超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene71 黒歴史からの来訪者~Fritillaria~

 

 

奴が仕掛けてくる大量の雷球。再び突っ込むが、今度はそう簡単にはやられない。右手に炎の弾を作り出し、それを高速で拡散するように放つ。

 

「…ほぉん、少しはやるようねぇ」

 

同じ力がぶつかり合うかのように、雷球と炎球がぶつかり合うと同時に、子爆発が起きつつ消滅していく。炎が外れた分は回避するか、開いた左手でバリアを張りつつ、貫通してきた雷球を呼び出した両剣で切り裂く。徐々に近づいていくが、奴は微動だにしない。それどころか、接近したら接近戦で迎え撃とうという姿勢すら見せていない、上から目線を崩さない仁王立ちの構えをしている。そして、接近しつつ両剣で旋風を加えた突きを放つ。が、奴も同じように雷を纏った武器で同じように突きを放ってくる。互いに左肩を掠めるように空を切り、第二第三の反撃を互いに読んだのか、距離を取る様に離れる。

 

―――――しかし、妙な感覚だ。戦いが始まってから目の前に居る、似ても似つかない狂気を放つ“キセイジョウ・レイ”。だが、ここでは初めて会ったにも関わらず、出会ったことによる悲しみ、狂気を止めるべく助け、恨みを晴らさんと全力の殺意。全て、俺だけの感情ではない。右腕からヒシヒシと伝わってくる部分もある。

 

「…ふふ…ふふふ………」

「何が可笑しい」

「いやいや、ふと昔を思い出しただけよ。その持っている両剣、アンタから伝わってくる気が…ねぇ…。おまけに、今の女神様は危機管理が薄い事…でもまぁ、アンタには関係ない事だけどぉ」

 

奴の口ぶりから、何かしら関りがある…そんな気はしている。しかし、今は奴を倒しピーシェを救出する。こんなところで時間を食っている暇はない。だが、喋って時間を稼いでいるようにも見えるあたり、向こうは時間を稼ぎつつ撤退する可能性もある。とは言え、正面突破しても簡単に崩せないのは、接近を二回して察している。普通の攻めでは恐らく、経験値的に読まれて防がれてしまう。奴が喋っている間に脳内で幾つかシミュレートをし、突破口を見出そうとするも、二度交えて分かったことだが、接近は出来るがその後が返されてしまう。玉砕覚悟で特攻すべきか…。だが、それで勝ると言うビジョンが見えてこない。俺は幾つもの戦いを熟してきた。…にも関わらず、最後の突破口が見えてこない。

 

「ほらほらぁ、どうしたの?さっきまでの威勢は…止まってたら、何も始まらないじゃない」

 

そう言いつつ、奴は先ほどと同じ雷球を呼び出している。また同じ方法で向かうも、奴からは“この方法で対処できる”という自信に満ち溢れている。だが、終わりじゃない…無いのなら、突破口を作るまで…!!

 

「…ぬぁああっ!!」

 

精神力と、シェアエナジーを混合したエネルギーを、バリアのように両手を覆い、その上に炎と旋風を纏わせつつ奴に向かって行く。

 

「ふぅん…意外と学習能力ないのかなぁ?二度ならず、三度も同じ行動するなんて…流石に飽きてきた。これで終わらせる…さっさと沈んじゃいなっ!!」

 

再び、此方に向かって大量の雷球が向かってくる。だが、二度目とは違い更に早く走り、避けきれない雷球は、バリアと超能力で覆った拳で弾き返す。

 

「っぃ…!!」

「な…にぃ?」

「攻撃は、最大の防御なり…!!」

 

完全に攻撃を防ぎきれている訳ではないが、1、2度目に比べれば受ける威力は半分以下になっている。そして、数メートルまで近づきつつ、橋の床を破壊するように拳を叩きつけ、砂煙と瓦礫を吹き飛ばす。砂煙で前方が見えない奴に対し、鎌鼬で纏った帽子を投げつけ、注意を反らす。

