超次元ゲイムネプテューヌ~闇夜の円舞曲~   作:KeyMa

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mk2、birth2の展開となっていますが、異なる点はアニメからなので、展開は異なる…はず。




Scene31 第一のゲイムキャラ ~1st Contact~

 

 

 

 

 

バーチャフォレスト最深部の立ち入り禁止エリア。そこに、ゲイムキャラが居ると言う情報をイストワール様がキャッチした所だ。各々準備を整えた俺達は、ゲイムキャラを求めて、尚且つ謎の二人組の正体を探る為バーチャフォレスト立ち入り禁止エリアに突入するのであった。

…ああ、因みにだが、イストワール様曰く、ゲイムキャラは三ヵ国にも存在する。そこで念の為確認をした所、ラステイションではユニちゃんが、ゲイムキャラを捜索中…、ルウィーはロムとラムがクエストを熟しつつ、ミナさんがゲイムキャラの情報を捜索中…、リーンボックスではスミレがチカさんと協力して捜索中との事。ネプギアが救出された事も伝わってて、ロムとスミレは安心したような感じだったが、ユニちゃんとラムは嬉しいような嬉しくないような反応だった。険悪という感じではないが、すっきりしない反応だったって事だ。

それと、籠手に関しては、古の大戦時に使われた封印されし武具の一つらしいが、詳しい事は分からないそうだ。只、ゲイムキャラなら知っているかもしれないと言っていたので、ゲイムキャラに会う必要がある。つまりは、今のところは只の防具に過ぎない…という事にしておこう。

 

 

 

 

 

「…ここが、ゲイムキャラがいるハウスか。」

「…え?」

「いや待ってアンタ、立ち入り禁止エリアに入ったのに何言ってるのよ。」

 

ぽかんっとした表情のネプギアに、アイエフからの突っ込みがありながらも、俺達はバーチャフォレストの立ち入り禁止エリアへと到着した。バーチャフォレストの公園路とは違い、水辺にアリーナ並みに広い円型フィールドが幾つもあり、橋のようなもので繋がっているエリアだ。立ち入り禁止エリアとは言うが、完全立ち入り禁止という訳ではなく定期的にプラネテューヌ教会の職員が、偵察に出入ったりしているらしい。とは言え、職員もゲイムキャラがそこにいるなんてのは知らねぇようだ。

 

「おっと、早速モンスターからの歓迎だよ!!」

 

日本一が指を差しながら、此方に敵意を向かせているキノコ3体が居る。だが、そのキノコは通常の色とは異なる色をしていた。

 

「皆、気を付けて、あのキノコは汚染されてるみたいよ!」

「だが、5対3ならこっちが有利だ。」

「それでも、油断しちゃダメです。」

「分かっているさ。」

「相手が誰であろうと、全力で行くまでです!」

 

そして、5対3による壮絶な戦いが開幕するのだった。

 

 

 

 

 

…とでも思っていたのか?実際は汚染されて強くなっているのは確かだが、蓋を開ければ、“イジメ、ダメ、ゼッタイ”みたいな事になっていた。ある意味、ペ〇ソナの総攻撃チャンスみたいな事になってしまったな。

 

そんなこんなで、極力戦闘は避けつつ、危険種に接触しないようモンスターを蹴散らしていく事数十分。ある方向から、金属を叩くような音がしているのを聞き取る。

 

「金属音…情報で言っていた先客がいるのか?」

「分からないわ。でも、音のする方へ行ってみましょう。」

 

俺達は、音のする方へ走り出し、その音の原因が何なのかを発見する。

 

 

 

 

 

そこには、背中に、精密機械のような剣を携えている、暗殺者のようなフードを被った高身長の人物と、ネズミの耳が付いたフードを被った並の身長の人物がいる。そのネズミフードの方が愚痴を溢しながら、鉄パイプのような棒である物体を殴り続けていた。

 

