超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

81 / 83
ゲームやアニメ見返してはみたものの、プルルートの扱いが難しい…


Scene77 それは紛れもなく紫色の奴~DeepPurple~

 

 

【プラネテューヌ:教会・リビング】

 

兎に角、現状整理が着かない。分かっている事は、神次元に居た本物のプルルートが、この超次元にやってきて、マウントを取る様に上から降ってきた事。全員疲れている事もあり、とりあえずプラネテューヌの女神とプルルートが言った事もあり、四女神は解散、俺はネプテューヌ一行と共に、プルルートを連れてプラネテューヌへと戻る事になった。教会に、別次元のプラネテューヌの女神が来た事を伝え戻ってくると、どういう訳かプチパーティーのような状態へとなっていた。

 

「あたし、プルルート~。よろしくねぇ~」

「プラネテューヌの新しい女神さんのプルちゃんに、乾杯するですぅ」

「(…どうして、こうなった)」

 

そして、当たり前のようにプルルートが挨拶し、乾杯の挨拶をするコンパ。夕食兼ねてのパーティーが始まろうとしている。当然だが、ピーシェと言う子どもがいるから、食卓に酒の類は置いていないが―――――

 

「ちょっと待ったぁ!!コンパぁ、それじゃあまるで、わたしがぷるるんに女神の座を奪われたみたいじゃない!!」

「ふぇ?で、でも、プルちゃんもプラネテューヌの女神さんですよ?」

「プラネテューヌって言っても、えい君が言ってたように、別次元のプラネテューヌなんだから。そこんところ、よろしく!!」

 

コンパの言い方に、ネプテューヌが難癖を言うように叫ぶ。今の言い方では、プラネテューヌの女神が変わってしまったと捉える事も可能だ。どうも、上手く理解できていない様子である。

 

「…彼女も俺と同じ。別の次元、世界から来た存在だ。と言う所だ」

「う、うーん?」

「…まぁ、サラっと別次元の存在を言われましても、此方としては反応に困りますよ」

 

イストワールの言う事は間違ってない。俺も、転生者も、神次元のプルルートも、超次元に存在することはしているが、超次元の人々からしたらイレギュラーな存在とも言える。並行世界やパラレルワールドと言われても、本人達がそっちの世界を見たことがないのだから、信じる方が稀だろう。

 

「他にも、女神様がいるんですか?」

「うん~。ノワールちゃんに、ブランちゃん、ベールさん。あとはぁ、ナナちゃん~」

「同じ名前の女神様がいるってのは珍しいわね…。ところで、プルルート様も女神様ですよね?」

「うん、そうだよ~」

「という事は、プルルート様も変身出来のですか?」

 

その会話に若干ピクッとなる。…お浚いになるが、超次元、神次元共に女神は会得しているシェアを体内に凝縮する事で、女神化と言う変身が出来る。変身後の姿や性格は、女神によって異なるが、共通点としては戦闘能力が飛躍的上がるという事だ。それこそ、デカくなったり、何も変わらないどころか、若干小さくなる、性格が180度変わるのもいる。

 

「うん、出来るよ~。でも~、皆からは、あんまり変身しないようにって、言われてるんだ~」

「えぇ、どうしてぇ?」

「うーん…どうしてかな~」

「…あ、そうだ。えい君は見た事あるんだよね?ねぇねぇ、ぷるるんの変身ってどんな感じなの?」

「…大人の事情で言えない」

「ええ~何それ、そう言われると、余計気になっちゃうんだけど?」

 

プルルートの女神化は強い。そしていろんな意味で灰汁が強い。ギャップに驚くだけで終わるならいいが、ピーシェのいる前では控えた方がいい上に、ニトロ火薬の如く二次災害が起きる可能性もある。主にプルルートの手によってだが…。

 

「…ああ!!ちょっと、ピー子っ!!」

「ぴぃ、もっとおにく食べる!!」

 

全員が余所見している内に、黙々と美味しく料理を食べているピーシェは、自分の更に乗っているのだけでは満足できなかったのか、隣のネプテューヌの更にある肉を取り、ネプテューヌは抵抗するも、力負けし肉を平らげてしまった。

 

「ピーシェ、人のものを取るときは、まず聞かなきゃダメだろ。御免なさいは?」

「えぇ?うーん…ごめんなさい…。じゃあ、ねぷてぬにこれあげる」

 

