超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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色々話を詰め込んでいたら長くなってしまった…。
ここからある程度アニメ基準で進めていく予定です。
それでは、しばしのお付き合いを…。


The 1st Encounter~動き出す歯車編~
Scene04 Go East-ラステイションへGO-


 

 

 

 

 

―――――前回のクエストから更に2週間から過ぎた。

 

読者である皆さんに、わかりやすく言うのであれば、あの式典から早1ヵ月が過ぎた。神殿から教会に戻った後は、イストワールに神殿に関する情報と、アミュレットと化したドックタグに関して話をしたが、3日掛けて調べても詳細不明とのこと。益々謎が深まっていく。今は考えても仕方がないが、ネプテューヌのようにお気楽になれたらなとは考えている。

 

「しかし、この動く歩道って凄いな。流石に地球にはなかったな。」

 

余りの凄さに小言を付いてしまった。俺は今、自由時間を終えて教会に向かっている最中だ。欲しい本が無いか見に行ったり、バイクのパーツや銃の品定めをし終え、教会に戻ってゲームか銃のメンテでもしようかと考えつつ今に至る。しかし、銃火器店舗の店員が“小さな妖精”みたいな人形だったのは驚いた。で、今驚いているのは、直線状で宙に浮いている輪の中を、光り輝く床によってエスカレーターのように動いている事だ。一歩前に出しても、床に付くあたりから新しい床が現れる。それこそ、ソ〇ックやナ〇ツ、64スー〇ーマンのような事が体験できている感じがする。で、下から見上げても見えないよう工夫されているようだ。普段はバイクで移動しているから、こういうのを使う機会がなかったということだ。地球も政府が言ってた技術の御陰で、恐ろしい発展をしたが何処かメカメカしいと言うか、機械的な部分が多く近未来間は少ない。強いて言えばラステイション寄りと言った所か。

あと、気になったことだが…。教会の職員含め、外の一般人も殆どが「女性」ばかりである事。男性とはここ1ヵ月、殆ど出会った記憶がない。今更ながらゲイムギョウ界、恐ろしい場所だ。…そんな事を考えている内に、エスカレーター?を渡り終えたのだが、そこにいた1人の女性に目を向けた。何か電波を受信しそうなカチューシャを付けており、黒服で眼鏡を掛けた女性が抗議活動をしている。

 

「―――――であり、私達は、正しい規制により守られていますが、私達国民一人一人にも、権利があり―――――」

 

なんか“頼り甲斐の無さそうな感じで政治活動をしている”という印象でビラ配りをしている。案の定、ビラを取っていく人は殆どいない模様だ。それはさておき、配っているビラの内容が気になるので、さり気無く一枚取ってみる。

 

「あ、ありがt―――うひゃあ!お、男の人ぉ!?」

 

 

 

 

 

バシサアアァァアアアアッ―――――

 

 

 

 

 

お礼の言葉を言いかけた途端、まさか驚いて両手を挙げた反動により、持っていたビラがバラ撒かれるとは思っていなかった。

 

本気(マジ)かよ。」

「ひっ!ごごごご御免なさい、御免なさい!」

「(これはまた、面倒なのと遭遇したな。ビラを撒いてしまったのは、俺のせいなのかもな。腑に落ちないが…。)」

 

そう思いつつ、俺はバラ撒かれたビラを集めるのを手伝った。数枚は何処か飛んでしまったみたいだが、百枚前後だったらしく、そこまでバラバラになっていなかったので集め終わるのは直ぐだった。しかし、一枚一枚手書きで書かれているが、一寸の狂いもない感じで書かれている。ある意味神業じゃないか。しかもよく見たら左下に彼女のデフォルメまで描いちゃってるよ。

 

「これで全部か。どうぞ。」

「す、すみません。こんなダメな私の為に手伝って頂いて…。」

「困ったときはお互い様。これ、一枚頂いておきますよ。」

「あ、有難う御座います!」

 