「ちぃ…全然壊れねぇぞおい。さっさと壊して次の仕事に行かなきゃならねぇのによ!」

「簡単に壊れたら、ゲイムギョウ界の守護をしている意味がないだろう。」

「つーか、テメェもボサっと見てねぇで手伝えよ!!その背中のは飾りか!!」

「…生憎、私はお前の護衛で来ている。上からはそういうことだからな。」

 

両方ともガスマスク越しのような声だが、片方は聞き覚えのある声がした。あのガスマスクの男の声だ。

 

「止めてください!ゲイムキャラを壊さないで!!」

 

ネプギアの声に反応するように、両者共此方を見てくる。…やはり片方はあのガスマスクの男だった。もう片方は恐らく…アイツか?

 

「ああ?邪魔すんじゃねぇよ…ってテメェは…!!」

 

何か驚いたように、ネズミフードの方はガスマスクと上着をはだけさせる。…何故上着もはだけさせるんだ。

 

「あ、貴方は…!!」

「知ってるの?」

「はい。あの人は、以前にロムちゃんとラムちゃんを誘拐した人の一人です…!」

「覚えていたか…!あの時の事は、忘れはしねぇぞ!!」

 

どうやら、数年前ルウィーの誘拐事件ニュースで流れていた犯人の一人のようだ。…あの時は獨斗がニュースで出て来たのは驚いたがな…。

 

「来たな、女神一行よ。待っていたぞ。」

「ああ。アンタと、犯罪組織を止める為に来たさ。」

「それで、そっちのアンタは、誘拐犯の次はマジェコンヌの一員って訳?」

「察しがいいじゃねぇか。そうさ!アタイは犯罪組織マジェコンヌが誇るマジパネェ構成員のリンダ様だ!」

「………。」

「…おい、テメェも名乗れよ!!」

「私も名乗らなきゃダメなのか?」

「あたりめぇだろ!!名を広めるチャンスなんだぞ!」

 

なんだこれ…まるで打ち合わせせずに来た感じが溢れているぞ…。

 

「まぁいい…。知ってはいるだろうが、私は犯罪組織マジェコンヌに雇われた、ハーミット…コードネームはゴーストだ。」

 

…隠者に幽霊…、まるで存在してはならないという意味にも聞こえるな。

 

「そっちのアンタは傭兵なのね…。で、そっちは構成員…要は下っ端ね。」

「なっ!?」

「下っ端ですね。」

「下っ端さんです。」

「下っ端だね。」

「…下っ端か。」

 

アイエフが構成員と分かった途端、下っ端と言いそれに反応するように全員が下っ端呼びする。俺も流されるように下っ端呼びしてしまったぜ…。まぁ、ここは言うのが正解だよ。うん。それを聞いた下っ端さん事リンダは頭に血が上ったようで激おこぷんぷんな状態だ。

 

「くくく…酷い言われようだな。」

「テメェら…下っ端下っ端って言いやがって!あと、テメェも笑うな!!」

「五月蠅いわね。そこの傭兵は兎も角、下っ端のアンタは邪魔よ。さっさとそこを退いてくれるかしら?」

「下っ端さん、お願いですから邪魔しないで欲しいです。」

「下っ端じゃ、このヒーローのアタシには勝てないよね?」

「…下っ端さんなら、問題なく勝てそう…。」

 

下っ端と分かった途端、アイエフのこの強気な態度に続く一行である。まぁ、見た目は弱そうに見えるもんな。しゃーないわ。

 

「ふふ…私からは何も言えないな。」

「ぐぬぬぬ…何度も何度も下っ端下っ端って連呼しやがって…!!もう我慢できねぇ…下っ端呼ばわりしたこと、後悔させてやらぁ!テメェらまとめてぶっ飛ばしてやる!」

 

おっと、完全にブチ切れたようで戦闘態勢に入っていやがる。もう完全に会話での解決は出来そうにねぇようだ。

 

パチンッ

 

そんな時、ガスマスクの男が指を鳴らす。そして、何も前触れもなく謎の障壁が現れる。

 

「ジン!!」

「これは…!」

 

