…という事で宜しくお願いします。
ルウィーのダンジョンの一つ、世界中の迷宮。その最奥にて、激しい戦闘が起こっていたと思える程、周囲のブロックに斬撃、打撃痕が残っている。更に周辺には壊れた機械のようなものが大量に散らばっている。その中央に、本体と思える機械系モンスターと、額から血を流している一人の男がいる。
≪人間風情にしては中々やる…。裏切者より力を屈指している。≫
「…自分ではよく分からん。」
≪何れにせよ、貴様は私に力を示した…。良かろう、貴様の命令に従うとしよう。だが、何故女神の手助けをする。≫
男…獨斗永守は軽く息を吐き、キラーマシンに告げる。
「状況が変わった…というべきか。このまま放置していれば、プランCの形で犯罪神が復活する。」
≪…我が主が、復活する事に何を悩む。≫
「そうだな、復活しても問題ないだろう。犯罪組織マジェコンヌはそれが目的だ。だが、プランCで復活を遂げると、ゲイムギョウ界だけでなく、犯罪組織…全宇宙が滅びる。」
≪…話を聞こう。≫
永守の顔は明らかに険しくなっている。それを察したのか、キラーマシンは話を聞く事を決めるのだった。
――――――――――
【ルウィー:教会】
ルウィーのゲイムキャラを修復する為、プチ子…じゃなくて、ブロッコリーが連れてきた錬金術師のガストが、修復依頼を受けてくれた。そして俺等は、修復に使用する為に足りない材料をガストから聞き取りに行くことになる。必要となる材料自体は、ルウィーの国際展示場、世界中の迷宮で手に入ると聞き、早速向かう事になる。世界中の迷宮は、キラーマシンの存在で、ネプギア達は若干引き気味だったが、それを持っているモンスターは正反対の場所にいたから、その心配は無く無事に素材を手に入れ材料が揃うのだった。
「ガストさん、必要な素材を持ってきました!」
教会に待機しているガストの元へ戻り、ガストに材料を受け渡す。ガストも既に錬金術の準備は万全という感じで“待ってたですの。”というにっこりした表情で出迎えてくれた。
「お疲れ様ですの。ではでは、持ってきた物を確認するですの。」
そう言って、ガストは受け取った材料を品定めするように見始める。その目は当に職人と言っても過言ではない感じだ。
「…本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だにゅ。腹黒い所と、変な薬を作ったりすることを除けば、優秀な錬金術師だにゅ。」
「…ちょっとブロッコリーさん、それは心外ですの。」
ブロッコリーの毒舌?とも言える言葉にムッとした表情になるが、品定めを再開する。
「うん、大丈夫ですの。では、早速始めるですの。」
「本物の錬金術が見れるのね!本でしか読んだ事ないから楽しみだね、ロムちゃん!」
「(こくこく)」
そして、ガストは謎の液体の入った巨大な窯のようなのに、材料を次々と入れていく。
「ふんふんふふーん…くーる、くーる、くーるー。」
独特なリズムを刻みつつ窯を掻き回していく。…窯の中は何とも言えない色に変わっていくのだが、匂いは全然しない不思議。ゲームとかでしか俺も見た事無ぇから、この後どうなるのやら。
「最後に、このディスクの欠片を入れれば、完成ですの!」
そう言ってガストは、何の躊躇もなく粉々になったゲイムキャラのディスクを、窯の中へと降り注いでいく。
『!?』
降り注ぎ終わった瞬間、窯から強い光が放ち、一瞬目を奪われちまう。しかし、その光も一瞬で消え、そこにいるのは紛れもなくルウィーのゲイムキャラだった。
≪う…ここは。私は…確か…。≫
「成功みてぇだな。」
「うん、完璧ですの。」
「うおー凄い!!本当に復活したぁ!!」
「ああ…本当にこんな事があるなんて…。私が分かりますか?」
≪ルウィーの教祖…それに、女神候補生達…これは一体どういう事ですか?私は確かあの時、破壊されてしまったはずでは…。≫
破壊されて意識が消えた後、目覚めた所がルウィーの教会。それに、破壊された記憶があるのだから、当然状況を見て混乱しても可笑しくはないだろう。