そう言って、ピーシェはフォークで紫色の物体を刺し、ネプテューヌの目の前に出す。

 

「………。ぎやあああああああああああああああああ!?な、()()ぅ!!近付けないでぇ、わたし、ナス嫌いなのぉ!!」

 

若干の静止の後、まるでこの世の終わりと言わんばかりの叫び声を出す。ネプテューヌの叫ぶように差し出されたのは、こんがりと焼き色が着いて醤油で味を調えた“ナス”である。

 

「ネプ子、偶には食べてみたら?今日は特別に仕入れただけじゃなく、我ながら美味しく出来たのよ?」

「ヤダよ!!ナスなんて…あの匂いを嗅いだだけで力が出なくなっちゃうんだから…たとえこの世の全てがナスだけになっても、ぜーったい食べないんだから!!」

 

強烈な拒否反応であり、存在してはいけないものを見ているような目でもある。

 

「全く、ネプテューヌさん。女神が好き嫌いなんかしていたら、国民に示しが付きませんよ?」

「えぇ?だってぇ…」

「ピーシェも一個食べてるんだ。見栄を張れないぞ」

「え、えい君までいーすんの味方なの?…って、いーすんもナスを頬張ってる!!」

 

何故かナス一つで論争になっている。…俺はそんな事より、何故プルルートが超次元に来たかを知る必要がある。事故なのか、目的があって来たのか―――――

 

「いいですか、ネプテューヌさん。国民に示しをするという事は、あらゆる事に対して許容をしなければなりません。そんな中、女神様がナス嫌いだって事が広まってしまったら、それこそ本当に、国民に示しg―――――あば、あばばばばばば!!」

『い、いーすんさん(イストワール様)!!』

「な、なんだ…?」

「祟りぃ、()()()()()だよ!!」

「違うでしょ!!」

 

―――――突如、携帯のバイブレーションが動き出すように、イストワールが座っている本が振動する。…どうやら、その問いは解決しそうだ。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ:シェアクリスタルルーム】

 

「ふぅ…先程は失礼しました。まさか、別次元から着信が来るなん想定していませんでしたから、時間が掛かってしまって…」

「此方こそ、突然と連絡を入れてすみません。それに永守さん、御無沙汰ですm(_ _)m」

 

食事中だった為に、色々と対応するのに手間取ってしまった。何やら情報が掴めるかもしれないと思い、イストワールに同行を申し込み、通信を開始する事に成功。映し出されているのは、神次元の()()()()()()()()()だ。

 

「其方に行った、うちのプルルートさんがお世話になってます。それに、ピーシェさんも無事で何よりですよ(*゚▽゚)ノ」

「…なんだか、小さいですね」

「あっ!ちっちゃいからって馬鹿にしないで下さいね!!プルルートさんを其方に送ったのも、私なんですからヽ(`Д´)ノ」

「あ、はい。それにしても、驚きましたよ。別次元の私が存在して、それでいて別次元から通信が出来るなんて、知りませんでしたし、こうもあっさりと連絡が取れるなんて―――――」

「あっさりじゃないです、結構大変なんですよ!!マニュアルに載ってましたけど、扱うのに三日も費やしてしまいたから(ーOー#)」

「そうなんですか?あとでマニュアルを調べてみます」

 

何故か、愚痴話になっている。これでは話が進まない。

 

「…こっちに連絡を入れるって事は、何かあったのだろう?」

「あっ、すみません。プルルートさんがそっちに行くっていう事で、色々と揉めたこともあって…(´Д`;)」

「それで、お話と言うのは…?」

「実はですね。永守さん達が転送されると同時に此方の次元から、其方の次元に大きなエネルギー転送の痕跡があったそうなんです。…それだけなら、良かったのですが( ̄Д ̄;)」

「アクシデントがあったのか」

「はい。機密扱いの為に、詳しい情報は聞いてないのですが…ラステイションの伝説の宝刀“雷刀丸”が盗まれたそうです。その転送痕跡と、何か関りがあるのではないかと思い、調べてみたんですけど、三日経っても分からず…という結果です(◞‸◟;)」

 