不運なのか、不覚なのかは置いといて、立ち位置が悪かったのか俺はネプギアや日本一達と孤立してしまい、ガスマスクの男との立ち会いになってしまった。

 

「貴様は、一行の中でも厄介な存在だ。」

「だから俺だけを…?それにしては過大評価しすぎじゃねぇか。だが、アンタは何故、犯罪組織なんかに手を貸している?」

「簡単な話さ。犯罪組織から、1億クレジットをポンとくれた。だが、それだけではない…貴様から受けた3年前の屈辱を晴らす為に地獄から舞い戻った。」

「アンタに恨まれる事はしたこなんか、これっぽっちもねぇが?」

「貴様は知らなくてもいい…。それだけの事だ。」

 

俺にはよく分からねぇが、奴さんは俺に積年の恨みみてぇのを持ってるようだ。お隣も戦い始めようとしている。俺だけ戦わねぇってのは可笑しいもんな。俺は腰に掛けている鞭を手に取る。

 

「良く分からねぇが、アンタの俺に対する恨みなんてどうでもいい。ただアンタを倒して、恨みが1つ増えるだけ。それだけだ。」

「くくく…面白い。果たしてこの俺を倒す事が出来るかな?」

 

そして、俺とガスマスクの男はお互いに戦闘態勢に入る。様子見をしたいところだが…生憎、向こうにさっさと加担したいんでね…。

 

「先手必勝だ!!オラぁ!!」

 

投剣を投げ、鞭をガスマスクの男に向けて振る。奴は左手で投剣を弾き、軽やかに避けやがった為、空振った鞭が地面に当たり、当たった場所の地面が少し欠ける。だが、それも想定内。鞭を振り回し一気に距離を詰める!!

 

「…なっ!!」

 

あと一歩先で奴に届くといった所で、妙な寒気がし体制を横にずらす。奴さんも体制を崩していたとはいえ、その崩れた体制から此方に銃を向けて発砲してくる。幸いにも頬を少し掠る程度だ。

 

「…シングルアクションアーミー(S・A・A)か…!そんな博物館物を…。」

「ほう、今のを避けるか。いや、流石だ。マグレとは言え、我が同族を倒した事だけはある…。」

 

同族…?そんな言葉に惹かれるように、“3年前”と“恨み”という言葉が脳裏に浮かぶ。そして、ある答えに到達する。

 

「…それでも、前へ!!うおおおおおおお!!」

 

だが、どう答えが出ようと、目の前にいる奴は俺達にとっては敵…それ以外に答えなどねぇ。俺は正面から立ち向かうのは危険と分かっていても、恐れず正面突破をする。あいつだって同じ状況ならそうすると思ったからだ。そして俺はガスマスクの男に鞭による乱舞を放つ。

 

「…気に入らねぇ。その鉄の塊は本当に飾りか?」

「………。」

「余裕たっぷりとは、ムカつく野郎だぜ…。」

 

そう、奴が背中に携えている剣を一向に抜こうとせず、ただ単に紙一重で俺の攻撃を避けている。

 

「来いよ、遊んでやる。」

「………。徹底的に叩きのめしてやる。」

 

そんな事を言うこの男が、無性に腹が立つ…俺の攻撃を全ての攻撃を避けているのも相まってだ。だが、ただ単に暴れまわっている訳じゃねぇ。俺は左腕を引っ張る。

 

「…!!ほう。」

 

ブービートラップ。ステルス製のトラバサミを仕掛けて置いたのさ。獨斗が居なくなった2年間…只単に力を鍛えただけじゃねぇさ。特権のせいで魔法が使えないなら、狩人(レンジャー)技術を覚えればいい。そういう類のアイテムはこの世界にも豊富にある。そして俺は持っている鞭を奴の腕に絡ませ引っ張り寄せる。

 

「ぬぉあああああああ!!」

 

引っ張ってきたガスマスクの男の顔面に左拳を叩き込み、マウントポジションを取る。そして引っ張って来た際にガスマスクの男から抜けた剣が、俺の上に振ってきてそれを取る。

