「ちゅぅ~…。」
「どうした、さっきまでの威勢はなんだったんだ?」
「つ…強い…!」
教会で、ネプギア達がケイから依頼を受けている話を聞き、アタシも独自で動くことを決めた。そして、何となくセプテントリゾートに向かったら、要注意人物であるハーミットと、嘗て要注意ネズミと言われていた、ワレチューがいたので追跡を始めた…のまではいいけど、追跡されているのが最初からバレていて、ネズミは大したことなかったけど、彼が持っている物を掛けて戦っている。…けど、情けない事にアタシは、同じ長銃で且つ女神化して勝負しているにも関わらず、互角どころか押されている。
「女神候補生よ、お前の力はそんなものか…。」
「馬鹿言わないで…まだ、これからよ…!」
「…やせ我慢か。立つのがやっとという状況なのにな。」
「五月蝿いっ…!」
どうやら、向こうはアタシがカラ元気で立っているのがバレている。正直、向こうが言っている通り立っているのがやっとで、あと一発撃てるかどうか…。でも、今がチャンスでもある。向こうが持っているライフルはオーバーヒートしている上に弾切れになっている。なら、やる事は一つだけ…!!
「アタシは負けない…!!これが、アタシの、全力よ!!」
「…面白い。」
「受けなさい!!
持てる力全てを銃口に集め、レーザー砲とまではいかないけど巨大な波動弾的なのを放つ。弱っているとはいえ、当たれば只事では済まない自信はあった。そして、その弾は相手に直撃し爆破が起きる。
「やった…!!」
…けど、アタシの喜びは打ち砕かれることとなった。その砂煙から人影が浮かび上がってくる。
「見事だ。モンスター相手なら一撃必殺の威力だったろう。」
「ッ!!そんな…!!」
そこには、衣装が多少傷と砂埃が付いていて、ガスマスクにヒビが入ってる程度のハーミットの姿がいた。理解したくはなかったが、致命打や決定打には到底及ばない感じだった。そして殆どの力を使い果たしたアタシは、変身が解け長銃を杖のように立て何とか倒れないようにする。結局、アタシの力じゃ誰も守れないのかな…。そして、アタシの意識はそこで途切れてしまう。
――――――――――――――――――――
今、閃光が見えたところを目指して全力疾走している俺は、ごく一般的な傭兵…なわけねょな。そんな冗談はさておき、閃光と共に煙が立っているところに向かって全力疾走しているのは確かだ。モンスターが後ろにいようが全力で走り抜けていく。
「人影…!!誰かいるのか…?」
セプテントリゾートの最奥地にある円盤エリアの手前にある窪みに、隠れるように奥を見る。壁に寄りかかるように気絶している(?)ユニちゃんと、そのユニちゃんを見ているハーミットがいる。どういう訳か、ユニちゃんが使っていたライフルを横に置き、横に何かを置いている。立ち上がって横たわっているネズミに歩み寄ろうとしている。
「動くな…!!」
ここに来る前に調達しておいた
「やはり来たか。」
「…テメェ、女神に何をした。」
「見ての通りだ。彼女から勝負を仕掛け、私が勝利し彼女が敗北した。」
「動くなっつってんだろ!!」
ハーミットは俺に話しつつ平然とネズミの所へ歩み寄ろうとしている。銃を向けているってのに、怯えるどころか気にしてねぇって感じだ。脅しで発砲するもまるで怯む気配もない。
「止まれっつってんだろ!」
「…手ブレが激しいな。あまり銃を使ったことがないな?いや、人に銃を向けるのが初めてか。」
「
挑発にノセられる形になっちまうが、奴の胴体に狙いを定めて発砲する。
「な…!!」
俺は胴体目掛けて撃った。だが、その弾は驚くべき速度で仰け反った奴を横切る。ハーミットに標準を合わせて連射するが、ジグザグに高速移動するように弾丸を避けてこっちに迫って来る…!
