「アンタとは気が合うと思ったけど…考えを改める気はないようね。」
「ふん、戯言を言うな。貴様達とは目指すべきものが似ていても、進むべき道が違う。娯楽とは、全ての子どもに平等になければならない。だからこそ、マジェコンが必要なのだ。」
「だからって、劣化コピーや不正に手に入れるのは間違ってるわ!!」
「そうだよ、それで一体何が楽しいのさ!正義としても、ずれてるよ!」
「では、貴様の姉の方針だと、娯楽が出来ない子ども達は、何時になったら出来るというのだ!そして何故、人間はマジェコンを求める!だから、貴様達女神は、子ども達の娯楽を守ることが出来なかった。我が友の本当の心を読み取ることも出来なかった!違うか!!」
「…確かに、心の弱い人間だっているのよ。アタシ達だって完璧じゃないし、今の永守さんが何を考えてるかも分からないわよ。…でも、間違ってるのは間違ってるって言わなきゃいけないの!だから、アンタはここで倒す!そして、永守さんを連れ戻す!!」
「面白い…ならば、その主張が正しいか、力で証明して見ろ。」
一つは、子どもの娯楽を守る為にマジェコンを主張するブレイブ・ザ・ハード。その主張は間違っていると言い覆すために抗うブラックシスターことユニと、それをサポートする日本一の戦いが繰り広げられている。日本一が前に出つつ、ユニが射撃。隙あれば、接近して零距離射撃をする。だが、ブレイブも射撃が厄介だとわかっており、簡単には射撃をさせないよう、自分の攻撃範囲内で戦おうと接近する。しかしながら、古の武器改め“M41HV”は、射撃だけでなく受け流しも出来る程頑丈な為に、ブレイブの斬撃を流すように避けることも出来る。互いの攻防は一歩も引かず、そして互角の戦いが繰り広げられている。
「ぬぉおあああああ!!馬鹿な、幼女が吾輩を受け付けない程強くなっているだと…何故だ…何故、吾輩の抱擁を、吾輩の愛を受け付けない!!」
「嫌よ、絶対嫌!!そもそも、あんたは女神の敵なんだから、あんたの気持ちなんかわかりたくもないわよ!!ついでに、永兄も連れて帰るんだからね!!」
「絶対、分かりたくない…!(きりっ)」
「そもそも、気持ち悪くて、幼女が受け付けるような見た目じゃないにゅ。」
「ガーーーーッン!!!!幼女に拒絶された上に、気持ち悪い…。だが、吾輩の第二の目的を達成しなければならぬ。戦いで後れを取るつもりはない!!」
「そっちが一番じゃないのかにゅ。」
一つは、チート行為をこよなく愛し、幼女の愛する気持ちが抑えきれないペロリストのトリック・ザ・ハード。対して、女神候補生の中では一番幼いであろう、ホワイトシスターズのロムとラム。ルウィーのハードブレイカーの件で関わり、ロムとラムがリーンボックスへ行くと言った時に保護者兼見張りとして、ゲイムギョウ界の運命がどう動くか見届ける為に、旅についてきたブロッコリー。嘗てルウィーの女神が使っていた古の魔術杖である、攻撃魔法に特化した“サンロッド”、支援魔法に特化した“ムーンスタッフ”。サンロッドはラムが、ムーンスタッフはロムが所持している。また、この杖は二つで一つであり、一度に複数属性の魔法を放つことが出来る。ブロッコリーもそれに合わせるように、ゲマを投げたり爆発させたりして援護する。しかし、トリックも器用に舌を使い高速移動し、ロムとラムが放つ魔法や、ブロッコリーの攻撃を回避している。隙あれば、得意の舌を伸ばす攻撃で、執拗にロムとラムを襲う。だが、杖に込められた魔力により、分身移動のようなミラーステップの如く回避する。こちらも一歩も譲らない戦いが繰り広げられているのだった。
「やるな…女神歴が一番浅い貴様が、ここまで成長しているとはな。元人間だけあって、実に面白い。だが、貴様がそこまで成長したのは何だ?」
「信頼する、仲間がいる。信じあえる、友達がいる。その人達の、明日を守る。」
「成程、仲間…か。所詮は数による弱点を補う、弱者が考える事よ。」
「………。」
「気にすることはないわ、スミレ。何とでも言わせて起きなさい。」