 

「先に御寝んねしてな!!」

「ぐぉ…!!」

「これが、俺の力だ…!」

 

手に取った剣をガスマスクの男の腹に突き刺し地面にめり込ませる。この程度で死ぬような奴じゃないのは分かっている。此奴からは情報を聞きたいが…。

 

「向こうに加勢しなければ…。」

 

どうやら、ガスマスクの男の力が弱まったのか、結界が溶けている。だが、俺の目の前に見た光景は悲惨なものだった。

 

「きゃああああ!!」

 

叫び声が聞こえ、そこに眼を向けると、ネプギア達が下っ端ことリンダ一人に苦戦している。いや、弄ばれているのか?

 

だが、俺は奴を倒したと確信してしまっていた…これが、不味かった。

 

 

 

 

 

ブスリッ―――――

 

「ぐっ!!」

 

気付けば、俺の後ろの右肩に注射器のようなものが刺さっている。そしてガスマスクの男を見ると、左腕を此方に向けているのを目にする。あの籠手は暗器の類だったのか…!!それに、腹に剣が刺さったままだぞおい…!

 

「流石だな…。少し、お前の力を甘く見すぎた様だ。…ふぅ。」

「化け物か…!!」

「誉め言葉として受け取っておこう。」

 

直ぐに右肩刺さっている注射器を抜く。如何やら、殺傷能力は低く出血もしていない。だが、何か薬品を投入されたのかもしれねぇ。それと同時に奴は腹に刺さっている剣を抜き、背中に携え直す。奴の驚くべき事は、剣を腹から抜いた際に血は出たが、出血しているようには全く見えない。だが、流石に体力を消耗しているらしく、息が乱れているように見える。

 

「な、なんだ…?何をしやがった…!」

 

そう思ったのも束の間。急に俺の方も息が乱れ始め目の前が歪み始めると同時に、体が言う事を聞かなくなる。その場で俺は倒れ込む形になってしまう。

 

「万能薬を使えば治る程度の麻痺毒だ。そこで大人しく、女神様が負ける姿を見ているがいい。心配するな。その後一緒の所へ案内してやる。」

「くっそぉ…!」

 

暗殺者のように、歯に薬を仕込んでいる訳でもなく、仲間による支援は障壁によって期待できない。俺は…負けるのか…?このままゲームオーバーになっちまうのか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジンと同時に戦闘を開始した、ネプギア一行対下っ端のリンダとの戦いが繰り広げられていた。だが、その4対1にも関わらず、ネプギア一行の方が押されているという状況だった。

 

「つ、強い…!」

「なんで下っ端がこんなに強いのよ…!!」

「これも、犯罪組織のシェアが上回ってるせいですか…?」

「はん…。散々馬鹿にしてた割りには、テメェら全員大した事なかったな。情報通り、変身出来ねぇ女神なんざ怖かねぇしな。それに、向こうも終わってるしな。」

 

ネプギア一行は引きずるかのような体で、ジンの方を見る。そこには俯せになっているジンと仁王立ちしているガスマスクの男が居た。そして、ガスマスクの男から“殺れ”というジェスチャーが出され、それを見たリンダはニヤリと笑う。

 

「さぁて…、許可も出たし、一人ずつ順番にぶっ殺してやるか。」

「(そんな…。また、3年前のように負けちゃうの?まだ怖いけど、私が戦わなきゃ…でも、なんで…変身出来ないの…?でも、負けたくない…!)」

 

リンダが、ネプギアの前に立ち、ネプギアは脳内で負けたくないと思っている時だった…。

 

≪お前の力は…そんなものか?≫

「…!?」

 

突如、周りの時間が止まっているかのようになり、ネプギアの脳内に響くように声が聞こえている。そして、何処か聞き覚えのある声だった。

 

「(…永守…さん…?)」

≪もう一度言う…お前の力は、そんなものか?≫

「(私は…負けたくない…!でも…今の私じゃ…!)」

≪…例え力不足でも、お前の姉…ネプテューヌならどう行動していたか、思い出してみろ。≫

「(お姉…ちゃん…だったら…。)」

 

