私の光に応えるとしましょう。

 

「さぁてッ!王妃の歓待、確り受け取ってくださいな?―――行くわよッ!きずけ(構築)ッ、いつわれ(偽装)ッ、つながれ(連結)ッ、かたまれ(固定)ッ、かわれ(置換)ェッ!!」

 

王剣が一際強く輝き、その内で溜め込み増幅し続けた魔力を術式(話術)に注ぎ込む。

『構築』するのは自分の技量(スキルランク)では本来なら出来ない神殿作成、その術式。

空間と存在を『偽装』。

土地同士を『連結』。

出来た不安定な、本来ならすぐにでも世界から修正を受けてしまうような術式をほんの数秒間だけ『固定』する。

そうして手元に完成した()()()()()()()()()()()殿()の術式を、周囲一帯に色濃く漂うアルテミスの宝具の残滓が残る場所へと『置換』する。

 

「なッ!??」

 

光は輝く。

星光を凌駕する純潔の女神の為の神殿が生み出される。

 

「なに、をッ……何をッ、一体何をしたァァッッ!??」

 

そう、すべては此の為。

 

『そうだ、神獣が存在することで魔力供給は阻害される。それはあのカリュドーンが女神を名乗る通り、地母神の権能を使って空間そのものの支配権を奪っているからだ』

 

そう、だから士郎君の固有結界が完全に稼働していなかった。

だから私が陣地作成で作った工房がただ土を踏む、その一歩で支配権を根こそぎ奪われ容易く破壊された。

それはあのカリュドーンが正しく神霊域のとんでもない存在だからだろう。

だが、それは逆にも言えること。

 

『逆に言えばカリュドーンより高位の存在なら同じことを、空間の支配権を奪い返せるというわけなんだよ』

 

そう、此処には英霊オリオンを依り身にしたとはいえ、アルテミスがいる。

オリュンポスの神にして、神話において()()()()()()()()()()()()()()()()が。

その格が幾ら神獣に至ろうとカリュドーンの猪は女神アルテミスには敵わない。

 

「だから宝具が必要だったのよ、英雄オリオンに所以するものではない彼女自身の愛を以って放たれる一撃。当然壊されるでしょうけど、それでも残った残滓は周囲に()()()()()()()()()()()()。そんな好条件の立地でおまけに本人もいるのなら、幾らランクが低いからって言っても宝具も使えば神殿ぐらい作れるのよ」

 

どうよと胸を張ると、何故か立香とマシュの二人から頭を撫でられる。

解せぬ。

後、そこの巨乳好き、お前は許さん。

素人は黙っているがいい、何せ―――この胸をアルトリアは一番好きだって言ってくれたんですからッ!

 

まあとにかく、だ。

少なくとも例え霊基が英霊のものにまで格落ちしていようと、女神の神威で満たされた神殿を荒らすことはできない。

何故なら、カリュドーンの猪は女神アルテミスの従僕にしかすぎないのだから。

 

「たかが時代遅れの女神風情の神殿を築いてッ……調子に乗るなァッ!!!」

 

これでもう空間ごと神殿に置換されたこの場所にあって、カリュドーンはもう大地(空間)を支配する地母神の権能は使えない。

カルデアからの魔力供給が再び万全に流れ始める。

疑似サーヴァントであり肉体を霊子ではなく生身で構成する士郎君以外の面子の傷が即座に癒えていく。

逆にカリュドーンの火傷はまだ癒えない。

何せ生みの親たるアルテミスが存在を否定するために撃ち放った宝具を受けたのだ。

純粋な火力を凌ごうと、概念として刻まれた『存在否定』自体には抗いようもない。

どれだけ小さかろうと、癒えぬ傷を与えられるのだ。

 

それでも尚、カリュドーンは止まらない。

憎悪を口にし、その咆哮と共に胴と比べて異様に長い手足に力を漲らせる。

それはそうだ、これじゃあまだ足りない。

何せ奴の中には今もまだ聖杯と()()()()()()()()()()()