「ぐ…!うぉぁ!!」
ハーミットに両腕を左腕で鷲掴みにされつつ、胸元と腹を殴られアッパーを食らってしまう。その衝撃で俺は持っている銃を落としてしまった。落としてしまったなら、他のものを使えばいい…そう考え腰に手をかけ愛用している鞭を取ろうとする。
「…ない!!」
「探し物はこれか。」
その声と共にハーミットの方を見ると、左手に俺の鞭とサブウェポンを詰めてる腰鞄を取られていた。そして奴は鞭と腰鞄を後方に投げ捨てる。
「さぁ、得意の武器無しで、お前はどうする。」
「…まだだ、まだ負けた訳じゃねぇ!!」
そう叫びながら奴に格闘戦を挑む。ワンツーコンボで顔面目掛けて殴ろうとするが、一発目は躱され、二発目は平手で受け止められてしまう。
「ふん…!」
「ぐぉ!!」
掴まれたまま腹を蹴られ、首元を捕まれ投げられる。…流石にスタントマンを目指していた上に、何度も戦いに身を置いていた為、そのまま倒れ込まず受け身を取り体制を立て直す。
「武器が無くとも、果敢に挑むその度胸は恐れ入る。だが、それだけだな。」
「いいや、まだだ。取っておきを食らってけ!!」
そう言って俺は、左の籠手に雷の意思を想像し、雷鳴弾のような球体を発生させる。
「こいつは痛ぇぞ!!」
まだ、使い方に慣れてない為にこの球体を投げ飛ばすことはできないが、手の平に維持して相手にぶつけることは出来る。その上、強力な電撃な為、触れればタダでは済まない。実際にモンスターに使ったら、多大なダメージと麻痺のような痺れ状態になっているのを確認している。その状態のままハーミットに接近し押し付けるように出す。
だが、奴はその攻撃を右腕で受け止めてしまう。しかも、まるで電撃が効いていない感じだ。
「な…!!ば、馬鹿な…!!」
「確かに、この威力があれば四天王にも傷一つはつけれそうだ。だが、まだまだだな。」
そうして、俺は左手を掴まれたと思ったら引っ張られ、腹部に肘打ちを喰らうと同時に首元を捕まれ投げられ背中から強打の如く倒されてしまい、その衝撃によって俺の意識が遠くなるのを感じてしまう。
「がはぁっ…!」
「………。ちっ…。」
「ま…ちやが…れ…。」
だが、ここで奴も想定していなかったのか、倒れ込む際に俺の手が奴の顔に引っかがり、ガスマスクを引っ張りとるような形で倒れる。遠くなっていく意識の中、奴の顔を見るが、フードで顔を隠すようにしていた為、白い髪しか見ることができなかった。そして、そのまま俺は気絶してしまったのだった。
――――――――――――――――――――
【プラネテューヌ:バーチャフォレスト最深部立入禁止エリア】
時を同じくして、ジンと一旦別れ宝玉を求めてラステイションからプラネテューヌに戻ったネプギア一行。バーチャフォレスト及び最深部を探索したが、それらしきモンスターが見当たらない為、再び立入禁止エリアで探索をすると、場違いでもあり明らかに様子が違うエンシェントドラゴンを見つけ討伐に入る。
「ネプギア!今よ!!」
「はい!これで終わりです!!」
危険種であるエンシェントドラゴンな為に多少の苦難はあったが、ネプギア一行の一致団結による戦闘により、女神化したネプギアのビームソードによる一刀両断が綺麗に入り、エンシェントドラゴンの体が結晶片となる。
「やったです!流石、ギアちゃんですぅ!」
「見て、なんか落としたよ!!」
結晶片となって消えたエンシェントドラゴンの場所に、虹色に輝く一つの水晶体が落ちているのを日本一が指を指して言う。そして、近くに居たネプギアがそれを拾い上げアイエフに見せる。
「綺麗…アイエフさん、これ。」
「…まさか初っ端から出すなんてね。そうよネプギア、今貴女が持ってるのがまさに私達が求めている宝玉よ。」
「そうすると、後は血晶だけですね!ケイさんとジンさんに早く報告しに行かないと…。」
のんびりしてはいられないが、目的である宝玉を手に入れた事により、全員が安堵の表情をしている。
「おぉっと…そいつをラステイションに届けるってのは無理だな。」
「げ、この声は…。」