 

「ちぃっ…小賢しい真似を…!!」

 

奴が瓦礫と投げた帽子を弾き返したのを見る。だが、馬鹿正直に正面から行く気は満更ない。テレポートで奴の背後に回り込み―――――

 

「終わりだ…」

「な…!!」

 

背後に現れた事に気付いたように振り向くが、既に遅く俺の能力が纏った足蹴りが、奴の腹へと直撃し、くの字に体が前のめりになるも、空かさず防御の開いたところへ連続で拳を叩き込む。

 

「うぉおおおおおっ!!」

「がっ!!ぐっ!!ごぅあっ!!」

 

拳の連撃により体制が崩れたところへ回し蹴りを放ち、奴の身体が逃げていくが顔を掴み自らの膝へ持っていき膝蹴り、そこからサマーソルトキックをし宙で二回ほど回転する。…そして、奴は仰向けに、大の字の如く伸びている。

 

「(奴の装甲は、まるで分厚い肉壁を殴っている感触だった。伸びているのは不意打ちを仕掛ける為かもしれない…)」

 

そう考えるのも仕方ない。伸びてはいるが、変身が解けてないことを考え警戒し、子コンパと子アイエフを抱え反対側…プラネテューヌ側の橋の入り口へ一旦寝かせる。呼吸はしているが、あれだけドッカンバッカンしていたにも関わらず全く目覚めない…どんな催眠術を掛けたと言うんだ。と思いつつ変身を解いたら、目覚めたようだ。

 

「う…う~ん…」

「気が付いたか」

「ふぇ…ここはぁ…?」

「説明は後だ。もう少し、ここで大人しくしてくれ」

 

二人にそう告げ、銃を抜きつつ伸びているキセイジョウ・レイに近づくと、上空から慌てるようにナナ以外の女神達が下りてくる。伝言だけで向かったのだから、そうなるのは目に見えていたが、まるでそれ以外の理由も含めた慌てにも見える。

 

『エースさん(えー君)っ!』

「役者が揃った感じだな。アイエフとコンパは無事だ」

「ふーん…子豚ちゃんにしてはやるじゃないの」

「…その言い方は…そ、それよりも―――――」

「話は後だ。奴から情報を聞いて、ピーシェが連れていかれた場所を聞き出さなければ…」

 

ノワールが何か言いたそうに言うも無視し、“ちょ、待てよ!!”とブランが言っているのが聞こえたが、それよりも止め化ければならない事が目の前にある。レイがコンパとアイエフを連れて行かずに、ピーシェのみを連れて行くように指示した事は、少なくともレイはピーシェが女神になる素質があると見抜いているのではないか。この世界での女神様は、自分の国を作る権限が与えられる。もしピーシェが女神になり、尚且つ洗脳されているのであれば、七賢人の野望が一つ叶ってしまう事になる。女神の事を考えれば、これは阻止しなければならない。銃を構え一歩一歩慎重に、反撃を警戒しつつ近づいていく。

 

「ふ…ふふ…くくく……」

「やはりか…」

 

あと、5、6歩程で殴れる距離になろうとした所で、奴が立ち上がる。まるで先ほどの戦いがなかったかのように…。

 

「強い…かなり強い…だが、それでも、アンタの負けだよ」

「…何?」

 

次の瞬間だった。俺の目の前に鋭利な刃物のような物体が、顔面目掛けて飛んできている。反射的に右手で白羽取りのように握り取る。どういう訳かその鋭利な物体は異様な程に冷たく感じると同時に、懐へ素早く潜りつつ俺の腹部へ刀のようなのを突き刺す人物が現れる。

 

「………ぐっ」

 

刺された傷事態は問題ないが、その刀も冷気のように冷たく、体温を吸い取られ意識が遠のく感覚に陥り、突き刺した人物が刀を引き抜くと同時に倒れ込んでしまう。

 

