…にしても、ホントにアチィ…あと迷走してる感もある
戦闘が始まるように、偽物のS.T.O.P.メンバーが攻め始める。ジョニー・メイヤーはベールとスミレを、弐条令司はブランとロム、ラム、劔剣士はノワールとユニ、不運にもネプテューヌとネプギアには獨斗永守がたちはだかることとなる
「くっ!!レイニーラトナビュラっ!!」
「シレット…キャノン…っ!」
此方に突進してくる殿方、偽物であるジョニーさんが、わたくしの所へ向かってくる。そこに、合わせるように得意技の一つである、レイニーラトナビュラによる連続槍突きを放つ。その連撃に合わせるようにグリーンシスターことスミレが、大地の力を宿した矢を標的である偽物のジョニーさんに放つ。ですが、ジョニーさんは微妙な風の動きを読んでいるのか、わたくしの攻撃を躱しつつ、スミレの矢を掴むことに驚きをかくせませんでした。
「っ!?」
そして、その予想を超える行動をしてくる…掴んだ矢をわたくしに向け、矢尻を利用した突きを放つ…ように見せかけ、本命は遠距離攻撃をするスミレを先に倒す為、その矢を投げようとする。でも、わたくしだってここまでの経験と勘で、その事をある程度予測もしていましたし、その軌道をかえるべく自然と手が動き、槍で投げる方向を微妙にずらしスミレに当たるのを回避させましたわ。
「武器を持っていられないのに、中々のやり手ですわね…。」
「見える…制空拳…。」
「ええ…ですが、その制空権以上の空間を持っていますわ。環境利用戦法…あの方にとっては、全てが武器になるということ…それを突破しなければ、わたくし達はあの方を止める方法はありませんわ…。」
嘗ての永守さんの説明によれば、“観測士いらず”と言われる程の警戒心が強く、警告空間とも言える“ジョニーテリトリー”。そして、場所を選ばずあらゆる草木や砂、身の回りにあるのを武器として扱い、僅かな足音や風の流れすら読み取る自然術に卓越しているとも言える…実際、こうして手を合わせてみますと、中々どうしてか話以上に隙が見当たりませんわね。
「突破口は…?」
「………。わたくしに、いい考えがありましてよ。スミレ、上空に大量の矢を放つ…矢の雨を降らすことはできまして?」
「…できる。」
「出来る限り、大量にお願いしますわよ…!」
スミレは、数本の矢を殿方に放ったあと、数本の矢を生成し上空に向けて弓を構える。
「アロー…レイン…!!」
上空に放った数本の矢がそれぞれ頂点に達すると、頂点で分裂してまさに矢の雨と言っても過言ではない程に振ってくる。それを見た殿方は、圧倒的な数に避けきれないのは手で払いのけるようにしている。しかし、どう見てもその手は忙しそうに見える。
「さぁ、これは避けられますか?…御行きなさい!!」
わたくしの魔力によって生み出した、大量の風の槍を放つ魔法“インビトウィーンスピア”を放つ。追尾性も兼ねていますので、流石にいくつかは回避できていないのを見る。そこに隙を与える事を許さない“スパイラルブレイク”を放つ。
「…美しく、散りなさい…!!」
「シャープ…シューター…!!」
流石と言うべきか、一閃の如く切り裂くものの、幾つかは防がれている…ですが、深手はないにしてもダメージは入っているのは目に見えて分かる。そこに、トドメの渾身の槍投げを放つ。スミレもそれを見て、渾身の矢を放つ。
「…やった…?」
「………!?上ですわ…!」
咄嗟に気配を感じ取り上空に注意を向けると、人とは思えない程に高々と飛んでいる人物がいた。そして、ライダーキックの領域で、わたくしたちの所へ割って入るように蹴りを放つ。スミレもそれを見て、お互いバックステップして避ける。着地地点には、クレーターが出来る――――――――――
『なっ!!』
そして、わたくし達は驚きを隠せていなかった…避けてはいたのだろう。しかし、幾つかは避けるのを諦めたのか、明らかに攻撃を受けた後や、矢が体に刺さっている…にも拘わらず、地面が陥没する程の威力…。勇気、無謀、不屈の精神…生きている屍とかで片付くようなものじゃない。ですが――――――――――
「どうする…?」
「答えは一つ…退いてはダメですわよ。例え、向こうに不幸な事があろうとも、わたくし達が勝つことに意味がありましてよ。国民は、わたくし達が帰ってくることを待っている…そして、あの人も…。」
――――――――――
「オラァッ!!」
両腕を岩で固めた2mを超える大男と対峙している。巨体からとは思えない、暴力的でありながら、鋭いコンパクトなパンチを仕掛けてくる。そこに、わたしの戦斧と、岩拳のぶつける音と共に衝撃による風が伝わってきやがる。
「はやい…!」
「んもー、しゃげき魔法じゃ当たらない!!」