 

『というわけでロマニ、そっちは頼むぜ。こちらはいよいよ下拵えも終了だ―――三手目だ、頼んだよ()()()()()()()

「それなら次は私と遊びましょうか。ねえ?薄汚い盗人さん」

 

光が作られれば、当然影は生まれる。

それは自然の摂理で、物理法則無き時代(神代)であっても変わらなかった。

そして彼女は、その影を背負う者。

 

「私はここに来たばかりで、実は今一つ状況も分からないんです。()()()()()()()()()()()もちゃんと説明してくれませんでしたし……でも」

 

影が蠢く。

何というか自信がなくなる光景だ。

何せ自分よりも後代の、それはもう神秘の薄い時代で固有結界持ちだけじゃない、虚数魔術だなんていう禁呪を得意とする魔女が居るだなんて思ってもみなかった。

己の負の感情を深層意識から汲み取る禁忌の一、研鑽でも血筋でも辿り着けない本物の神秘。

それが虚数魔術。

 

彼女は怒りを口にする。

それは深く深く、けれどその名に反し憎悪ではなく、

 

「なに、やってるんですか?」

 

ただただ、愛しい人を不条理にも傷つけられたという、

 

「なんで、士郎さんが怪我してるんですか?」

 

愛情深い一人の妻としての、

 

「なんで、ライダーが怪我してるんですか?」

 

家族としての、

 

「どうして、()()()()()()()()()()()?」

 

心優しい、

 

「……許さない」

 

正しい怒りだった。

 

「―――声は祈りに、私の指は大地を抉る」

「くゥッ!高が……ッ、高がッ魔女風情がこの私に歯向かうかァッ!!」

 

虚数魔術。

影が神殿より湧き出て殺到する。

その速度は決して遅くはないけれど、相手取るのは超上の存在(サーヴァント)を超えた神獣、女神カリュドーン。

影ではまだ追いつかない。

復讐者よりも遥かに怨嗟を込めた叫びをあげながらカリュドーンは吶喊する。

ほんの数歩でアヴェンジャーの元へ辿り着くだろう。

でもそれを、彼が許すはずがない。

 

 

 

「おい、誰に手を上げてるんだ、お前」

 

 

 

文字通り横槍が天から降り注ぐ。

二七の剣はカリュドーンの暴威から守るための城壁となってその行く手を阻み、アヴェンジャーの前には彼が、衛宮士郎が立っていた。

 

「……なんで、こんなところに来たのかなんて聞かないぞ」

「分かってます……というか私、怒ってます」

「うっ……それはその、悪い」

 

そんな夫婦漫才をしながらも二人の手は休まらない。

 

「いいです、どうせこの世界の私を守るためにここまで来てくれたんでしょうし……それは嬉しかったですから」

「桜……」

「でも私の見てないところでライダーと二人でイチャイチャしたり小さな子と遊んだり、それは許しません」

「ぐっ!」

 

何時の間にか並び立って互いの腕を指揮棒のように振るいながら剣と影を操作する。

宙から弾き出される剣軍は休む暇もなくカリュドーンの行く手を阻む。

 

「何よりまた私を置いてけぼりにしたんですから……寂しかったんですからね、もう」

「……ごめんな」

「いいです。でも忘れないでください、先輩。私強くなりましたけど、やっぱり先輩とずっと一緒に居たいんです」

 

地を滑り駆ける影は阻まれたカリュドーンの肉体に触れては魔力を『吸収』する。

そして影を使ってアヴェンジャーは他の仲間たちも回収してくれた。

 

「おのれッ!何故ッ!何故だッ!何故母のッ!?ぐうぅッッ!!」

 

そう、これが三手目。

本来なら、誰かが犠牲になってでもカリュドーンの動きを封じて高火力の宝具と共に士郎君の切り札を使って終わらせる、その手筈をいい意味で彼女の存在は狂わせてくれた。

 