そうだ、お姉ちゃんは、どんな時でも諦めなかった。犯罪組織との闘いでもそうだった。例え実力差があっても決して諦めなかった…。ネプギアはネプテューヌ、いや、四女神の勇士を思い浮かべる。

 

≪そうだ…お前にも出来る。さぁ、力を示せ…!≫

 

その脳内に響く声と共に、ネプギアは目を見開く。

 

「死ねやあああああ!!…って、なにぃ!!」

 

ネプギアから見れば、突如時間が動き出したような感覚でもある。だが、その声と共に、振り下ろされてきた鉄パイプを両手で掴み防ぐ。

 

『ね、ネプギア(ギアちゃん)?』

 

急に変貌したかのようなネプギアに、周囲もざわめくようにネプギアを見る。

 

「な、なんだ…?何処からこんな力が…!」

「私は、今度こそ迷わない。お姉ちゃんだけでなく、皆を助ける為に!」

 

その瞬間、ネプギアの体が光り出し見覚えのある白いプロセッサユニットが展開される。

 

「な、何ぃ!き、聞いてねぇぞこんな展開!!」

「もう、手加減はしません…一気に決めます!ミラージュダンス!」

 

ネプギアの花形とも言えるビームソードの乱舞を、リンダに向かって放つ。

 

「くそがああああああ!!何故だ…シェアは圧倒的にこっちが上だってぇのに…!!」

「大人しく、引いて下さい。そうすれば、見逃してあげます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネプギア…。すげぇな…。」

「やはり、ダメだったか。」

 

ガスマスクの男は、まるでこの状況が分かっていたかのように呟いている。まさかと思うが、負ける事を想定していたんじゃねぇよな…?

 

「もう、アンタの手札はないはずだ…。アンタも、大人しく降参するか…?」

「私に踏まれているのに、良くそれが言える。確かに形勢は此方の方が、分が悪いと言えよう。」

 

向こうと違ってどうやら、こっちは馬鹿じゃないようだ。このまま大人しく引いてくれればいいのだが…。

 

「だが、どう足掻いても、私達の勝ちだ。」

「な…に…?」

 

ガスマスクの男がそう言うと、腰からC4の起爆装置みたいなのを取り出しスイッチを入れる。次の瞬間、ゲイムキャラが居た場所で大爆発が起きる。同時に、何か砕けるような音も聞こえ、そこが見えない程の砂埃が舞う。そして、コンパの方にゲイムキャラだったであろう破片が飛び散ってくる。

 

「ああ!ゲイムキャラさんが!!」

「へへ…アタイが負けたのはあれだが、当初の目的は達成できたって事だ…。ザマァみやがれ。」

「負けたのに、良く言うな。」

「五月蠅ぇ…!それにもうここに用はねぇぞ。さっさと戻ろうぜ!」

「分かっている。」

 

そうすると、ガスマスクの男の足元に魔法陣のようなのが展開され、リンダもそこに入る形になっている。

 

「待ちなさい、逃げる心算!?」

「逃げるも何も、当初の目的を達成した。だが、もっと力を付けな…私達を止めたければな…。」

 

そうして、魔法陣が縮むと同時に、ガスマスクの男とリンダの姿が消える。転送系だったのか…?

 

「…?体が、動く?」

 

万能薬を使えば治ると奴が言っていたが、急に体が動くようになったし、頭も冴えるようになった。奴の言った事は脅しだったのか、それとも薬品の調合ミスだったのか…全く意味が分からねぇ…。

 

「そんな…ゲイムキャラが…。」

 

しかし、ネプギア一行はゲイムキャラを守る事が出来なかった事を悔やんでいる。勿論、俺も同行していながら、結果を変えれるはずなのにこんな結末になってしまった事を後悔している。

 

≪安心してください…。大丈夫ですよ、女神候補生。≫

「え…声?」

「ネプギア、あれ!」

 