わたしの攻撃に合わせてロムとラムが氷魔法を放つも、わたしの攻撃含めガードやスウェーで避けやがる。俗に言うボクシングスタイルって奴か?そして、偽物の弐条令司は距離をとり、岩球とも言える棘突きの岩を作り出し、そいつを投げてきやがった。
「味なまねを…舐めんなよ!!」
飛んでくる岩石に対して、野球のバッターの如く戦斧の側面を利用し撃ち返す。その岩球は剛速球ともいえる速度で弐条令司へと戻ってくる。その帰ってきた岩球を、ピーカブースタイルのような構えをして腕全体を岩上にして防御する。
「ロムちゃん、土の弱点は風だよ!」
「うん、本で読んだことある。」
「それじゃあ、合体魔法でいっきにコテンパンにしちゃおう!」
「わたしと、ラムちゃんの力。見せてあげる。」
『ダブル・アイシクルトルネードッ!!』
二人は杖を合わせ、合体魔法を放つ。古の杖の力もあってか、強力な氷の竜巻魔法が放たれる…。しかし、ここまで来るまで二人の実力は上がっているのは確かだが、古の杖の力も相まってオーバーな威力を出しているようにも見える。
「やったね!」
「ぶいッ!」
「とんでもねぇ威力だな。…だが、安心するのは早ぇようだぞ。」
わたしの言葉を聞き、二人も令司の方へ向き魔法の影響による砂煙が収まると、仁王立ちの奴がる。その姿は、全身がメタリック状…某配管工のメタリック化の如く、何事もなかったかのうように佇んでいる。
「どうやら、防御力は能力的に相当高ぇようだな。」
「だったら、倒れるまで魔法を打ち続けるのを止めないだけだよ!」
「そういう事。(うんうん)」
「なんだよ、同じこと考えてたのか。なら、話は早ぇな。ロム、ラム…全力で叩き潰すぜッ!」
『うん!』
――――――――――
「はあああああ!」
「当たれっ!」
確か、この男は永守と組んでいた男だったわね。氷の剣を作ったり、地面に氷を張り、アイススケートのように滑って加速、避ける。私も負けじと攻撃をし、追撃もするも、それを追いかけるように、ユニが撃ち続ける。
「っ!!ぅわッ!!」
そこへ、ユニに向かい氷で作られた刀が飛んでくるのを、ユニは間一髪で避ける。だが、代償として接近を許してしまう。
「っ…舐めなで!!」
驚いた事に、ユニは古の銃で打撃を仕掛ける。銃は殴るものという考えはなかったのか、腕を十字に構え打撃を防御し距離を取っている。ここに到達するまで、ユニも自分を見直してきたってことね。
「…!!しまったっ!!」
そんな事を考えつつ次の行動を考えていたが、急に私の体が宙に浮き始める。剣士のテレキネシスであると瞬時に把握する。そして、頭が下に向くように回転する。
「させないわよっ!!」
ユニはすかさず、まるで標的はこっちだと言わんばかりに声を張り上げつつ銃を向けX.M.Bを放つ。それに気づいた剣士はテレキネシスを止め、避けることに専念するよう逃げる。テレキネシスの効果が切れたのを感じた私は、頭から落下し始めるが、うまい具合に受け身を取りよう難を逃れる。
「有難う、ユニ。助かったわ。」
「でも、近・遠距離とも備え、相手の動きを封じるだけでなく、念動力のように人を動かせる。厄介な相手よね…モンスターでもこんな多彩なのはいなかった。」
「ええ、しかも戦術がサムライとニンジャを足したような感じだわ。それも高水準…永守の相棒というだけあって強いわね。」
「けど、勝つのはアタシ達だよ、お姉ちゃん…!」
「頼もしい事いうじゃない。なら、私も妹に負けてるわけにはいかないわ!!」
向こうは既に氷の剣を構えている。なら…私は剣を地面に思いっきり擦る様に横振りをする。
「貴方の氷と、私の炎…どっちが強いか、教えてあげるわ。ヴォルケーノダイブ!!」
炎を纏った剣による連撃、それを氷の剣で受け止める…なんて硬さなのよ。そして互いに振り抜くようにして、私の剣と氷の剣がぶつかり合う。そして、ユニは高速移動をしつつ、剣士の横へと移動し銃を撃つ。
『!?』
攻撃事態は完璧だった。簡単に避けれるものじゃない…しかし、剣士は念動力で氷の剣を抑えつつ、キネシスで自らを後退させる。
「そんな…!!」
「人に念動力が使えるなら、自分も対象になれる…。」
考えていれば出てくる答えだったって事。…どこか思い上がっていたのかもしれない。幾ら強いとはいえ、所詮は人だから…死者蘇生みたいなので蘇っても、元は人だから…だが、思い返せば、それを覆す男を見てきたじゃないのよ。
「ユニ、後手に回ってはダメ。攻めて、攻めて、攻めまくるわよ。」
「徹底した攻撃って事ね。わかったわ。」
「間違いなく、彼は強い…今後二度と戦える“人”ではないわ。彼は、まさに強敵である戦士なのだから…!!」
…彼を倒し、黒幕を倒す…それが、女神の務めであり彼の想いを叶える。そして、国民に平和と安全の為にも、負ける訳にはいかない!!
