超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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Scene57 HardReverse・想いを青空に~AceDokuto~

 

 

【ギョウカイ墓場】

 

これは、夢なのか、奇跡が起きているのか…今、わたしが見ている光景を受け入れるのに戸惑ってしまった。数分前まで、後ろの方で交戦していたコンパやアイちゃん達が全員現れて、その後ろから、全身が炎に包まれつつ背中に炎の翼が生えてる状態の、えい君が来ている。コンパやアイちゃん達以外のわたし達女神は、目の前の状況が急すぎて固まってしまう。

 

「よぉ、ネプテューヌ、ネプギア。」

「え、永守…さん…?」

「…よぉ。じゃないわよ…!どうして、えい君がここに…!?」

「色々、あってな。説明は後、時間がない。奴をさっさと葬るぞ。」

 

時間がないという単語が気になったけど、えい君に身を任せるように手を引っ張られ立ち上がる。燃える手で触られたけど、熱いとか燃え移ることはなく、寧ろ暖かく癒される感じ…そしてえい君は、エンデの前まで歩いていく。

 

「まさか、君がここに来るなんて…!!」

「生憎、天国も地獄も満席…お前を手土産にする時間はあるようだ。」

「有り得ない…、何故だ…!!」

「その様子…どうやら、元の身体であった予知能力はなくなったようだな。」

「くっ…。」

「図星みてぇな顔してやがる…。アンタこそ、そこまで予測出来たのか?」

「奴が露骨に言うのは予想外だが、犯罪組織にいた2年間に、先回りされるような出来事がなかった。つまり、元々あった予知能力が犠牲になった。だが、奴のエネルギーは以前よりも強いのは確かだ。」

 

えい君が言う通りであれば、あのエンデはわたし達の次の行動を読めないという事になる。つまり、読み合いに関しては同等…。

 

「時に小僧、策はあるのか?まさか、手ぶらで来た訳ではあるまい。」

「ふっ、小僧か…。マジェコンヌ、確かにアンタにとってはそうだな。まぁ、この通り手ぶらだけど、奴に対しての土産は用意してある。」

 

えい君が、マザコンヌと言った…つまり、この女性はあの時の?ただ、姿形は違うけど…。その女性にえい君が両手をぶらぶらさせながら言うけど、策はあると言って、エンデの方へ歩み寄っていく。歩み寄っている時、えい君は左手を側頭部に当てるのを見る。

 

〔よく聞け、俺が奴を暫くの間足止めする。全員集まって、邪聖剣に持っているシェアエナジーを全て集め、それを放つんだ。〕

「…!?みんな…!!」

 

どうやら、ネプギアも聞いていたらしく、わたしと同じく直ぐに行動に出ていた。そして、みんなにえい君が伝えた事を言い、邪聖剣に力を集めるように促す。

 

「何で、一人で行かせるのよ!」

「アイツの事だ。また無茶しちまうじゃねぇかよ!」

「わたくし達も加勢したほうがよろしくて?」

「………。」

 

言葉にするには少々難しい。なんてったって、感じるもの…えい君から一人とは思えないシェアエナジーとも、アンチエナジーとも言える力が…。

 

「安心しろ。貴様達が考えているよりも、あの小僧は強いぞ。精神的にも…。」

「お姉ちゃん…あたしからも、今は言われたことに集中しよう。」

「そうだよ、永兄はいつも言った事は100%じゃないけど、ちゃんと守ってきてたんだから!」

「最高の、チャンスだよ。(ぐっ)」

「永守さんは…必ず、やる。」

 

各々の妹達が説得していく。確かに、空白の3年間がある以上、今のえい君をよく知るのは、女神候補生であるネプギア達の方だ。

 

「お姉ちゃん、やろう!それで、皆と一緒にゲイムギョウ界…プラネテューヌに帰ろう!」

「ネプギア…。」

「そうよ、ネプ子。今度失敗したら、捕まるだけじゃすまないんだからね。」

「また、あんな事になるのも嫌ですけど、ゲイムギョウ界が消えるのも嫌です!!」

「そーいう事だ。じゃねぇと、アイツに借りを返すことも出来なくなっちまう。」

「何度目か覚えてないけど、また世界を救うにゅ。」

「ゲイムギョウ界の為にも、ビシッと決めなきゃね!」

「我が魔術と科学力の力、十二分に使ってくれ。」

「また、楽しい日々の為にも、力になるよ。」

「シェアを送るのは初めてだけど、出来る限りの事はやるよ。」

「今回も巻き込まれる形になっちゃったけど、あたしも協力するよ!」

「ぼ、ボクは、歌で…みんなに力を…!!」

 

…そうだ、これだけの仲間がいるんだ。みんなの力、仲間、友情の力を今ここに―――――

 

 

――――――――――

 

 

俺は、ネプテューヌとネプギアに伝えるべき事を伝えた。後は、奴にネプテューヌ達の攻撃を100%当てるように事を運ぶだけ。

 