「まだ生きているのか、本当女神よりしぶといし目障り…でもまぁ、準備は万全じゃないかぁ。女神よ、貴様達と戦うに相応しい場所を用意してある。そこで待っているぞ!!」

「ま、待ち、やがれ…」

『ナナっ!!』

 

キセイジョウ・レイと俺を刺した人物が何処かへ逃げようとした時、後ろの女神達がナナと叫んだのだ…聞き捨てられない状況へとなったようだ。

 

「ぐ、おぉ…!!」

「ちょ、ちょっと、どうする気なのよ!!」

「決まっている…追いかける…!!」

「無茶しすぎだっ!」

「そうですわっ!!一旦戻って体制を立て直すべきですわっ!!」

「っ………、分かった…」

「プルルート、あなた治療魔法で来たわよね?少しでもいいから、お願いできるかしら」

「えぇ~?…と、言いたいけどぉ、状況が状況だし、仕方ないわね」

 

と、言いつつコンパやネプギア、ロム程ではないものの、丁寧と変な優しさを込められた回復魔法により、傷口は治った。その後、自力で歩けるのだがどういう訳か、肩を貸される形でプラネテューヌへ戻る事となる。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ:教会】

 

『………』

 

一行は子コンパと子アイエフを連れて、一旦プラネテューヌ教会へと戻る。出迎えたのは、決戦の場所の報告を受け慌てて出てきたイストワールだった。だが、驚く事はそれだけではなかった。七賢人の一人“アクダイジーン”が、子ども救出で出ていた時に、例のモンスターを引き連れつつ、今までの非冷を詫びつつSOSを求めて駆け込んでいた。問題はモンスターの顔つきが、依然と違い妙に可愛くなっており、ベール曰く“以前の悪寒のようなものは感じない”となっている。何でも、キセイジョウ・レイの急な変化に驚きつつも、子ども(モンスター)達を利用し、使い捨てで女神達を陥れるという作戦に反感、命からがら子ども達を連れてきてここまで来たと言う。この騒動が収まるまで、プラネテューヌ教会の、比較的安全な場所へ隠れているように指示され、職員の監視付で保護される形となる。そして、決戦の場所に関する連絡の中には、獨斗永守の情報、ナナの正体が劔剣士であるという情報が入っていた。更に、その情報の最後にアノネデスのSOSが混じっている事に、教会内は沈黙となる。

 

―――――問題は、性転換の事は載っていないが、何故剣士…ナナがキセイジョウ・レイ側に加担したという事。それ自体は、重い口を開くように、ノワールが語る事となる。

 

「ごめんなさい…私が着いていながら…」

「…誰のせいでもない。戦いとは、常に予測不可能だ」

「ノワールちゃん、大丈夫。きっと、ナナちゃんは戦ってるんだよぉ」

 

時間は、ノワールが通信網を荒らされて飛び出した時まで遡る。ナナの協力もあり犯人を特定、その後永守により送ってきたプルルートも合流し、犯人である凄腕のオカマハッカー“アノネデス”の元へ行く。会話による説得を試みようとしたらしいが、ノワールの沸点が出会った時点で既に達しており、戦いになってしまったと言う。とは言え、アノネデス自体は強力なバトルスーツを着込んでいるが、戦闘自体は不慣れらしく勝利したものの、不意を突かれ得体のしれないアンプルシューターを放つ。そこへ庇いに入ったナナが、ノワールの代わりに撃たれ意識を失い、その間にアノネデスは逃亡、仕方なくプラネテューヌに戻り永守が一人で出て行ったと聞いた途端、突如女神化し一人で飛び出していったという。だが、その時のナナは、目に生気を感じられず、まるで操り人形のように動いていたと言う。しかし、プルルートの言う通り完全に操られているかは一行には分からない。しかし永守は、決戦の場所へと誘い込む作戦なのかもしれないと考えている。

 

「(俺を排除するならR指定のような悲惨な現場になるが、あのまま突き刺した刀を上に向けて切り裂けば済む事…。だが、あいつはそうしなかった。プルルートの言っていた通り、操られまいと必死に抵抗しているのか?)」