「知りませんよ、そんなこと。貴女が何処の誰だろうと何だろうと、私の、()()()()幸せを壊すから。だから私はまた罪を背負います。何度だって、何時までだって」

 

魔力が高まる、此の一度きりだろう。

宝具の展開。

まだ自分たちの出る幕ではない。

だから此処でただ祈る。

きっと立香が此処に導いて、士郎君が愛した人が、この世全ての悪となった己が犯した罪を生涯掛けて償った彼女が応えてくれると信じて。

 

「私は戦います。だって」

 

 

 

---私は強くなったんだからッ!

 

 

 

彼女の名前は衛宮桜。

桜色の着物の上に漆黒の弓掛を纏った花の様に穏やかな魔術師。

 

「綺麗……」

 

その彼女から溢れる桜色の魔力に思わず三人とも同じことを言ってしまう。

私たちにはまだそれがどんな物なのかは、どんな思いが込められているのかは分からない。

けれど、それが負の感情をただ剥き出したものでないことを。

きっと優しい想いが込められていることは分かった。

 

「声は静かに……私の夢は蕾を開く」

 

告げられた言葉と同時に剣軍を掻い潜ったカリュドーンが迫る。

だけどそれよりもなお早く、宝具の真価は世界に開かれた。

 

 

 

「―――深層摘出・櫻の夢(イマジナリ・アラウンド)

 

 

 

世界が一変する。

夜空の下、光を湛えた急拵えの神殿が建っていた剥き出しの大地。

そこに今、全く別の世界が広がった。

戦場からかけ離れた、穏やかで静かな場所。

暖かな春の陽射しを受けて桜の木々が静かに佇む異界が其処にあった。

さながら固有結界にも見えるそれ。

だが本質は全くの別物。

ランクも低く単体での脅威は大した物ではないと、その場に立った誰もが感ずる。

現に展開された直後こそ驚いた顔をしていたカリュドーンも嫌らしい笑みを浮かべて嘲りを囀る。

 

「何をするかと思えばこんな瞞しか、心底呆れた物だ。もしやこの程度の低俗な虚飾で真なる母の愛を止めれるとでも汝は本当に思ったのか?嗚呼なんという、詰まらない英霊なのだろうな!」

 

虚飾、その通りだろう。

アヴェンジャーもその言葉を肯定した。

 

「低俗に、虚飾、ですか……ええそうです、これはそれ程凄いものじゃありません。これは只の虚数魔術、その応用です。深層意識を具現化した結界を生む、ただそれだけの物。ライダーの天馬や士郎さんの剣製みたいにたった一つで戦場を変える力なんてありません」

 

でも、と言葉を続ける。

それはカリュドーンの嘲笑を一蹴する、絶対の真実。

 

「でもこれは、私が夢見て漸く手に入れた幸せ、あの日四人で見た桜色の景色。そして、私が笑顔を見せることが出来た始まりの場所。だから」

 

その言葉に呼応して桜の木々が騒めき、突如魔術師である自分にすら感知させない影の触手が虚空からカリュドーンに向かった。

 

「チィッ!何度もッ何度もッ!忌々しい!馬鹿の一つ憶えに何が出来るッ!!汝如きの影でこの私を捕えられると思ったか……ッ!??」

 

そう、カリュドーンの言う通り彼女の影はあの健脚には追いつかない。

ただ忘れてはいけないのだ。

 

「ここに立ってる限り私はどれだけでも強くなれるッ!」

 

虚数魔術は自身の深層から汲み取る負の感情を触媒に魔術を発動させるもの。

けれどその応用だと言ったこの宝具は彼女の優しい内面を見せるように淡く美しい桜の花園を生み出した。

 