宝刀“雷刀丸”…名前からしてラステイションっぽくなく、七つ道具の一つとも言える響きだ。宝刀という事は、持つ者に何かしらの力を与えるか、刀?から特殊な何かを吐き出せるか。兎に角、シークレットと言う事は敵や悪の手に回っては不味い代物なのだろう。

 

「詰まる所、プルルートさんが協力者という事であり、そのエネルギーと、もし存在が確認されて見つかったのなら、その宝刀の回収をお願いしたいと言う事ですね?」

「はい。申し訳ないですが、そういう事になります…ところで永守さん、ナナさんの件は何かわかりましたか?(´・ω・`)」

「…いや、足取りも掴めていない」

「私も調べてみましたが、データベースに存在しない人物である以上、見つけるにはまだまだ時間が掛かります」

「そうですか…。プルルートさんは、多分その件も含めていると思いますので、ナナさんの件も追加になってしまいますが、どうかよろしくお願いします(∩´﹏`∩)」

 

依頼のような形で願い事を聞くのは構わないが、一つ気になる点がある。

 

「プルルートとピーシェを、そっちに戻る方法はあるのか?」

「そちらの御協力もあれば、転送自体は簡単に出来ると思いますよ?でも、まずは先ほど言った3点の調査と解決をお願いします(・ω・)ノ」

 

そうして通信が終わる。俺自身の目的は兎も角、プルルートがこっちに来た目的は、転送の痕跡と宝刀を見つける事。そして、未だに行方が分からないナナ…剣士の捜索。それらを含め、“何か変化があったら明日から行動をお願いします。”的なのを伝えるべくリビングへ戻る―――――

 

「………、これは?」

「どういう状況なんでしょうか…」

 

戻ってくると、そこには仰向けに倒れ込んでいるネプテューヌと、勝ち誇ったように右腕を掲げているピーシェ、それを心配そうに見守る残りのメンバー。机の上にはプリン5つに砕けたプリンが1つ。どういう状況なんだ、これは…。

 

 

「…ところで、ナスの件はどうなった?」

「ダメね…。何で嫌いかも良く分からないけど、兎に角拒絶するばかり…折角いい所から仕入れたのに、これじゃ無意味ね」

「仕入れ先は、例の場所か?」

「ええ、まぁ…」

 

少し考えた後、無理を押し付ける形になってしまうが、携帯を取り出しある所へ連絡を入れ、許可を取ってみる事にした。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ郊外:ナス農園】

 

「無理を押し付けてしまい、申し訳ありあせん」

「気にするな。お前の御掛けで、こうして平穏な状態へと戻れたのだ。言葉も気を遣う必要はない。…しかし、説明以上だな。まるで世界の終わりとも言える表情をしている」

 

ここは、プラネテューヌ郊外にあるナス専用農園だ。犯罪組織との闘いの影響かは不明だが、荒地と化していた所を、マジェコンヌが土地を買収しナス農園として営んでいる。誤解を解く為に言うが、目の前にいるマジェコンヌは、嘗てズーネ地区の時や、マジックに憑依されていた時の状態でない、綺麗なマジェコンヌと言うべきか。女神の為とはえ禁術に手を染めてしまった影響で、突如プラネテューヌの教祖補佐から離脱し、ズーネ地区で出会ったような状態へと変貌してしまったと言う。現在の綺麗なマジェコンヌは、最高のナスを求めて日々研究をしている。現在市場で出回っているナスとしては、多少値は張るが旨さでは高い評価を得ていると言う。メンツは俺、ネプテューヌ、ネプギア、プルルート、コンパ、アイエフ。昨日のナスは、ここで育てられたナスを使われている事もあるが、マジェコンヌとの借りや繋がりもあり、ここに頼み込んだ。

 

「凄いわね…」

「ご立派ですぅ…でも、ねぷねぷの様子が…」

「…ね゙ぇ゙え゙え゙え゙え゙え゙、可笑しくない!!わたしは美味しいプリンが食べれるって聞いて来たのに…何で、何でナス農園なのぉおおお!!」

「場所までは、伝えてなかったからな」

「えい君の鬼!!悪魔ぁ!!」

「ちょっと、やり過ぎじゃないかな~?」

「そうですよ。嘘はよくありません…!!」

 

「嘘は言ってないっチュよ?」

 