「けれど、幾らわたし達の為とはいえ、今まで嘘半分をしていた事に変わりはないわね…聞いてるの?」

「ん…?あ、ああ…」

「そうですわ…。わたくし達でなければ、許して貰らえなかったかもしれませんのに…」

「法で裁く気は無いと…?」

「そうね、虚偽罪ってのもあるけど、犯罪と言えるような事はしてないし、それは向こうでの話でしょ?」

 

女神を守り救出するとは言え、犯罪組織に加担した事は否めない。しかし、それは超次元の話であり、神次元では関係ない事だと言い切る新次元の女神達。そもそも、こっちに犯罪組織というグループや組織はないので、ここでは水に流そうと言う。

 

「そうだよね~。えー君もぉ、ナナちゃんもぉ、悪い人には見えないもんね~。あたしは、そう思うな~」

「…プルルート、確証はあるの?」

「ん~…分かんない~。でも、目を見ればわかるよ~」

「それ、人によってはダメなパターンだと思いますよ?幸い、私も永守さんなら大丈夫かと思いますが (̨̡σ‾᷄ω‾᷅)̧̢」

 

現在時刻は21時…。女神一行は一休みをし、万全な状態で行った方がいいと考えてはいるが、永守自身はそうも言っていられないと考え、直ぐに立ち上がる。

 

「ふえぇ?えー君、どうしたの~?」

「あ、あの、何処へ行く心算ですか?( ゚ ω ゚ )」

「今すぐ、エディンに乗り込む」

「なっ!?話を聞いてねーのかよ!!」

「あなた、前々から思ってたけど、無茶し過ぎよ!!」

「そうですわ!!万全な状態で行くことが賢明ですわっ!!」

 

女神一行は、永守を説得し引き留めようとするも、無茶を承知の上で理由があっての行動だと言う。

 

「…恐らくだが、今行けば奇襲を仕掛けられる可能性はある」

『奇襲…?』

「お前達か来るまで戦っていた奴…あいつは、今の女神を危機管理の無い女神と言っていた。ここで一休みする事を想定している可能性はある」

「…なんですって?」

「危機管理の無い女神…だと?」

「…流石に、それは聞き捨てられませんわね」

 

キセイジョウ・レイが永守に呟きながら言っていた事を、少し偏見交じりにして言う。実査にキセイジョウ・レイは、永守を含めた女神も見下している様子だったと感じている為、そう告げるべきだと考えていた。…プルルートは相変わらず“ほぇ?”と言った様子ではあるものの、残り3人はイラッと来た様子である。

 

「それに、実質七賢人のメンバーは殆どがSOSを出している。これも恐らくだが、統率は殆ど取れていないと考えられる。侵入がバレたとしても、猛威を振るうのは厳しいだろう」

「…成程ね、一理あるわ。なら、移動しつつ休める…そんな移動手段があればいいのよね?」

「そ、そんな乗り物があるんですか(。´・ω・)?」

「ええ。試作段階だけど、軍用として開発してる移動と休みを備えた軍用車両よ。…運転手は休めないけど」

『でしょうね(だろうな)…』

 

“職員が運転出来ないのか?”とブランが問いただすが、アノネデスが好き勝手にやった傷跡がまだ残っており、其方の対処に追われて出動出来ない状況であると言う。内心、自分はいいのか…と思ってしまったのが何名かいる様子。

 

「…だが、それがあるなら話は早い。早速手配してくれ。運転は俺がやる」

「運転できるの?」

「俺が運転出来ないのは、エンジン積んでないか、燃料切れぐらいだ」

「自信満々に言うのね…」

「ですけど、それではあなたが休めませんわよ?」

「心配するな、慣れている。…要望を言えば、眠気覚ましのガムがあればいい」

 

そんな事を言われつつ、ノワールはため息を付きつつも了承し、乗り物を手配するように連絡を入れる。幸い、子コンパと子アイエフは寝ているようで、この話は聞いていない様子である。今回の戦いは、他人を守れる程余裕のない戦いになる可能性が極めて高い、永守の情報から誰もがそう予感している。