――――――――――
目の前にいる偽物のえい君…、嘗ては友であり良き理解者(?)でもあった。
「くっ!!」
「ッツ!?」
そして、偽物とは言え正直に言えばわたしは気乗りではない。それでも、ゲイムギョウ界を、世界を救う為には倒さなければならない存在でもある。…彼とは皆含め何度か手合わせした事がある。だから、えい君だったらどう考えて攻撃してくるかを予測し、攻撃を仕掛ける。ネプギアも同じことを考えているようで、自然と連携攻撃のような行動となる。しかし、蓋を開ければ、今までのえい君とは違う攻撃スタイル、それもわたし達と変わらない速さで
をしてくる。えい君の攻撃は、全てが急所狙い、此方も深く踏み込んで一撃の威力を高めようとすると、それに合わせるようにカウンターを仕掛けてくる為に、思うように体重移動が出来ず、与える傷が浅くなってしまう。
「お姉ちゃん…永守さんには、勝てないのかな…?」
「え…?」
「偽物とは言え、今まで対峙した時は一度も勝てなかったし、目の前にいる永守さんが怖い…。」
ネプギアが小刻みに少しだけど、震えているのが分かる。…無理もない。現にわたしだって、目の前にいる偽物のえい君から漂わせている、殺意に満ちたオーラ。その雰囲気だけで圧倒されてしまう威圧感。どんなモンスターにも怯まなかったわたしが、怯えてしまっている。ネプギアにつられてしまうかのように、剣が上がらない―――――
「…ドウシタ。貴様…何故、動カナイ…!!」
「…え?」
エンデの声に反応するように、わたしは偽物のえい君へと視線を向ける。そこには、まだ殺意に満ちてはいるが、その構えが誰がどうみても“待ち”の構えだった。まるで“お前の力はそんなものか。”と言わんばかりの佇みにも見える。
「………。ネプギア…わたしだって、偽物とは言え、あんなえい君を見るのは怖いわ。でもね、ここで逃げたら、外で頑張ってる皆、足止めしてる皆。それに…この為に命を懸けたえい君に、どういう顔をすればいいか分からなくなっちゃう。ネプギアもそうでしょ?」
「………。うん、そうだ…。なんの為に、私はここにいるのか。それは…未来を、切り拓く為!!」
「うん…ネプギア…!!」
「お姉ちゃん…!!」
この場で言うのもあれだけど、互いの想いを言うと、吹っ切れたようにネプギアの目には、希望に満ちた目になっている。わたしも、その目を見ると自然と力が湧いてくるのだ。…これなら…行ける!!
『わたし(私)達の力、見せる時!!』
お互いに武器を身構えると、それに反応するように偽物のえい君も“待ってました”と言わんばかりに攻めの構えに入る。
『はあああああああ!!!!』
互いに交差するように、高速移動をしつつ偽物のえい君を攻撃する。本能的に偽物のえい君も防御はするも、恐怖を克服しての本気になったわたしとネプギアの攻撃を完全に防ぎきる事が出来ていない。
『ヴィオレットシュバスターッ!!』
連続攻撃によって溜まったエネルギーを、全てぶつけるが如く振り下ろし、発生した歪みにより、電磁波と共に爆発が起きる。そして、爆発後に倒れ込む偽物のえい君を確認する。
『…!!』
やはり目の前にいるのは、偽物とは言え“えい君”そのものだった。どんな攻撃を受けて瀕死になろうが、諦めない心のように立ち上がろうとする。周りを見ると、全員トドメの一発をお見舞いしたらしい。でも、状況はこっちと同じ、諦めようとせず立ち上がろうとしている。
「お姉ちゃん…!」
「分かってるわ。」
気負いはするし、偽物とは言えここから挽回される恐れもある。そう思い今一度武器を構え、最後の一撃を浴びせようと身構え―――――
ブスッ―――――
『………、え…?』
それと同時に、偽物のえい君に先端が針状になった触手のようなものが、心臓部を貫いている。その触手はまるでエネルギーを吸い取るように脈打っている。同時に、周りの3人も同じようになっている…まさか…!!