そんな事をしていると、エスカレーターから2人の女性がこっちに向かってきている。アイエフとコンパだ。

 

「あれ、永守さん。何やってるですか?」

「まさかアンタ、その人を口説いてるんじゃないでしょうね?」

「…俺がそんな奴に見えるか?」

「冗談よ、冗談。アンタがそういうタマじゃないってのは分かってるから。」

 

…冗談言うのは好きだが、言われる方はあんま好きじゃない。最近は余裕ないから冗談なんて言ってないが…。そんな事を思っていたが、さっきの女性はいつの間にか「し、失礼しましたぁ!」と言って、どっかに走り去っていったようだ。

 

「ところで、その紙はなんですか?」

「ああ、これはさっき走り去った女性が配ってた奴だ。とりあえず、こいつを見てくれ、こいつをどう思う?」

 

二人に持っているビラを見せることにした。内容をピックアップするとこんな事が書かれている。

 

―女神なんていりません!

―女神にNO!

―女神の依存から脱却しましょう!

 

…なんて事が書いてある。ちなみにその下には小さく“女神がいない場合のメリット”なんてことがずらっと書いている。

 

「女神…いらない?」

「これって、もしかして?」

 

流石に振ってみたネタには乗らなかったが、妥当な反応が返ってきたな。

 

「“もしかして”という事は、アイエフは何か知っているのだな?」

「まぁ、(かじ)った程度ね。でもまぁ、今のところ規模は小さいから教会はおろか、諜報部もあまり気にしてはないわ。」

 

そう、ここ最近になって女神に対して不服と考える人がおり、女神反対を主張する人々が集まって活動している“反女神組織”いう団体。団体名は物騒な感じだが、大半の人は興味を示しておらず、統率力も大して強くはないのも相まって、影響力は少ない。だが、最近のネプテューヌは永久有給休暇という名のサボりで、今日も遊びを繰り返していた。挙句「働いたら負けかな?って思ってるの。」と言う始末である。

 

「これは、少しネプテューヌに活を入れた方がいいかもな。」

「そうね、どうせ遊んでたんでしょ?アンタが出掛ける前は寝てたとか?」

「………。」

「その反応だと、予想は的中って訳ね。」

「丁度私達も教会に向かってる途中だったのです。これは、ねぷねぷに言った方がいいですね。」

 

今回ばかりはお二人ともご立腹という感じがヒシヒシと伝わってきてる。全く、“能ある鷹は爪を隠す”とは言うが、あいつの場合は隠し過ぎているな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ教会広間】

 

教会内の何時ものロビーに行ったが、そこは誰も居なかった。…テレビにヒビが入ってて、その下にゲーム機の電源アダプターが落ちている事を除けば、何事もなかったという事で片付けられたのだが―――――

 

「これは、イストワールの怒りが有頂天に達した跡か?」

「かもしれないわね…全く。」

「そうなると、ねぷねぷ達は何処に行ったですか?」

「もしかしたら、中央部にいるんじゃないかしら。」

「中央部?…ああ、あそこか。」

 

中央部…というよりはシェアクリスタルルームと言うべきか。プラネテューヌ教会の心臓部ともいうべき場所であり、以前イストワールが言っていた“シェアクリスタル”の保管場所でもある。俺達はプラネテューヌ教会中心部前まで来た。

 

「―――――あるんでしょう?心配する事なくない?」

「無くないです!シェアの源が、何なのかはご存じでしょう!?」

「国民の皆さんの、“女神を信じる心”ですよね?」

「そうです!2週間前までは、永守さんやアイエフさんによって均衡を保っていましたが、ここ2週間は、このグラフが示す通り、国民の心が“ネプテューヌさんから少しずつ離れている”のですよ!」

 