車で連れてきたとはいえ、流石に場所を伝えてなかった事が影響し、恨みの籠った視線を浴びる。とは言え、ネプテューヌはこうでもしなきゃ恐らく来ないだろう…と、マジェコンヌから言われている為、恨みを買う形でここまで来た。そこへ、アルバイトとして働いているネズミことワレチューが、ある箱を持ってやってくる。

 

「そ、それは…!!プランテューヌで数量限定、且つ早朝から並ばないと買えないプリン…!!」

「そうっチュよ。唐突に言われて、女神の為に態々並んで買ったっチュよ。本当はやりたくない事っチュけど…」

「おお…ん?だったらここに来る必要はないんじゃないの!?」

「そういうな、紫の女神よ。私からも、頼みたい事があるのだ。一個人のお願いとして、聞いてくれないか?」

「まさか、わたしにナスを食べさせる気…!?エロ同人誌みたいに…!!」

「…その言い方は兎も角、今回は食事をして欲しい訳ではない」

 

元々は、色々なナスがあるから何か食べれないかと頼んでみたものの、マジェコンヌからある“試作”というのを試運転して見たいという事で、話は食事から何かに変わる事になる。頼み事の内容は、俺も知らない。

 

「じゃあ、用も済んだ事っチュし、コンパちゃん。このオイラがナスの作り方を一から教えるっチュ!!」

「あ、は、はいです」

 

と、こっちはこっちで、目をハートにしつつコンパを引っ張っていく。念の為、アイエフに見張りしてくれないかと言い、着いて行って貰う。

 

「さて、話をしようじゃないか。とは言え、何処から手を付ければいいか、全く分からぬのだがな」

「ねぇマザコング…本当にナスしか作ってないの?」

「…この姿になっても、ワザとなのかよくわからんな。なら、プリンでも作るか?ナス入りのプリンでも」

「うぇ…それは遠慮します…」

 

結局のところ、ネプテューヌが何故ナス嫌いなのか、どうしてそこまで拒絶するようになったのかは分からない。本人からは臭いすらNGと言うが、何故嫌なのかの具体的な理由を、本人の口から説明する事はない。Wikiを見てもさっぱりな状態だ。

 

「まぁ、最初に言った通り試食をしてもらう為に、呼んだのではない。」

「ほぇ~?じゃあ何をするの~?」

「結論から言ってしまえば、“あるモノ”と戦ってほしいのだ」

『あるモノ?』

 

そう言ってマジェコンヌは淡々と説明する。完成…という訳ではなく、試作品段階ではあるソレは、この広い農園の管理に必要だと言う。完全無農薬のナスもあるが、害虫等はクリア済みらしい。問題は、農園を荒らしたり、ナスを食い荒らす外敵。アルバイトとして働いているワレチューも、見張りはするものの、夜中や仮眠、睡眠中に対しては完全に手が付けられない状態だと言う。

 

「そこで、開発したのが…コレだ」

「ひぇ…」

『…ナス?』

 

マジェコンヌが手の持っている2つの物体、それは、紛れもなく只のナスだ。だが、それを少し上に放り投げると、紫色の煙を出しつつ何かが現れる。

 

「なあああああああああああ、ナスが変身したぁああああああああ!!」

「も、モンスター!?」

 

そこに現れたのは、まるで爪楊枝で手足を作ったような見た目の、槍兵タイプのナス。そして、もう一体は馬鳥に跨って騎兵タイプのナス。

 

「…これと、戦えと言うのか?」

「そういう事だ。以前、モンスターを操っていた事を思い出してな。それを私なりに応用して作ったのだ。どうしても、私自身が手を出せない時間帯に、見張り兼追い出しを目的と言う事だ。とは言え、私の命令には従うようにしているが、戦闘能力は未知数でな…自分自身で図るのも良いのだが、客観的な意見も欲しくて、今現在に至る訳だ」

『………』

「どうしたの、二人共…目が怖いよ~?」

「心配するでない。以前の暴走してた私だったら考えるかもしれんが、これを世界征服の為だとか、軍用目的で売り捌くつもりはない」

 

ズーネ地区や、マジックに乗っ取られた事もあってか、善人状態のマジェコンヌとは言え100%信用したとは言えない眼差しを、ネプテューヌとネプギアはしている。要は、畑を荒したりする外敵を、迎撃するモンスターの戦闘データを見たいと言う事か。しかし、ネプテューヌは不満な表情をしている。