「錬金術師のガストさんが、修復してくれたんです。」
「これくらい、お安い御用ですの。」
≪そうですか…有難う御座います。しかし、復活したとはいえ私がここに居るという事は…。≫
ネプギアがどうして復活したのか説明して、ゲイムキャラは納得するも、状況が深刻なのひ変わりはねぇんだよな。
「はい。キラーマシンの封印は解けてしまい、続出しているそうです。…貴女を物のように扱って心苦しくはありますが、急ぎ封印を施さなければなりません。」
≪…一刻を争う事態です。そのような気遣いは無用です。≫
俺が話を聞いた限りでは、全力を出し切れば一体を倒せると聞いた。そして、どういう訳か獨斗が食い止めているらしい。全く意味が分からねぇが、今を逃せば更にキラーマシンが出現し、手の打ちどころが無くなってしまう可能性もある。
「なら、アンタを…いえ、貴女を世界中の迷宮へ連れて行けばいいのですね。」
≪はい。私には敵と戦う力は無い故、一人で封印の場所まで辿り着く事は出来ません。図々しいとは思いますが…ネプテューヌの妹達は、私を世界中の迷宮まで連れてって貰えませんか?≫
「全然構いませんよ。それくらいお安い御用です!」
ゲイムキャラの質問に、ネプギアは両手をグッと構え同意する。
「ふふん、今度はあいつ等をギャフンと言わせてやるんだから!」
「ギャフンと、言わせる。(グッ)」
「よーし、ヨメの為に頑張るぞぉ!」
「アンタ達が行くなら、私も同行するわ。」
「ギアちゃんやあいちゃんが行くなら、わたしもついて行くです!」
「皆さん…。」
ネプギア以外の全員が、やる気満々であり、今度こそ倒すといった感じだ。
「お前達だけじゃ不安だにゅ。ブロッコリーも付いて行くにゅ。」
「ガストも付いて行くですの。完成したゲイムキャラがちゃんとなっているか、見届ける必要があるですの。」
「ブロッコリーさん…ガストさん…。」
≪…ネプテューヌの妹、頼もしい仲間を持ちましたね。≫
やはり、ネプギアはネプテューヌの妹だけあってか、人を引き付けるような魅力があるのだろう。
「水を差すようで悪ぃが、さっさと行った方がいいんじゃねぇか?量産型が増えて手に負えねぇ状態になるのは御免だ。」
俺の言葉に全員が頷き、教会を後にして世界中の迷宮へと向かう事となる。
【ルウィー:世界中の迷宮】
女神一行は、ルウィーのゲイムキャラを携え、数多くの仲間と共に世界中の迷宮へと再び潜り込む。
「不気味な程静かね…。」
ダンジョン内を見てアイエフがそう呟く。不思議な事に、モンスターは平然に活動しているにも関わらず、此方を発見しても一匹たりとも襲ってくる気配がない。まるで、最奥まで導かれているかのようだ…。そんな現状もあり、念の為にネプギア達女神は、女神化状態で進行している。一行は何事も無く最奥まであと少しと言う所まで辿り着く事が出来た。しかし、その時だった。
ドスーーンッという轟音と共に、空中からキラーマシンが複数現れるのだった。
≪女神…排除…スル…。≫
「わわ!いっぱい降って来た!!」
「な…!!まだこんなにいたの…!!」
「お、多いですぅ!!」
「ちぃ…こんな数相手してたら、日が暮れちまう…!」
ネプギア達には、最初より人数は多く戦力はあるだろう。だが、それでも戦っている間に続々復活されてしまったら、それこそ消耗戦になってしまう。そんな時、ロムとラムが前にでて、無言で女神化するのだった。
「ロムちゃん、ラムちゃん…!?」
「ネプギアちゃん。先、言って。」
「ここは、わたし達でやっつけちゃうから、さっさとゲイムキャラを持ってっちゃって!」
「で、でも、それじゃあ二人が…!」
「そうだにゅ。心配する必要はないにゅ。」
「戦うのは久々ですの。ここで準備運動するですの。」
「なら、俺も。」
「お前は先に行くにゅ。その籠手は飾りじゃないはずにゅ。」