「どうした、お得意の見下した態度は…。」

「………。ふっ、そうだね。こう考えることも出来るね。また会えるとはね…永守…。」

「挨拶は程ほどにしな。じゃないと、火傷では済まないぞ。」

「ふふ…だが、最も彼女達の戦意を喪失する方法。それは、君を彼女達の目の前で殺す事。それが、僕の生き甲斐であり、君を殺し損ねた僕に対しての褒美。彼女達に何か入れ知恵したみたいだけど、その前に君を消せば…そして、ゲイムギョウ界…いや、全世界も消える。悲しい事だね…。」

「…消えたら、な…。悪いが、三度目も四度目も、お前の思い通りにはならない。」

 

「ふっはっはっはっ!」と笑いながら、奴は俺に向かいつつ両剣を縦振りしてくる。それを、俺は右腕で受け止める。その衝撃で、右腕に付けていた長手袋が弾け飛ぶ。

 

「やはり、その手を使うのかい。」

「こいつは、単なる腕はない。お前とは反対の道を選び、平和の為に戦った闇の力…。」

「…!!な、なんだ、その力は…それに、なんだこの歌は…!!」

「これは、この闇の力と共に戦った女神の力。…そして、この力は、俺に生きる希望を植えてくれた者の力…。」

 

歌は、恐らく5pb.だろう。体の奥底に眠っていた力が徐々に湧き上がってくる。それと同時に魔人のような黒い右腕が、白くなると同時に赤白い強烈な炎が出てくる。その影響でか、俺の身体全体がゾディアーク化とは違うフォームに変化している。邪聖剣程の力はないのは分かる。だが―――――

 

「毒を制すには毒を制す…だが、この力は違う。明日の平和の為に、命を削ってでも目指した者の力だ。」

 

右手を天に掲げる…今日の為に生き抜いた仲間たち、明日を見る事の出来なかった人々の想い、そして…俺の魂の雄叫びを、お前に食らわせてやる。

 

「シェア・ヴェルト・リヒト…!!」

 

右腕から強い光が放ち、天高く舞い上がる。そして天高く舞い上がった光が、5つに分かれ、エンデを囲うように降り注がれ、5つの光の柱が出来る。

 

「何をするかと思ったら、ただ光を注いだだけ?拍子抜けだよ。」

「どうかな…。手足や、体を動かしてみろ。」

「言われなくても、君を殺す為n…何…!!」

「悪いが、これは攻撃技ではない。女神の力を代償に使う、完全なる封印術。…代償は、肩代わりしてくれる人がいる。」

「なん…だと…!?」

「…お前達、準備は出来たか?」

『いつでも…!!』

 

ネプテューヌ達に準備が出来ているかを問い、分かり切った回答が帰ってきた。それを聞いた俺は、ネプテューヌ達の元へテレポートして、ネプテューヌ達の持っている邪聖剣に手を添える。

 

「えい君(永守さん)(永兄)…!」

「さぁ、最後の共同作業だ。奴にトドメを…。」

『うん…!!』

 

そして、剣先からまるでチャージショットを溜めているかのように強力な光が集まり、一つの巨大な球体が出来る。それと同時に、全員にも脳裏に浮かんだらしく、技名とも思える言葉を口にする。

 

『ハード・オブ・テイルズッ!!』

 

全員がそれを言い終えた瞬間、球体がエンデに向かって放たれる。まるで、ロッ〇マンのPチャージショットを思い浮かべる強力なショットだ。

 

「ぐあああああああああああ!!!」

 

―――――その強力なチャージショットが通り過ぎたところに、エンデはいなくなっていた。

 

『勝った(終わった)…?』

「…そのようだ。奴の力を感じなくなった。」

 

俺がそういうと、全員が歓声ともいえる声で大喜びしている。…やはり、強い者同士の一撃必殺は一瞬で終わってしまうな。だが、それだけではない。奴には感情があるが、人間のような“心”は持っていない。ただ単に、最強と言うおもちゃを渡した子どものように、殺戮の欲求のみで動いていたに過ぎない…。ゲイムギョウ界にいい知らせが出来そうだな…ネプテューヌよ。全員が喜んでいる中、ネプテューヌ達が握っていた、落ちている邪聖剣を拾い、祭壇の所へ一人歩み寄る。

 

 

――――――――――

 

 

『やった、やった…!!』

「長かった…。また、みんなと一緒に、ゲイムギョウ界…プラネテューヌに戻れるね、お姉ちゃん!」

「うん!!」

 

3年間…この長い長い戦いが終わった…。気の緩みか、わたし達は、変身が解けていることも忘れ、盛大に喜んでいた。わたしはネプギアと何時の間にか手を繋いで互いに歓声に浸っていた。でも、その輪の中に一人、立役者ともいえるえい君の姿がない。

 

「…えい君?」

 

ふっと、倒した相手がいた祭壇の方へ眼を向けると。そこには、ゲハバーンを持ってたえい君がいた。それに気づいたわたしは、ネプギアと一緒にえい君の方へ向かう。みんな気付いたのか、えい君の方へ歩み寄っていく。

 

「えい君、何してるの?」

「もう、終わったんですよ?後は帰るだけじゃ…。」

「…悪いな。俺には最後の仕事が残っている。」

「最後?何よそれ。」

「ハードリバース。このゲイムギョウ界を、俺の肉体と、多くの仲間たちと共に、あるべき姿に戻す。それが、俺の最後のミッション。」

『ハード…リバース…?』

「えい君の…肉体…?」

 

えい君が言った言葉が信じられなかった。戻ってきて、わたし達の世界を救ったのに。また、消えるような事に?