 

「お姉ちゃん?」

「…わたしがここに居る意味ないんじゃない?別に、データが欲しいなら、わたしがやる必要もないと思うけど?」

「そこまで嫌か…」

「そう言ったら元もないが…。なぁ、ネプテューヌよ。ここには居ないと思うが…仮に、この世界や、別の世界から“ナス型のモンスター”が来たとしよう。お前は、そんな奴等と戦わず、仲間を見捨てると言うのか?」

「うぅ…その言い方ズルい。地味に卑怯だよ…」

 

少々強引な説明かもしれないが、言っている事は間違ってはないと思う。プルルートがここへ来たように、何かが降ってくるかもしれない。戦っていたモンスターが突然変異するかもしれない。…嫌なパターンを考えれば色々と出てくるが、時には苦手な相手とも対応しなければならない時が来る。

 

「今回の件が終わり次第、プリンが貰えると思えば安いものだろう?」

「ぐぬぬ…引き受けたくはないけど、仕方ない。やるだけやってみよう!!」

「む、無理はしないでね、お姉ちゃん」

「ネプちゃん、がんばれ~」

「話が纏まったようだな。では、準備をしてくれ」

 

あまり、乗り気ではない表情ではあるものの、大好物のプリンを目当てに体は張り切った様子だ。ネプテューヌは、刀を呼び出し構える。

 

「では、始めるとしよう…行けっ!!」

「でやあああああ!!」

 

マジェコンヌの合図と共に、事前に呼び出していたモンスター二体とネプテューヌが飛び出す。ナスの耐久力が弱いのかどうかは分からないが、ネプテューヌの横への払い斬りによる一閃で、呼び出された二体のナスと馬鳥に乗っていたナスは真っ二つになる。

 

「流石に女神の攻撃には耐えられぬか…だが、流石はネプテューヌと言ったところか。見事な薙ぎ払いだったぞ。…ん、どうした?」

 

マジェコンヌが一振りで二体のモンスターを倒したネプテューヌを賞賛しているのだが、一振りを終えた状態の恰好から動こうとしないネプテューヌ。暫くすると持っている刀を落とし、文字通り“orz”の恰好をするように倒れる。

 

「…ね゙ぷぅ゙!ナス臭スプラッシュ…!!」

『………』

 

やっぱり、今回もダメだったよ…と聞こえそうな雰囲気を漂わせている。それからは、マジェコンヌが再び数体呼び出し、ネプギアや俺も含め様々なテストを行う。結果から言えば、耐久面には難があるものの、攻撃力自体は野良モンスターと変わらない程度な為、変に暴走をしない限りは防衛としては十分な能力ではないかと言う評価に留まる。

 

「…改善点はまだまだあるが、防衛目的であれば十分な性能だ」

「今回はこれでいいのか?」

「ああ、問題ない。暫くはこれで十分だ」

「お、終わった…暫くはナス見たくない…。それよりも、プリン、プリンは!!」

「慌てるでない。そろそろ、ワレチューを呼んでおかないとな…ん?」

『………!?』

 

 

「た、大変ですぅ(大変っチュ)!!」

 

 

丁度検証が終わり、ワレチュー達が向かった方へ視線を向ける。そこには、先程実験として戦った大量のナス型モンスター。それから逃げてくる3人の姿が居る。

 

「なんだ、何が起きている!!」

「ひ、ヒテエエエエエ!!な、ナスだぁああああああ!!」

「お、オイラに言われても、分からないッチュよ!!」

「な、ナスの収穫の仕方を教わってたら、と、突然収穫したナスが襲ってきたですぅ!!」

「馬鹿な。私が持っている奴以外は、普通のナスだぞ!!溢した等もなかったはず…!!」

「い、今、アイちゃんが一人で、対処してるですぅ!!」

「あ、アイちゃんが…!!」

「お、お姉ちゃん待って!!」

 

突然の状況に、全員が慌てふためいている。向いた方向は兎に角見渡す限り、ナス、ナス、ナス…地上も空中もナスだらけだ。アイエフが一人で対処していると聞き、ナス嫌いなネプテューヌがアイエフの元へ走り出し、ネプギアも突然の姉の行動に驚きつつも、追いかけていく。しかし、数が多いのか此方にも向かってきている。…だからと言って逃げるわけにはいかない。