現在、扉前に立ち止まりアイエフとコンパが扉越しに耳を当てるも、普通に声が漏れている。…相当怒ってる。話的には、シェアクリスタルに貯まっているシェアエナジーが弱まってるのだろう。

 

「イストワール様、相当怒ってるみたいね…。」

「ですねぇ。」

「はぁ…。面倒臭いが、流石に今回ばかりは一言言った方がよさそうだ。」

 

そして俺達は中に入る事を決めた。

 

「えぇ~?嫌われるような事した覚えないよ?」

「ん~…。」

「女神としての“使命”を全うしてないのなら、嫌われなくとも、好かれる事もないだろう。」

「ねぷぅ!!えい君!?それに、アイちゃんにコンパ!?」

「ネプ子、流石に今回は永守の言う通りでしょ?好かれるような事をしてないのだから、当然の結果よ。」

「あ、永守さん、アイエフさんにコンパさん。」

 

俺がネプテューヌに釘を指しつつ、アイエフとコンパも部屋に入り、ネプテューヌに説得をする。アイエフはイストワールに向かって、一礼をした後口を開く。

 

「すみませんイストワール様。話が聞こえたもので…。」

「3人なら別に気にしなくてもいいのですよ。」

「えい君と、アイちゃんまで、いーすんの味方するの!」

「今回ばかりは、イストワールが怒っても仕方ないだろう。女子力的な意味も含めて。」

「むぅ~!コンパは違うよね~?」

「ねぷねぷ、少しはお仕事頑張った方がいいのです。」

「な、なんかコンパが何時もより怖い…!!」

「自業自得ね。」

「そういうこと。ああそうそう、ネプテューヌ。」

「ん?」

「黒サンタクロースからプレゼントだ。」

 

季節の事はおいといて、俺は懐から、先ほど貰った大々的に“女神いらない”と書かれたビラを広げて見せる。

 

「ふぇ?女神…いらない。」

「がぁっ!!」

 

イストワールが昭和時代にやりそうなずっこけ方をした。相当精神的ダメージもあるだろう。ここ一ヵ月、ネプテューヌの行動を見たら、如何にぐーたらしているか一目で分かるだろう。そんなのを毎日見ているイストワールからしたら、胃に穴が開かないか心配する程だ。

 

「こういう人達に、ねぷねぷを分かってもらうには…、御仕事、もっと頑張らないとです。」

「うううううぅ!これぞ四面楚歌!!私大ピンチ!!!」

「ピンチなのはこの国の方です!」

「うぅ…。」

「そもそも、女神は常に国民の為に努力しなきゃならないんですよ!女神が大きな力を持っているのはその為なのです!それに―――――」

 

御覧の通り、イストワールのお説教タイムが始まった。こいつは長引くな。で、この流れだとネプテューヌは話を聞かないか、何とかこの場を切り抜ける為の策を考えるか。いや、サイコメトリーで心の中を見て、変な事考えてたら叩こうと思ったが、こう考えちゃ俺も周りの人と同じく“女神を信じない人”に成り下がってしまう気がする。少しはネプテューヌの事を信じてやらないと―――――

 

 

 

 

 

“ポンッ”

 

 

 

 

 

…と考えている矢先、突然ネプテューヌが、何か閃いたかの如く合点の動作をした。

 

「あ、そうだ!私、女神の心得ってのを教わってくるよ!」

「へ…?教わるって、誰にですか?」

 

そして次のネプテューヌが口にした言葉で、俺を含めた全員が驚愕する。

 

「えっと…、ノワール!!」

『ええ~!?』

「…ノワールって、ラステイションのか?」

「うん!!ラステイションの、ノワール!!」

 

…前言撤回、想像の斜め上の発想だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ:教会前・外】

 

「いいですか?こうなった以上は仕方ありません。ノワールさんには、私から“女神の心得を教わる”という事の連絡をしておきます。ネプギアさん、アイエフさん、コンパさん、永守さんも同行して下さい。特にネプギアさん、永守さん。ネプテューヌさんの事、宜しくお願いしますね。」