「そういう事。こっちはそれで成果を出せているんだから、気にすることはないよ。ネプギアだって、一人じゃ出来ないことはあるみたいだけど、皆で協力すれば出来るって思ってるよ。」
「有難う、ケイブさん、ファルコムさん。」
一つは、四天王の指揮を取り実力も備わっている、マジック・ザ・ハード。そして、別の次元からやってきて、女神候補生となりゲイムギョウ界の為に第二の人生を歩んでいる、グリーンシスターことスミレ、その護衛をしているケイブ、戦力分散として協力している冒険家ファルコム。ケイブとファルコムが、マジックに接近戦を挑みつつ、スミレが古の弓“Dウィング”による矢の嵐を放つ。マジックも豪語する程の実力があり、大鎌を槍のように振り回し、矢を弾きつつ二人の接近を許さない。その攻撃はまるで舞をしているような戦闘スタイルともいえる。
「なんだか、どこかで見たことあるような戦い方をするね。」
「やはり気づくか。似てはないが、この戦い方は、奴が…獨斗の戦い方を参考にしたのだ。」
『!?』
「そうとも。我々は、目的は違えど、利害は一致している。あの男も、同じなのだ。…無駄話はここまでだ。女神よ、犯罪神様の糧の為に死ね。」
「マジックミサイルッ…!!」
「ぬぅ…!!貴様等、この短期間で何をしてきたというんだ?」
「テメェをブチのめす為に、特訓と対策をしてきただけだ。」
「数か月前の私達とは、違うってこと分かったかしら?」
「わたしも、今度は逃げないです!!」
「そーだそーだ!今回はアタシがいるもん。負けるわけがないもん!!」
「くくく…はーっはっはっはっはぁっ!!やはり、奴を殺さず待っていた甲斐があったぞ…これだ、俺が求めていたのは…!!高鳴る金属音、焼け焦げた臭い…血が、血が騒ぐぞ…女神ともいいが、貴様らは依然逃がしたのもある。もっとだ、もっと俺を喜ばせろ、人間よ!!」
一つは、好戦的で、凶暴な戦闘狂のジャッジ・ザ・ハード。そして、一族の意思を引き継ぎ新たな力を手に入れたジンと、アイエフ、コンパ、REDの4人で挑んでいる。圧倒的な力の差があるように見えるが、ジンの新たな力による攻防技によって互角ともいえる戦いをしている。4人の周りに十字架のような物体が回っており、それにジャッジの攻撃が当たると、攻撃を防ぐだけでなく電流のようなものがジャッジを襲う。その怯んだ隙を、アイエフはカタールで切り裂き、ジンは鞭で攻撃だけでなく、追尾する多数の投剣、巨大化した斧の投擲、爆発する結晶、火柱の如く燃え広がる聖水といった多彩な技で、3人を支援しつつジャッジに攻撃をする。だが、ジャッジは怒りを露わにするどころか、今の戦いを楽しんでいるようにも見える。
「(頼むぜ、ネプギア。何考えてるかわかんねぇが、獨斗の訳わからん野望を打ち砕き、連れ戻すんだ…。)」
「ショックウェーブ…!!」
「ッ!?…スラッシュウェーブッ!!」
周りが激闘をしている中、一つだけ猛攻を防ぐだけの女神がいた。パープルシスターことネプギアだ。ハーミットこと獨斗永守と1対1での勝負をしているが、永守の攻撃を弾く為だけに使っている。永守の影剣から、黒い刃の真空刃が放たれ、それを見たネプギアは瞬時に地を這う衝撃破“スラッシュウェーブ”を放ち、互いの真空刃と衝撃破が激突しあい強烈な爆風と砂煙が起きる。だが、ネプギアに余裕を与えることはなかった。その砂煙から二つの影が向かってくる。第二第三の真空刃が十字を描くように飛んでくる。それを瞬時に避けるも、今度は永守本人が急接近しつつ影剣で払い斬りをするのが見え、古のMPBL“P777-Mk3”のエネルギーを出力し、払い斬りを受け止める。それ以外にも、籠手から繰り出される格闘技、超能力による炎、鎌鼬も防いでいく。ネプギアも隙を見て、倒さない程度の出力で攻撃するも、機械のコアのようなものが現れ、攻撃に合わせるかのように、コアからバリアのようなのが展開され防がれる。恐らく、その籠手や足の装甲やコアから見て、ハードブレイカーを利用して作られた武具だとネプギアは思った。
「どういう心算だ。」
「何が、ですか!?」
「攻撃一つ一つに、殺気が全くない。」