 

「あ、貴方、また消えるの…?」

「どういう事よ。」

「説明して下さります…?」

「………。言ったとおりだ。それが、俺が生まれた理由だ。」

「ダメ…!!なんで、えい君も、一緒に…!」

「無理だ。俺に残された時間は、5分もない。」

『そんな…。』

 

酷い…酷すぎる…。せっかくまた会えて、一緒にゲイムギョウ界に居られると思ったのに…!!

 

「悲しむな、ネプテューヌ、皆…。これが、別れではない。…逆に、俺はお前達に感謝したい。」

『…え?』

「俺は、奴を倒したら消えようと考えていた。…まぁ、一度は消えたんだがな。だが、お前達に出会えて、不覚ながら生きる意志を貰った。そして、俺に新しい人生を与えてくれることになった。」

「じゃあ、また、帰って、来るのか?」

「まぁ、そういう事だ。それにな…こんな、俺に付き合ってくれて、ありがとう。」

 

わたし達全員、涙を流していたが、それ以上に驚いたことがある。…真顔だけど、えい君が大粒の涙を流してた。

 

「…ダメだよ、えい君。最後の仕事があるんでしょ?しゃきっとしなきゃ!しゃきっと!!」

「………。そうだな。」

 

えい君も、泣いている事に気づいたのか、涙を拭きとる。

 

「まぁ、お互い大変だろうが、青空でも眺めて、ゆっくり歩いていこう。」

 

そういって、えい君は光の方へ向かい、ゲハバーンを地面に突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

…あの戦いから一週間が経ちました。犯罪神、ギョウカイ墓場は、永守さん…獨斗永守によって、肉体と共に完全に消滅したみたいです。そして、ハードリバース…。この力に私達は正直驚きました。復旧予定だった街や建物が、元通りに近い状態に戻っていたのです。いーすんさん達含む、教祖様や職員も最初は元通りになっていく景色を見て驚いたそうですが、その流れてきたシェアエナジー等から、“そういう事、そういう事であろう”と、何処か悲しそうでありながら、感謝の意を示していました。だから、今の私達がいる…今はそう考えています。一緒に旅をしたみんなは、それぞれの生活に帰っていきました。…まぁ、中にはまだ悪い事を考えている人もいると思いますが…。

 

ユニちゃんは、ノワールさんと一緒に、ラステイションをプラネテューヌに負けない立派な国にするって言ってました。表面上はライバル関係ですが、ユニちゃんとはいつも通り仲良くやってます。お姉ちゃんも、ノワールさんとはいつも通りの関係ですね。そうそう、日本一さんは暫くラステイションで活動すると言ってました。どういう縁かはわかりませんが、“ラステイションが、呼んでいる!!”と言ってました。

 

ベールさんと、スミレちゃんがリーンボックスに戻ると聞いた時の、教祖様であるチカさんの喜びようは、少し引いてしまいましたが、凄く喜んでいました。驚いたのは、ジンさんがリーンボックスの特命課に就任したのを聞きました。とは言え、基本的には放浪の旅に近い形でゲイムギョウ界を回っているそうです。でも、スミレちゃんは何処か嬉しそうだったので、それはそれでいいのかな?

 

ロムちゃんとラムちゃんも、ブランさんと一緒に帰っていきました。ロムちゃんだけは、ちょっぴり悲しそうだったけど、近いうちにまたルウィーに訪れる事を言ったら、喜んでくれました。

 

プラネテューヌは…まぁ、いつも通りですね。ただ、いつか戻ってくる永守さんの為に、席は空いてます。あれだけの悪事をしていたのですが、教会内で永守さんを悪く思う人は不思議といませんでした。…とりあえずは、元通りという感じです。

 

「あーんっ!」

「…まったく、あれだけの事があったってのに、ピクニックに行こうだなんて…お気楽ね。」

「ええ、逆だよ!あんな事にあったからこそ、エブリディしなきゃ!!」

「意味が分からないわよ。」

「あはは…。」

「でも、わたしはあんな事があったからこそ、少しは…。」

「…そうね。今日ぐらいは…。」

 

…永守さん。今日もプラネテューヌは平和です。貴方の帰りを、お姉ちゃんと共に待っています。

 

 

 

 

 

 


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