そう言って、ロムとラムだけでなく、ブロッコリーとガストも率先して前に出る。ジンも率先して出ようとするが、ブロッコリーに止められる。そして、ロムとラムは互いに杖を構え、進路方向に向けて“アイスコフィン”を放つ。道を塞ぐようにいた
「道、開いた…!」
「さぁ、早く行って!!」
「…ロムちゃん、ラムちゃん。それに、ブロッコリーさんにガストさん、無茶はしないで…!」
「うん…!」
「寧ろ、さっさと倒しちゃって、そっちに向かうんだからね!」
その言葉を聞き、率先したメンバー以外は最奥へと向かうのだった。
最奥の広間の周囲を見渡すと、明らかに戦い合ったであろう痕跡が多数みられる。そして、広間の中央に1機の赤色のキラーマシンと、2機の量産型のような色のキラーマシンがいた。そこに、永守の姿は無かった。
≪来たか…憎き女神よ…。≫
「あれが、キラーマシンか…。」
目が赤く光出し、その機械の顔をネプギア達に向ける。それと同時に両サイドに居たキラーマシンも、ネプギア達を捉えるように顔を動かす。
≪戻って来たと言う事は、対策を練って来たのだな。≫
「ええ、十分対策してきたわよ。」
「今度は、負けません!」
≪先程から仲間の復活が止まっているのは…。≫
≪その通りです。この周囲のみですが、復活封印を施しました。後は、貴方を封じるだけです。≫
どうやら、ゲイムキャラが簡単ながら範囲数メートル内に印を唱え復活を阻止しているようだ。
≪だが、それでも我が主の為、貴様等を消し去らなければならぬ。≫
「…一つ聞きてぇんだが、アンタ以外にもう一人、男が居たと聞いたが?」
≪私に勝てたら、教えてやろう…。だが、主に仇す者を排除するのが私の使命だ。覚悟…!≫
「来ます!!」
ネプギアの掛け声と共に、全員が身構える。それと同時にキラーマシンがネプギアの元へ急接近し、巨大な斧を振り下ろす。ネプギアはその攻撃に打ち合う形でビームソードを振りぬく。二つの武器がぶつかり合い轟音が鳴り響く。
≪ほう、この攻撃を受け止めるのか。ここまで上り詰めるだけあって中々やる。≫
「私には、負けられない理由があります。だから、ここで負ける訳にはいきません!」
互いの武器が擦れ合っているのか、火花が飛び散っている。その隙を見てか、両サイドからアイエフとREDが接近する。
「わわっ!!」
「くっ…!」
キラーマシンかの背中あたりから二人に向けて、レーザーが放たれる。辛うじて避ける事が出来る。だが、それは囮のようなものだった。
「いくぜ…!」
キラーマシンの腕部分に、ジンの鎖鞭が絡まり、鎖鞭を収縮する形でキラーマシンの元へ急接近する。まるで立体軌道とも言える移動方法だ。
「迸る雷雨っ!」
≪ぐぉ!!≫
「今です、ミラージュダンスッ!!」
ジンは急接近しつつ印を描き、キラーマシンに拡散する雷を放つ。それにより、キラーマシンは体制を崩す。その隙を見逃さず、ネプギアはビームソードによる乱舞を放つ。
「これで、決めます!!」
ミラージュダンスのフィニッシュブローを決める為に、キラーマシンに向けてビームソードを振りぬこうとする。
『っ!!』
だが、突然の轟音に全員耳を抑えるも、同時に放たれる衝撃波のようなもので壁に吹き飛ばされる。しかし、全員倒れる事はなく、体制を整える。
「うぅ、耳がぁ…!」
「何なのよ…今の…。」
「ぐっ…
≪流石…今のを受けてまだ立っていられるとは…。だが、貴様等をここで消し去っておく必要がある。≫
キラーマシンが、戦斧を振り上げつつネプギア達に接近しようとする。そして、その戦斧を振り下ろそうという構えに突入する。
「…!!」
≪ぬぅ…先程の戦いの影響か…!!≫
キラーマシンから何かが落ちてきており、下を見ると腕のパーツの一部ともいえる部品が落ちているのが、ネプギアには分かった。どうやら、振り下ろそうにも部品破損の影響で上手く稼働していないようだ。
『させない…!!』
その時、入り口方面から声が聞こえ、そこから巨大な氷の塊がキラーマシンの左肩に当たり、機械が壊れたように爆発が起きる。その爆破によってキラーマシンの左腕が壊れたのか、火花が飛び散っているように見える。更にキラーマシンはそれにより大きく体制を崩す。
