超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene66 開放と決断~Recapture~

【リーンボックス:街中・おもちゃ工場】

 

「オラオラァっ!…っ!!」

 

女神とは別に、1対1のガチンコバトルとなったマジェコンヌと、エースこと永守。マジェコンヌが放つ両剣の斬撃や突きを、永守は受け流しやスウェーで回避する。そして隙を見ては永守も両剣で対抗するように攻撃するも、そのどれもがワザと掠らせるように放つ。

 

「何故だ…何故当たらん…!そして貴様、ワザと外しているな?」

「だったら何だと言う。」

「…緑の女神の言葉通り、あくまで時間稼ぎの心算か。その舐め切った態度、気に入らない…実に気に入らない。」

 

女神側はコピリーエースに集中している為に、永守の方を見る余裕はないものの、マジェコンヌのコピー能力を警戒している為に、あえて超能力も使わず剣技で対抗しているにも関わらず、明らかに戦力差は目に見えて分かる程に開いている。それも永守は右腕を開放しているだけである。それもそのはず…戦った訳でもなく世界線は違えど、一度その戦いを見ておりシミュレート済みの為、永守の豊富な戦闘経験と予測によりその差がある。

 

「ならば、その余裕ぶった態度をへし折ってくれる。」

「…本気を出すとどうなる。ウサギとワルツでも踊るのか?」

「まだ余裕を言うか…この姿を見て後悔しても遅い事を、思い知らせてくれるわ…はぁああああああああっ!!」

 

力を溜めるようにマジェコンヌは体を縮める。マジェコンヌの身体から、只ならぬ黒いオーラが発せられ、遂にはマジェコンヌを覆い隠すように包み込まれる。そして、黒いオーラがはじけ飛ぶと、そこには姿が変わったマジェコンヌ…そう、真の姿の犯罪神だった時の姿へと変わっていた。その姿に驚かないものの、マジェコンヌの戦闘力が飛躍的に上がったことを察知する。

 

「くくく…どうだ。」

「成程。口だけじゃないようだ。これは甘く見ていた。」

「…これを見ても驚かぬか。だが、貴様はいいのか?今なら貴様にも変身をさせる余裕を与えてやろう。」

「なら、お言葉に甘えて…。」

 

その言葉を聞き、永守は右手に力を溜めハードフォーム化する準備の為、力を溜めた右腕を高く上に伸ばす―――――が、その時だった。

 

「馬鹿めがっ!!その瞬間を待っていた!!」

 

その無防備とも言える瞬間を待っていたのか、マジェコンヌは一気に距離を詰めてくる。…が、永守はこれを読んでいたのか、上に上げていた拳を正面に構え、向かってきたマジェコンヌの両剣を受け止める。

 

「っ!!ちぃ、読まれていたか!!」

「その手は…想定済みだ。」

「ぬぁあああ!!」

 

そのままマジェコンヌを含め、両剣を押し出すように殴り飛ばし、再び右腕を上げ永守の身体が光だし、ハードフォーム化を果たす。

 

「ふんっまぁいい…お互い変形した事で御相子な事だ。ここからが本番だ。」

 

が、自信満々に言ったマジェコンヌだが、言葉とは裏腹に直ぐに突っ込もうとはせず、永守の周りをゆっくりと回っている。普段から表情を変えない上に、現在は変身して仮面をつけている為に、表情を伺えずにいる。

 

「(…女神化一人分の戦力はある。口だけではないようだ。この型は防御寄りだが、まともに受ければ致命傷になる。)」

「(ちぃっ…ああは言ったが、思った通り挑発には乗らないようだ。おまけにしっかりと、此方を捕えている…隙がない…。)」

 

その光景は差乍ら、ボクシングのリング中央を死守しつつ、確実にマジェコンヌに威圧感を与えている。ゆったりと動いてはいたが、若干の焦りかフットワークを使いだすマジェコンヌ。だが、打ち込み、斬りかかりの隙がまるで見当たらない。永守も、マジェコンヌの実力を見抜き見の目で見定めつつ、両剣を前に出し警戒を怠っていない。

 

「(…成程、隙が無いのは威圧感だけではない。この男、スイッチの使い手でもあるのか。)」

 

マジェコンヌがフットワークの速度を上げた時に気付いた。永守は基本的に右を主体としているが、正面に構えつつ左利きの構えにもなっている。

 

「(こいつは対人戦には相当強い。女神も人の形をしている…だが、目で追えなければそれまで…!)」

「…!?」

 

永守の特徴を見破ったのか、突然とマジェコンヌは持っている両剣を、ノーモーションで永守の元へ投げてくる。その投げてきた両剣は凄まじい速度で向かってくるが、これを白羽取りで受け止める。