その声に反応するかのように、全員が通ってきた道の方を見る。そこには、女神化したネプギアによりぼっこぼこにとまではいかないが、返り討ちにしてやった下っ端事リンダが、道を塞ぐように仁王立ちしてネプギア一行に言い放つ。
「ああ、下っ端!!」
「きっと、何回負けても出続けないといけないんですよね?下っ端さんは大変ですね…。」
「教会の仕事ばかりだったから分からないんですけど、やっぱり下っ端さんって労働基準とか厳しいんでしょうか?」
「だーかーらー、下っ端って言―な!!それと同情してんじゃねぇ!!」
「それで、これを届ける事が無理ってどういう事よ。」
「そのままの意味だ。テメェ等は全員纏めてここでくたばるんだからな!」
「まぁ、今の私達には女神化できるネプギアがいるんだもの。またワンパンで終わりの未来が見えるわ。」
「アイちゃん、それ只単に楽したいだけじゃ…?」
そんな楽勝ムードを出しているが、リンダはニヤリと笑っている。
「へっ、何も考えなしに再戦してきたなんて思うなよ!こっちには秘密兵器があるんだ。いでよ、R-4
そう言ってリンダは懐から、CR-ROMのようなものを天に掲げる。するとそのCDが光り出し、モンスターが現れる。エネミーディスクと名付けられているアイテムは、犯罪組織の道具として諜報部で調査済みの為、驚くことはない。
「ふん、流石に一人じゃ勝てないのを分かって、モンスターを連れてきたのね。」
「時間がもったいないですし、女神化して一気に倒します!」
そうして、ネプギアはいつも通り女神化する為に精神統一するように変身の準備をする。
「あ…あれ…?」
「どうしたのよ、ネプギア。」
…だが、何時もなら数秒程度で女神化できるはずがまだできない。何度試しても変身どころか女神化の兆候すら見えないのだった。
「ギアちゃん、どうしたです?」
「どうして、女神化…出来ない?」
「ええ!?」
「バーカ。言っただろぉ、秘密兵器だって。こいつには、こいつを中心とした半径数十メートル以内のシェアを操作して、女神化を封じる事が出来るモンスターなんだよ!さぁ、チビガキのままで足掻いてみろよ!」
シェアを吸収し、女神化を阻止する。数年前にも、女神殺しの石と言われた“アンチクリスタル”によって女神化を封じられていたのを思い出す。だが、目の前にいるのはそれとはまた違ったタイプの女神封じといった所だと把握する。
「御丁寧に説明をどうも。なら、あのモンスターを潰せば変身が出来るようになるはずね。日本一!」
「うん、あれを倒せばいいんだね!」
阿吽の呼吸のように、アイエフと日本一はR-4SPに立ち向かう。
「はぁあああっ!!」「せぃやあああっ!!」
アイエフによるカタールの斬撃と、日本一によるヒーローキックがR-4SPに直撃する。…ように見えたのだった。
「痛っ…!!ぃたたたたたっ!!」
「刃が…欠けてる…!!」
確かに二人とも手応えは感じていた。だが、当たる直前で何かに防がれた感覚を覚える。あくまでも当たったという感触でありクリーンヒットした訳ではない。
「おら、余所見してんじゃねぇぞ!」
『きゃああああ!!』
手応えがあったと思ったが、ダメージが入っていなかったことに気を取られてしまい、リンダの接近に気づかず、アイエフと日本一は鉄パイプの横振りをモロに受けてしまう。
「アイエフさん!日本一さん!!」
「な、なんで攻撃が通じてないですか!!」
「はんっ!こいつにはあらゆる攻撃を防ぐバリアが張ってあるんだよ。それこそ、女神の攻撃も簡単には通らない程のな!さぁいけR-4SP、タックルだ!!」
ネプギアに向かってR-4SPが体当たりをしてくる。持っているビームソードで何とか防御するも、全ての衝撃は防ぎきれず、後ろに後退してしまう。
「ギアちゃん!!」
「くっ!」
「やっぱり、変身できない女神は大した事ないな!」
「………。」
「どうした?怖気づいて話も出来なくなったか?」
「…そんな事ありません。こんな状況でも、私は諦めません。私は貴女には負けません!」