だからきっとこれは逆なのだ。

幸せだと感じたその一瞬を、その始まりを世界に映し出すことで、それを侵す敵から護ろうとする正当な怒りを糧に彼女は奮い立つ。

負の感情を汲み出す宝具ではなく、どれだけ自分が傷つこうと負の感情を生み出し続ける宝具。

感情に飲まれることなく、ただひたすら自分が守るべきものの為に戦うことを強制し続ける宝具。

それは途方もなく苦しいことで、だからこそ彼女の心が何処までも強いことを証明する。

 

「こんな物でェッッ!!」

「えぇ、誰かの愛を騙るしか出来ない貴女にとってはこんなものでしょう。でも私にとっては何よりも大切な物。だから、私は絶対に負けないッ!」

 

それでもカリュドーンは影を壊し時に揺らめく桜の花を散らし、吠え続ける。

魔力も僅か。

何より宝具の効果自体は負の感情の供給に特化した結界、言い方を変えればそれしか出来ない魔術工房。

だけど、忘れてはいけないのだ。

魔術師にとって工房とは己の胎の内。

最も自分の実力を発揮できる場所。

そして何人も逃れ得ぬ閉ざされた迷宮。

ならきっと虚数魔術を振るう彼女が展開したこの場所で、

 

「あら、随分遅いんですね?馬鹿の一つ憶えが何でしたっけ?私如きの影が貴女を捕まえられない、ですか……ふふっ、おかしいな。なら今目の前で捕まっちゃった貴女は一体全体何なんでしょう?」

 

逃げるなんて出来る筈がない。

 

罠を張るように詠唱によるタイムロスの一切ない影の腕はいつしかカリュドーンの速度を超え、遂にはその肢体を絡め取っていた。

 

「嗚呼アアァァッッ!離せッ!穢らしい汚泥がッ!」

「穢らしい、ですか。そうかもしれません。私は沢山の人を、何の関係もない人たちの幸せを奪った罪人です。その罪の上に作ったこの宝具(幸せ)は汚れているのかもしれない」

 

怒りに塗れた絶叫に静かな声が返答する。

 

「それでも私はもう諦めない、立ち止まらない。自分の弱さを認めて真っすぐ歩いていく、こんな私を愛してくれる人まで汚さないために。私が犯した罪の重さを何時までも忘れないために。諦めていた(弱かった)から罪を犯してしまったのなら、立ち止まらない(幸せで在り続ける)。そんな傲慢な思いが私の贖罪、私の真実、これが私です」

 

眩しいな、そう思う。

強く、気高い。

そんな一人の女性として尊敬できる人間が目の前に居た。

 

「だから貴女の傲慢(母の愛)を私は、私の傲慢(幸せ)で叩き潰します」

「嗚呼アアアアアアアアッッ!!」

 

そう宣言して起動するのは彼女の保有スキル『吸収』。

虚数魔術に載せられ、宝具によって使用回数の制限すら一時的に取り除かれた規格外(EXランク)

カリュドーンに纏わりつき呑み込んで宛ら蕾とになった影に施されたそのスキルは、主人の誓いに応える様に敵に牙を剥く。

カリュドーンは蕾の中では()()()()()()()()()()()()()()()()となった虚数の海の中で溺れているだろう。

 

だがそれも長くは続かない。

 

ぎしりと軋む音がする。

嫌な音だ。

生娘の股を無理やり開き、その秘密と貞節を奪う暴漢の様に。

影の檻をこじ開けようとカリュドーンはしている。

 

そんなことは分かっている。

そしてそんなことでもう勝利は揺らがない。

欲しかったのは()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

そして、カリュドーンを完璧に動揺させる一手を手に入れたのだから。

 

言わなくても分かったのだろう。

カリュドーンが檻をこじ開ける。

その身体は霊基構造が瓦解したように所々が解けた様に霊子が漏れ出している。

 

その表情は憤怒。

ああ分かっている。

分かっていた。

何せ、()()()()()()()()()()()

 

「何を……ッ」

「一体何ヲッッ!」

「私ノ体ニ何ヲシタァッッ!!」

 