 

”どうしてこうなった!”としか思えない展開になってしまった。イストワールの言葉を思い出しつつ、自分のバイクにエンジンを入れる。ネプテューヌ、ネプギア、アイエフ、コンパの4人は公共交通による移動。俺は何故自分のバイクで移動かというと、一ヵ月前…そう、式典の前日に着替えたスーツを返す為にバイクのトップケースに袋ごと入れ、向かう事にした。何となく手荷物として手にぶら下げて持っていくのが気分的に嫌だからである。それはさて置き、そろそろ出ないと遅れちまう。

 

「何時も通りの調子だな。さて、行くとするか…。」

「れっつごー!!」

 

…後ろから声がした。何時の間にか腹部あたりに見覚えのある腕が抱き着くかのようにある。そして背中には小さいながらも柔らかい何かが当たっている。後ろを確認すべく錆付いた機械のように首を後ろに向ける。

 

「ん、どうしたの?早く行かないと遅れちゃうよ?」

「ネプテューヌ、なんでここにいる…。」

「細かいことは気にしないの。それに、プラネテューヌの補佐なのに、えい君は仕事、仕事で全然私達に構ってくれないもん。」

「お前は逆に、遊び過ぎだと思うが?」

「そ~れ~にぃ、こんな可愛い美少女が目の前にいるのに、えい君は何とも思わないの?」

「ノーコメント。女神として全う出来ていないのならアウトオブ眼中。」

「ねぷぅっ!ノーコメントと言いつつ、さり気無く返答してるぅ!!」

 

そんな会話をしていると、携帯に着信が入る。何となく予想はしていたが、携帯の着信者を見る。ネプギアだった。溜め息を付きつつ電話に出る。

 

「俺だ…。」

<あ、あの、永守さん!お姉ちゃんが何処か行っちゃったのですが、そっちで見かけたりしてませんか!>

「…俺の後ろにいる。」

<ええ!?そっちにいるの!?>

「まぁ、何だ。責任持って送るから、安心してくれ。」

<わ、分かりました。>

 

そうして、俺は電話を切る。気付かれずにここまで来れたのか疑問だが、そんな事聞いても“主人公補正”とか言って終わりそうだ。まぁ、今後の事考えるとサイドカーは必要かもな…と考えてしまう。俺は被ってるヘルメットをネプテューヌに被せる。

 

「ねぷ?」

「万が一事故って、女神様にケガさせちゃ、補佐失格だ。少し大きいかもしれないが我慢してくれ。」

 

とは言うのも、実際は心音を聞かれるのが嫌だからだ。仮にもネプテューヌは、見た目は女の子だが、女性でもある。女性に抱き着かれるのは人生で初めてだからな。完全に遮断は出来ないものの、後で“ドキドキした?”と言われた時に誤魔化せなくなるのは面倒だしな。

 

「そんなことしたら、えい君が危ないじゃないの?障害物とか後ろから来る車に当たって、バイクごと爆散とかしちゃわない?あ、でも残機があればビデオの逆再生の如く戻るよね。」

「…何故にクラッシュ前提なんだ。それに、こいつには機銃なんて付いてないし、3秒に1kmなんて速度は出ないぞ。」

「まさかのネタに返答してきた!?」

「偶々知っていただけだ。だが、機銃はあったらあったでいいかもな。…そろそろ出ないと間に合わなくなるぞ。」

 

そう言いつつ、俺はバイクを発進するのだった。

因みに、爆散とかはなく無事ラステイションに着き、合流する事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラステイション:教会・バルコニー】

 

「あら、別に返さなくてもよかったのに。」

「借りっぱなしは、性に合わない。借りる時が来たらその時に借りるとする。」

 

俺はノワールに、ここに初めて来た際に、着替えとして受け取った男性用スーツを返した。ちゃんとクリーニングしてるから心配ご無用。だが、ノワールが、執務室側の方を見て、嬉しそうな顔が険しくなったのが分かる。