「そうです!私だって、戦えるですよ!」
「コンパさん…。」
「そうよ、ネプギア。私の事も忘れないでよね。」
「どんな窮地に立たされても、ヒーローは決して諦めたりはしないよ!」
「アイエフさん、日本一さん…。」
私は一人じゃない、大切で強力な仲間がいるとネプギアは再確認する。
「ふん、友情ごっこは楽しめたか?だがな、団結しようがテメェ等の冒険の書はここで終わりになるのは変わらねぇんだよ!」
「確かに、不味いわね…。日本一、もう一度私達で前に出るわよ。ネプギアとコンパは隙をついて攻撃して!」
『はい(です)!』
だが、R-4SPには攻撃が全く通じないのは最初の攻撃でわかっている。それでも、R-4SPを倒さなければ下っ端のリンダには攻撃できない上に女神化も出来ない。4人ともその現状に冷汗が流れてしまう状況だった。
「やぁぁあああああああああ!!」
叫び声と、ガツーーーーンッという大きな金属音がする。“上から来るぞ、気を付けろ!”というような感じで、前宙しつつR-4SPに上空から奇襲の如くけん玉のようなものが、R-4SPの後ろにヒットする。その少女は更にR-4SPに着地し踏み台の如く飛び、カエルが着地したような恰好でネプギア一行の前に着地する。
「あいちゃんや可愛い女の子達に、なんて酷い事してるの!みーんな、前々からヨメ候補としてずーっと狙ってたんだから、これ以上酷い事するなら許さないよ!」
『………。』
全員が行き成り現れ意味不明な事を言っている少女に、呆気取られていたが一人だけ反応が違った。
「ま、まさか…RED!!なんでこんなところに!!」
「あいちゃんや、ヨメ候補達がピンチならどこでも現れるよ!」
「いや、理由になってないから…。」
「アイエフさん、知り合い…ですか?」
「え?まぁ、話せば長くなる…かな?」
「(背は低いのに…でかい!!)」
そんなのほほんとした雰囲気に、気を取られていたが全員我に返り再び身構える。約一名、目を見開きREDのある部分を凝視しているのを除けば…。
「…ふん、奇襲されたのは予想外だが、そんな事で此奴はビクともしねぇし、今更一人増えたところで状況は変わらねぇんだよ!全員纏めて葬ってやらぁ!いけぇ!」
………。何か様子が可笑しい。リンダの声にR-4SPが全く反応せず、その叫び声は虚しく響いただけだった。
「お、おい!どうしたR-4SP!!」
「なんか、様子が可笑しいわね。」
「(………!!この感じ、これなら…!!)」
そんな時、ネプギアの体内から湧き出るように流れ始める力を感じ、再び女神化を試すと、その兆候が現れパープルシスターとなる。
「な、な、ななななぁ!!」
「おお、生女神様だ!」
「ギアちゃん!!」
「ネプギア、変身出来るようになったのね!!」
「…良くは分かりませんが、私の中に再び流れ始めたんです。シェアの力が湧いてくるような…。」
その言葉を聞いたリンダは顔を青ざめる様に引きつった顔をしている。ネプギア一行は気づいてはないが、R-4SPのバリアは正面のみあらゆる攻撃を防ぐよう展開される。だが、側面は背面からは防げないという欠点を抱えている。それでも、その強度はそんじょそこらのR-4とは比べものにならない物となっている。しかし、REDの奇襲攻撃によって、運が無かったのか、不運にもプログラムに異常が出てしまったようで、R-4SPはシャフトダウンしたPCの如く微動だにしない。
「ま、まさか、さっきのガキんちょの攻撃で…!?あ、ありえねぇだろ!!こっから激しい戦闘の末、こっちが最後に圧倒的な戦力を見せて平伏せさせる計画がパァじゃねぇか!!」
「…長々と文句言ってる所悪いけど、形勢逆転ね。」
「ギアちゃんも変身しました。貴女に勝ち目はないですよ!」
「ヨメ達を虐めたんだから、只で済むとは思ってないよね?」
「ヒーローとして、この悪行は見逃せないよ?」
「無駄な抵抗は止めて下さい。そのモンスターを手放せば、見逃してあげます。」
「くっそぉ~…!」