『吸収』。

文字通り、あらゆる物を吸収するスキル。

英霊の所持するスキルのごく一部には、技能でありながら宝具に匹敵する物もあるらしい。

ならば彼女の規格外のそれは正しくそれ。

 

本人曰くサーヴァントを丸ごと呑み込んだこともあるだけあって、その力は計り知れない。

拘束力も吸収できる量も嘗てに比べれば劣ると言っている。

おまけに吸収できた時間も短時間だ。

 

「何って、簡単ですよ。貴女が抱え込んでいた霊基を私が吸収して取り戻した、それだけです」

 

それでも生みの親から存在を否定されて多少なりとも肉体が傷つき揺らいでいる相手なら、短い間であってもサーヴァント一騎の霊核だけに的を絞れば、それぐらい吸収できる。

 

そして、言わなくても通じ合っていた。

知らせていなかった、けれど完璧に時を見抜いた男は怒り狂うカリュドーンとは違い既に準備を済ませていた。

 

「なら、此処からは俺の仕事だ。―――行くぞッ大英雄(バーサーカー)ッ!」

 

珍しく士郎君が吼える。

 

「我が姉を守りし大英雄の業を此処に―――」

 

目の前のカリュドーンに吼えているのではない。

 

「射貫けッ!」

 

己の内に語りかける様に、自分自身の中にある最強を唱える様に。

 

是・射殺す百頭(ナインライヴズ・ブレイドワークス)ッッ!」

 

その姿はまるで、力強い偉丈夫を映し出したよう。

極限まで絞られた弦から放たれる石造りの矢。

神殿の柱を加工したというそれは放たれた時には九つの竜となってカリュドーンへと殺到する。

 

「咎ゥゥッッッッッ!!」

 

神殺し(悪神殺し)』、そして対幻想種用の宝具。

かの大英雄の業を引き継いだ現代の英傑の一撃は決して軽くない。

そしてカリュドーンの猪(自ら)の創造主であるアルテミスの宝具と神殿、虚数の影による吸収。

ここまでやった。

ここまでやってのけた。

 

「嗚呼アアアアアアアッッ!!」

 

それでも敵は倒れない。

分かっている。

分かっていた。

だからこそ、

 

『さあ最後の一手だ』

 

カリュドーンの猪の天敵を用意したのだ。

 

「くっ、あはッ、馬鹿がッッ!何が大英雄の業だッ!何が虚数の毒だッ!何が女神の裁きだッ!見ろッ!私はまだ死んでいないッ!死ぬはずもないッ!お前たちの力は届かないッッ!私が母だッ!私こそが最高の地母神ッ!最も新しき神ッ!!だれも、ダレモッ!私を害せなどしないィィィッッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「いいや。汝の負けだ、カリュドーンの猪よ」

 

 

 

 

 

 

 

「……あ?」

 

彼女は、後天的に聖杯へと至った自然の嬰児。

杯としての機能は、彼女が呪いと決別した後もその身体に残ったのだという。

だからこそのスキル。

 

疑似サーヴァントと化したこと、そして直接的に大聖杯と繋がっていないから制限を受けたが。

第三の魔法、その一端。

 

かつて名は伏せていたが剣士の英霊を支配権ごと吸収して奪取り自分のものとしたというその力。

胎蔵曼荼羅(ヘブンズフォール)』。

吸収した存在に魔力を分け与え、一時的に従属化するスキルが衛宮桜には存在している。

だからこそあの時霊基を、一説にはカリュドーンの猪を討ったともされる英雄アタランテの霊基を吸収したのだ。

そして今、ほんの僅かなこの一時だけ、麗しの狩人が現界する。

それは仮初で、本来なら宝具なんて使えない筈。

それを残った令呪一画をアヴェンジャーを通して魔力を注ぐ。

何よりとっくの昔にカルデアからの供給は復旧したのだ。

施設が機能不全に落ちないギリギリまで魔力をアタランテへと注ぎ、存在は少なくとも宝具を撃つまでの間は確定させる。

 