 

「その首、貰ったっ!!」

 

両手が塞がっている所に、マジェコンヌは突剣を呼び出し、首元を狙うよう突き刺す。

 

「…ふんっ!」

「っ!?何ぃっ!!」

 

その突きを膝蹴りと下段肘撃ちで勢いよく挟み、細剣の突きをギリギリのところで止める。その蹴り足挟みを解き、殴り掛かるがギリギリのところで回避される。そこから先は、互いに両剣で攻防をしつつ、マジェコンヌは多彩な武器を作り出しつつ、コピー元のある技を繰り出し、懐に入り込もうと試みている。一方永守も、両剣で攻防をしつつ拳、蹴技、拳銃によるけん制射撃と中・近距離をしつつカウンターを仕掛けていく。だが、コピーを警戒している為に、炎・風の超能力を使わずに戦っている。

 

「…!!」

「おい、貴様!!流れ弾をこっちに流すな!!」

「いやぁ、済まない!こっちはこっちで女神と戦うのが楽しくて!!」

「た、楽しい…?」

「へぇえ…鉄の塊の癖に、中々面白い事言うじゃない。」

「こいつ、頭可笑しいんじゃねーか?」

「わたくし達の真剣な戦いを…楽しい…?舐められたものですわ。」

「ですが、いう事だけあって、こっちも手間取っているのは事実…。」

 

女神一行とコピリーエースの戦いも、ギアアップしたように激しさを増していた。それに伴って、破壊された地面や壁の岩や、お互いの技による流れ弾がマジェコンヌと永守側にも飛んでくる。

 

「(ちぃっ!突っ込むチャンスはあるが、こうも邪魔をされては埒が明かない。おまけに懐に飛び込めがカウンターを狙っている上に、隠し玉も持っていそうだ…ここまでやり難い相手は中々出会えんぞ…!)」

「(コピーされて戦略性を増やされるのを恐れているのは兎も角、自ら縛りプレイを強いられている…アレを試してみるか。)」

 

様子見をしていると思えば、お互い考えていることは結構違っていた。その間に永守が隣をチラッと様子見をし、女神一行とコピリーエースとの決着が付きそうなのを感じたのか、マジェコンヌから一定の距離を取り構え直す。すかさず右腕を前に出し―――――

 

 

 

ビュンッ

 

 

 

「がぁっ!!め、目が…!!」

 

マジェコンヌの目に向け、デコピンに似たコイントスの動作で、弾くと同時に発した空気圧を当て一時的ながら視界を奪う。

 

「空〇脚っ…!!」

「なっ―――――がぁあっ!!」

 

背後に回る気配すら無く、永守はウィンドキネシスによって作られた空気圧を足に纏い、回し蹴りでマジェコンヌの背中へ放つ。不意打ちもあるが、手加減無しで蹴り飛ばした為、マジェコンヌの身体が“くの字”に曲がりつつ、鯱のように顔から数メートル滑りながら吹き飛んでいく。それと同時に変身を解き、降伏させるようにマジェコンヌに向け拳銃を構える。

 

「ば、馬鹿な…何時の間に後ろへ…。」

「そいつを見せたら、お前も真似する。」

「(こいつ…私の能力を知っている…?)」

 

気配がないのは当然である。目を一時的に奪っている間に、テレポートでマジェコンヌの背後へと回ったのだから…。更に、遠回しながら自らの能力を知っているかのような発言に、ピクリッと表情を変える。しかし、変身を解いているのを目にし――――――

 

「ぐっ…!!」

「くくく…そんな豆鉄砲を向けたところで、降参するとでも思ったら大間違いだぞ、若造が。」

 

マジェコンヌの両剣により、永守は腹を貫かれてしまう。

 

「ふぐっ!!」

 

だが、貫いた事で「勝った!」と思い込んだ矢先に、永守の右ストレートがマジェコンヌの顔面を捕え、またしても数メートル吹き飛ぶ。

 

「やるな…少し、お前の力を見誤っていた。」

「はぁ…はぁ…、ば…化け物め…!」

「それは、お互い様だ。俺も…お前…もな…。だが、殺す気なら腹ではなく、心臓か頭にすることだ。」

 

そう言いつつ、永守は体を貫いている両剣を抜き取り、マジェコンヌへ向けて放り投げる。抜いた際に痛みがあったのか、息が上がっているように見えるが、明らかに出血が貫かれたとは思えない程少ない事にマジェコンヌは気づく。

 