形勢逆転されてしまった事、そして本来の力を発揮するはずが、REDちゃんの奇襲攻撃で壊れたらしく計画が完全に狂ってしまい、リンダは“ぐぬぬ…”と歯を食いしばっている。
「だが、此奴は壊される訳にはいかねぇ…1個しか無ぇがかくなる上は…!」
懐から何かを取り出し、ピンのようなものを引き抜きネプギア達の足下に投げてくる。
「(!?、手榴弾…!?)」
下っ端から投げてきた物の形状から、アイエフは手榴弾と判断し声を掛けようとしたが、地面に着弾と同時に爆発する。だが、爆発したのは殺傷能力の無い手榴弾だった。
「うわ、な、なんですかこれぇ!」
「ま、前が、見えません…!」
「うぇえ、目に何か入ってきた!」
「うわ、口の中に砂のようなのが…!」
「く…!これは…!」
強い閃光と共に煙幕と粉塵が舞うという閃塵欺瞞爆弾ではないかと察して驚く。永守が考案した非殺傷制圧型手榴弾で、諜報部が実験段階で数個作成した程度で、量産されてない物だからである。
「戻れ、R-4SP!!今日の所はこれくらいにしてやる。けどなぁ、次は
それから数秒後、閃光と粉塵によって奪われていた視界が徐々に回復し周囲を見渡せる程にまで改善した。だが時既に遅し、下っ端のリンダは既にそこにはおらず逃げていったようだ。
「下っ端さん、居ませんね。」
「逃げられちゃったか…。中々の痛手ね。」
「でも、宝玉は持って行かれてないから、万事OK…かな?」
逃げられてしまったが、ネプギアの手元にはエンシェントドラゴンから落とした宝玉を、しっかりと持っている。
「そうですね。…あ、助けて頂いて有難う御座います。えっと、REDさん?」
「将来のヨメの為だもん、当たり前の事をしただけなのだ!」
「彼女は、
「おお、あいちゃん覚えてたんだ!…でもやっぱり久々にフルネームを聞いてもしっくり来ないね。」
「で、もう一度聞くけど、なんでアンタがここにいる訳?」
「うん、それはねぇ!ラステイションに居る時に、あいちゃんを含む女神様一行が“プラネテューヌに向かってる”って話を聞いて追いかけてきたってた訳なのだ!」
「それで、偶々というが偶然というか…あのタイミングで追いついたって訳ね。」
「でも、結果からすれば、私達はREDさんのお掛けで助かった訳ですよね。」
「一応聞くけど、REDは血晶が何処にあるか知らない?」
「うん、知らない!!」
っと、REDは自信満々に知らないと答える。当然、全員呆れたという態度になってしまう。
「…まぁ、分かってたけど、自信満々に言われるのはどうかと…。まぁいいわ。兎に角、手に入れた事をジンに伝えて、さっさとラステイションに戻るわよ。」
そう言ってアイエフはジンに連絡をする為、スマホを取り出し着信をする。だが、幾ら鳴らしてもジンは応答どころか、着信に出てくれない。
「どうしたです?アイちゃん。」
「…変ね。アイツが出てこないなんて。」
「でないってどういうこと?」
「私が知りたいくらいよ…。」
「何か、ジンさんの身にあったんですか?」
「それも分からないけど、急いで戻った方がいいかもしれないわね。」
そう言って、ネプギア一行はバーチャフォレストから出ようとする。が、REDがアイエフに声を掛ける。
「じゃあじゃあ、アタシもついて行く!!」
「え?REDさんも?」
「アタシの知らない場所で、ヨメ達が酷い目に遭うなんて我慢できないからね!」
「えっと…ど、どうしましょう?」
「…まぁ、こうなる事は分かってたけど、REDの腕は確かよ。そこは私が保証するわ。」
「お友達が増えるのは大歓迎ですよ。」
「まぁ、アタシも同じ目的で動くなら問題ないよ。」
「
新たにREDが加わり、より一層個性豊かなパーティーとなったネプギア一行は、ラステイションにいるジンに会う為にバーチャフォレストを後にする。
――――――――――――――――――――
「……きな…い。…ン、…きな…い…。」
声が聞こえる…。俺は、今どうなってるんだ?確か、ハーミットに戦いを挑んだが、情けない事にボロ負け状態だったが…。
「………!!ハーミット!!」
「うぇ!?」
ガツンッ!!