「不愉快…実ニ不愉快ダ…。ヤッパリ、自分自身デ殺ッタ方ガ、早イ…。」
次の瞬間、醜い姿だったエンデを覆っていた結晶が光だし、結晶が砕け散る。
「………。スーハー…。ふぅん、未完全とはいえ、こんなにも心地の良い気分…悪くない。」
「復活…した…!?」
「そんな…!!」
「間に合わなかった…!?」
「まさかね、全てを戦闘本能にしたのが間違いだったかな?全員、闘争本能が残っていたとはね。」
結晶から生まれたエンデは、嘗てわたし達をズーネ地区で捕えていた時と同じ姿に…そして、その背中には黒い翼が生えている。まるで、天使とは真逆の存在であると象徴するように…。
「………、へッ!!目覚めて悪ぃが、こちとらテメェも視野に入れてんだよ。」
「そうね、こっちとしてはシナリオが変わっただけの事ね。」
「ええ、誰が相手だろうが、わたくし達が勝つだけの事…!!」
『お、お姉ちゃん(ベール姉さん)!!』
「ま、待ってみんな!!」
わたしの制止を無視するように、ノワール、ブラン、ベールはエンデに突っ込んでいく。そして、エンデに向かって互いの武器を振り抜く…予想外な事に、その攻撃はエンデを捕えたのだった。ノワールとベールの剣と槍が、エンデの体を交差するように貫き、首元あたりにブランの戦斧が突き刺さる。
「ぐあああああああっ!」
「んだよ、口だけ達者な野郎って落ちか?」
「ネプテューヌ、今よ!」
「わたくし達が抑えている間に、その剣でトドメを…!!」
…確かに、見た感じは抑えてはいる。突発的に動いた3人はお手柄と言わざるを得ない。
―――――でも、本当に向かっていいのか?
毎度、エンデには裏があった。その手段は毎回毎回、わたし達の一枚上を行っている印象もある。邪聖剣を強く握りしめるも、中々突っ込む決断が出来ない…!そんな事を考えていると、スッと一緒に剣を握ってくれる仲間が…妹達がいた。
「ネプテューヌさん。お姉ちゃん達が止めている今がチャンスですよ!」
「イチゲキで終わるなら、もう行くしかないよ!」
「このたたかいを、終わらせる…!(グッ)」
「失敗したら…その時考えれば…。」
「お姉ちゃん、大丈夫だよ。今度は、私達がお姉ちゃんに勇気を…!」
「みんな…。」
ユニちゃん、ラムちゃん、ロムちゃん、スミレちゃんの4人が背中を、そして…ネプギアが邪聖剣を一緒に握ってくれる。
「…分かったわ。みんな、わたしに力を…!!」
『はぁあああああああっ!!』
ノワール、ブラン、ベールの活躍、みんなの勇気を無駄にしない為に、わたし達はエンデに向かって刃を向け特攻する…!!
これが決まれば、全てが終わる…!!
「…なーんちゃって。」
『…!!ああッ!!』
次の瞬間、ノワール、ブラン、ベールは、エンデの局部から現れた骨のような拳を受け、元居た場所まで吹き飛び、特攻したわたし達は風圧のようなもので押し返され、全員地面に叩きつけられてしまう。
「ふぅ、中々痛いじゃないか。…いや、それだけ君達が力を付けているとも言えるのかな?…その剣は流石に厄介だね。流石のボクも、そんなのに刺されたら死んじゃうかもね。」
『うぅッ…。』
エンデの方を見ると、ノワール、ブラン、ベールが貫いた傷跡が徐々に治っている。立たなければ…
「…うぁ…!た、立てない…!」
全員が立てない状態にある。それどころか、力が抜けている感覚がある…この感覚、あの触手のようなのに捕らわれていたのと同じ感覚…!!