「くぅううう、いい戦いだった…ここまで激しくぶつかり合えたこと、俺様は心から誇りに思うぞ!!」

「勝負あり…ですわね。」

「全く…戦い辛ー奴だったぜ…。」

「でも、私達が負けるような相手ではないわね。」

 

女神とコピリーエースの戦いも勝負が着いた様子だ。マジェコンヌはゆっくりと立ち上がるが、永守は銃を向けたまま発砲しようとはしない。

 

「…何故だ、何故…トドメを刺さない。」

「確かに、ここでお前を倒しても俺自身は困らない。だが、今の思想は女神と同じ…色々と聞きたい事がある。」

「ちぃ…甘ちゃんが…。その余裕ぶった態度は、私は一番嫌いだ…!」

「おいおいおい!!戦い終わった後に喧嘩はよくないぞぉ!!勝ち負けよりも大切な事があるだろう。ここは、素直にお互いの健闘を称え合う!!それが、フェアプレー精神だ!!」

「アホか貴様は!!何処にそんな精神で破壊活動する奴がいる!!」

「何ぃ!いるじゃないか、ここに!!」

『………。』

 

戦い前にあった漫才が再び始まり、全員が沈黙してしまう。…一人だけ、その中に飲み込まれずにいる人物がいる。

 

「お前は、俺の事。いや…伝説の書に関して知ってそうだ。」

「はん、私は聞きかじった程度しか知らん!」

「そんなのはどうでもいいわ。こんな事が出来ないよう、今度は粉々にしてあげるわ!」

 

ノワールが自信満々に剣を構えなおし、その矛先をコピリーエースへと向ける。

 

「ここで壊されても構わないが、私にはやらねばならない事がある。」

「…やらなければならない事?」

「こいつをこんな魔改造した馬鹿に文句言わなければ気が済まん!!だが、次はこうはいかんぞ!おい、いくぞ。」

「おおお?今度は基地まで追いかけっこか?よぅし、いいぞぉ!!待て待てぇ!!」

 

そう言い残し、マジェコンヌとコピリーエースは一目散に撤退していく。当然、女神はそれを許す訳がない。

 

「逃げられると思ってんのか?直ぐとっ捕まえて―――――」

「ばいば~い、またねぇ~。」

 

何と、何時の間にかププルートが女神化を解いており、一目散に逃げていく二人に手を振っているのだった。

 

「ぷ、プルちゃん…!?」

「何で変身解いてるのよ!!」

「ほぇ?ダメだったのぉ?」

「ちぃ、目を離してるうちにあんな遠くへ…。」

「ぷぅ~、何時もは変身ダメって言うのにぃ~。それにぃ、今日はぁ、えー君でお腹いっぱいだしぃ。」

「…俺のせいか…。」

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

【プラネテューヌ:教会】

 

…いきなり話が吹っ飛ぶが、七賢人がリーンボックスで起こした騒動から暫く経つ。あの戦いの後、ベールは感謝の意を込め一例をした。頂点の座は諦めてはないが、和解という事を含め協力関係を築くようにすると言った。それからというものの、イストワールの協力、ルウィーの本による解析も得て、伝説の書に関して調べたものの、結果からして―――――

「災いの時に勇者が現れる。その者、人の子であらず。その者、光にもなり闇にもなる。その者、女神に並ぶ者なり。」

―――――という情報しか分からず…はっきり言って、俺は勇者に相応しい生い立ちも、活躍もしていない。とは言え、一致している部分があるのが気がかりだ。まぁ、肝心の女神様も俺に関しては感づいたらしく問い詰められる。全ては教えられないが、“別の世界から来た”という事は伝えた。事実、ナナの事もあり別次元から来ることは可能ではと、イストワールは結論付けてる。…全てを話した場合、何か嫌な予感もあり“軍事機密”のような形で誑かしているが、何時までこれで凌げるかは分からない。ナナの記憶も、まだまだ完全ではないものの、戦い方に関しては感を取り戻したと言うべきか、対コピリーエースと比べた時とは違う構え、攻め方となっている。また、顔や名前は分からないがある人物と共に行動していたというのも分かったと言う。お人好しかもしれないが、この記憶喪失に関しては協力的に行っている。

 

だが、現状ではあまりにも情報が少なすぎる為、ナナが初めてプラネテューヌ…ゲイムギョウ界に現れた場所へと赴く。そこで、面白い事が分かった。イストワールの話では、ここ神次元には“バーチャフォレスト”という場所は存在しない。況してやバーチャフォレストと同じ座標に来ても、その場所は獣道と言っていい程の未開拓地だ。不思議な事にここ周辺は、管理課でないにも関わらずモンスターが居ない。普通の人が来ても分からないだろうが、俺には感じる。あの二人の力を、ゼロとセグゥのエナジーを…。