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

 

【エディン:七賢人本部】

 

プラネテューヌの北にある山脈地帯。そこに、新たに作られた“エディン”と言う場所がある。町はまだ建設途中だが、教会自体は機能している。何かしら作られている事は、他国にも知られているものの、中身自体は告知されていない為に、民間からも認知が低い状態である。そこに、元々あった七賢人の施設があり、現在はキレイジョウ・レイによって国境無き国エディンとして動こうとしている。

 

「(…ノワールちゃん、気付いてくれればいいけど。ちょっと気に入らないけど、あの男にも頼らざるを得ないなんてね…読みが甘かったかしら?でも、驚きねぇ。レイちゃんが、あの得体のしれない物体を吸収したと思ったら、まるで馴染んだかの様子で、そして人が変わったかのように…。寧ろ、あれが本当のレイちゃんなのかしら?)」

「…随分と送るのが遅かったようね?」

「…もう、脅かさないでよ。心臓が破裂しちゃうわよ、レイちゃん」

「アンタはそんな玉ではないわよね?あと、レイちゃんと呼ぶのは止めてくれないかしらぁ?」

「はいはい…。まぁ、送信が遅くなったのは、財産の問題ね。戦いに継ぎ込んだからか、予算がないのよぉ。これでも節約して最低限の施設は用意した心算よ?」

 

嘘を付きつつ、自らの逃げ出そうと言うSOSを送った事を伏せる。現状としては、ネズミことワレチューも気づかないうちに脱退。マジェコンヌは“付き合ってられん”と言いつつ、自らの手で女神を倒すとして身勝手な行動に出ていると言う。

 

「そんな事はどうでもいいのよ。そっちの方は問題ないのよね?」

「ええ、適合あり…ね。女神メモリーが実に馴染んでいる感じ。ただ、やはり子どもかしらね。随分と、ぐっすり寝ちゃっているわ。当分、目覚めないんじゃない?」

「…まあいい、あっちの方も使えるしねぇ」

「あの、ナナ…いえ、劔剣士の事?今のところ、アタシ特性の操り薬がまだ聞いている感じ。でも、随分と抵抗しているようね…明日まで持つかしら?本当はノワールちゃんに当てる心算だったのに…」

「貴様の戯言はどうでもいいのよ。しかし…腐っても、エリートって事…?ウザいわね全く。まぁ、使えなくなったら捨てるまでの事ねぇ。それに、妨害策は整っている…来るなら、来いって事よ…ふふふ…」

「(本当、今までのレイちゃんが嘘のようね…。このままじゃ、アタシもぼろ雑巾のようにこき使われて捨てられる可能性が高いわね。どうにかして逃げなきゃならないわ……)」

 

冷酷無比とも思える台詞一つ一つに、アノネデス自身危険を感じており、七賢人としての利害一致はしていないと感じている。まるで、あらゆる事を使ってでも破壊に対して快楽(エクスタシー)を求めているかのように…。敵である女神に救援を頼まざるを得ないと矛盾もあるが、背後から常に引き金を引ける銃を突きつけられている感覚で、何時殺されるか…そんな恐怖を永遠に味わうくらいならと、平常を保っているようでかなり追い詰められている様子である。

 

「…あら?何処へ行くのかしら?」

「少々、準備をしなければね」

「準備?見張りは無いとはいえ、既に対策は完璧よ。これ以上なんの準備をするってのかしら…アタシ、気になるけど?」

「くくっ、奴らがくれば分かる事…まぁ、そんな遠くの事ではないわぁ」

 

そう言い残し、キセイジョウ・レイは席を外す。その手に刀のようなものを持っている事を除けば、外に出て空気を吸いに行くだけで済んだ事。興味があると同時に、悪寒のようなものをアノネデスは感じていた。この先、一体何が始まろうとしているのか…。

 

 

 

 

 

 


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