≪な、にぃ…!!≫
「ネプギアちゃん、大丈夫?」
「ロムちゃん、ラムちゃん!!」
「へっへーん!間に合ったよ!」
先程の氷は、ロムとラムの魔法攻撃によるものだった。その後ろから、ブロッコリーとガストも現れる。
「こっちは片付いたにゅ。」
「あとは、本体だけですの。」
「なら、今がチャンスね。総攻撃するわ!!」
『はい(です)!』
アイエフの掛け声に全員が反応し、キラーマシンの元へ接近し、タコ殴りのように攻撃を加える。そんな攻撃を受け続けたからか、装甲が弱くなり、遂に右腕も故障し機能を停止する。
≪これが、先程まで量産型に苦戦していた女神だというのか…!≫
キラーマシンは、キラーマシンとの戦闘で集計したデータに、該当しないネプギア達の戦闘力を見せつけられ、計画が狂ったかのような反応を示している。辛うじて総攻撃から脱出するも、かなり深手を負っているように見える。
「ロムちゃん、“アレ”やるよ!」
「(こくこく)ネプギアちゃんも、やろ。」
「あれ…?…わかった!」
少し考え、直ぐにネプギアはロムとラムに合わせる形で行動する。ロムとラムが魔法陣を発動し、ネプギアはM.P.B.L.のエネルギーを溜める。だが、それに留まらず、左右に更に人が並ぶ。
「アイエフさん!それに、皆さん…!」
「アンタ達ばかり、いい所見せられたら、こっちも疼いちゃうじゃない。」
「ギアちゃん達が頑張ってるのに、黙ってるわけにはいかないです!」
「ヨメに、しっかりとアタシの力みせないとね!」
「俺も、魔法という訳じゃねぇが、似たようなのは使えるんだ。混ぜてくれよ。」
そうして、前に出た全員が各々魔力を溜めていく。
「す、すごい魔力ですの!」
「これは、ブロッコリーが想像していた以上だにゅ。」
そして、全員の魔力が溜まり終えたのか、キラーマシンに杖や武器を向ける。
≪や、やめろぉ…!≫
『いっけぇええええ!!』
全員が溜めた魔力が同時に放たれる。全ての魔法が合体し、虹色に輝く波動砲がキラーマシンへ飛んでいく。そしてその攻撃は、キラーマシンの所で大爆発が起こる。その爆発と同時に、複数の壊れた部品が飛び散っているのが見て分かる。
≪データを超える力…これが…今の、女神の力…だが、何処に…こんな力が…!≫
「やったね、ロムちゃん!」
「うん…!」
今にも途切れそうな機械音で、キラーマシンがネプギア達に話しかけてくる。ロムとラムは、倒した喜びでお互いにハイタッチする。
「私は、お姉ちゃん…いえ、女神を助けるだけじゃなく、ゲイムギョウ界を犯罪組織の手から解放する為に戦っているんです。だから…負ける訳にはいかないんです!約束です。永守さんは何処に居るんですか…!」
ネプギアが、勝てたら聞いておきたいことを言おうとしたが、キラーマシンの目の光が無くなり、結晶片へと変わり完全に機能を停止と言っても過言ではない状態になる。そこに残ったのは、キラーマシンの動力源とも言えるコアが残っていた。
「何でしょう、あの玉は?」
「きっと、あれがキラーマシン本体を動かしていた心臓みたいなものね。アレを破壊為た方がいいと思うわ。」
「んじゃぁ、アレを壊しちゃおう!」
≪待って下さい!何かが近づいてきてます!≫
アイエフが指摘し、破壊を試みようとした時、ゲイムキャラが此方に何者かが近づいている事を全員に告げる。
「流石だ…いや、本来であれば、これくらい出来て当然なのだろう。なぁ、女神候補生?」
まだ収まらない爆破後の砂煙の方向から、誰かが此方に歩いてくる音と共に話しかけてくる。そして、その人物はキラーマシンのコアを拾い上げるのだった。まるで、これは我々の物だという程に平然と…。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
相変わらず、戦闘描写が短いような…でも長くてもぐだぐだになる感じがします…難しい。