アイエフの掛け声と共に、全員が薄まっている砂埃が立っている方に目を向ける。そこには、掛けてはいるものの、ゲイムキャラと思われる球体があった。…何故か、あのガスマスクの男が携えていた剣がそこに落ちているのを除けば…。

 

「アンタ…いえ、貴方は大丈夫なんですか?」

≪無事とは言えませんが、幸い、力は残っています。最も、この状態では7割減ですが…。≫

「よかったぁ…完全に壊されずに済んだんだね。」

 

ここで、直ぐ力を貰えるかと思ったら、ゲイムキャラが意外な事を言ってくる。

 

≪あなたのその籠手は…。≫

「あ?これか。あのガスマスクの男から貰った…っていうのも変だがな。まぁ、今は俺が持っている事だ。」

≪…まさか、此方の剣も含めて再び見る事になるとは…。≫

「ど、どういう事ですか?」

 

ネプギアも気になった為、ゲイムキャラの方へ近づく。

 

≪そこに落ちている剣と、貴方が付けている籠手…それは、嘗て女神戦争時に使われていた物の一つです。≫

 

なんてこった…。俺はそんなものを付けているってのか。俺の知っている世界とは既に違うようだ。詳細を聞いた方が良さそうだな。

 

「それで、この二つは何なんですか?」

≪その籠手は、私達ゲイムキャラの力を用いて、魔法を放てるようになる籠手です。其方の剣も、嘗ての女神候補生が使っていました物の一つです。≫

「嘗ての…女神候補生…?」

 

恐らく、過去の女神候補生が使っていた武器の一つなのだろう。これはネプギアが持っていた方がいいのかもな。

 

≪…お二人なら、きっと誤った使い方をしないと信じて、この力を託します。≫

 

そう言うと、ゲイムキャラから二つに光が現れ、一つはネプギアの方へ。もう一つは俺が左腕に付けている籠手の方へ…。4つ穴の開いている内の一つに、紫色の球体が埋まる。それと同時に、ネプギアの手元に転がっていた剣も現れる。

 

「これが…ゲイムキャラの力と、過去の女神候補生の剣…?」

「籠手に球体が…。」

≪その籠手に、雷鳴の力を宿しました。…私はここから動くことは出来ません。どうか、ゲイムギョウ界の事をお願いします。≫

 

それを言い終えると、ゲイムキャラの球体の光が弱まっていき、ゲイムキャラが目の前から消える。

 

「消えた…?」

「…眠りについたのだろうか。」

 

ネプギアとそんな会話をしていると、後ろの三人がネプギアの方へ近寄る。

 

「ネプギア、また変身できるようになってよかったじゃない!」

「はいです!これで、女神様とまた一緒になれたです!」

「うおおおお!これで一歩こっちが有利になったんじゃないの!!」

 

…まるでお祭り騒ぎのように、ネプギアが再び変身出来た事を喜んでいる。確かに、変身した時に、リンダを圧勝できたんだ。有利になったと言えるだろう。

 

そして俺達一行は、喜びを抑えつつ次のゲイムキャラを求める為、プラネテューヌ教会へ戻る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【用語集】

○ここが、ゲイムキャラがいるハウスか。
 元ネタは「ここがあの女のハウスね。」である。 俳優、ミュージシャンである宮崎吐夢が歌う楽曲の一つ。どういう訳かある公式アニメにも使われている。

○ペ〇ソナの総攻撃チャンス
 ペル〇ナ3及び4に登場した攻撃の一種。出現した敵に弱…攻撃を放ち、ダウン状態にすることで出来る。…とは言え肝心の自分はペ〇ソナをやったことはない。(ぉぃ)

○果たしてこの俺を倒す事が出来るかな?
 ガスマスクの男が言った台詞なのだが、元ネタは格ゲー「北斗の拳」のサウザーが登場する際に言う台詞。一撃必殺技は絶対防御技のはずだが…。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


…ネプギアサイドに割と物騒な物が手渡されました。果たしてガスマスクの男は何がしたいのか。

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