「…私は、犯罪組織を倒しに来ました。でも永守さん、貴方と戦う為に来た訳じゃありません!ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんと相談して決めた事です。」
「戦う必要はある。俺は、リンダ、ワレチュー…いや、犯罪組織の一人として、ゲイムギョウ界を脅かす存在。多くの人間を恐怖に陥れた。そして、今は女神の脅威となる存在…。お前は女神だ。お前の仲間や女神を信じている多くの人々の為に、戦わなくてはいけない。それとも、お前達女神候補生は、人々の期待に背き、裏切る心算か?」
「それでも、私は…。」
「そうか…それが答えか。だが、俺の計画も変わらない。ここでは、生きるか死ぬかしかない。」
永守の言葉を聞き、更に次の攻撃の為に身構えている姿に、不安になるところもあるネプギアだが、皆との連れ戻すという約束を守るため、防御の構えになる。そして、気を静め冷静になった時、一つ気になる点があることに辿り着く。
「(そういえば、永守さんは基本的に技名を言わない人…。なのに、さっきから分かりやすいような必殺技名を言っているような。それに…なんだか悲しそうな雰囲気が…。)」
永守から何かを感じ取り、そんな考えが頭を過る。殺気ある言葉、行為、自分は脅威となる存在であると並べてはいる。だが、ネプギアも実際に戦って感じっとのだ。その攻撃すべてが、
「…なんの心算だ。」
「もう、止めましょう。私達が戦う理由なんてありません。」
これ以上戦う意味がないと思ったネプギアは、身構えている永守を前に武器を下ろすのだった。
「確かに、お前と戦うのは無意味に等しい。ここに、ネプテューヌがいれば止めにはいるか、同じ行動をするか…。」
「それじゃあ…。」
「だが、こうしなければこの世界は救えない。そして…―――――」
次の瞬間、ネプギアの手元が急激に光りだす。
「こ、これは…。」
「何だ…!!」
「なに、この光…。」
「くっなんて光だ…。」
「力が…。」
「うぉ、幼女が光出した!!」
「すごい、力が湧いてくる…!」
「ぽかぽか…。」
ネプギアだけでなく、ユニ、ロム、ラム、スミレと女神候補生全員が光り輝く。それに連動するかの如く、捕まっている四女神も光始める。
「うわぁ!みんな輝いてるよ!」
「あ、アイちゃん…一体何が起こってるです!?」
「わ、私に聞かれてもわからないわよ!!」
「貴様ぁ!これはどういうことだ!!」
「俺に聞かれても知らねぇっての…。何が始まるってんだ…。」
――――――――――
どれくらい眠ってしまったのだろう…最後に覚えているのはえい君が、わたし達が敵わなかった相手に、単独で挑み服従してしまうような光景だった。そこからはよく覚えていない。それから誰かが声を掛けてきたようにも聞こえたけど、それが誰なのかも今は分からない。そういえば、こんな状況は前にもあったような…確かリーンボックスのズーネ地区だっけ?そこでマジェッチの何かで捕まったんだっけ。まぁ、ある意味今の状況の方が絶望的だったりする?
でも、一番気になることがある。フラッシュバックの如く悪い夢のように同じ場面が繰り返される。それは、ネプギアとえい君が対面し合って、剣を交えている光景。お互いに稽古しているようには到底見えない。まるで殺し合いをしているような殺気だった戦い。そんな場面がずっと続いていたけど、ある時期を境にその夢が変わっていった。ネプギアが防御に徹していて、えい君に一切攻撃をしていない。正直言って、これだけの情報ではどうしてこうなってしまったかは分からない。けど、その夢で見たネプギアは、えい君に対して必死に何かを訴えていたようにも見えた。流石わたしの妹…!
そんな時、わたしの中に何かが流れてくる感覚を覚える。それは、力強くて暖かい感じ…。体が癒えていく感じもする。
「う…あ…?」
「この…光は…。」
「体が…癒されていく…ようですわ…。」
「動ける…これ、なら…!!」
捕まっている間、シェアエナジーを吸収されると思われる何かに巻かれてたけど、今はそれを上回るシェアエナジーがわたし達の体に流れ込んでくる!!