これが切り札。

これが必勝。

これが、私たちの勝利。

 

「私の願い、私の思い。それはこの世全ての子が愛される世界」

「ば……か、なッ!?」

 

伝説で語られる存在は誰しも克服できない生前の制約に縛られる。

 

「それに狂った私と正面から向き合ってくれた馬鹿がいてな、だからこそ私はもう間違えない」

「そんなッ!?何故ッ!?嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だッッ!!」

 

カリュドーンの猪、女神アルテミスが人の世を壊すために遣わせた魔獣であり、神話の敗者。

 

「さらばだ、女神カリュドーンよ。汝の抱く独善に満ちた愛欲は、私が今背負う願いとは違う。だから、此処で今一度私に討たれて逝け―――ドゥーベ、メラク、フェクダ、メグレズ、アリオト、ミザール、アルカイド。至上の七星、天上の大熊に希う」

「嘘ダァァァァッッッッ!!!!」

 

ならば、奴がアタランテ(勝者)に勝てる道理はない。

 

「降り注げ」

 

―――北斗の七矢。

 

天から注ぐ七つの流星。

それは寸分違わず女神に成り果てた魔獣へと降り注ぎ、塵すら残さず浄化した。

 

その光景に見入っているとぴしりと嫌な音がした。

どうやら、限界のようだ。

勝利を確信して喜びに沸く両隣の少女たちの気配と、遠く通信の向こうから聞こえるロマニからジャックが帰還したという言葉を聞いて、私は意識を落とした。

 

悪くない微睡だった。

 

 

 

 

 

 

 

「で、なぁんですぐさま私はここに連れてこられてるのかしらね?」

「だってギネヴィア約束破ったじゃん」

 

あの後、つまり女神カリュドーンを討った直後。

自分は案の定疑似霊核が壊れて強制帰還した。

当然ジャックにも再び会えて、勝利もできて、私としては大満足の結果だったが。

 

「あのね、何度も言うけどあれは仕方がないのよ!不可抗力!」

「でも……私たち約束しましたよね?」

「うっ……それはそうだけど……でも、いいマシュ?大人には色々事情があるのよ」

「BBA」

「ぶっ飛ばすわよッ立香ッ!」

 

帰るなり修復直後の特異点に跳ぶと言ってきかない立香とマシュ、そして悪乗りしだすスタッフとレオナルドの口車に乗せられて、ここフランスに私はとんぼ返りしていた。

ちなみに士郎君は自室で療養中だ。

彼は生身の人間に限りなく近い存在。

しっかりと休まねばいけない。

アヴェンジャーこと桜ちゃんがその首根っこ掴みながら触手を蠢かせているのが怖くて見て見ぬ振りをしたわけではない。

何か士郎君とついでにメドゥーサの断末魔と言うか嬌声というか、なんかそこら辺が聞こえてこないわけでもないが知らないったら知らない。

 

ついでにオリオンも今調教中らしい。

何でもカルデアに来てすぐオペレーターの子に粉を掛けただのなんだの。

 

「おかあさん、約束、守らなきゃ駄目だよ?」

「うぅ……」

 

約束。

そうなのだ。

立香とマシュと、勝って一緒に空を見ると。

そう、約束したのだ。

 

空には不可思議な暈が架かっている。

それが魔術的にどれほど恐ろしいものか理解はできる。

嘗ての自分なら、少なくとも故郷から訳の分からないまま投げ出され異邦の地で無意識のうちにやけっぱちになっていた自分なら怖くて見れなかっただろう。

けれど今は不思議と悪くない。

 

隣にいる立香とマシュ、そしてジャックをみる。

嬉しそうに笑っている。

嗚呼、本当、どうしようもないぐらい綺麗な空と娘たちで。

 

「もういいわ!私の負けよ!今度からはもうちょっと気を付けるわよ!」

 