 

「…お前の、仕業…だったのか…?」

 

ブルルル―――――

 

「………。無線…?」

 

自らの右腕にそう呟きながら見ていた最中、ルウィー奪還の際に鳴った以降、何にも音沙汰無かった無線機が、突然と無線が入る音がしている。それも弱々しかったルウィーの時と違い、確実に着信している音だ。無線をONにして通話状態にする。

 

≪おお、ようやく繋がった。流石吾輩だ。≫

「………。」

 

忘れるはずがない。嘗て悪に染まった際に手を組み、犯罪組織・四天王の生き残りとしていた―――――

 

≪おお、酷い酷い。あの小さな司書程ではないが、調整に三日、更に三日掛かってようやく出来なのに…。≫

「三日…?」

 

確かに、無線越しに聞こえるトリックからは()()と言った。だが、俺の知る限りでは()()が経過している。…詰まる所、時の流れがこっちの方が早いということか。ネプテューヌだったら「1095日経っちゃってる!!」とか言いそうだ。おまけに計六日か。

 

≪…?どうした、吾輩はおかしな事は言ってないぞ?≫

「…いや、何でもない。まさかと思うが、前の無線もか。」

≪おお、そうだぞ?まだまだテスト段階な上に、調子も悪かったから仕方なかったのだ。だが、今は司書と同じ方法で吾輩もデジタル世界へダイブし、こうして短時間ながら連絡が出来る程になったのだ。そう、吾輩はデジタル世界にダイブする事ができ、二次元の―――――≫

「それ以上いけない。」

 

これ以上聞いたら、脱線する上にこいつの趣味に付き合う気もない。

 

≪相変わらず、連れない男だ。≫

「…趣味の話だけなら切るぞ。」

≪仕方ない…本題に入ろう。此方の世界でな、謎のエネルギー反応が突如現れたと思ったら消えたのだ。もしかしたら、貴様と同じく時空を超えていった可能性もあると、マジェコンヌは見ている。≫

「…マジェコンヌの配下にいるのか。」

≪いや、今はリンダと共にいるぞ。マジェコンヌ様は“自然を耕す”と言って、ナス農園を経営しているぞ。…今の吾輩は、あのネズミより小さくなってしまったからな。戦闘ではまるで役に立たん。だが、今や吾輩は二次元の幼女を―――――≫

 

―――――ブツッ

 

また趣味の話になった為に無線を切る。こいつにこの世界のアイエフ、コンパ、ピーシェの情報をキャッチされても困る。奴の対象に含まれるのは間違いないのもある。兎に角、情報は手に入った。一応イストワールに報告するよう言われてる為、このままプラネテューヌに向かう。

 

 

 

もう一つ悩みはある。もう彼女達も4、5歳になる。つまり、無邪気であり好奇心旺盛になると言えよう。これの何処が悩みになるかと思うかもしれないが、その答えはプラネテューヌの教会の扉を開けた先にある…。

 

「あぁ!!えいえいだ!!くらえーっねこぱーんち!!」

「っ!!」

 

幼い声と共に、強烈な右ストレートが飛んでくる。受け流しは可能だが、子ども相手に受け流しをしたら、子どもの方がそのまま流れて怪我をしかねない。その為、力を分散するように防御はするのだが…。

 

「(…また威力が上がっている。)」

「うー、あたるとおもったのにぃ!!」

「うーん、つぎは上手くいうようにかんがえなきゃ!」

「ぴーしぇちゃん、がんばるですっ!」

「…あの見た目で、周りと溶け込めるなんて、どういう人なのかしら。…人の事は言えないけど。」

「でも、それって取柄としてはいいんじゃないですか?見た目は兎も角。」

「まぁ、あの子たちも随分と大きくなったわね。」

「はい、子どもの成長は早くて…もう私ではお相手できないですよ。(´エ`;)」

「可愛いですわね、本当に…わたくしの小さい頃と同じように…。」

「(…殴られたことに関しては無視か。)」

 

とまぁ、このピーシェは拳に関しては驚くほどの才能を秘めている。普通の人が腹にクリーンヒットしたら、ホワイトホールが発動して大変な事になるに違いない。

 

「それにしても、どうして女神様が揃いも揃って、ここに集まるのでしょうか…只でさえ子ども達もいるのに、ここは溜まり場ではありませんよ(´Д`q;)」

「…俺に言うな。(´。` ) =3」

「あっ!ダメですよ!!それは私の特権なんですから!!o(*≧д≦)o」

 