「はぁっ!!」
「やあぁっ!!」
「てりゃぁあ!!」
「ふんっ!!」
『…!!』
『お、お姉ちゃん…!!』
「…ネプテューヌ、ノワール、ブラン、ベール…。」
目を覚まし、束縛されているのを振りほどいて直ぐに見た光景。それは、ネプギア達がわたし達4人で勝てなかった四天王と戦ってて、夢で見たのと同じくネプギアとえい君が対峙しているように見えてしまった。
「馬鹿な。束縛のエネルギーを上回っただとぉ!!」
「皆が、開放されていく…。」
「す、すごいですぅ。」
「ヨメが一気に増えたーーーー!!」
「(もう俺の知っている展開は信用ならんな。それに、5pb.の支援も行き届いているようだ。改めて恐ろしく感じるぞゲイムギョウ界…)面白れぇ展開じゃんか。これなら思いっきり暴れられるじゃんか。」
「クソッタレェ…貴様等を捻り潰したら女神含め、全員ぶっ殺してやる…。」
「ロム、ラム…2人が助けてくれたのか…。」
「ううん…わたし達2人だけじゃない…、みんながいたからここまでできたの!」
「協力って、凄い。」
「…だが、まずは目の前の奴をぶっ飛ばさねぇとな。」
「アクククク、ルウィー本命の女神が復活してしまった…だが、それでも幼女の為に、吾輩は負ける訳にはいかないのだ!」
「ベール姉さん…。」
「ベール様。ご無事で何よりです。」
「無事…という訳ではありませんが、問題はないですわね。それよりも、二人共よく頑張ったわ。貴方も協力者ですわね。感謝致しますわ、ファルコムさん。」
「ご、ご存じなんですか…!恐縮です…!」
「目覚めて早々悪いが、お前達4人が増えようが、再び同じ目に合うまでだ…。」
「…今度は貴女の思うように行くと思いまして?」
「ふん、捕まっていたのに大した自信だ。その自信と実力がどれほどのものが、再び試してやろう。」
「あ、あの…。」
「…もう少し早く来ると思ってたんだけど…。」
「う…。」
「でも、よく頑張ったじゃない。あの時より一回りまた成長してるかしら。」
「黒き女神よ、再び会えるとはな。」
「捕まっている時に会いに来ても、印象には中々残らないわよ。そこを退いて貰えないかしら、アイツが何でああなっているか聞きたいんだけど。」
「断る。黒き女神の意思を引き継いだ妹の志。そして、それを伝授した黒き女神…お前達二人には興味がある。それに、我が友の邪魔はさせん。」
それぞれ、わたし達は妹達のいる所へ移動し、この現状を打破する為協力する。全快ではないけど、ここの四天王を倒すには十分なシェアエナジーが回復しているのが分かる。
「おねえ…ちゃん…。」
「ええ、そうよ。わたしよ…。貴女ばかり苦しい思いさせてごめんなさい。」
「うん、私は大丈夫。…でも…。」
「ええ、わたしもさっきから気になってるのよ。えい君。」
「想定通り…。」
色々と聞きたい事が山ほどある。何でえい君がこっちじゃなくて、犯罪組織に手を貸しているような素振りなのか。それに、わたし達が開放されるのが分かっていたような態度をしている。
「えい君、武器を下ろして…わたし達が開放されたのなら、もう戦う理由はないはずよね?」
「ああ…。」
「じゃあ、帰ろうよ。いーすんが、皆が貴方の帰りを待ってるわ。」
えい君は完全に向こう側にいる訳じゃないような反応をしている。なら、連れて帰れる!と思ったのだけれど、帰ってきた返事から狂気を感じてしまった。
「だが、それで帰ってどうする。俺の役目はズーネ地区の時に終わったように見えた。そして、犯罪組織を倒し、犯罪神は封印されるだろう。…だが、俺の血が戦いを求めている。闇が消えぬ限り、戦いは永遠に続く。」
「そんな…永守さん…それってつまり、犯罪組織が消えないようにしているって事…?」
「…俺は、不覚にも女神と戦いたい、
「待って!貴方と戦う気はわたしには…―――――」
「無駄話はここまでだ。人生最高の時間にしよう。」
そういってえい君は、再び構えて攻撃の意思を見せている…。ネプギアも思ってるみたいだけど、わたし…えい君とは戦いたくない!一体、どうすれば―――――
――――――あーあ…流石に飽きてきちゃった。もういいや、待つ必要はないし、ボクも好きなだけ暴れようか、この世界を滅ぼす為に――――――