照れ隠しがてらがなってしまう。

二の句は言わせない。

自分に都合の悪いことはさっさと軌道修正するのも大人の知恵だ。

 

「それより折角早起きしてお弁当作ったのだからお昼にしましょ?」

 

その言葉にちょっと不満そうにしながらも口元緩めて喜ぶ立香。

そして素直に喜ぶマシュとジャック。

そこにはあの日見た七つの星に勝るとも劣らない輝き(笑顔)がある。

 

嗚呼糞、本当に、死んでしまいたくなるほどに幸せを感じさせられて。

 

如何にも、自分も笑ってしまうのだった。




マテリアルが開示されました。






影の虚数はいま、軽やかに駆ける風になる

クラス:アヴェンジャー
マスター:藤丸立香
真名:アンリマユ/衛宮桜
身長/体重:156cm/内緒です
出展:不明
地域:現代日本
属性:中立・中庸
カテゴリ:人
性別:女性
イメージカラー:桜
特技:家事全般、マッサージですよ♡
好きなもの:勿論士郎さんです♡
嫌いなもの:体重計
天敵:姉

其れは六十億の人間を呪い殺す究極の悪性。
嘗て彼女が呑み込んだ復讐の泥。
一度放たれればその泥を以って世界を犯す復讐者へと堕ちていくだろう。
だが今は違う。
手を取り光の当たる世界へと連れ出してくれた最愛の人がいるから。
犯した過ちを背負い続け生き抜いたのだから。
彼女はもう二度と泥に染まらない。
強く、強くなったのだから。

【ステータス】
筋力:E 耐久:E 敏捷:A 魔力:A+ 幸運:E+ 宝具:D

本来疑似サーヴァントのステータスは元となったサーヴァントの物に準拠するが、魔力の数値のみ彼女本人のものとなっている。

【クラス別スキル】
忘却補正:A それは内に生じるスキル。
例え誰が忘れても、例え誰が許しても、他ならぬ彼女だけは背負った罪を忘れない。

自己回復(魔力):A

女神の神核:E 

【保有スキル】
吸収:EX 魔吸根。触れた物質を分解し高効率で吸収する

ヘブンズフォール:C 胎蔵曼荼羅。己の内に宿した魂に魔力を注ぎ再臨させる第三魔法の一端。
彼女が出来るのは霊基の損傷修復と言った本来の第三魔法の真似事に過ぎず、また大聖杯と繋がっていない現在は嘗てのように他者と契約しているサーヴァントと強制契約を結ぶことはできない。
ただし、マスターの居ないサーヴァントで合意があればごく短時間のみ契約を結び再召喚が可能。

自然の嬰児:B 聖杯として生を受けたわけではないがマキリの杯として完成したことで高いランクを得た。

【宝具】
深層摘出・櫻の夢(イマジナリ・アラウンド)
ランク:D
種別:魔術宝具(結界宝具)
レンジ:不明
最大補足:不明

あの日4人で見た景色を再現する宝具。
青空の下、一面に桜の木が立ち並ぶ空間を生み出す宝具。
一見すると長閑で穏やかな花園は彼女の原点。
生涯をかけて守ろうとした幸福の象徴であり、決して忘れてはならぬ贖罪の道標。
宝具の効果としては、この宝具を展開することで「愛しい人を守る為に敵を憎悪する」という逆説的な負の感情の供給を行う事が出来る。
つまりこの宝具の展開さえ維持できれば、結界内では彼女は無制限に虚数魔術を操ることができる。
また結界内では筋力・耐久・敏捷の各種ステータスが1ランクアップする。

その憎悪は正しき怒り。
家族を守るために振るう、静かなる祈り。
アンリマユとは違う、彼女自身が復讐と決別したが故に手に入れた贖罪(幸福)を象徴する宝具である。



呪■界・悪■祝祭(アート・ア■■■■)
ランク:EX
種別:対衆宝具
レンジ:1~999
最大補足:1000人

彼女が纏う英霊由来の宝具。
詳細不明。

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