特に理由もないのだが、ここプラネテューヌ教会に女神全員が集まっている。別に会議をする訳でもなく、各々と集まったというべきか…。ベールに限っては復興する前に、“いつの日か頂点を取って見せます”といいつつ、呑気に用意した紅茶でティータイムを堪能している。

 

「いいじゃありませんの。こうして皆さんと交流することも大事なのですわ。」

「…地の文を読むな。」

「そうね、ちょっと窮屈かもしれないわ。」

「だったら、来なければいいじゃない。」

「…そういうノワールさんも、何で来てるんですか。」

「でもぉ、賑やかなのも、いいよねぇ~。」

「と言うよりも皆さん、そろそろお仕事を…って言っても無駄ですよね。どうして女神様はこう呑気なのでしょうか(; ̄Д)=3」

 

束の間の平和になるのか、嵐の前になるか…それは分からない。が、七賢人はまだ幹部クラスを見たことがない。規模が縮小、世間的に悪として広まってはいるが、とても黙って見ている組織とは思えない。恐らくは何かを企んでいる可能性もあると踏んで、ある程度は調べた方がいいだろう。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

【???:会議室】

 

「…私達、追い詰められてる事に変わりはないのだけど、これを打破するには大きな一手を打たなきゃいけないって訳ね。そこで、遂にプランAを実行する予定だけど、皆いいわよね?」

「ふふっ、いよいよね。」

「いよいよっちゅね。」

「くくく…もう待ちの構えをする必要が無くなったのう。」

「ふんっ能ある鷹は爪を隠す…そして、その研いで来た爪を三年越しに開放する時…。」

「おっ、オバハンにしては珍しくいい事のように言うっちゅね。」

「貴様…一言多いぞ。それにこの作戦、私は気に食わんのだぞ。」

「な、なんで皆さんアノネデスさんの話は、素直に聞くんでしょうか…。」

 

七賢人達が企んでいた事を、遂に実行するかのような発言がある。その筆頭にアノネデスというボディスーツを身に着けた男が言う。

 

「あらぁ、マジェちゃん。こっちは追い詰められてるのよ。もう手段を選んでいる暇はないのよぉ?」

「だが、それは組織としての力であって、私自身が行ったという実績ではない。」

「おいおいおい!!仲間割れは良くないぞ。この作戦を成功させるには、全員の協力が必要なんだぞぉ!!」

「…ふんっ。貴様の事はまだ根に持ってるんだぞ…。」

「あ、あのぉ…まだ、アブネスさんが…。」

「放っておけ。あんな五月蠅いのは、今回の作戦には邪魔なだけじゃ。」

「これじゃあ、七賢人じゃなくて、六賢人っちゅね。」

 

そう、この大事な会議?にアブネスの姿が居ない。と言うのも、動く度に評判がマイナスに

動く状態であり、成果を上げられない事が自分の株を下げてしまっている。その事が気に食わない為に、現在のアブネスはソロ活動をしている。最も、その評判は鰻登りもしないが下がりもしない平行線を保っているそうだ。

 

「じゃが、これで女神一行に大打撃を与えられるのだからな。ぐふ、ぐふふふ…。」

「ふん…確かに、奴らの力を抑えるには仕方ない事だが、またしても汚れ仕事か…。」

「ぢゅ~、またオバハンと一緒っちゅかぁ…仕方ないっちゅね…。」

「おう、任せておけ!俺様なら、必ずや成功させて見せる!!」

 

やる気満々と乗り気ではないメンバーがいるものの、これしか打つ手はないと言えるのか、一致団結という形で進めていくこととなる。

 

「…あ、あのぉ…。」

「なぁに、レイちゃん?」

「また、あれを行うんですか…?それに、あっちの方は…。」

「今更躊躇してもダ・メ・よ。アタシ達、もう崖っぷちで引き返せない所に立ってるのだから。まぁ、レイちゃんの言う通り、あの拾ってきた奴を使えばいいけど、どういう訳か修復が上手くいかないし、あんなキモィのを使うのも、アタシの趣味じゃないのよ。」

 

話によると、漂流していたのを拾ったらしく、何かしらの理由で破損はしているものの凄まじいエネルギーを放出し続けているらしい。だが、その見た目は気持ち悪く、おまけに制御しきれないでいる為、保管を兼ねて自動修復を行っていると言う。

 

「そ、それはそうですけど…で、ですが…。」

「はい、そこまで。もう多数決をとっても結果は見えているわ。全員の準備が整ったら、本格的に動くわよ。くれぐれも、アブちゃんには気づかれないようにね?」

 

 

 

 

 

 

 


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