「ッ…!急に起き上がらないでよ、痛いじゃないっ!!」
「てててて…。ゆ、ユニか…。す、すまねぇ…。」
何故か驚くように俺は上半身を思いっきり上げてしまい、誰かとぶつかってしまい互いに悶えている…ホントイテェ。一応傷を少しでも癒やす為に、ネプビタンCを使い回復する。
「それにしても、女神でありながら情けないわね、アタシ…。あんな奴に負けるなんてね。それに、アンタが居るって事は、見たのよね?」
俺は軽く頷くと、ユニは溜め息を着く。恐らく、全ての力を出して戦った結果、俺が着いた時に見た光景なのだろう。人々を守る女神という存在でありながら、犯罪組織の雇われ傭兵に負けてしまったのだから、ある意味ショックなのだろう。とは言え、俺は手も足も出ずに、挙げ句の果てに古のゲイムキャラの力を使っても勝てなかった。あそこまで来るとある意味チートだよなぁ。
「まぁ、とは言え俺等にはいい情報がある。」
「え?」
「…あんな奴と戦って、生き延びている事だ。」
「それ、励ましてるつもり?」
「それもあるが、生かしたことを後悔させてやる事も出来るぜ。」
「はぁ…随分と前向きだこと…。」
ちと前向き過ぎたか?とは言え、俺の知っているアイツならどんな逆境に立たされてもきっと諦めなかっただろう。…とは言え、それで行方不明になっちゃ何も言えねぇがな。
「ところで、気になってたんだけど、アンタの持ってるそれは何?」
「あぁ?」
ユニちゃんに言われ気づいたが、俺の右手には血の色の如く赤い結晶を握りしめていた。…なんだこの石。
「教会に持って帰って調べる必要がありそうだな。」
「そうね。あと、アレを持って帰るのも手伝ってくれない?」
「…あの長銃か?」
そこには、気絶する前にハーミットが持っていたであろう長銃が立てかけられていた。見た目はまるで対戦車ライフルを更に大型化させたようなので、小型携帯レールガンシステムでも搭載してるのかと言いたくなる程ごつごつしている。妙に痛む腹部を抱えつつ試しに持とうとするが、携帯用としてはどう考えてもかなりの重量だ。持てない訳じゃねぇが。
「重てぇが、持てなくはなさそうだ。」
「なら、持ってくれる?」
「…手伝うんじゃねぇのか。まぁいいけど。」
「そう。なら宜しく頼むわよ。」
その前に、俺の武器と腰鞄を回収し、長銃は背中に背負える事が出来るので背負う。
「とりあえず、俺は教会に戻ってネプギア達と合流する。ユニ、お
「アタシは…。」
「無理にとは言わねぇが、一人で抱えるには限界があるぜ。」
「それは、今回の件で痛いほど分かってるわ。でも…アタシ自身がそれに納得出来ないのよ。」
「ま、俺ぁユニの事に関しては何も言わねぇよ。ただな、俺はお
「…え?…って、このアタシを置いていくな!!」
そう言いつつ、俺は荷物を抱えまだ妙に痛む腹を抱えながらセプテントリゾートを後にする。
【用語集】
○今、閃光が見えたところを~
「う~、トイレトイレぇ!」の後に続く台詞のオマージュ。元ネタ事態は恐らく言うまでもないですが、山川純一氏によるマンガ「○○○○テクニック」。ある意味名台詞の宝庫(?)だと思っています。
○君に決めた!!
元ネタは、ポケットモンスターの主人公であるサトシが、モンスターボールを投げポケモンを出す時に言う台詞。只、この台詞事態は初代やRe;Berthにも登場している。
○冒険の書
元ネタはDQシリーズのセーブデータに当たるもの。FC版DQ3は”お気の毒ですが…”が良くあった事で有名にもなっています。ある意味、0%0%0%並の衝撃でもありますね\(^o^)/
○上から来るぞ、気を付けろ!
デスクリムゾンのOPで、主人公であるコンバット越前の台詞。正し、ムービーでは、上から来るぞ!とか言いつつ階段を駆け上がるシーンとなっている。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!