 

「…!!ま、待つっチュ!!」

 

ワレチューの声が聞こえたが、既に遅かった。俺が放った鎌鼬は複数のナスを真っ二つにする。そして、制止した理由を理解する。真っ二つになったナスは、まるでバイ〇インのように、真っ二つになったナスが文字通り二体となり蘇った。

 

「成程…これは厄介だ…」

「そうっチュよ!能力事態はそうでもないッチュけど、斬れば斬る程無限増殖するッチュ!」

「あんな能力を入れた覚えも無いぞ…!!」

「斬れば斬る程…ならば…」

 

炎は農場が燃えてしまう事を恐れた為、拳で語り合う選択をする。

 

「シュッ!!」

 

その拳は、貫通はするが真っ二つにならない程だ。今度は、ご都合主義なのか分裂することなく消滅する。それを見たマジェコンヌも打撃技へと変わる。

 

「い~た~い~!」

 

大量のナスモンスターに気を取られていたのか、全く手を出していないプルルートが全く抵抗せずナスが持っている槍で突っつかれている。その場にいた俺だけが、それを見た瞬間旋律が走る。対処できなくはないが、女神化後のプルルートは何をするか分からない。

 

―――――ドスーンッ

 

「な、何事だ!?」

「………(キレたか…?)」

 

…と、考えプルルートの元へ行こうとした時には、既に遅かった。

メメタァッ―――――と言う効果音が鳴りそうな程に、持っていた熊の人形をナスモンスターに向けて叩きつける。叩きつけた所にクレーターが出来、そこには潰れたナスモンスターが居る。それを執拗に人形で叩きつけている光景と滲み出るオーラに、先程まで攻撃を繰り出していたナスモンスターも躊躇しているのが分かる。

 

「あたしぃ…しつこいのって、嫌いなんだよねぇ…」

 

もう誰にも止められそうにない程にボルテージが高まったプルルートは、女神化を始めアイリスハートとなる。

 

「鬱憤は、晴らしてもらうわねぇ」

 

そう言いつつ、雷を帯びた蛇腹剣で周囲のナスモンスターを刻みつつ消し炭にしていく。ついでに周辺の正常なナスにもとばっちりが行くのは言うまでもない。

 

「な、なななな何チュか!?」

「ぷ…プルルート…さん?」

「おい…奴が女神という話は聞いているが、なんなんだあの変貌っぷりは…!!」

「説明するより、見た方が早い事もある」

「説明を放棄するとは、お前らしくないぞ」

「ちょっとぉ、何こそこそしてるのよぉ?」

 

耳打ちするような声で話していたのが気になったらしく、アイリスハートことプルルートが近づいてくる。流石にその変貌っぷりや異質なオーラに、俺以外の全員がビクッとなったが、俺はというと…目のやり場に困る。

 

「お前の変身が、予想以上だったから驚いていたそうだ」

「ふーん…?まぁそれはいいけどぉ、放置プレイも嫌いじゃないけど、駆け付けるのが遅くない?」

「自分で何とか出来るだろ」

「へぇ、そう言うんだ。まぁ、あたしもその時、その時の気分ってのがあるけど~…」

 

色々と言ってる最中に、突然とプルルートが耳元に囁くように何か言ってくる。内容は“俺でいいのかよ”と思い一瞬躊躇するが、断って味方や農園に被害が出るくらいなら要求をのみ込んだ方がいいと考え承知する。

 

「ふふっ、それじゃあお楽しみを早める為にもぉ、ちゃちゃっと終わらせちゃいましょぉ!!」

「…被害にあった分の賠償はしておく」

「ここまで来たら何も言うまい…こんなアクシデントが起きてしまったのだから」

 

切断してしまったら、アメーバのように増えてしまうが消し炭にすれば増えない。それを見ていたからか、マジェコンヌも炎を解禁する。そしてバーベキュートゥナイの如く、ナスモンスターを消し炭にしていく。一応消し炭にしたナスモンスターは、結晶片となって消え去っていくから残骸は無くなる。しかし、意外にも気遣ってるのか農場への被害はそこまで酷くはない。そうして少しずつ数が減ってきた時、残りのナスモンスターがネプテューヌの向かった方向へと逃げていく。