 

「とりあえず、もの凄く分からないんだけど…、どうしてお隣の国の女神がうちの教会で寝てるのかしら!?」

「………。」

 

現在ネプテューヌは、他国のベランダチェアで、俯せになり枕を抱いて寝ている。監視の目が4+αとあるというのに、この堂々とした感じである。

 

「あー、構わずお仕事してぇ、私は気にしないからぁ…。」

「私が気にするわよ!」

「ご、御免なさいノワールさん。もーお姉ちゃん。女神の心得を聞きに来たんじゃ…?」

 

ネプギアの言葉にも応答がない感じである。此奴、あのビラの事を重く見てないようだ。ノワールが呆れた感じになっているのも見て取れる。

 

「イストワールから連絡は来ているはずだが…。」

「…ええ、事情は把握してるわよ。でも、悪いけどお断りよ。私、敵に塩を送る気なんてないから。」

 

そう言いつつネプテューヌを横切るように歩いて行く。

 

「あぁ~、敵は違うでしょ?友好条約結んだんだから、もう仲間じゃ―――――」

「シェアを奪い合うのだから、敵よ、敵!!」

「友好条約を結んでも、シェアを均等にする気はない。結局は自国が一番って考えか?」

「そういうこと。貴方、中々鋭いわね。」

「そりゃどうも。だが、折角なのだから、少しぐらい“女神の心得”講座をしてもいいんじゃないか?」

「嫌よ、私こう見えて忙しいんだから。少しは自分でどうすべきか考えたら?それにね、教わりに来ているのにこんな態度されたら、教えたくても教える気が無くなっちゃうわ。」

「むぅ、ノワールはそういう可愛くない事言うから“友達いない”とか“ぼっち”って言われるんだよ~?」

「と、友達ならいるわよ!」

 

ノワールの言っている事は分かるが、ネプテューヌが釘を打つような発言に、焦るように言い返すノワール。…その反応じゃ友達いないを認めているように見える。そこに容赦なく、ネプテューヌが更なる追撃(発言)をする。

 

「え~、誰誰?何処の何さん?」

「え?そ、それは…えっと…。」

 

案の定、ノワールは困惑している。さっきまでの強気な姿勢がなくなってしまっている。…ちょっと待て、何故こっちに視線をチラチラと向いているんだ?そんな事をしていると、エレベーターの方から書類を持っているラステイションの女神候補生であるユニが来た。

 

「お姉ちゃん。この書類、終わったよ。」

「あ、ユニ。お疲れ様。書類はそこに置いといて。」

 

ネプギアがユニに向かって、手を振っている。それに対して笑顔でネプギアを見ている。…何故かこっちにも笑顔で見てきた。確かにユニとは銃関連で色々と話したりするから、交流がない訳ではないが、好感度上がるようなことした覚えがない。

 

「あ、あのね。今回、早かったでしょ?私、結構頑張って―――――」

「そうね、ようやく普通レベルってとこね。」

「あ~!もしかして友達ってユニちゃんの事?妹は友達って言わないよ!!」

「ち、違うわよ!」

「ホントかな~?」

 

更なる追撃を容赦なくしてくネプテューヌであったが、先程ノワールから厳しい返答を聞いたユニは、仕事終わりでの笑顔が悲しそうな顔になり、書類を直ぐ側の机に置き部屋を出ていってしまった。

 

「(普通…か。お前の普通ってハードルはどれくらいの高さなのやら。)」

 

少々心配になってしまった俺は、ネプギアに聞こえる程度の声で話すことにした。

 

「(ユニの事が少し気になるから、探して話をしてくる。)」

「(あ、私も気になりますので、私も行きます。)」

 

そう言いつつ、俺とネプギアはユニを探す事を決め、エレベーターを降りた。…もう少しこっちの話は続くよ。

 