「確かに、君達が用意した兵器は凄い。人間とは恐ろしい生き物だ。しかし…それももう無意味。君達に分かりやすく言うなら、今この地は“アンチエナジー”がその“シェアエナジー”を上回っている。…今頃君達と一緒に来たお仲間も、死んでるかもね?」
「そんな…!」
そう言いつつ、エンデがわたしの元へ徐々に近づいてくる。まるで、子どもが玩具を見て喜んでいるような目で…。
「どうだい、見下される気分は?それも、手も足も、況してや立つこともままならない。どう、降参する?そうすれば…」
「だ…誰が…貴方なんかに…!!」
「そうよ…!アンタには、負けない!」
「テメェの…思うように行くと…思うな…よ!!」
「意識がある限り…わたくし達は、抵抗…する!!」
『貴方なんかに、負けない…!!』
みんなが、呪いに対抗するように、力強く、そして希望に満ちたように立ち上がろうとする。わたしも、負けられない…!剣から伝わる想いの為にも…!!
「………。全く、何処の誰かさんに似たような事を…。」
次の瞬間、わたしの体を影のようなのが絡みついて、身動きがとれなくなってしまう。
「こ、これ…は…!!」
「驚いた?あの男の力を、不完全とはいえ、まぁとりあえず君達の内の一人を捕えるくらいは出来るよ。」
その影は両手両足を縛り上げ、遂には持っていた邪聖剣を落としてしまう。そして、その剣をエンデは拾い上げ、わたしの首元に向けてくる。
「っ!!」
「ふぅん、これはまた凄い力だ…これを、女神様に刺したらどうなるんだろう…ね!!」
『!?』
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!」
腹部に、邪聖剣が…!!いとも容易く、ユニットを貫いてる…!!今まで味わったことのない、痛みだけじゃない、苦痛までもが襲い掛かってくる…!!
「お姉ちゃん…!!」
『ネプテューヌさん(ちゃん)!!』
「………。くくく…いい表情だよ。やっぱり、女子供が苦しむ姿…溜まらないね…!!」
「あ…ああ…!!」
「え、エンデぇええええええ!!」
「て…テメェ…なんてことを…!!」
「絶対に…許しませんわよ…!!」
「おーおーこわいこわい。立てないのに威勢はいい事…。しかし、女神様はここから良く、奇跡を起こしているんだよね。そうならないように、直ぐ楽にしてあげるよ。安心してよ、君達も直ぐに同じところに送ってあげるから。」
どんどん、意識が薄くなっていくのを覚える。ああ…ここで、終わってしまうのか…。ごめんね、みんな…ごめんね、えいくん…やくそく…はたせそうに…ないや…。
「がぁッ…!!」
エンデの驚くような声に、遠のく意識が一瞬に戻ってくる。そして、拘束されていた影もなくなる。
「女神よ…良く持ちこたえてくれた。復活してしまったとは言え、私達のターンはこれからだ。」
目の前にいる女性がそう言う。どこかで聞いたような声質…刺さっていた剣は抜き取られ、誰かが治療魔法をしてくれている。この回復魔法は…。
「もう、大丈夫ですよ!!」
「よかった…お姉ちゃん…!!」
「コンパ…それに、アイちゃん…!」
「こっちはこっちで、大変な事になってるじゃないの。…まぁ、私達も死にかけたのは確かだけど。」
みんな、生きていた…!後ろで戦っていた全員が一斉に揃っている。それに、シェアエナジーが再び戻ってきている感覚が、体中に伝わってくる。
「今回は、本当に危うかったにゅ。」
「私の魔法があっても、危うかったぞ。」
「でも、二度と味わえない危機感はあったね。」
「はは…相変わらず鉄拳ちゃんは…。」
「さぁ、今度はこっちの番だよ!!」
「君の野望は、ここで終わらせる!」
「ゲイムギョウ界の平和の為に、今度こそ終わらせる!」
「好き放題しやがって…今度こそテメェの息の根を止めてやらぁ…。」
「馬鹿な…何故だ…何故…!!」
…そうだよ。確かにさっきまで絶望だった状況が、気づいたらこんな事になっていたし、目の前の女性も何処となく、えい君に似たような力を扱ってるし。…ワケガワカラナイヨ。
「…どうした、紫の女神。目が丸くなっているぞ。」
「あ…いや…。」
「無理もない。私こそ、先ほどの状況は飲み込むのに時間がかかったのだから。」
「それはどういう?」
「奴の視線の先を見れば、分かる事だ。」
奴…女性はエンデを指さし、エンデは遠く…わたし達の後方を見ている。その視線を追うように、わたし達は全員後ろを向く。協力してくれたみんなの後ろに、見覚えのある人―――――
「何故、貴様がここにいる…!!」
「…お前を葬る為に、地獄から蘇ってきた。それだけだ。」
ネプテューヌの台詞回しが迷走してるような気もしますが、気になる所がありましたら、遠慮無くご指摘を。