 

「あらあら、怖気髄ちゃったかしらぁ?」

「…少し違うようだ」

 

ネプテューヌ達が向かった方向に目線を向けると、向こうにもいたナスモンスター達が集結しているらしく、それがスライヌの合体しデカスライヌになった時同様、デカナスへと変身しているのが見える。

 

「へぇ、可笑しなことするじゃないの…手ごたえがあればいいけどねぇ」

「私は、被害の精査をしておく。頼めるか?」

「わ、わたしも手伝うですぅ!」

「…オイラも手伝うっチュ」

 

マジェコンヌに言われ、俺とプルルートはネプテューヌ達の元へ行く。ワレチューはコンパと一緒に居たい願望もあるが、恐らくはプルルートと一緒に居るのが嫌なのだろう。アイリスハート状態を見てから、ずっと顔色が良くなかったことから伺える。ネプテューヌ達の元へ辿り着くと、遠目で見るよりも大きいナスモンスターが、更に自分を大きく見せようと威勢を示している。

 

「え、えい君…って、まさかぷるるん!?」

「あら、この姿で誰か分かったの、ネプちゃんが初めてよぉ?」

「プ、プルルート様…!?」

「お、お姉ちゃん並みに凄い…」

 

ネプテューヌも女神化しているとは言え、誰かは気づいたもののプルルートの変貌っぷりに、驚きを隠せてはいないようだ。

 

「…ナスは嫌いじゃなかったのか?」

「ええ、嫌いよ?でも、ここまで大きくなったら、ナスと思えないタダの紫色の物体ね」

「流石に見飽きたしぃ、さっさと終わらせちゃいましょ?」

 

と、さっきまで威勢を出していた大型ナスは、全員で睨み返すとビビっているようにみえ、逃げ出そうとしたが既に遅かった。ネプテューヌとプルルートの帯電した斬撃、俺とアイエフの火炎、ネプギアの光線によって跡形苦も無く消し飛んでいった。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ:教会】

 

「………」

「えへへ~、もうすぐだよぉ」

「…わたしの人形作ってくれるのは嬉しいけど…なんでそうなってるの!?」

 

時刻は夕食前。あの後、ナス型モンスターはいなくなり、迷惑料はいらないと言っていたが払い、このような事が起きないように更に改良や周囲の警戒を強くすると言った。周囲の警戒を強くする理由としては、アイエフの報告によると、布で覆い被った誰かがその場を立ち去る姿を見たと言う。直ぐいなくなってしまった為に、どのような人物なのかもわからなかったと言う。…で、現在の状況なのだが、机に対して安座で座っている俺の上に、プルルートが座る形になっている。所謂人間椅子というか…一度やってみたかったらしい。考えてみれば、ネプテューヌにはやったことがないからか、凄く羨ましそうに見ながらプリンを平らげている。プルルートの影響で、俺は完全に身動きが取れない状態になっている。

 

「…報告等はまぁ理解しました。ですが、表の箱はどうにかならないんですか?」

「あ、あれはわたしのせいじゃないからね!!ていうか、ナス見たくない!!」

「分かってますけど、大量のナスをここに届けられましても…職員に提供しても減りませんよ?」

「…見切り品として、野菜売り場に出すしかないだろう」

 

農場での被害は収まったが、流石に綺麗に終わる事は無く、とばっちりを受けた幾つかのナスを持ち帰る事となり、教会表がナスだらけという訳ではないがそんな状況になっている。違う意味で面倒ごとを抱えてしまった感じがある。

 

「はい、ご飯出来たですよぉ」

「流石に、これだけ色とりどりなら…」

「…な、なすうううううううう!!!??」

 

幾つかはここで食べる事になるのは目に見えていたが、色々な種類のナスを使ったナス料理が出てきた。何でもピーシェが気に入ったらしく、色々と食べたいと言う要望に合わせて作られたそうだ。

 

「ネプテューヌさん。折角、色々なナスがあるのですから、自分の合うナスを探してみるのもいいじゃないですか?それに、報告ではナスに立ち向かったと聞いてますけど?」

「い、いやいや!?あれは、馬鹿力っていうか…」

 

…どう言い訳しても、暫くはナス料理が続きそうだ。

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。