「違うって言ってるでしょ!ねぇ永守、貴方は私の…ってあれ?」

「永守なら、先ほどネプギアと一緒にエレベーターを降りましたよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラステイション:教会付近の湖】

 

「本当にこっちにいるのかな?」

「多分な。」

 

一ヶ月前。そう、第一村人であるユニと初めて出会った場所。あの時は、行き成り出たから驚いた表情だったが、何処か寂しそうな雰囲気…だった気がした。もしかしたらそこは、気持ちを落ち着かせる場所なんじゃないかと考え、ラステイション教会付近の湖にある屋根付きのテラスへ向かっている。

 

「あ、永守さん、あれ…!」

 

ネプギアが声を出しその先を見ると、何処か悲しそうな顔をしているユニがいた。

 

「ユニちゃん!」

「あ、ネプギア、永守さん…。」

「ユニちゃんとお話したくて来ちゃった。とりあえず、そこに座ろうよ。」

「うん。」

「永守さんも座ろりましょう?」

「ああ。」

 

そう言いつつ、屋根付きテラスの中心にある椅子に3人とも座る。

 

「悪いな。ネプテューヌが話を中断させてしまって。」

「私からもごめんね、ユニちゃん。」

「いいの。お姉ちゃんは、何時も私に対してはあんなんだから。それに、お姉ちゃんより、上手くやれないと褒められないみたい。変身も出来ないのに、私がお姉ちゃんみたいになるなんて、無理…なんだよね。」

「そんなの、私も変身出来ないし、ロムちゃん、ラムちゃんもそうだし。」

「でも…。」

 

姉であるノワールは何でもそつなく熟す、と聞いている。そんな妹であるユニは、姉の存在は憧れでもあり、目標でもある。そして周りから見られる目も気になり、コンプレックスを抱いている可能性もあるだろう。だから、周りが見えてないのかもしれないな。

 

「それでも、お前達は凄いし、可能性だってある。」

「え?」

「永守さん、それってどういう意味で?」

「そうだな…例えるなら、女神は洗練された美しい宝石で、お前達候補生はその原石だ。だが、洗練すれば必ず宝石になる。どのような色になるかは俺にも分からない。」

『………。』

「ユニは、仕事や手伝いに対して、ひたむきに、おごりなどなくやっているのだろ?」

「と、当然よ!!」

「それに、“継続は力なり”というのもある。経験や練習は必ず力になる。要は気持ちの問題だ。後ろを見るのも大事だが、目の前を、今をどうするかを考える事も大事だ。…少しは楽になったか?」

「うん、さっきよりはマシになった。あ、ありがとう、永守さん。」

「でも、永守さんって、もっと厳しい人かと思ってたんだけど…。」

「私も、永守さんはお姉ちゃんみたいな感じかと思ってた。でも、なんで私達にそこまでするの?」

 

ネプギアとユニはそんな感じで見てたのか。ただ、さっきの暗い囲気は消えている。とりあえず、これで良かったのだろう。

 

「困っている仲間や友を、見捨てるほど腐ってはない。それに、世話になっている恩を受けっぱなしってのは、性に合わない。…そろそろ戻った方がいいだろう。教会内が心配だ。」

『あ、はい。』

 

それに、誰も見向きもしない泥水だって空を映す。女神候補生と言うからには、女神と同等の力を持っている事になる。それにノワールは、根は優しいが、照れ隠しの為にあんな態度に出てしまうんじゃないかと考えている。まぁ、そこまで聞く気にはならないし、サイコメトリーで心読むのも失礼だからな。今はこれで様子見でもいいのかもしれない。

そう思いつつ、俺は立ち上がり教会に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

大分ネタを注ぎ込んで見ましたが、分かる人はいるだろうか…。
詰め込んだネタ紹介とか挟んだ方がいいのか検討してみるのもありでしょうか。

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